『キングダム』の武将はみんな正しく意識高いから中間管理職は要チェキ

はじめに言っとくがある。『キングダム』は決して戦闘シーンがFate並にスゴい訳ではない。だが俺を含め多くの人を魅了する本作のドコが良いのか。それは登場人物の沸騰した感情が俺たちの心に訴えてくる点だ。この記事ではその熱量を、TVアニメ放送時点までを主軸に語りたい。

俺的作中ベストバウトTOP3に入るシーズン2のVS輪虎エピソードは観ただろうか? 漫画で読んだ人も、アニメで観るとまた泣けるから非常にオススメ。「何でこんなに泣けるんだろう…俺、病んでるのかな…」と自分の涙腺ダムの欠陥工事具合を心配したんだけどね。天下の大将軍への道を歩み始めた信が本当の意味ではじめて相対した”将軍”が輪虎であり、そしてその輪虎自身が非常に意識高い系の武将だったからなんだと気付いた。意識が高い人の言葉は、意識低いと自覚している人間に猛烈に響く瞬間がある。それ。

「本当に天に寵愛される武将は一握り」

「え…やだ…この人働きすぎて危ない一線超えちゃった…?」と感じてしまうのも無理はない。”戦いの天才が戦いの大天才に拾われた”と自分で標榜する通り、常に意識高い輪虎パイセン。廉頗四天王として秦六将・趙三大天と激戦を潜り抜けてきた偉大なる業界のパイセンなんだ。俺たちのような下々とは見ている景色が違う。「片手が使えない戦いなんて幾らでも経験してきたし、何より今日は、この後約束があるんでね。」戦いながら言う台詞にも経験からくる自信と意識の高さが漂ってる。まさに飲み会の日の意識高い大手広告代理店。

だがそんなパイセンも、業界若手注目株の信について思うところがあった。「武の力はともかく、あの歳でこれほど人を惹きつける力は自分にはなかった…」流石である。過去の自分をひけらかすのではなく、過去の自分と比較した上で、明らかな格下も称賛できる。実力者とはかくあるべき姿だと言えるだろう。

また、戦いの最中に放った台詞からも学ぶところがある。「今、背負っているモノの重大さが分かっているかい? 君が倒れれば、この軍は総崩れとなる」。ブラック企業で働いたことがある人はこの時の信と似たような経験ないだろうか。大概のブラックは人手不足の激務だが、それ以上に問題なのは経験不足な若手への重責。俺はこのセリフを聞いた時、深夜のオフィスで独り居残り、天井のシミを数える自分自身の姿を思い出して寒気がした。

「致命的だよ」

太腿を刺される信。馬上での戦いで脚の負傷は即死を意味する。追い打ちをかけるように言葉責めで焦らせてくる輪虎パイセン。やはり、この人もブラック企業に染まってしまった意地の悪いブラック社会人なのか。すぐさま馬から飛び降り自分のフィールドである地上戦にもつれ込む。その姿勢に対し輪虎が言い放つ「その判断は間違ってない。あのまま続けていたらすぐにでも勝負は終わっていたよ」。飴と鞭がお上手。厳しい言葉を投げつつも、若手に優しいところが憎めない上司の人心掌握術と言えるかもしれない。

「俺は関わった奴らの想いを背負って前に進むだけだ」

ここから信が覚醒する。一瞬の隙を突かれ致命的斬撃を食らった輪虎は膝を地面につき、項垂れてしまう(もう歳なんや…)。だが輪虎は笑みを浮かべながら立ち上がる。「殿が…待っている…こんな所で…負けられない…!!」この時点で原作読者ならびに視聴者は思っただろう。あ、コイツ本物や~…信念のある敵キャラや~。バイプレイヤーでこの魅力である。新卒で入った会社で出会ってたらついて行きたくなっちゃう。

