家で『カウボーイビバップ』タレ流してるだけでお洒落だと思える不思議

90年代のSFアニメと言えば『攻殻機動隊』。異論は無い。だが『カウボーイビバップ』のことも忘れてはならない。多くのファンを虜にする良さ、これこそ色褪せない不朽の名作。

あらすじ

時は2071年。宇宙開拓時代を迎えた人類は太陽系内に生活圏を広げており、悪化する治安への対策として、指名手配犯を捕まえる賞金稼ぎ、いわゆる「カウボーイ」たちが活躍している。カウボーイ稼業を営むスパイク・スピーゲルと相棒のジェット・ブラックは、古い漁船を改造したオンボロ宇宙船「ビバップ号」に乗り込んで宇宙を駆け巡っている。大物の賞金首を捕まえることもある一方、その荒っぽいやり方に巻き込んだ一般市民からの損害賠償請求も多い彼らに金銭的余裕はない。 そんなビパップ号に奔放な美女フェイ・ヴァレンタイン、天才ハッカーのエド、犬のアインが転がり込む。おのおの何かしらの事情を抱えながらも、一同はビパップ号で緩やかな絆を育み、行く先々で様々な騒動に巻き込まれる。Wikipediaより引用

80年代~90年代頭に生まれたアニメ好きにとっては言わずと知れた大名作。かく言う俺も『攻殻機動隊』にハマった時に「お、コレも面白そうじゃん!」と流れで視聴。その世界観に魅了された

特筆すべきは一話完結型の各話構成。本筋の回も間に挟みつつのビバップ号4人(+1匹)のドタバタ劇は家でずっと流していたい心地良さすら感じさせる。というか、コロナ禍での我が家のBGMはこの『カウボーイビバップ』だった。ヤダ…お洒落。

”ビバップ”って名を冠している通り(アレンジから生まれたジャズスタイル)作中ではその話のタイトルに用いられた曲がストーリーを盛り上げる。ちなみに音楽はほぼ全てが 菅野よう子 作曲。国内外の音楽家が参加した「THE SEATBELTS」というクリエイティブ集団が演奏した。このごちゃまぜ感が最高なんだな。

 

 

名作と呼ばれる所以

厨二心をくすぐるハードボイルドなセリフ回しは『ブラック・ラグーン』を想起させつつも、コメディタッチなドタバタ回もあり観ていて飽きない。というか指数関数的に「あ…好き…」という感情が溢れてくる

渡辺信一郎監督も「毎回20分の映画を作っているような感覚でした」と語る通り、登場人物たちの会話によって引き出せれる世界観の深さは他に類を見ない。このアニメを視聴した後、空を見上げれば遠い星で賞金首との銃撃戦、路地裏を覗けばマフィア間の小競り合いが今まさに行われているのではないかとすら思えてくる。麻薬的な没入感

 

 

秀逸なセリフ回し

ハードボイルド作品に総じて言えるが、登場人物たちのやりとりが堪らなく秀逸。てか単純にセリフ自体も良い。Session1でスパイクが「カメレオンじゃねぇんだ、そうあちこち見えねぇのさ!」って言った時に俺は思ったね、こんな世界に生まれたかったと。かと思いきや、ファンの多いSession17の麻薬キノコ回では「俺の兄貴はなぁ、お前から買ったキノコを食って、笑って笑って腸捻転で死んだ!」というウィットに富んだ発言も(NHKだったら間違いなくピー音入る)。これがビバップ。

下記では、上記以外に俺が観直しながら良いな~と思ったセリフメモを羅列しとくからさ、愚かにも未視聴の人はこの素晴らしい世界観を感じてくれ。視聴済みの人は酒でも飲みながらほくそ笑んでくれ。

Session1Session3Session5Session10Session12
「肉の入ってねぇチンジャオロースはチンジャオロースと言わねぇんじゃねーのか?」
「……金がないときには言うんだよ」
「チャーリー・パーカーがゲーテの名言を吐くかい?」
「天国を追い出された天使は悪魔になるしかないんだ」
「昔の女が今でも自分のこと考えているなんて大間違いよ」
「女がみんな自分と同じと思ったら大間違いだぜ」
「人の中で独りぼっちだって感じるより、一人っきりで孤独を感じる方がマシ」
「離れるのが怖くなったんだね、その人たちと。だから離れちゃったんだ。」

