『ファースト・コンタクト』における固定観念の危険性は非常にタメになる

SFは良い。なぜなら、人類にとっての進化の可能性を投げかけてくれるからだ。『エイリアン』の様に、単純な娯楽として楽しめるモノも多いが、多くのSF映画は俺たちに様々なことを問うてくる。

あらすじ

衛星軌道上に突如として現れた謎の現象「ヴォイド」。国際的宇宙関連組織「スペースエージェンシー」による調査が開始され、ヴォイドから生命の存在を示唆する電波が発せられていることが判明する。無人機での調査によると、内側は光に包まれたトンネルになっており、その先に何かがあることまでは確認された。さらなる調査には人間を送り込む必要があるが、とても生身の人間に耐えられるミッションではない。事態が深刻化する中、組織は人工の合成ボディに優秀な人間の脳を移植する「ヒューマン2.0」を開発し、地球外生命体とのファーストコンタクトに臨むが……。映画.comより引用

 

 

未知の存在”ヴォイド”

物語冒頭から衛星軌道上に姿を現す未確認自称”ヴォイド”。「スケールでっか」と恐れおののく俺の心配なんて些細なことのように慌てふためく作中の人類。いや、俺が心配したのはこの規模の”何か”(月ぐらい?)からエイリアン来襲したら結構無理ゲーだと思ったからなんだが、俺のこの考え方すらも固定観念だったと本作を観た後に思い知らされる

無人機を飛ばしてこの現象を調査しようとするが、無人機は消失。ただ、内部はトンネル構造をしており、これがワームホールであると仮説が立てられる。なるほどね。ってことはこのワームホールから『インデ・ペンデンス・デイ』よろしく大量の宇宙船が襲来するってことね! という俺の予測も無論、愚かな固定観念だったと本作を観た後に思い知らされる

 

 

ヒューマン2.0

ワームホール内部が無人探査機では調査しきれないということで、有人での調査をしたいところだが、人間の身体では内部で耐えられないということに気付く宇宙関係者上位陣。「よし、なら機械の身体に人間の脳を移植しよう」という結論に至る。

イッキに倫理観無視し始めたけど大丈夫? この疑念は倫理的に正しい。でも俺が本作が秀逸だな…と思ったのは作中におけるこの葛藤をしっかりと描いていた点だ。全体としてドキュメンタリー調で展開していく構成ってのも良い味を出しており、このヒューマン2.0に誰を選出するかというところをじっくりと魅せてくれた(意外とここにこだわる作品は少ない…)。

結果として、2人の人類がメタルボディにモダナイズされるわけだけど。満を持して調査に臨んだにも関わらず、1人は早々に消失・もう一人は地球に帰還(機関経路不明)という一見すると惨敗に終わる。だが、半アンドロイド化された2人にはリアルタイム視覚同期機能が備わっており、記憶アーカイブを覗くことでワームホール内部での様子を地球の科学者たちも閲覧することができた。これを覗くとあら驚き、中に数年分の記憶を保存されてる。時間の流れが違うって、宇宙あるあるだよね。

 

 

迫りくる脅威

上の記憶アーカイブの中身っていうのは本作における結構大事な部分なので、気になる人は観てくれ。ということで、無事帰還した1人のヒューマン2.0。だが、地球には立て続けに新たな脅威が襲ってくる。

過去に例が無いくらいの隕石群が地球を襲うというエマージェンシー。しかも、同時に”ヴォイド”から現れた謎の雲も攻撃形態にトランスフォーム。「あ~ぁ…もう終わりや…」と嘆く人類。未曽有の危機の中で人類が観た光景と、その結末とは。

気になる人は、観よう(ふむ、我ながら良い締め方である)。

まとめ

『遊星からの物体X』や『エイリアン』、SF金字塔といえばこのあたりだが、他にも多くの作品においてUFOや未確認の自称は人類に害をなすものと思われがち。でも、そうだろうか? 高度に発達した存在Xは何も考えずに人類をブッ殺だろうか? 知的生命体同士がファースト・コンタクトする瞬間、そこには互いの利権以外にも相手に対しての魅力を求めるものではないだろうか。

本作は、どちらかと言えばヴェネチア国際映画祭でプレミア上映された『メッセージ』に近い。人類よりも高度に発達した未確認生物が人類と出会った時、人はどうしても”危機”であると捉える。だがこの考え方は旧態依然とした人類の進化を促進する可能性を潰す可能性もあり、また、救いの手を差し伸べてくれているのかもしれない相手を失望させる危険すらある。

「何事においても、自分の中で決めてかかるのは良くない」という良き好例。

秀逸な大河漫画『SIDOOH/士道』に見る日本人の誇りを今一度胸に刻もう

1855年の日本。1855年と言えばあの有名な江戸を大地震が襲った年。黒船来襲から未曽有の天変地異と畳みかけるように襲ってきた大変動に対して鎖国してたイエローモンキーは無力 of 無力。『士道』はそんな中で、会津武士として生き抜く兄弟の生涯を描いた、NHKを越えし大河浪漫。

《あらすじ》

ニッポンが“幕末”と呼ばれる少し前、動乱の世に放たれた二人の兄弟がいた。兄は雪村翔太郎:14歳、弟は雪村源太郎:10歳――たった二人で生きる決意を誓った幼き“侍”に、容赦なく降りかかる時代の混沌、修羅の世界。一巻あらすじより引用

この物語は大きく幼少期・青年期と分けられる。どちらも動乱の世が産んだ混沌を相手に大立ち回りする兄弟が描かれるが、何と言っても幼少期の悲惨さは他の歴史漫画には無い

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『SIDOOH/士道』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

武士としての立身

まず第一話で母親がコロリする。この時点でかなりリアリティに富んだ時代モノの様相を呈していたが、多くのヤングジャンプ読者にとって衝撃的だったのは、母親が死の直前息子2人に武士として一生を終えた父親の形見(刀)を託すシーン。「腕を磨け、この世は理不尽だ。弱ければ死んで逝く」って病床の身体に鞭打ち気丈に振る舞う姿はまさに武士の嫁。さらに引取る瞬間「ごめんね」と母の愛を漏らすという超絶シビアな世界観を展開。もうこれ以上ない位に理不尽なんですけど…という俺の小並感想は、墨汁を垂らしたような高橋ツトム大先生の力強い夜描写の中に露と消えた。

 

