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何も考えず『宇宙戦争:ゴライアス』観て脳の快楽物質をコントロールしよう

2012年、マレーシアにて制作された『宇宙戦争:ゴライアス』。知る人ぞ知る『宇宙戦争』後日譚だが、コレが中々に気持ちの良いドンパチSFなので今回はこれを取り上げたい。

【概要】

H・G・ウェルズの名作SF小説をアニメ映画化。地球に火星人の大軍が襲来し、勇敢な戦士達は侵略者に立ち向かう。地球の技術の粋を集めた兵器が今、うなりを上げる。Netflixより引用

時代設定が1910年代なんだけど、こんなに昔の設定だったんだ。あの賛否両論を生んだスピルバーグ監督版(トム・クルーズ主演)の『宇宙戦争』はモダナイズされてたってことかな。

宇宙戦争 (吹替版)

 

 

SF×スチームパンクアニメ

「ふむ…エンジンが蒸気機関だから、これはスチームパンクだな(謎理論)」というのが俺が観た時に一番最初に思った感想。正直、最初観てる時はこれがH.G ウェルズ原作だって気付かなかった。でも火星人のビジュアルが明らかに『宇宙戦争』意識してたからさ、「あ、そういう…?」ということで続編であることを理解した。

いや、でも流石に時代感あり過ぎでは!? テクノロジー格差が俺の母校の用務員室と電通の喫煙所くらいあるんですけど。なんて、人類敗北待ったなしと思っていた矢先、奮闘しだす人類。あ、良かった。やっぱり戦争は技術力を底上げするんだな。こんなビーム兵器が第二次世界大戦に使われてたら三国同盟は瞬殺で海の藻屑でしたね。ということで、幼いころに両親を消された主人公が火星人に復讐するスーパーマンになる物語が始まった。

 

 

偉大なアメリカ様に捧ぐ

リスペクト精神

面白い位に人が溶けて骨になるんだけどね。もうちょい避けろよ! 命大事にしようぜという俺の心配など意にも介さず溶ける。そして火星人は爆発する。足をヤられたハードパンチャーのインファイトだったか…と諦念を抱くと共に、俺にはある一つの考えが浮かんだ→「そうか、これはアメリカ様リスペクトのドンパチ映画だ」。こう思ってからはかなり気持ち良かった。

「我が軍の勝利だ!」って言って拳を掲げる姿には『インディペンデンスデイ』の大統領演説の感動を思い出したし、全世界が一丸となって火星人に立ち向かっていく様子も王道。余談だが、かの有名なウィル・スミス主演の『インディペンデンスデイ』も、原作『宇宙戦争』から影響を受けてたらしいね。ラストの倒し方とか類似するものがあったしな。本作はそれらを全て踏まえた上で、敢えて純粋な殴り合いをアニメ映像に落とし込んだ良作だと言える。ただただ、見ていて気持ち良く、良い感じにドーパミン出るからパーキンソン病の予防になること請け合い

【まとめ】

Netflixって面白い作品多いなぁと改めて思った。今まで興味なかった作品も定額だとついつい観ちゃうよね。ということを言い訳にして、日々黙々と膨大な量の娯楽を消費している俺。たぶん働き盛りの20代の中では視聴率上位ランカーだと思う。全く自慢じゃなく、むしろ廃人の証明なんだけど、その辺の映画系Youtuberより観てる

Huluも登録するかも。
廃人への軌跡、乞うご期待。

『プロメア』観て、完全燃焼した俺は満足しすぎて次元断裂

『プロメア』の良さは異次元。多くの人を魅了し話題となった本作の良さは今更語るべくもないことだが、敢えて語りたい。俺は本作を、語らなければ生きていけない。

【あらすじ】

炎を操る新人類バーニッシュの出現に端を発する惑星規模の発火現象である世界大炎上により、人口の半分が焼失してから30年が過ぎた世界。自治共和国プロメポリスでは、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団マッドバーニッシュに対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う高機動救命消防隊バーニングレスキューが消火活動を行っていた。

バーニングレスキューの新米隊員ガロ・ティモスは、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティアと出会う。「燃えて消す」を流儀とするガロと「燃やさなければ生きていけない」と語るリオは、互いの信念をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

燃える魂をぶつけ合う二人の戦い、果たしてその先にあるものとは――Wikipediaより引用

 

俺のトリガー&ガイナックスへの想いは上の記事に書いた通りなので、こちらも参照して欲しい。これを読んでくれれば俺がその辺のなんちゃってアニヲタ糞畜生とは違うということは分かってくれると思う。

 

 

アニメとしての全てが極上

作画・音楽・脚本そのすべてが最上級。これは昔からのガイナックスファンの心を開始10分で鷲掴みにして離さない(離されなかった俺が証人)とともに、最近アニメを観始めた将来性のある廃人候補も自宅警備員就職間違いなしの圧倒的JAPAN魂