Session14Session16Session18Session25Session26
「さぁ、君も一緒に人生を棒に振ってみないか?」
「女はすぐに裏切るが男は義理に生きるもんだ」
「義理ねぇ」
「俺はそう信じたいね」

「来たくはなかったんだが、会いたがる奴がいてな……失くした左腕だよ!」

「あたしはもう、ここにはいない。でも、この日のあたしは、ずっとここからあなたを応援している。たった一人の、あたしへ。」
「女がいた。俺は初めて生きてる女を見た。そう思った。あいつは俺が無くした俺の片割れさ。俺が欲しかった、俺のかけらなんだ」
「空腹は最高の調味料さ…」

「普通の女よ。綺麗で危なくてほっとけない…普通の女」

「スパイク、一つだけ聞かせてくれ。女のためか?」
「・・・死んだ女のためにできることなんてないさ」


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劇場版:天国の扉

1999年に終わったアニメシリーズから2年後、2001年9月に発表された劇場作品『カウボーイビバップ 天国の扉』。

「あんなラストを見せといて、続編があるのか⁉」と思ったのがもはや懐かしい。『BIG SHOT』が放映中だから、時系列的にはアニメシリーズの22話と23話の間ということになる。つまり、基本的には一話完結のストーリー構成のビバップにおいては未視聴でも映画版から見始めることも可能。「昔のアニメって絵がダメなんだよね」とか言って、自らの見識に限界を設けている糞ったれは是非ともこの劇場版からの視聴をオススメする

内容は、時系列的に仲睦まじく罵り合う最高なビバップのメンバーが描かれる。この時点でアニメシリーズを視聴済みだと「これこれこれぇ! こいつらをまた見たかったんだよぉ!」とテンションが上がるが、作品全体を通して基本的にはシリアス回のテンション。ハロウィン前の火星で起こる爆破テロの容疑者に3億の懸賞金がかけられて例に漏れずビバップ号の面々も犯人を追う。史上最高金額の懸賞首との戦いということで、若干スパイクの動きが良い気がするあとフェイの唇が奪われる

重厚なサウンドは相変わらず良いし、作品中盤でスパイクが負ける絶望シーンの演出も非常にGOOD。「そんなにあっさり負けちゃうんですかスパイクさん!」と視聴者の心を底辺に堕としてから、クライマックスの「この世界がどうなろうと知ったこっちゃねぇ。ただ、お前に借りを返しに来ただけさ。」な。もう話の構成が海外の映画なんだよ。流石、天下のサンライズ


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まとめ

不朽の名作と呼ばれる作品は数あれど、ここまで色褪せない作品も無い。例えば、偉大なる宮崎駿監督が作ったジブリ作品はいつまでも愛されるじゃん。これもそれだ。90年代後半のアニメ絵の独特なタッチが絶妙にマッチしているというか、今っぽい絵で表現すると、本作の良さは無くなっちゃうんだよな。だからこそ、アニメが好きな人には須らくこの作品を視聴して欲しい。取り敢えず、家でタレ流すところから始めよう。

厳正なる審査の結果、21世紀最高のweb漫画は『カルカラレルカ』に決定しました

毎日数多の漫画を読んでいるけど、web漫画で本作を超える作品は生まれないという結論に至りましたのでここに勝手に宣言致します。

あらすじ

カルカラレルカ
SR-H ORIGIN(第1部)
未開惑星の開拓調査機関「ゴフェル」所属ハンターの兄妹が現地未確認生物のハンティングを行いながら失った記憶と惑星の秘密に迫る。

カルカラレルカ
SR-H PROSPERITY(第2部)
人類文明の最先端に位置する超惑星”アーク”。 開拓が始まり一世紀以上が経過した今もなお、”その星”には未知の技術、未知の生物、そして未知の能力が眠る。 地球出身のハグルは、未知の惑星での立身出世を夢見て、”アーク”にある「能力開発機関」への入学を志す。Wikipediaより引用