それから兄弟はカルト宗教団体(白心郷)に拾われて「愚断!愚断!」と無理ゲーの殺戮ショーに巻き込まれたり、メリケン様の黒船沈めたり、明治維新の激流の中で生きるために足掻き続ける。というかこの幼少期の白心郷との戦いが最終巻まで続くとはこの時思いもしなかった…。

仲間も得て、失う。そんなことを繰り返すうちに、お待ちかねの新選組・長州藩士の登場。いやー、ね、外せないよね。維新期に置ける要素として絶対に必須。ただ、思い出して欲しい。片田舎で母親から「強くなれ」と願われた兄弟の生きる物語がここに収束していくんだよ。御国の物語に絡んでくるんですよ。こんな物語をが綴られる今こそが日本の夜明けぜよ

 

 

新選組との共闘

で、ここから物語は新選組側で展開することになる。かの有名な池田屋襲撃時に新選組とともに戦ったというアツい設定。ちなみにこの時点で数多の修羅場を潜ってきた翔太朗の剣の腕前は新選組副長・土方歳三と互角(鬼)。高杉晋作との対決では、高杉が怪我してるからって自分も傷を負いながら戦って打ち勝つという鬼神

というかこの時代は皆背負ってるものがあって、ともに戦う仲間がいて、会津・薩摩・長州それぞれの義理人情が、「武士とはかく在るべき」を体現してて胸が熱くなる。そんな中で巻き起こる京都近江屋襲撃による坂本龍馬・中岡慎太郎の暗殺犯不明事件。本作ではこれの実行犯が雪村兄弟として描かれる(暗躍しまくりぜよ…)。

 

俺的日本史紹介コーナー

ここで日本史大好きな俺に少しだけ語らせてくれ。日本の面白いところは敗北者として歴史に名を残している人達の方が人気があるという点。新選組はその筆頭。なお、俺の新選組推しは沖田さん(Fateも!)新宿出身で、”幕府の犬”と罵られるならず者集団だった彼ら。多くの作品で池田屋事件以後が語られていない通り、その終焉は可哀想の一言に尽きる。誰よりも武士に憧れたがゆえに時代の流れに乗り遅れ、薩長の新政府陣と敵対した挙句に天皇と敵対するという本末転倒感。護るべきものの為に戦い続けた結果、官軍としての大義名分を失い滅ぼされるという幕末青春譚は日本人の大和魂を揺さぶる。例に漏れず俺も好き(俺…何でも好きだな)。

ちなみに坂本龍馬が作った海援隊は今の三菱財閥。しかもソフトバンクのロゴは海援隊ロゴまんまなのはお気づき? 孫さんが坂本龍馬の偉人伝みて感銘を受けて同じロゴにしたらしいよ。まさかの土佐から生まれた一隊が今の世界的大企業のルーツになってるって点は面白いし、意外と皆知らないのはもっと面白い。日本史は良いぞ。

 

 

生き続けるためには

斬り続けるしかない

本当に色々なことがあって、最終的に生き残った源太郎(弟)は「俺に出来ることは、みんなが命懸けで振り回した刀を鞘に納めることだ」って生きることを決める。これまで激動の半生を描いてきたからこそ活きる最高の終わり方なんだけどさ。キレッキレに研いできた刃を振り回し続けて終わるのではなく、納めるってとこがポイントだよね。折らずに収める。あれ、率直に言って『バガボンド』を思い出したの俺だけ? 修羅の道を歩んだ先で達観するのは人類の性なのか? いや、そうと決まったわけではない。宮本武蔵は大自然に、源ちゃんは仲間の想いに生きることの真理を見出だしたワケなので。例えば現代を生きる俺たちにもこの境地に至る可能性はある。田舎で隠居したい。陶器とか作りたい

 

《まとめ》

というわけで、『SIDOOH/士道』に見る、日本史における偉人の生き様紹介でした。俺が今まで読んできた数ある漫画の中でも間違いなく上位にランクインする本作。あんまり長くすると読みづらいから省いたけど、百舌姉さん(兄の嫁)の生き様とかも相当良いからね。あとこの後日談である息子の話『士道サンライズ』も超おすすめ。

令和にあっても、日本人の誇りは大事にしたい。

アニメ好き必見の2020年アニメ映画【おすすめ5選/万人向け】

新型コロナ蔓延により3密がタブー視された日本社会。リア充が死滅する分には構わないのだが、映画館の休業ならびに数多のアニメ映画の無期限延期。辛い、これは映画好きにとっては苦況だ。いや…待て、逆に考えよう。むしろ、楽しみが未来で待っているのだと。延期明けには怒涛の名作ラッシュが待っているのだと。明るい未来へ、一緒に走ろう。

《選出の基準》

この記事ではいつも通り、俺が独善的に選んだ作品を紹介する。ただ今回はかなり条件を絞った。まず第一に「2020年公開予定」であること。そして「間違いなく面白い」こと。この2点に絞って選んだ。誰よりもアニメが好きな俺だからこそのセレクトになったが、普段アニメを観ない人でも普通に面白く感じれる作品なので【おすすめ5選/万人向け】とした。興味が少しでも沸いてくれたら嬉しい限り。

 

 

シン・エヴァンゲリオン

劇場版:||

2020年のアニメ映画と言えば、まず真っ先に浮かんでくるのが本作だろう。新劇場版の『序』製作が『月刊ニュータイプ』で発表されたのが2006年だから14年越し…いや、むしろTVアニメ版が一番最初に放送されたのが1995年だから、なんと25年にも及ぶプロジェクト

当時からTVアニメ版を姉と一緒に観ていた俺にとっても想い入れのある作品である。だがしかし、『序』『破』『Q』と公開されてからというもの、音沙汰がなくなり、最終作の発表を待つこと8年。「きっと、エヴァの新劇場版が完結する前に俺は死ぬんだろう」と思っている時期もあったくらい。待ったよ…だが時は来た。断言しよう、今年は本作が日本を圧巻すると。

 

0706作戦

ちなみに、冒頭10分40秒は2019年7月6日にイベントで先行公開されてて、『破』を思い出させる真希波さんの八面六臂の活躍が話題を呼んだ。この映像を見るだけでも期待感は十全。きっと今回も予想を超えたエンタメを魅せてくれるだろうと俺は確信している。俺的”アニメ好き必見の2020年アニメ映画”、堂々の選出です。

 

 