「出会いは運命で、そこから先は自分次第さ」

散り際の台詞も完璧だ。相手のことを認めつつ、油断することなく精進しろよ、と退職前の捨て台詞として満点に近い激励。まさに「天に愛される武将は一握り」を体現するかのような、実力に慢心せず努力を続ける輪虎のブラック社員人生はこうして幕を下ろした。ありがとう輪虎。お前マジで最強の意識高い中間管理職だったぜ…。

ちなみに、この戦いの見所はこれだけではない。輪虎を打ち取った信の足元で「これで終わったと思っているのかぁ?めでたい奴らめぇ!ヒャハハハ!」って笑う輪虎兵、あなた世紀末から来ました?と言いたくなる下衆モブっぷりだが、言っていることは至極真っ当。温存されていた伏兵に蹂躙される後方、そこには女副長の羌瘣を置いてきた場所だった。

「私は、飛信隊の副長だ」

激戦後、死体の海で佇む身体を信に抱きかかえられ、意識朦朧の中での「離せ、馬鹿がうつる」っていう軽口すらも可愛い、健気。隊に加わって以来、はじめて隊のために戦う女武神が自分の居場所を自覚した瞬間。復讐に生きてきた人間が復讐後の居場所を守るために死地に赴く姿に俺の涙腺ダムならびに内なる母性もリミットブレイクした。まさにブラック企業の重責に負けずに目の前の仕事をこなす女性社員。可愛い、健気。味噌汁作って欲しい。

「馬鹿か!こんなになるまで無理しやがって!」

いや、お前も中々に無理してただろ。完全に自分のことは棚上げで部下を心配する信。何でそんなに心から心配した台詞吐けるの? 例えるなら校了した後のボロボロの状態で取引先と営業飲みに行くようなものだろうがよ。しかも信はこの後、「最後にまだ…行くところがある」と総大将が戦いを繰り広げる戦場に向かう。バッキャロー! お前さてはラーメンを汁まで飲み干すタイプだな? 塩分過多だ!過剰労働で死ぬつもりか?いや…こんな時期が俺にもあったな…何でもガムシャラに頑張ってよ…若いって良いねぇ。そして信はボロボロの身体を引っ張りながら魑魅魍魎が蠢く飲み会へ向かうのだった…。

 

というわけで、『キングダム』の熱さと武将たちの意識の高さは再認識できたと思う。ちなみにこの後のVS廉頗戦で倒した輪虎に背中押されながら大将軍に立ち向かう信も最高に熱いし、原作ファンが知っている通り合従軍編からの趙国侵攻編にもそれぞれ俺的ベストバウトがあるからアニメが追いついたら記事を書くかもしれない。

だから乱世は面白い。

とりあえず、信は俺と一緒に会社起こして欲しい。

『攻殻機動隊 SAC_2045』の世界同時デフォルトってパワーワードすぎない?

『攻殻機動隊SAC 2045』に面白い単語が出てきた。

ある日突然、スパコンより計算が早いっていう化物・ポストヒューマンの超ハッキングによって[世界同時デフォルト]という金融機関の同時消滅が発生。電子マネーを含めた銀行残高が消滅したとのことだけど、これってどういう事なんだろうって事で、記事を書く。

世界同時デフォルト

俺が面白いなって思ったのは、”残高をリセット”したという点。結果として、債務者が債権者に元本を返せなくなったんだろうけど、国債まで全部帳消しになったのかな。そんな夢物語、可能か? 残高が0になっただけで「ハイ!数字が0になりましたので今までの借金はチャラになりましたぁ!」って現象起こりうるのかな。幼稚園バンクかよ。もしそうなったんだとしたら危険なのは金融機関の麻痺じゃなく、世界的なモラルの問題な気がする。全モラル同時デフォルトだ。

ただ、7話の『はじめての銀行強盗』の話を見た時にこの不安は払拭された。 (※というかこの7話、初期SACファンはみんな好きだと思うから絶対見た方が良い。脚本とがほんと神! 山健司作品っぽい。終わらせ方とか。)