危ない危ない、言いたい事多すぎて興奮してきたよ。うん、ゆっくり話そう。作画に関しては”すしお”さんを筆頭に『SSSS.GRIDMAN』等のアニメーター陣が終結。やはり今石監督作品にこのメンツは外せないよね。次に音楽、物語冒頭の大火事&マッドバーニッシュ初登場シーンでのsuperflyの『覚醒』。最高に痺れました。ふんぞり返ったリオの決めポーズもナイス。そしてキャラクターの動きに呼応するように鼓膜を揺らすのは、『キルラキル』でもその敏腕を示した澤野弘之さんの音楽。盤石かよ~。脚本に関しては観ろ。

 

「燃やさなければ生きていけない」

何の罪もない市民を殺さないことが誇りのバーニッシュ(炎人類)。炎を出さなければ人類と殆ど変わらないとは言え、その危険性から迫害を受ける可哀想な種族。

まず一つ良い…? 俺、本作を観ながら叫んだんだけどさ。リオの脇にいる2人、小西克幸と檜山修之やんけ。おいおいおいおいおいおい、『天元突破グレンラガン』におけるウルトラ重要キャラであるカミナ&ヴィラルの声をサブ役で使うという贅沢な采配。そしてファンには絶対に分かる熱すぎる美声。無論その演技に間違いはなく、ザコっぷり徹する崇高な役者心に魂が震えた。あ、あと早乙女くんも全く違和感を感じない名演でした。声優に転向しちゃおうぜ

 

「燃えて良いのは魂だけだ」

”バーニングレスキュー”の面々も総じて個性爆発。個人的に嬉しかったのはルチア(C.V.新谷真弓)かな…。『キルラキル』の蛇崩と言えば一番わかるかな(『フリクリ』のハル子でもあるんだけど!)。いやもうガイナックス同窓会かよ。地味に小山力也さんが隊長の声当ててるのも◎。

アイナ(C.V.佐倉綾音)の存在もかなり重要だと思った。可愛いヒロイン自体を久しぶりに見た気がする。いや、可愛いだけじゃなくてしっかり戦うんだけど。この、”戦闘には参加するけど、しっかり女の子(非主人公)”のポジションは『天元突破グレンラガン』のヨーコを思い出す(伝われ!この微妙なニュアンス!)。

まぁ、本作における声優で言えば、何よりもガロの声(松山ケンイチ)が良すぎた。「こ、こんなに男らしい声出せたんですね!」さすが日本のジョニーデップ。二枚目なのにアツいなんてやめろよ惚れるだろぜんぜん関係ないけど知り合いのスタイリストが松ケンの専属なので、今度サインお願いする

 

 

2人乗りロボットへの浪漫

2人乗りのロボットには浪漫が詰まってると思うんだ。敵だった者同士が協力して立ち向かう時、そこにはプラットフォームが必要だもんな。かの”グレンラガン”でも、カミナ&シモン・シモン&ニア・シモン&ヴィラルが乗り込み、物語の厚み(熱み・そして深み)を指数関数的に上昇させてくれた。”エウレカ”でもニルバーシュに乗った時の2人はいつもエモかったよな。『コードギアス』でも蜃気楼はルルーシュとC.Cが座ってるの観たら謎に心臓が高鳴ったじゃん? それ(え、盛り上がってるの俺だけ?)。

本作においては、対立していた二人の協力もストーリー上見事に構築されている。ここに違和感を感じてしまったら台無しだけど、本当に自然な流れでガロとリオは共闘することになる。中島かずき脚本に間違いなし

2人の対立だったものがドンドン拡がり、世界の危機に。そして世界との戦いに。よく考えたら、現実でもそうだもんね。小さな争いだと思っていた事が、実は根の深い因果から引き起こされた事の枝先にすぎなく。根本から解決させるためには世界そのものを正さなければならない。そう、この物語は世の中の縮図だ。だからこそ、この物語を観る価値がある。

 

 

2019年アニー賞ノミネート

っていうか未だに映画館で上映してるって超ロングランだよね。それだけ評価されているってことなんだけど。アニメ界のアカデミー賞と称されるアニー賞に2019年ノミネートされたのも頷ける。ちなみに興行収入は15億円越え

超インディペンデント作品としてはかなり夢のある実績だと思う。そりゃあね、『エヴァンゲリオン』とか”ジブリ”とか、新海誠とか。良いとされているモノ(実際良い)に比べたら物足りない数字かもしれない。でも原作も存在しない・確率されたフックの無い、いちアニメ会社が作ったオリジナル作品としてはこれは異例。絶対零度宇宙熱死砲の如く、日本アニメ界に光明を打ち込んでくれたんだ

 

【まとめ】

映画館に行くタイミングを逃していたので、AmazonのPrime videoで公開されたタイミングでの視聴だったわけだけど、後悔。これは映画館で観るべき作品だと素直に思った。

トリガーがある限り俺も生きよう。

『リスナーズ』10話が上質なジュブナイルだったので最終話を待たずに投稿

「頭ん中で考えてること。ちゃんと言葉で伝えなきゃ、分からんこともある。」モブおじさんの発言すらエモい。なんかブログ書く気力すら沸いてきた。これが『リスナーズ』。

【あらすじ】

人類が「ミミナシ」という謎の生命体に脅かされる世界。ミミナシに対抗して戦えるのは、戦闘メカ「イクイップメント」。そのイクイップメントとプラグインし、操ることのできるのは「祈手(プレイヤー)」という能力者であった。