漫画アプリ『GANMA!』にて連載中の『カルカラレルカ』。少し前に『漫画好きがガチで選ぶ『GANMA!』作品【おすすめ5選/Web漫画】』の記事でも紹介したけど、この作品の第2部が堂々完結。そして、完結を記念して第1部・第2部ともに無料公開しているというから未読の人は絶対に見て欲しい。なお、この記事は面白い作品をもっと多くの人に見て貰いたいという、当然のことながら自己満ノンタイアップ記事なので安心して読んで頂きたい(仕事欲しい)

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
他にもオススメ漫画を紹介してます。

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それではお待ちかね。下記にて『カルカラレルカ』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

 

SR-H ORIGIN(第1部)

伝説はここから始まった。2013年12月12日より連載を開始した本作。「狩るか?狩られるか⁉」を文字ったタイトル通り、未開拓惑星であるアークで、ダブル主人公のリクとスイが生物を狩っていくSFアクション……というのが大まかなストーリーだけど、サスペンスあり、禁断の恋愛要素ありと基本的には何でもアリ

 

 

怒涛のハイテンション

これでもかというほどナイステンポ&超ハイテンションで描かれるSFストーリー。佳境での級数と殴りつけてくるような言葉のチョイスが本当に気持ち良いんだよ。と言っても、声を張り上げないような場面で無理やり盛り上げようとしてくるワケではなく、読者が心の中で叫びたくなるような台詞をピンポイントで大きくしてくれるから◎。金八先生が生徒に説教するときも黒板に殴り書きするじゃん、心に響く時は手書きが一番。グダグダ言ってんじゃねぇ

以前の記事でも触れたけどさ、俺はやっぱりweb漫画で大切なのはテンポの良さだと思うんだよね。『ワンパンマン』ヒットの理由も起承転結の分かりやすさが一因かと。あと画力。”怪人ドカーン登場人類ボカーン敗北ヒーロー葛藤ワンパン勝利”の流れが読んでて気持ち良い。『カルカラレルカ』は全くこの通りってワケではないんだけど、全体的にみると伏線の張り方、拾い方、そして戦闘の店舗がまさに売れるソレ

クラウドファンディングで第1部の書籍化プロジェクトを募集した結果、300万の目標金額に対して626万円の支援が集まったというのも納得の数字と言える。ちなみに、第2部完結を記念して同様に書籍化プロジェクトの募集が現在行われているが、10日以上残して目標金額250万に対し1,260万円以上集めるという快挙をハイテンションで成し遂げおった。うむ……金を送りたくなる気持ち、すごく分かる……。冗談抜きでマジで面白いもんな

 

 

登場人物がマジ熱い

熱い。これは第1部の中でも俺が大好きなシーンなんだけど、とにかく、熱い。簡単に説明すると、化物並に強くなっていく兄貴の横にいたくて頑張って強くなる普通の女の子が、困難を目の前にして改めて自分の気持ちを叫ぶ瞬間熱い。途中、「嘘偽りない本物の意志を、自分の言葉で」ってリクが叫んでるけどさ、コレも熱いんだよな。ここまで自分の意志で強い言葉を吐ける、強靭な芯を持っているリクが最後あんなことになるなんて……と複雑な感情がフラッシュバックしがち。こうやっていつまでも感慨に浸れるこの漫画、本当に熱い

というか、ストーリーが相当緻密に編み込まれてるのかもしれない。最初は単純に兄妹の冒険劇だと思っていたのに、今考えると最初から作者である銅目貫(あかがき めぬき)さんの手の上で踊らされていたような気さえもしてくる。今だけ第2部完結記念で11月15日まで全話無料公開してるから絶対に読んだ方が良い

カルカラレルカ
SR-H ORIGIN

※GANMA! の完結作品は通常、プレミアム会員以外読めない。

 

 

SR-H Prosperity(第2部)