閑話休題、順番に話を進めよう。まず、7話で明らかになったのは[世界同時デフォルト]の後も銀行は機能しているという点。世界的にデフォルトが起こったんだとしたら通貨制度が無くなって「もう金融機関いらなくね?」って物々交換体制まで巻き戻っても良いもんだけど。そんなことにはならなかったってことだろう。次に銀行強盗の動機である。銀行強盗を企てた老人は「俺たちの年金を上手い儲け話で溶かしやがったアイツに復讐したいんだ!」ってことだけど、年金制度がデフォルト前と変わらずに機能しているってことは日本の社会制度が生きている=国債も変わらず機能してるってことだ。ただこれはあくまでデフォルト後に新たに国債を発行して国を運営してるだけかもしれないので、結局のところは今と何も変わってない。単純にリセットが起きただけってこと。ふむ、まぁこの辺が違和感のない落としどころなんだろう。ただ、そうなうとポストヒューマンがデフォルトを起こした動機がまったくもって不明。彼らは超計算した先に何を見たのか。

サステナブル・ウォー

直訳で”人間社会の継続発展のための戦争”。最高に攻殻機動隊っぽい単語だが、ここに真理がある気がする。[世界同時デフォルト]を起こした動機がこの[サステナブル・ウォー]の活性化を狙ったんだとしたら、可能性が広がる。

いま若干タイムリーなことにコロナショックで世界同時株安が発生してるから、このタイミングでこれについても触れてみよう。例えば日本は全国民10万円一律給付も含めて50兆円くらいの経済対策資金を捻出した。国債を発行してこの資金を賄っているワケだから、新興国は全部借金まみれ。コロナ蔓延が落ち着いたら、各国の中央銀行が新たに紙幣を刷りまくることで、V字回復に向けて名目経済成長率を上げるために施策を図ると思うんだけど。机上での予測なのでこれが上手くいくかは誰にもわからないんじゃないかなっていう一抹の不安。そもそもいろんな国が同時に金を増やしたら残高は増えるけど物価も上がるから本末転倒か?

宜しい、ならば戦争だ。苦しいから略奪するしかない。そうなった時に略奪が正当化されるのが、ご存じ戦争という人類発展システム。戦争によって技術が進歩してきたことは歴史が証明しているし、文化的な技術も向上するから個人単位での文明水準が爆発的に向上する。戦争なんて、苦しい状況があればヤンキーが道端で肩をぶつけるみたいに適当な理由で開戦まで持っていける(ロシア様とアメリカ様のバトル観てるとこんな風に思っちゃうのは俺がただ厨二だからなんだろうか)。ポストヒューマンが狙ったのはこの人類発展そのものなんじゃないだろうかという仮説浮上。

不正な行いをしている人間を殺害するという、夜神月めいた行為をしているポストヒューマンもいたことから、この仮説には信憑性が増してくる。

  1. 戦争によって文明レベルの持続向上
  2. レベルの低い人物削除で道徳水準の上昇

この2つによって、今よりも一段階上のレベルにまで人類を押し上げようとしたんじゃないかって気が。[世界同時デフォルト]は、長い目で見た時の人類一斉先行投資って感じ。「教授せよ」なんて言わんばかりに無許可・無告知で行ったところには多少の悪戯心を感じるが。作品のタイトルに[SAC]が入っていることに注目して欲しい。初期アニメを観ている人にとっては耳馴染みの良いこの単語、[SAC(スタンド・アローン・コンプレックス)]は、簡単に言うと個人の行動が結果的に集団的総意の行動=コンプレックスを実行するってことなんだけど。結果的に人類総意の行動を行っているとしたらポストヒューマンの行いはSACだよね。不可能を可能にするっていう意味で。流石にこの人類発展の先にどんな事をしたかったのか、どんな未来を計算したのかは、俺の一般ヒューマン悩では想像できなかったけど。ここまで考えて俺の中で取り敢えずは一通りの納得はできた。というか考えるの疲れた。続きはシーズン2の展開に委ねよ。