え? 一発目から続きモノを紹介するなって? ふむ、確かに一理ある。万人向けを謳う以上、最低限のフォローはしよう(まぁ未視聴の人はそもそもこの記事読まないとは思うが)。つい先日「エヴァ」について記事を書いているので、もし未視聴の人がいたら上の記事も読んで見てくれ。視聴済みの人も楽しめる内容にしている(と、思う)ので、最終作公開前にぜひとも読んで復習して欲しい。この記事だけ読んどけばヲタク共と会話する時も舐められないくらいの知識はつくハズ

鹿の王

あらすじ

この物語は2人の男を中心としてストーリーが展開されていく。

一人は、飛鹿(ピユイカ)と呼ばれる鹿を操り、故郷を守るために戦った独角(どっかく)という集団の頭だった、ヴァン。しかし戦いに敗れ、地下のアカファ岩塩鉱で働かされていたのだが、ある晩、謎の獣が岩塩鉱を襲撃、獣は人々を次々と噛んでいった。その後、岩塩鉱で謎の病が流行しヴァンだけが生き残った。ヴァンは地上で侵入した家の竃の中からもう一人の生き残った幼児(女の子)を見つけ、ユナと名づけて一緒に生きることになる。

そして、もう一人の主人公は東乎瑠(ツオル)帝国の医術師ホッサル。ホッサルは病の原因究明のため岩塩鉱に行く。そこで脱走防止の足枷がひとつ外れているのが見つかりヴァンの脱走が発覚。同時に噛まれても病にかからない人もいる事がわかった。この一件でホッサルの従者であるマコウカンは生き延びたヴァンを捜索することになる。Wikipediaより引用

 

名作が銀幕で問いかける

ハイファンタジー作家で知られる上橋菜穂子さんの本屋大賞受賞作『鹿の王』が今年アニメ映画として公開される。ちょっと前まで本屋で鬼の平積みされてて「すげぇ…」って思った。同作者で言えば『精霊の守り人』『獣の奏者』も有名だよね。まさに破竹の勢いって感じ(実に羨ましい)。制作は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『PSYCHO-PASS』のProduction I.G。万全の体制でしょう

 

医療×ファンタジー

「病には情はない。善悪も関係ない。だからこそ恐ろしいのだ」。圧倒的文章力で織り成される物語は超骨太。頭の中で景色が浮かんでくるのは当然として、なんかもはや白昼夢すら見えてくる。話の内容も痛烈で、誠実に問題に向き合わない現代の政治(と、投票するだけで政治に参加した気になっている一般大衆)に対して、今の社会の在り方を考えさせる力すら持っている。ファンタジーという垣根を越えて来た超秀作

秀でた物語は時に、生きること、そして生命の在り方について思考させる力を持つ。これはその良い例だ。2020年はコロナという未曽有のウイルスが世界に蔓延し、人生に挫けてしまったり、人生について今まで以上に考させられた人も多いと思う。そんな、今悩んでいる人達にこそ読んで、観て欲しい作品

思い、思われ、

ふり、ふられ

あらすじ

人見知りが激しく、他人と話すのが苦手で、自分に自信が持てない市原由奈は、高校進学を機に引っ越す親友を見送りに行った際、子供のころに読んだ絵本に出てきた王子様そっくりの男子を見かける。同じく離れ離れになる友達を見送りに来ていた山本朱里とひょんなことで知り合い、朱里が同じマンションに引っ越してきた同級生だと分かる。

少女漫画の恋愛に憧れ、夢見がちで消極的な由奈と、明るく積極的で現実的な恋愛を楽しむ朱里、2人は正反対の性質だが、不思議と親しくなっていく。由奈が気になっていた「王子様」が朱里の弟・理央であることが判明、恋愛未経験の由奈は理央への気持ちは恋ではないと思っていたが、次第に自分が理央を好きになったことに気が付く。朱里は姉の目から見て、由奈には理央を薦められないと伝えるが、由奈の人生初の恋を応援しようと決心する。朱里は、由奈が唯一親しく話せる幼なじみ・乾和臣のストレートな言動にドキドキさせられる。4人の青春が始まる。Wikipediaより引用

 

間違いない青春モノ

あ、俺…少女漫画も大好きだから。そこんとこ宜しく。というわけで3つ目に紹介したいのは『思い、思われ、ふり、ふられ』。2015年から2019年まで『別冊マーガレット』で連載されていた名作。『ストロボ・エッジ』『アオハライド』に続く青春三部作の最終章がアニメ映画化と聞いただけで胸キュンってやつよ

 

恋愛リアリティの筆頭

『ストロボ・エッジ』では仁奈子と蓮を筆頭に淡い片思いを。『アオハライド』では惹かれ合ってるのに離れ離れになってしまった双葉と洸が互いに最熱していく様を。どちらもリアリティがあって、連載当時学生だった女子の皆々様(と俺)は全員読んでいたのでは? そんな王道ラブストーリーの作者が描く、W主人公モノ。読めば最後、大興奮間違いなし。

登場人物4人(朱里・由奈・理央・和臣)、全員が全員、本当に良い子なんだけどさ。俺は特に朱里が好きだな。まず黒髪ってのが高評価ポイント(偏見)。あと、元カレから復縁を迫られた時の対応とか、すげぇちゃんと考えてる子やんって思ったし。何より最終回のCatch me!! → 「捕まえたっ」の流れがもうね…落涙だよ…。あと学園祭の紙吹雪のシーンとかね、良いよね。まぁ、観れば分かるよ。映画でどこまでやってくれんのか知らないけど。映画観れば原作も読みたくなるよ

サイダーのように

言葉が沸き上がる

あらすじ

17回目の夏、君と会う⸺。

人とのコミュニケーションが苦手な俳句少年と、コンプレックスを隠すマスク少女。 何の変哲もない郊外のショッピングモールを舞台に出逢ったふたりが、 言葉と音楽で距離を縮めていく、ボーイ・ミーツ・ガールStory。 公式HPより引用

 

イシグロキョウヘイ監督作品

ぶっちゃけると、この作品は未知数だ。『月刊コミックアライブ』で2019年末から先行連載しているが、俺はこれをまだ読めていない…。だが、イシグロキョウヘイ監督と聞いたら、期待せざるを得ないんだ。それは何故か。イシグロキョウヘイ監督と言えば、『四月は君の嘘』の監督であり、『クジラの子らは砂上に歌う』で監督・脚本を勤め上げた涙腺ブレイカーだからである。青春を描けば間違いなく、世界観の作り込みも間違いない。故に期待せざるを得ない

 

言葉×音楽

公式で発表されている情報によると、主人公のチェリーは人と会話することが苦手で、緊張すると赤面して上手く話せなくなる設定。対してヒロインのスマイルは人気配信主だが、大きな前歯がコンプレックスで人前でマスクを取れないという青春っぽい苦悩を抱えている。ふむ、もう設定が感動させに来てんな