まだまだいきます。次は第2部の話。衝撃の第1部ラストを経て、一週間後に普通に始まった時は稲妻が全身を駆け抜けた。天翔龍閃を避けたと思ったら2撃目が飛んできた感じ。2017年1月1日から始まった伝説の続きは、現在本編を終了し、番外編(もはや本編以上に本編)を連載中。

 

 

至高の続編

第1部の100年後ということで、第1部に出てきたキーマン達の子孫(…?)が「狩るか?狩られるか⁉」の群像劇を展開していく最高にアガるストーリー。特に主役3人組は「マジかよそういう繋がり方ある⁉」と叫ばずにはいられない秀逸設定。こればっかりは継続して読んでいる人間しか味わえない歓びだから是非味わって欲しい。

この記事では完全にカルカラ布教を目的としているので、なるべくネタバレは極力しないようにしているんだけどさ、核心には触れない程度にその魅力を紹介させてくれ。

まず第1部に引き続き登場キャラたちのカッコ良さが狂気じみてる。というかテンションが狂気。上の画像は筋肉サイコキネシスイケメンことソラン vs 戦うツンデレことハクビという、作中でも屈指の名バトル(だと俺が勝手に思ってる)なんだけどね。「無意味な演技、ご苦労様」の時の煽り顔が堪らないよな。しかもその後にブチ切れて「う゛ばばばぁ」しちゃう笑顔イケメンとのギャップよ。人間マジで沸点越えるとこんな顔になる気がするし、狂気の中にもリアルを感じられる人間味が本作の一番の魅力だと俺は思っている。

どれだけ狂っていてもキャラに魅力を感じるっていうのはすごいことだと思うんだ。それは常軌を逸していても憧れられるくらい芯が通っているってことだから。作中に登場するディライブ(先住民とそれに由来する者の名称)たちは”種の繁栄”だったり”創作の意欲”だったり自らの本能にこれでもかと忠実。例え人類を犠牲にしたとしても、魂が欲する本能を第一に優先するという芯が一本通っているから、どんだけ悪役でも魅力的なんだと思う。ヒース・ロジャー演じるジョーカーみたいなもんよ

もちろん、魅力という点では主人公陣もヤバい

 

 

困難に負けない正義

第2部の主人公であるハグルの魅力はこんな記事では語り切れない。不幸を吸い寄せてしまうという少年漫画あるあるの主人公設定ながら、それでも世界を憎まずに困難から逃げない姿に感極まるというかこんなに強い女性に育ったことにDNAの強さを感じる

第1部~第2部の粋を煮詰めて凝縮して継承したような主人公像は、週刊少年ジャンプ編集部も参考にして頂きたいくらいの超絶正義。しかも可愛い、正義。一見すると無茶苦茶な展開が魅力の作品だけど、話の軸である主人公が誰よりも清く正しいからこそ成り立ったのではないかとすら思える。ハグル以外にゼンロク・アンビィなど滅茶苦茶にカッコ良い漢たちもいるけど、全員紹介してたらネタバレオンパレードになるので気になる人は直接読んで欲しい。絶対に損しないことをここに誓う

カルカラレルカ
SR-H ProsProsperity

※完結作品は有料会員じゃないと読めないので、試し読みできるのはおそらく11月15日まで…?? 徹夜して読んで欲しい。まぁ、プレミアム会員になれば良いだけだけど

 

 

SR-H CATASTROPHE(第3部)

既に「全ての謎が明かされる」と告知されている第3部も制作が決定している。第1部を上回る衝撃のラストだった故、続きがどう描かれるのか・謎は全て解決されるのか? という点が気になるところだが、銅目貫先生の執筆速度を考えると既にプロットは完成しているハズ。俺には不安はなく、期待しかない

GANMA!(ガンマ)

GANMA!(ガンマ)
開発元:COMICSMART INC.
無料
posted withアプリーチ
 
 

まとめ

以上、21世紀で一番面白いと思ったweb漫画のなるべくネタバレしない記事でした。冗談抜きでweb漫画界隈における『ワンピース』だと俺は思ってるし、『鬼滅の刃』に胃もたれした心身をデトックスさせるためにも一気読みを推奨します。ハンバーガー食べた後でもフィッシュバーガー食べたくなるじゃん。それ