最後に作品自体の感想。話は攻殻機動隊節が効いててメチャクチャ面白いし、公安9課のメンバーがまた見れたのが最高にオモシロ。ただかなり世界的なウケを意識して作ったのかなって所はあった。フルCGになったことでセル画の頃の味わい深さが無くなったのは少し悲しいが、CGのおかげで真っ裸でマシンガンの弾を踊りながら避けるビルゲイツが顕現してたし。『マトリックス』のオマージュとしてスミスさんが出てきたのはSFファンは皆ビクッと反応するんじゃないかな(ヒューゴ・ウィービングが!ラッキーストライク吸ってる!)。あと9課の新キャラ2人とも可愛いよね。

願わくば、シーズン2ではSACの1話完結形式を踏襲して海外ドラマみたいにやって欲しいって気持ちはある。もっとハードボイルド寄りの脚本にしたら俺はドンピシャでハマってた。まぁまだシーズン1だから、新公安9課設立が主題だったんだと思う。シーズン2では離婚したトグサが夜空を見上げながら煙草吸って溜息もらす…みたいな話があると嬉しい。アオイくん出てきたら泣く。

これを機に初期SACも派生して観直したり、新しく観る人が出てきたら嬉しい限りです(俺、こんなに殊勝なこと考えられたんだな…)。

攻殻機動隊 SAC_2045 カードケース A
※俺がいま愛用してるカードケース

この記事も、少しでもそれに助力できれば本望。疲れた、寝る。

人生という宇宙の飛び方を知った時、見上げた青空は涙で歪んでた。

「どうして僕は醜いの?」

皆が「良い」「泣ける」と言う『ワンダー 君は太陽』を観て思ったこと。まず結論から言おう、新しい作品だった。

始まるやいなや、宇宙服を模したフルフェイスヘルメット被った少年の自分語りがスタート。この時点で思ったね。あぁ~、顔面にコンプレックスある系か~。俺と一緒!よいちょまる!

死の。

でも、この映画を見始めてものの数分で同じようなファーストインプレッションを得た人は大勢いると思う。誰しもコンプレックスの1個や2個くらいは線引きし享受した上で日々過ごしてるからだ。ところが、本作は単なるお涙頂戴系ヘイト同情映画では決してない。

『美女と野獣』と同じプロデューサーがそんな安直なお涙頂戴展開を許すワケないだろうが。何が違うか。考えてみたんだが、他の感動映画との大きな違いとしてグランドホテル方式の物語展開という点が挙げられる。すみません、カッコ良く言いました。要するに群像劇。

虐められている人間の人生にフォーカスを当てるのが普通の映画。「虐められている側にも問題がある」という言葉は言い得て妙だと思うが、「虐めている側にも問題がある」のだ。コンプレックスと一緒で悩みの無い人生なんて無い。俺から言わせればそんなん人生じゃない。この映画は主人公であるオギー少年を主軸に、姉・姉の親友・学校で出来た初めての友達と、チェーンしながら周囲の人間に焦点を当てていく。

時には悩みを打ち明け合い、次第に心を開いていく登場人物たち。それは誰もが経験したことあるような、ありふれた悩みかもしれない。でも当事者にとっては人生に些事などない。虐められるには理由があるし、無視されるのも理由がある。その逆もまた然りだ。誰もが一度は至ったことのあるこの考えかた、本当にしっかりと考えたことある人は俺も含めていないと思う。相手の気持ちを完璧に理解することなんて不可能だから。

でも、想像することはできるハズ。 相手の気持ちを理解する。人類が群れを成して生活する生物である限り、人生の目的はコレに尽きるんじゃないかと俺は思う。思わない? なら貴方とは友達になれません。以上、解散。

「心の中を覗いたら、きっと普通の人なんていない」

ワンダー 君は太陽(吹替版)
※PrimeVideo 視聴用リンク

相手をよく知りたかったら方法は1つ、良く見ること。

普遍的正義について『幼女戦記』でアプローチする俺は既に闇落ちしてる

「銃を取れ!奮起せよ!」

気が付けば、地上波で興奮しながらアニメを観ていた2017年からこんなに年月が経ってしまった。忘れている人ももう多いと思うので、今一度、”ラインの悪魔”ことターニャ・デグレチャフ少佐の戦績をおさらいしておこう。「あぁ、あの幼女そんなことヤッてたなぁ…」って微笑みが零れてくるなら、諸君らは誉れ高い幼女好きだ。胸を張れ。