コンプレックス刺激系の作品は得てして共感を得やすい。共感を得やすいということはつまり、感動しやすいと同義だ。今までの人生で、笑ったこと、泣いたこと、怒ったこと、全てが記憶として脳に保存されている。人はそういったモノを呼び起こされると、呼び起こしたものに感情がプラスされる。結果として心が大きく揺さぶられる。心が叫びたがるってことだ。俺はそれがとてつもなく快感なんだよ。

BURN THE WITCH

あらすじ

遥か昔からロンドンに於ける全死因の72%は、 人々が見ることのできないドラゴンと呼ばれる“異形の存在”が関わっていた。

だが、人知れずそのドラゴンと相対する人々がいた。 ドラゴンの存在を見ることができるのは、フロント・ロンドンの“裏側”に拡がるリバース・ロンドンの住人だけ。 その中でも、選ばれし人々がウィッチ魔女/ウィザード魔法使いとなり、ドラゴンと直接接触する資格を持つ。

主人公は、自然ドラゴン保護管理期間「ウイング・バインド」(通称WB)の保護官である 新橋のえるとニニー・スパンコールの魔女コンビ。 彼女たちの使命は、ドラゴンに接触できない人々に代わり、ロンドンに生息するドラゴンたちを保護・管理することだった。公式HPより引用

ラストは『BURN THE WITCH』。ご存じ『BLEACH』でジャンプの黄金時代を支えたオサレ先生こと久保帯人先生の作品。2018年の同誌創刊50周年記念に読み切りが掲載され話題を呼んだ本作。連載化を希望する声が編集部に殺到、だが現在まで未だ連載化されず沈黙。それが連載せずして映画化という漫画として超異例の采配。ジャンプ編集部、わかってますね。

 

新境地:W主人公(女性)

久保帯人先生と言えば、黒崎一護。この考え方がステレオタイプだったということに俺はこの読み切りを読んで気付かされた。魔女・ドラゴン・ロンドンという完全に西洋を舞台にした世界観も、ずっと死神描いてたとは思えないほど絵にハマってたし、戦闘シーンもカッコ良すぎてマジ卍。解放された久保帯人先生の前では万象一切灰燼と為す

 

世界は終わらない

読み切りラストで描かれたスーパーサプライズ。物語も終盤、「あ~面白かったなぁ~」なんて悠長に余韻に浸りながら最後のページを開くと目に飛び込んでくるソウル・ソサエティ ウエスト・ブランチ(戸魂界・西梢局)の文字。そう、まさかの『BLEACH』と同じ世界設定! そうきたか! と。しかもね、最後に出て来るタイトル文字の色が着いてる文字読んで見てくれよ、『BLEACH』になるんだよ。最後までオサレか! まったくもって素晴らしい。絶対映画でも何かやってくれるよ。

 

《まとめ》

どうだろう。結構、万人向けに編集したと思わん? 今明らかになってる公開予定のアニメ映画の中では間違いなく激熱な5作品。俺は今まで色んなアニメを観て来たけどさ、今年は完全にアニメ映画イヤーだと思うよ

病原菌なんかに負けるなよ、日本。俺は好きなモノを語れる人間でありたいし、好きなモノを好きなだけ消費できる国であって欲しいよ。

まぁ、でも…大丈夫か。この記事を読んでくれた人達にはソーシャルディスタンスを守りつつ俺の作品への愛を語れたワケだし。映画公開を待っているこの時間も、こんな記事を読んでくれる寛大な御読者様方との心の距離を縮めるには良い時間なのかもしれない。ありがとう。みんな、ここまで読んでくれてありがとな!

 

 

 

 

 

という綺麗ごとは置いといて。はやく上映してくれ。マジで。もう我慢の限界なんだ。俺本当に性格悪いから掲示板とか書きこんじゃうよ。頑張れ、デスマして各所に上映許可取ろう。そして早くワクチン開発して実用化しようぜ。大丈夫、頑張れば人間なんとかなる。早く早く早く早く早く早く早く早く早あ、ここまで読む人いたんだ…。あざす。

終わり。他の記事も読んでね~。

『新世紀エヴァンゲリオン』について俺が誰よりも分かりやすく解説してやる

新劇場版4部作目の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』が2020年中に公開されることを信じて。長大なプロジェクトを振り返りつつ、この記事を読んだ人が、4部作目が公開された時に誰よりも楽しめるように、俺なりにエヴァンゲリオンという文化を語る。

「新劇場版」とは?

そもそも「新劇場版」とは? まずこれについて触れる必要がある。『新世紀エヴァンゲリヲン』という作品には「旧劇場版」が存在する。『エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に』がそれだ。実はこの時にTVシリーズとは違う完全新作の作品を作る予定だったんだけど、時間がなさすぎて溶接職人と化したという過去がある。これに関しては賛否両論(というか圧倒的否定多数)で物議をかもしたが、結果としてTV版とは違うエンデイング(「世界の中心でアイを叫んだけもの」の終わり方)を魅せてくれたので、世界観をさらに深めてくれたから、俺は別に嫌いではない。むしろ「旧劇場版」も好き

こんな経緯があり、「今度こそ映画版やりますよ!お楽しみに!」って発表された時に全エヴァファンを歓喜させたのが新劇場版である。ただ、そこは流石エヴァ、見事にファンの予想を超えてきてくれた(良くも悪くも)。さて、じゃあここからは新劇場版『序』『破』『Q』に関して、観てない人はこの記事さえ読んじゃえば観なくても良いように、観ている人でもちょっと曖昧にしちゃっているであろうポイントを俺なりに解説していこうと思う。

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『新世紀エヴァンゲリオン』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

新劇場版『序』

いきなり肩透かしを食らわせるが、本作に関しては特に述べる事は無い。というのも、TVシリーズとほぼ内容が変わってないからだ。これに関しては往年のファン達もかなり消化不良だったらしいが…。映画公開時、新宿の歌舞伎町広場でのイベントがすごく楽しかったから俺は特に嫌な印象はない。内容に関してはTVシリーズを観れば(IQ150くらいあれば)普通に理解できるので割愛。(強いて一つだけ言えることがあるとすれば、ラミエルに技術革新が起きた)。

ただ、この『序』時点である程度の知識を得ておかないと、以降の作品の理解度が大きく変わってくる。ということで、ちょうど良いタイミングなので皆がなんとなくしか理解してないであろうエヴァ用語について解説しよう。