  • 帝国史上初の魔道大隊設立&隊長就任
  • セオリーを無視し南方ダキア首都襲撃
  • 西方前線での斬首作戦で敵司令部壊滅

ここまでの戦果で年齢は確か10歳~11歳。悪魔や…。

劇場版でも存在Xに対する憤怒の感情は全く衰えを見せず、戦場で自重することなくジェノサイドするチート幼女。また、その御力に陰りは無く、乱高下する荒ぶった金髪ポニーテールを拝めるとは光栄至極にございます。

今回は劇場版らしく、敵側である義勇軍側にもメアリーという主人公クラスの登場人物が出てくる。正義感が強く、友軍のピンチへは我先にと駆けつけたがり、ターニャとは倫理観的に絶対に友達になれないタイプ。※メアリーが上官に無謀を諫められ、唇を噛んでいる時、ターニャは首都を爆撃しながら広範囲放送で自国の国家を斉唱している。どっちが主人公か一瞬迷うレベル。

人類のため、世界のため、皆で戦うべきです!

清々しいヒーロー精神溢れるメアリーの台詞。週刊少年ジャンプだったら間違いなくコッチが主人公だろう。軍事的合理性の塊が可憐な幼女の皮を被ってるターニャとの対比で対立構造が見事に分かりやすい。だが、ターニャも決して悪ではない。

ここで今回の本題に入ろう。正義とは何だ?

過去マイケル・サンデルは、あの有名な『これからの「正義」の話をしよう』で幸福・自由・美徳の3つの観点から正義についてアプローチをした。ならば俺は『幼女戦記』からアプローチしてみたということだ。いたって真面目だよ。

例えば本作でメアリーは復讐心にその身と心を燃やし、敵を討つことが全てであり正義。そのためだったら命令無視もするし幼女にだってグーパンする。コンプラ的には、まぁ…中身オッサンですし、許しましょう。対するターニャは、理性に基づく自由意志においてその場での最善を尽くしてきた。だから敵対する奴に娘がいても殺すし、その娘も向かってきたら殺す。所属する国・組織が悩筋で頼りないからこそ、個人技で秀でる幼女は生き残るために自分の意志こそが正義。神に救いを求めるなんて持ってのほか!

そもそも、戦争においては個人が生きたいと思う事すらも正義とする大衆意識が存在する。例え相手が自分を肉親の仇として狙ってきたとしても、自分の命を守って御国に貢献するためだったら向かってくる白羽の矢は容赦なく撃ち落とせの精神だ。平時においては、不公平に感じる考え方だが、それが戦争ってもんだ。つまり国や宗教が違えば、正義は変わってくる。これはルールにおいて規定される正義の概念が単一ではないことを証明している。

一旦身近な例を用いよう。俺が昔勤めていた会社は所謂ブラック企業で、会社のトップの意思決定が全ての家族経営ワンマンカンパニーだった。「私がルールだ」と声高々に言わんばかりの(というか、言ってた)振る舞いは、組織に所属していない人からしたら嫌悪感丸出しで、馬鹿げた姿に見えると思う。だが所属している人間にとっては、その社長の一挙手一投足が全てだった。だって雇用主なんだもん…クビになったら明日からどうするの? 結果、従順な兵隊の出来上がりである。フォースは暗黒面に染まり、斬魄刀を持てば虚が身体を乗っ取ろうと仮面を被せてくる。所属組織の正義という真っ黒い旗を刺され、犯され、心がガバッガバ状態。その会社でも何人かいたのだが、この状態が長く続くと、スタンフォード監獄実験よろしく、正義に組しない受刑者を虐める看守側になろうと躍起になってくる。こうなるともうお手上げ。ヤリマンダースベイダーと俺は呼んでいた。

無論、例にもれず俺もそのペラッペラの正義に従っていたワケだけど、心の中では「コイツ(社長)がおかしいと思う心だけは忘れないようにしよう…」といつも思ってた。コレですよ。コレが、一番大事。先にも述べたように、時代・組織・環境で簡単に変わるのがソーシャルな正義的概念。ただあくまでこれは正義的な概念であって、普遍的な正義ではない。常に変わりゆくものだからこそ、自分自身で常に「これが正しいことなのだろうか?」と疑う心にこそ普遍的な正義が宿っているんだと信じたい。人間は生まれた時は善き心を持っていたのだと。あのクソ経営者を今でも地獄の底に叩き落として、釜茹でされてる姿を眺めながら芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を大声で朗読したいと思う俺の歪んだ心にも、きっと正義が宿っているのだと、信じたい(信じたい)。

以上。長くなったけど、アニメ一つでここまで考えられるってすごく道徳的な世の中じゃない? みんな絶対もっとアニメ観るべきだよ~。漫画も良いよ、大事なことは漫画から学ぶんだよ~。え、まだあの映画観てないの?おかしくない?それって変だよ~。マジ有り得ないんですけど~、ウケる~。

っていう、頭の中肥溜め人間が主張する”有り得ない”という仮初の正義っぽい圧力に染まってはならない。それはその境遇だけで正義っぽく見える何かだ。大事なのはどんな環境でも自己の中で、正義とは?正しいとは?おかしいとは?と思える心を失くさないことだ。

ちなみに本編は、歩兵大隊と機甲中隊・砲兵隊が加わって帝国初の大戦闘集団:サラマンダー戦闘団が編隊&ターニャ隊長就任されて終了。

~俺たちの戦いはまだ終わらない…!!~END。

幼女戦記 コミック 1-16巻セット

アニメ2期、待ってます。

リア充絶対殺すマンに刃向かう真性ロリコンおじさんが一周回って可愛い

「お前らみんな、俺の子供たちだ」

一線超えてきたな、ボーダーおじさん。

2003年にアメリカにて公開された本作。『13日の金曜日』も『エルム街の悪夢』も、スリラー映画の枠に収まらずに一つのジャンルとして成立しているほど人気があるのは言うまでもない。そんな映画史における二大殺人マシーンが戦うというのだからホラー・スリラー好きにとっては胸アツである。

余談だが、個人的には『ハロウィン』のブギーマン、『羊たちの沈黙』のレクター博士を加えてスリラー四天王。

RPGだったらブギーマンが一番最初に出てくる”本当に強い敵”で、物語中盤で苦戦しそうだ。やっとの思いで倒したと思ったらフレディおじさんが現れて「くっくっく…奴は四天王で最弱…」とか言ってきそう。終盤突入。夢世界の戦いを生き抜き、辿り着いた湖のある森でジェイソン登場。ボス戦の前に立ち寄った民家でレザーフェイスに襲われる展開も面白いかもしれない。そう、森はボスラッシュだ。ホラー現象と殺人鬼はだいたい森で暴れる。数々の強敵を倒し気付く、レクター博士…まさか貴方が全て…→「君の勇気を称賛するよ(ズクシッ!)、君の心臓を食べよう」ナイフを刺された状態でラストバトル開始。ボス戦後、やったー、全員殺した―!褒めてよ悟史くーん!なんて暇はない、復活するブギーマン・フレディ・ジェイソンの不死スキル持ち。空いた枠には何時の間にかペニーワイズが座っているのだった…(続編に続く 的な?