 

「セカンドインパクト」

物語が始まった時、すでにセカンドインパクトは起こっている(厳密には『序』の時点から15年前)。この設定を聞いた時に「…は? どゆこと? てかまずセカンドってことはファーストはいつ起こったの? 舐めてんの?」と憤りを覚えた人がいるかもしれない(俺)。無理はない。だがこれがエヴァだとしか言えない。むしろ憤りを覚えないとこの物語は理解できない。探求のためには怒りの感情は不可欠

閑話休題。まどろっこしいのは嫌なので完結に答えを言うと。セカンドインパクトとは、物語開始時の15年前に南極大陸に墜ちたとされる隕石衝突事故のこと…と、表向きには発表されている。だがこれは秘密結社ゼーレによって情報操作された結果。しかして、その実態は南極で発見された第1使徒アダムに対してロンギヌスの槍を使用した結果引き起こされた人為的災害だ。ちなみに、これはエヴァを観る上では知らなくても良い超豆知識なんだけど、ファーストインパクトってのは現実の世界でも「ジャイアントインパクト」という名前で知られる月発生時の惑星同士の衝突(リリス降臨&アダム昏睡)。

 

「ロンギヌスの槍」

そういえば、皆「ロンギヌスの槍」についてはちゃんと理解してる? これはデストルドー(生に対して否定的な意思)の具現化した姿だ。より簡単に説明すると、”心の壁”である「ATフィールド」、これの対になる「アンチATフィールド」。生命なら須らく有するこのアンチATフィールドが槍の姿として凝縮した物質(生物説もある)だ。

使徒を含む生命体の”生きようとする意志”を消滅させる力があって、だから生きる上で欠かせない他者との差異化であるATフィールドを打ち消すし、コアに刺すと生きる意欲が消滅(ATフィールドの消滅)して原始に還ろうとする(原初の海=LCLになる)。え、大丈夫?ついてきてる? 踏ん張りどころやで。別にまだ難しいことは言ってない。

 

「使徒」とは?

第1使徒 アダム
☆第2使徒 リリス
第3使徒 サキエル
第4使徒 シャムシエル
第5使徒 ラミエル
第6使徒 ガギエル
第7使徒 イスラフェル
第8使徒 サンダルフォン
第9使徒 マトリエル
第10使徒 サハクィエル
第11使徒 イロウル
第12使徒 レリエル
第13使徒 バルディエル
第14使徒 ゼルエル
第15使徒 アラエル
第16使徒 アルミサエル
第17使徒 タブリス
☆第18使徒 リリン

ここで唐突な使徒一覧(しかも画像は新劇場版、羅列文字はTVシリーズという分かりづらさ)。いや、安心してくれ、これはセカンドインパクトの説明の為に羅列しただけだからテストには出ないし覚える必要はほぼ無い

ここで覚えることは一つだけ。全ての使徒は始祖であるアダムとリリスから生まれたということ。正確には、リリン(人)と地球上の生物は全てがリリス由来、他使徒はすべてアダムだ。

つまり、『新世紀エヴァンゲリオン』という物語は、始祖アダムとその子供(使徒)vs 始祖リリスとその子供(人類)による地球の正統な支配者を決める戦いである。だからNERV・ゼーレは相対する使徒の親玉である第1使徒アダムに対してロンギヌスの槍を用いたってワケ。ただ、刺したは良いがアダムのデストルドーが強力過ぎて、南極大陸を飲み込むくらいのアンチATフィールドが展開、デストルドーが伝播した結果、近くの微生物に至るまで生命のスープに還ったという事。これが「セカンドインパクト」だ。さぁ、面白くなってきたでしょ? ここまで理解できればニワカ卒業。 楽しいエヴァライフが待ってるぜ。

 

補足
新劇場版にも引き継がれているのかは絶妙だが、エヴァ初号機は第2使徒リリスのクローン体、つまりターミナルドグマの中にロンギヌスで磔のリリスの身体・エヴァ初号機、2つが第2使徒ってことになる。カヲル君はセカンドインパクト時にアダムから抽出したアダムの魂をリリンの肉体に定着させた存在。綾波はリリスの魂をリリンの肉体(碇ユイのクローン)に定着させた存在。

 

新劇場版『破』

さぁ最低限必要な知識を頭に入れたところで、いきましょうか、皆大好き『破』について。開幕から登場するマリ・イラストリアス…この時の衝撃は今でも忘れない。「え、何、新劇場版ってTV版のリメイクじゃないの!?」という驚きも束の間。アスカ(式波)登場からの月面でMark.06に乗るカヲル君の登場。そう、シリーズ史上ここまでエンタメ性に富んだことは無いと言っても過言じゃないほどに盛り上げてくれたのがこの『破』である。この作品のおかげでエヴァがより広く認知されるようになった。本作がきっかけで観始めたって人も多い。にわかホイホイ

 

ファン垂涎のシーン『破』

だがしかし、ちゃんとファンのことも喜ばせるシーンも盛り込んで来たのが最&高。学園生活の全体的な流れは原作と殆ど変わらないんだけど、綾波がゲンドウとの食事中にシンジとの食事会の承諾を得るシーン(何処で飯食うとんねん)これ普通に奇跡だからね。綾波がシンジに明確な恋心を露わにしている時点で奇跡だし、ゲンドウが綾波にユイの面影を重ね、行くことを了承するなんて奇跡超えてるよ…なにこの優しい世界泣ける

 

と思ったら最強(暫定)の使途・ゼルエル来襲 → 2号機裏コード「ザ・ビースト」 → シンジさん&初号機覚醒。獣化第二形態という新設定をここで出してくる点が最高にエンタメ。この盛り上がりは半端じゃなくアニメ映画史に残った。「綾波を…返せ!」で電源プラグ無し・活動限界という状況の中、親子愛で起動する初号機。「世界がどうなってもいい、綾波だけは助ける」(『Q』へのフラグ)という、今まで流されてばかりだった中学生が自分自身の願いの為に1人の女の子を助けんとする王道主人公へと成長を遂げる鳥肌展開には感動率99.9999%。そして初号機にブッ刺さる謎の槍とウルトラダミー予告(『破』と『Q』の間のシーン)。世界よ、これが日本だ!