誰かこのRPG作って。

余談が過ぎました、本筋に戻ろう。

そもそも夢世界が主戦場のフレディおじさん。現実世界で受肉した状態だと、汎用人型決戦兵器ムッキムキのエヴァンゲリオンことジェイソンの相手は分が悪いのでは? そんな俺の疑問も物語中盤で吹き飛んだ。

「女は俺のもんだ!邪魔すんな!」

これだけリビドーに忠実だともはや応援したくなる。可愛い。そう、フレディには溢れんばかりの情熱があるのだ。例えアウェイだろうと一矢報いる気概と性欲を感じる。メンタルで武装したロリコンは屈強ゆえ戦力差は皆無。ここから四天王2人による人間狩猟が始まる。

ヤリたい放題である。こんなに生き生きとスプラッタしてる2人は見たことない。途中、ジェイソンが電子機器に鉈をブッ刺して感電するというファン涎垂のお茶目具合。嬉しい、これは嬉しいぞ。ジェイソンは一直線で抜けているところが可愛いんだよな。そんなこんなで現実世界で睡眠薬投入されたジェイソンはフレディのホームグラウンド夢世界へ。そう、夢世界にいる限りロリコンは無敵。

『貞子 VS 伽椰子』で生まれた名言「バケモンにはバケモンぶつけんだよ!」の精神は万国共通らしく。見事に誘導されるバケモン2人。共倒れを狙うリア充たちは夢世界で劣勢のジェイソンを応援するが、トラウマを刺激されジェイソンは昏倒してしまう(可愛い)。

ラスト20分。リア充たちの頑張りで見事に現実世界に引っ張り出されたフレディおじさんはジェイソンにこれでもかと圧倒されます(なんだこのシーソーゲーム)。さぁ面白くなって参りました~、一進一退の攻防を繰り広げるバケモンゲーム。ここでロリコンは閃く、逆転の一手を。

「魚雷発射」

勝敗の結果はご自身の目で。

フレディ VS ジェイソン [DVD] ※なんと驚愕の33円

伝説の武器≪プロパンガス≫が火を噴くぜ。

重度のTRIGGER依存症の俺にとって『BNA』はアビガンよりも特効薬

新型コロナウイルスが蔓延して暇を持て余している社会のクズです。コロナ患者は黙ってNetflix登録して『BNA』を観た方がアビガンよりよっぽどコロナ治る。現に俺は治ったよ。

俺的人類史上1番面白かったアニメは高校生の時に観た『天元突破グレンラガン』なんだけど、以来ずっとGAINAXは俺にとっての精神病院だ。そんな俺が独立したTRIGGER作品を追いかけるのは自然の摂理だろう。※ちな『エヴァンゲリオン』にも一家言あるのだが、それはここで語る気は無い。いつか頑張って書くと思う。とにかく今は『BNA』だ。

希望を偽ってるんじゃない。TRIGGERは希望を示している。

まずOP・EDがお洒落すぎる。時代を捉えているというか。俺は音楽に詳しいワケではないので、小難しい音楽談義は意識高すぎてむしろ人間力低下してるアニソン好き風バンドマン達に譲ります。

ラップ+鎮魂歌=落魂歌として当時ニコニコ動画で祭り上げられたかの名曲 ”Libera me” from hell を地上波(しかも最終回直前の25話最高潮の瞬間)で流したTRIIGERの面々のことだ、きっと俺なんかと違って音楽にも明るいんだろう。そんな人たちが自分たちの作ったものに合わせる音楽だ。良くない、ワケがない。

「いつかアニメ史上もっともオシャレなEDを作りたい」という夢が叶ってしまった感ある。

TRIGGERにてプロデューサーを務める武井克弘氏(つまり神)の御言葉である。「EDで走るアニメは名作」という謎の法則が昔ネットで囁かれたことがある。真偽はともかく、このEDもその例に乗っ取っていうなら間違いなく名作の要素で溢れている。回ってるし(適当)。なんか、『リトルウィッチアカデミア』のEDみたいだなぁと感じたのは俺だけではないハズ。それだけでもう名作ってことだよ。

そもそも獣人をテーマにしてる点が良い。溢れ出る製作陣のパッションと獣人のコミカルさが見事にマッチして化学変化起こしてる。『パンティー&ストッキング』の時も思ったけど、このくらいクレイジーな世界観の方が、映えるよね。ここにTRIGGERお得意の強いの”戦う女の子”。最高じゃん?『キルラキル』の流子のDNAを継いだ新主人公はどんな活躍をするのかにも期待。