 

「人類補完計画」

ごめん、『序』の時の用語解説で「人類補完計画」についても触れとけば良かったね。駆け足で行きます。そもそも「ゼーレ」っていうのはNERVの上位組織で、簡単に言えばフリーメイソンみたいなもんだ。それが第1使徒アダムの地球統治計画書(預言書)である裏死海文書を手に入れて、世界の裏から人類がアダムに勝てるように画策してたんだよね。

で、このゼーレの中に人類補完委員会っていう組織があって、これが発足するきっかけになった立案を作ったのが碇ゲンドウ。その詳細を簡単に説明すると…群体として成長した人類だが、その進化は上限が明らかであり、始祖であるアダムとの戦いに勝利することで完全単一生命体に進化しようぜ! っていう内容。…この記事めっちゃ有能じゃない? 

 

補足
シンジのお母さんである碇ユイがゼーレと繋がっていたため、ユイを介してゼーレの中枢に取り入るためにゲンドウは彼女に近づいたのではないかと言われている。

でも実はこれって謎が深いと思うんだ。だって、ユイが何故ゼーレと繋がりを持っていたのかは作中で語られていなくて、「形而上生物学者」として始祖からエヴァを作ったのもユイ。初号機の中に心を封印して永遠の命も手に入れてる(初号機はユイ、二号機はアスカの母親のキョウコが入ってる)って言うんだからちょっと怖いところではある。

もしかしたら…この物語の本当の黒幕は碇ユイなのかもしれない。

 

新劇場版『Q』

『破』ラストでのニア・サードインパクト後の世界。というぶっちゃけ視聴者とシンジを置き去りにするブッ飛び展開。当時映画館で観た時思ったもん。「相変わらずやってくれるぜ」って。からの元NERVメンバーからの悪意を感じる熱烈な視線。え、流石にシンジ可哀想じゃない…?というシリーズ史上最も視聴者がシンジに感情移入した瞬間だと思う。ただ、これは仕方が無いと言えば仕方がない。だって人類滅ぼしかけてるからね。みんな頭の中ではシンジに悪意が無かったことは分かってるけど、正直、理屈じゃない。失った人たちのことを思い出すとともに子供の様に無知をひけらかすシンジの姿にはレベル低すぎて激怒不可避、彼らの心境を慮ればこれは仕方のないこと。この理由は後述の「サードインパクト」で書くね。

しかも個人的に可哀想だったのは、「エヴァに乗れ」ってただ高圧的に命令するだけのゲンドウの言動。これ、TVシリーズならびに『序』の初号機初対面時を想起させる。え?『破』で一緒に墓参りしてた時の仲睦まじい親子愛は何処へ…? やはりゲンドウ、だがしかしこれこそがゲンドウ。

 

ファン垂涎のシーン『Q』

唯一の癒しと言えるかもしれない冬月教授と将棋を指すシーン。お前そんなキャラじゃなかったやろ! というツッコミを入れる暇が無いほど微笑ましいファンの歓びの瞬間。しかもここでユイの写真をシンジに見せるという演出。お前ずっとユイの写真持ってたんかい! というツッコミが心の中で跋扈する。お前本当にユイのこと好きだったんだな…。クソ純情爺である(誉め言葉)

 

また、エヴァンゲリオン13号機に乗ることになるカヲル君との邂逅。なんでお前の周りだけ植物生えてんの?という言葉は無粋。カヲル君の周りには愛が溢れているから植物も光合成できんだよ(適当)。13号機がデュアルシステムってだけでロボ好きにとっては胸アツなのに、これでもかとイチャつく二人の健全なる男子の姿に全腐女子は四つん這い不可避

 

「サードインパクト」

ガフの扉を開くことで人類史上最高の大殺戮者になったことが明らかにされるシンジ。ここでこのニア・サードインパクトについて解説しよう。そもそもの話、旧劇場版でサードインパクトは一度起こっている。第17使途を倒した後、ゼーレの人類補完計画が発動し量産型エヴァ(白ウナギ)でNERV本部を襲撃 → サードインパクト という流れ。LCLとして一つになった人類(原初の海)で綾波&カヲル君と再会して人類肯定でEND(ハァ? だよね、わかる、任せろ)

つまりサードインパクトとは、リリスのクローン体であるエヴァを覚醒させた上でデストルドー(アンチATフィールド)を広域展開し全人類のATフィールドを消滅。皆で原初の海になるという自死(進化)のこと。

ただ、新劇場版では「ニア・サードインパクト」だったんだよ。つまり、サードインパクト自体はカヲル君のおかげで防がれて、TV版・旧劇場版とは違うアナザールートが描かれたことになる。まぁ、当人がどれだけ一途な想いで綾波を助けたかっただけだとしても、結果的に人類をLCLに還すというナチスも吃驚の英雄になったのがシンジということだ。だからあれだけ嫌われてるんだよ。

 

「フォースインパクト」

本作で初出のフォースインパクト。ストーリーの流れを一度おさらいしようか。「アレは僕らの槍じゃない」(ファ!?)というカヲル君の静止、「止めろ!バカガキ!」というアスカの怒号をフルシカトしてリリスに刺さった2本のロンギヌスの槍を引き抜くシンジ。第12使途がエヴァンゲリオン13号機に収縮されて疑似シン化形態を超えて覚醒 → これによってフォースインパクトの発動。たぶんこの辺が、流行りに乗って新劇場版を観てる視聴者には何が何やらさっぱりポイントだと思う。安心してくれ、俺もさっぱり分からん。だからここからはただの考察。

カヲル君は言った、「13号機と2本の槍があれば世界を修復できる」と。十中八九、この2本の槍ってトコがミソだろうね。一本はお馴染みロンギヌスの槍、そしてもう一本は「カシウスの槍」だ。公式で全く発表されてないんだけど、このカシウスの槍はロンギヌスの槍と対を成しているとファンの間では囁かれている。

というのも、『破』の最期、サードインパクトが起きようとした時にカヲル君が覚醒した初号機にぶん投げてコアを突き刺したのがカシウスの槍だ(明らかにロンギヌスとは形状が違う)。この結果、サードインパクトは中途半端に終わり、ニア・サードインパクトで収まった。つまり、この槍の効力はリビドーの増幅。ATフィールドを強制的に全開展開させることで、人類をLCLに還すデストルドーの伝播をATフィールド内で完結させた。それでシンジ(と綾波)だけがLCLに還った。こう考えればサードインパクトが収まった理由になる。だから多分、カシウスの槍でリリスに何かして、ロンギヌスの槍で何かしようとしてたんだろう(憶測)。

 