まだ6話時点ではストーリーは序章の序章って感じだけど、ここからどういう展開を魅せてくれるのか。この鬱々しい社会情勢を吹き飛ばしてくれる特効薬になってくれることを願うばかりである。

世界を変えてくれ。

全話視聴後の記事は下記
価値観の違いが自由を阻害するなんて決めつけているのはきっと自分自身

『イエスタデイをうたって』を観ることで逆説的に明日への希望が持てる

本作を初めて手に取ったのは中学生の頃だったと記憶している。当時から二次元に逃避を始めていた俺にとっては、現実から逃れて、オアシスのような安らぎを与えてくれるバイブルみたいなものだった。

萌え、恋愛、ギャグ、ホラー、SFといったように、ジャンル問わずに様々なアニメ・漫画を狂ったように漁っていたのだが、この本を読んだ時に感じたことが一つある。それは”構図の取り方がハンパない”ってこと。

被写体に対して、背景の空間の取り方が神ってると言えば分かりやすいだろうか(わからないだろうが)。とにかく、ほぼ全コマポートレイト写真並にしっかりと考えられたであろう構図で、丁寧に描き上げてる世界観に俺はヤラレた。もう、心が持ってかれたんだ。だから、一眼レフを買った。

そう、単純なんだ。俺は。

とは言え、構図を真似て撮るだけなので、誰にでもできる。ただ、何度シャッターを切っても良いと思えるような写真が撮れないと気付いた。「んー、何でだろう? 漫画みたいな配置で撮ってるのになぁ」なんて思ってた。馬鹿だったね。

この作品で見た構図は俺の中でもう完成されたモノになってた。だから、どれだけ真似てもそれを超えるポートレイト写真は撮れないんだって。何故すぐに気付かなかったのか。だからセンター試験失敗して国公立行けなくなるんだよ。死んで欲しい。むしろあの時俺は一回死んだ。それからというもの、ポートレイトは撮らなくなった。俺の一眼レフは見事にランドスケープ専用ギアにジョブチェンジしたのだった。

~プロローグ終了~

はい、ここからちゃんと作品について語るよ。

とは言え、今リアルタイムでアニメやってるから本記事ではネタバレしないでおこうと思ってる。ただ、アニメ独自の改変が多いので、もしかしたら原作とは違う形でラストを迎えるのかもしれないが。…そもそもラストまでいけるのか?どこで終わるんだろう。

深く考えるのはやめました。俺ができるのは本作のメインヒロイン晴(ハル)の良さを伝えることだけだ。

俺的平成ヒロインの中で少し特別枠に位置している彼女。『NHKにようこそ!』の中原岬と双璧をなすミステリアス・ヒロインとして、これからも永劫君臨し続けることだろう。

だがミステリアスなのは序盤だけ。「え、この子いったい普段何してるの?何なの?」という疑問は物語が進むにつれて解消されていく。

その実態は、死ぬほど一途な女の子。

ミステリアスに感じていたのは、距離感の取り方だろうと俺は思う。遠目で見つけた時はアンニュイな横顔で、話しかけたら満面の笑みのヒット&アウェイ女子、稀にいるじゃないですか。まさにそれ。「全然届かねぇよ~」とか思って余裕ぶっこいてたら、フリッカージャブで脳ミソ揺さぶってくるハートブレイカー。

恐ろしくは、一途ゆえに自然と零れる笑顔。好意をもった相手の前では無邪気になってしまうが、素に戻った時に「迷惑はかけたくない」という気持ちが蘇り、空気を読み、一歩引きつつ想い焦がれる。あぁ…今だけは性善説を信じたい。

こんな子がいるだけで、明日も生きようって思える。

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物語の登場人物に何を期待しているのかって、馬鹿にするならすれば良いさ。それでも俺は信じたい。性善説を。そしてアニメのハッピーエンドを。

少なくともアニメ最終話を見るまでは希望を持って生きていけると思ってるよ。