マジな考察
「渚カヲル(第1の使徒)→(第13の使徒)に堕とされたことでフォースインパクトのトリガーにされた」ってことらしいから…。第1の使徒(の複製体)であるアダム=カヲル君と、ガフの扉を開いた状態の13号機(たぶん13号機はアダムのクローン機体)にロンギヌス使って、生命の実をリリスへ渡す → カシウスの槍をリリスに使う → ATフィールドを広範囲伝播でLCLに還った人類(作中での赤い海)から人類を人の形に戻す&知恵の実と生命の実が揃うことで完全なる人類の誕生を狙ったんじゃないかな。

でもリリスに刺さっているハズのカシウスの槍はロンギヌスの槍になっていてカヲル君の計画は破綻。ゲンドウ的にはリリスにはATフィールドじゃなくてアンチATフィールドを伝播して欲しいから、差し替えといたんだろう。だって皆で原初の海に還らないと家族揃ってユイに会えないもんな。

あれ…これアニメ好きの良くないトコ出ちゃってるね

好きなモノ語る時に聞き手の立場になって離せない奴は初号機。はっきりわかんだね。ただ『Q』の内容に関しては俺もはっきりとした確証があるワケではないから、各々の考察の参考にしてくれると嬉しい限り。

全部の作品に言えることだけど。アニメだけじゃなくて、原作を読むことでより世界観を理解することが出来る(俺は基本的にアニメで観た作品は可能な限り原作も読む派)。こんだけ長く続いてる作品だけど、単行本だとわずか14巻しか出てないってのも面白いよね。もう完結してるんだけど、終わり方がアニメ版のどれとも同じじゃない点も◎

 

まとめ

ここまでの文量になるとは思ってなかったけど、結構分かりやすい解説記事になった気がしてる(自己満足)。

本当は6月に上映される予定だった『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』。キャッチコピーは「さらば、全てのエヴァンゲリオン」、英語サブタイトルは「THRICE UPON A TIME」と終わらせる気満々な感じが逆に怖いの俺だけ? ここから「真劇場版4部作プロジェクト始めまーす!」って言いかねないのがエヴァンゲリオン。全く、飽きさせないぜ。ちなみに、俺がここまで書いたことも次回作では全て灰燼に帰す可能性があるのも否めない。そうなった時は…、

笑えばいいと思うよ

『海獣の子供』に出会えたことに感謝して幸せを叫ぶ俺はきっともう海の幽霊

『鉄コン筋クリート』を制作したことで知られる制作会社STUDIO4℃。ここが世に出した作品『海獣の子供』は、圧倒的な映像表現で強烈な印象を視聴者に与えた超秀作。

「あらすじ」

ハンドボール部に所属する中学生琉花は、トラブルで夏休み早々部活禁止になってしまう。やさぐれた彼女は、幼少期に大好きだった水族館へ行き海と出会う。翌日、琉花は父親の勤務する水族館で、海と再び会い、父親に海の面倒を見ることを命じられた。いなくなった海を探しに浜辺に出た琉花は、海の双子の兄、空とも出会う。海と比べ軽い性格の空に、琉花は反発しながらも交流を深めていく。同時期、海には隕石が落ち、世界では「白斑」を持つ魚が光となって消える現象が多発していた。Wikipediaより引用

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『海獣の子供』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

作品概要

原作は小学館の『月刊IKKI』で2006年~2011年まで連載。例に漏れず、俺たちが知っているような有名な作品と言うのは世間にも高く評価されてから世に広まっているので、第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞している。つまり、間違いない。

ここで勘の鋭い人はお気づきだと思う。連載が終了してから映画化までに結構年月がある。何故か? それはこの作品が製作期間6年をかけて世に送り出された芸術作品だからだ。ちなみに作中音楽は久石譲。主題歌は皆さまご存じ米津玄師の『海の幽霊』。つまり、間違いない

 

作画×CGの技術融合

特筆すべきはCGのバランス。CGっぽく観えないCGとでも言うのだろうか。「GoProで沖縄の海撮ったらこんな感じなのかな」っていう圧倒的・海。過去こんなに綺麗で清々しい海中を表現したアニメーションがあっただろうか。いや、ない。背景がCGで、キャラ絵は作画でというすみ分けがされていたように俺は感じたんだけど、結構この手法を用いると二つの要素がぶつかって浮いちゃうんだよ。でもこの作品にはそれがない。独特なCG絵が背景として、大いなる世界として物語に溶け込んで、二つの技術を高い水準で融合させた…つまりこれは見事に乳化させたカルボナーラだ。『海獣の子供』風カルボナーラ~星空をのせて~。グラッチェ!(大丈夫、観ればきっと俺みたいなこと言いたくなる!)。

 

とにかく、映画版を観れば分かるんだけど、ただただ圧倒される。これが…地球の神秘か…みたいな感じて微笑みながら涙が零れる。それでいて、どこか懐かしさも感じる世界設定(俺、少しだけ港町で育ったし)。大いなる海万歳だ

 

 

超壮大なストーリー

主人公の女の子:安海琉花(C.V 芦田愛菜)の大人に向かて成長していく表現が素晴らしい。俺は原作である漫画版をずっと読んでたんだけど、読んでる時から「こういう時期あるよなぁ」っていう子供ならではの感情の揺らぎが超秀逸。後半になって盛り上がるにつれて感情が露わになってくるのも◎。

また、ジュゴンに育てられた少年こと空・海。本作において超重要ポジのこの2人がとにかく不思議で無邪気でもう本当にミステリアスチルドレン。

 

海の幽霊

幼いころに見た、”海の幽霊”。この子供ならではの不思議な体験が超壮大なストーリーへと駆け上がっていく様は全くの予測不能。原作読んでる時ドキドキしたもん。どこまで行くんだろうって。その秘密を知っている空と海、そこに琉花が揃うことで歯車は動き出す。マンタが飛び交いクジラ舞う、大いなる海への冒険の開幕だ。

結局のところ、米津玄師の『海の幽霊』の歌詞にもある通り、「星が降る夜に貴方に会えた。あの夜を忘れはしない」なんだよ。全てはここに帰結する。でも、ちょっと待ってくれ。ここまで書いといてなんだが、ちょっとライトな青春アニメ映画だと思ってない…? ナンセンスです。これは自分の頭の中のシナプスの電気信号を感じ、宇宙創成まで遡って命に感謝するとってもスピリチュアルなアニメです。軽い気持ちで理解しようとすると頭やられるぞ、俺みたいにな。

というのは半分冗談だとして、真面目に感想を言うならば。青い光が揺蕩う静謐な水族館で独り、ゆっくりと流れていく魚を見上げたくなる。風薫る砂浜を瞼の裏で思い出しながら、水の音だけで海に想いを馳せたくなる。そんな、壮大で清々しい作品だよ。本当にオススメ

「まとめ」

気温が暖かくなってくると、海に行きたくなる。たぶん誰しも少なからず感じると思うんだよ。ただ、その時イメージするのは浜辺で海にすら入ってない自分の姿なんじゃないかな。海の怖さを本当に知っている人はぜんぜんいないし、海の全てを理解している人なんて存在しない。だからこそ、魅力的なんだよな。

これから来るロボット時代を考慮すると『イヴの時間』は最高の道徳教材

2008年にネット上でドラマ形式で公開された『イヴの時間』。全6話を収録した完全版が2010年に映画版として発表されて久しい本作。文化庁にも評価され、OVA部門として多くの賞を受賞したこの作品は今観ても面白い。いや、5G時代到来間近の今だからこそ、面白い。

「あらすじ」

「未来、たぶん日本。“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」

アンドロイドはそれと分かるようにリングを頭に表示し、無表情で人間に奉仕する。だが、ロボットが社会の様々な分野に進出して人間から仕事を奪い、アンドロイドに精神依存する「ドリ系」と呼ばれる人々が確実に増え続けており、それを危険視する「倫理委員会」が広報活動に勤しんでいた。また、旧式化したロボットが不法投棄され主を持たない彼らが野良ロボットとして徘徊することが社会問題となっている。

高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。級友のマサキと共にGPSを辿って行き着いたのは「イヴの時間」という不思議な喫茶店だった。「人間もロボットも区別しない」ことをルールにしたその店では、誰もが人間らしく振る舞っており見た目では区別がつかない。彼らは思い思いにそこでの時間を楽しんでいた。リクオとマサキは好奇心から店に通うようになる。

やがてリクオは店でウェイトレスのナギに悩みを相談しているサミィと鉢合わせてしまう。Wikipediaより引用

 

 

簡単な概要

先に述べている通り、最初はネット上で公開されたドラマだった。でも多くのSFファン・アニメファンから高評価を得て映画化されたって感じ。構図というか、アングルの取り方がお洒落なんだよ。一応記述しとくと、東京国際アニメフェア2010・第9回東京アニメアワード優秀賞OVA部門受賞作品、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査員推薦作品だ。要するに意識高い系の秀作だ

俺が10年前にアニメ好き仲間と飲んでた時の話なんだけど、「最近面白かったアニメ映画のタイトルを同時に叫ぼう」って流れになって(いや同時に言う意味は全く無くて、酒カスの極みなんだけど)、いっせーの! で全員が全員『イヴの時間』って叫んだことがあった。そのくらい、良い作品なんだよ。

 

 

技術革新後の世界

食料自給率は80%というトンデモ水準の世界。きっとアンドロイドの有効活用によって、労働作業が効率化された結果なんだと思う。でも、”ドリ系”と言われてアンドロイドに人間として接する人を揶揄しているところを見ると、道徳の水準は今とさほど変わらないのかもしれない。

AIが自立思考を得ることで、人間に置き換わっていく過渡期を描いてるんだけどね。人間からしたら、仕事を奪われるし、人間よりも地球に配慮した存在のアンドロイドっていうのはアイデンティティの損失に繋がるし、癇に障るんだろう。そんな社会で、種族を超えて育まれる絆が描かれる

 

大事なのは内面に宿る人間性

はい! どれがアンドロイドでしょう! 何を隠そう、この中の半分以上がロボット。そう、不気味の谷を越えた工業製品ってのは外見じゃ人間と区別つかないんだよ。え?左上? うん、そう、外見じゃ区別つかないんだよ(てかサミィ2枠おるやんけ)。

物語の舞台になるのは主に「イヴの時間」っていう”人間とロボットを区別しない”喫茶店。超美人店主の凪さんが切り盛りする最高にお洒落なお店だ(代官山とかにありそう)。この店にいる時の登場人物の表情が良いんだよな。そしてそれが物語にも大きく絡んでくるからこれから観る人は要check。

 

誰もが”悩み”を抱えている

そんなお店に通うのは、アンドロイドと一線を越えたい人間人間のことをもっと理解したいアンドロイド、またはその両者が一緒に来店することもある。倫理的にはイリーガルなコンセプトなので、社会的には認められてないのか表には看板が一切出てなく、入口も普通に道を往来している人には全く分からないという心躍る仕様。なんだろうね、本作を観ていると主人公がこの店に入った時にワクワクするんだよ。演出が良いのも勿論だけどさ、この社会的に隠れた場所っていう設定が良いんだろうね

次第に常連客と仲良くなっていく主人公とともに、誰が人間で、誰がアンドロイドか明らかになっていくゆるふわ系ストーリー。なんだけど! カフェアニメとして観てもとても秀逸なんだけど!  大事なのは機会だろうが人間だろうが悩みを抱えているって点だ。この悩みを解決していく中での人間&ロイドドラマが最高に面白い

これは俺の持論なんだけどね。本作のようにアンドロイドが人間に限りなく近くなった世界…SFではこんなの全然近未来(っていうか現在)なんだけど、多くの文学作品では人間は人間に近づいたアンドロイドを嫌ってる。でもさ、これ、嫌う必要あるか? 高度に発達したテクノロジーは魔法と変わらない。なら高度に発達したアンドロイドも人間だろう。気持ち悪いって言うけど、自我が目覚めた時点で対等に接するべきだと思うし、お互いを尊重して生きていくことが出来るんじゃないのかな。まぁ、これは理想論だって言うのも理解していて、きっともっと抜き差しならない現実的な問題が色々と発生してくるんだろうけど。俺がこんな風に思っているのは色んなSF小説を読んでるから、思考がアンドロイド側に偏っているせいもあるかもしれない。でも、機械と人間が仲良くできる世界がきたらどんなに素敵なことなんだろうって、そういう風に思えるよ。本作を観ると。

実は漫画版もある。無論、良い。

 

「まとめ」

ファーストシーズンとして公開された既存の話が完結して早10年…。全体の雰囲気も良いし、”ロボット三原則”や、”不気味の谷”についてしっかりと考えられる本作は、5Gが本格的に生活に導入されるという今だからこそ観るべき作品だと思う。うん、むしろ教材だな。よし、国際派の石油王は学校作るだけじゃなくて生徒の分までDVDを買ったれ。

俺はセカンドシーズンをずっと待ってるよ。