リバチェスタという街で暮らす少年エコヲは10年前、ミミナシと戦ったジミに憧れを抱いていた。ある日、エコヲはスクラップ山で記憶喪失の少女を発見する。彼女は腰にアウトプットジャックを持つプレイヤーだった。

翌日、街はミミナシの大群に襲われるが、少女はエコヲ自作のイクイップメントを操りミミナシを殲滅。エコヲは彼女をミュウと名付ける。二人は街を飛び出し、ミュウの記憶やジミを探す旅に出る。Wikipediaより引用

ちなみに、アニメが始まった時にこのブログでも記事を書いているので、こっちの記事も要チェキ(ブログ作って最初に書いた記事だから色々と荒いな… これも一種のジュブナイルだと思って、miketaの成長を楽しみながら読んで欲しい)。というか最初に選んだアニメが『リスナーズ』って我ながらセンス良い

 

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最終回に向けて

盛り上がりは最高潮

ゴミ溜めの街から始まって、悩み、成長し、世界を一つにする。こんな最高なことってあるか? いや、ない。バラバラだった人々が一つになる瞬間ってなんでこんなに高揚するんだろうね。しかもヒロインがラスボス。本当に分かっている。

世界の力を結集しても歯が立たない相手に対して、唯一の切り札が主人公ってのもGOOD。「もう一度、あの子に会いたい!」という願いとともに、ようやく隣りに立てる力を手に入れる第10話の衝撃&王道感は「これを待ってたんだ!」感MAX

 

 

『クロスロード・ブルース』

話の流れで第10話に触れたので、ここで一度この神回についてハイライト形式で語ろうと思う。バンプの曲みてぇなエモタイトルを冠している時点で多少の予想はしていたが、究極の哲学回。この話なくしてはこの物語は成立しなかったなっていう内容は思春期に観てたらエヴァくらいの衝撃を受けたと思う。『攻殻機動隊』で言うところの第11話「亜成虫の森で PORTRAITZ」みたいなもんだ。

 

第一線から離れ、アメリカの牧羊地帯のような場所にたどり着いたエコヲが争いから離れた普通の人生を送るという、小休止話…かと思いきや、かなりオカルティックなスピリチュアル尋問→少年成長のジャスティス。この話を観てる時に俺は思ったね。香しいモーニンググローリーの匂いがしてきた と

 

すごく良い人なハズなのに、どこか不思議な雰囲気のするジャニス(金髪美少女)にクロスロードという”この世の全てが交差する場所”に連れて来られるエコヲ。「ちょっと待ってよ!そもそも君は一体…!?」と横を観ると、少女の姿は無く、「お前がどんなに親しみを感じていても、仲間だろうが家族だろうが、他社という存在を、お前はお前の人生の一部としてしか解らない。」と真理で心理を乱してくるオジサンの唐突な問答。き、きたぁ!この流れはジュブナイルにおけるクライマックスや!と歓喜する俺がいた(良いんだよ! 細かい意味なんて分からなくて!)。

 

自分の中の本当の気持ちを確認したエコヲは、前述している通り「もう一度、あの子に会いたい!」と自分の気持ちを強く認識。その瞬間、独り大麦畑の真ん中で突っ立て涙を流しているエコヲ(〆もエモーショナルにしてきた…だと!? )。今までお世話になっていた人たちは、本来とっくに居ない人たちで、結局はこのクロスロードという場所(概念空間?)を通して、自分で自分の気持ちに気付く主人公。ちなみに、この話でタイトル回収&ティザービジュアルの線路の意味が判明する。詰め込まれている情報量の多さが異常。これを神回と言わずしていつ言う? そう、今。

 

 

”エウレカセブン”との比較

ここまでアニメを観た人はとっくに気付いただろうが、ストーリー全体の流れとして『交響詩篇エウレカセブン』を思い出さずにはいられない良トレース。少年が少女と出会い、旅をして苦難を乗り越えていく中で仲が深まり、離れ離れになる。でも少年は成長し戻ってくる。Re ボーイ・ミーツ・ガール

10話の”クロスロード”はエウレカで言うところの”世界図書館”だろう。ここで懐かしのレントン(エウレカ主人公)は姉と再会し、世界の真実を知った。このまま人間が争いを続ければ「クダンの限界」(星における知的生命体の局地的飽和が引き起こす物理宇宙の崩壊)が起こると知って、それを止めるために最後の戦場へ赴いた。うわ、ていうか久々にエウレカのこと思い出したけど設定秀逸すぎるな…。

つまり『クロスロード・ブルース』で描かれたのは、この成長物語の局地的飽和だったってことだよ。リスペクト・オブ・エウレカをしつつも、全く新しいプラットフォーム&凝縮された成長譚を描き切った。セカンド・サマー・オブ・ラブは起こったと言えるだろう。時代を経ることでパワーアップして。いや、これから最終回でドでかい波を起こしてくれるのかもしれない。

 

 

 

【まとめ】

全体的に駆け足で進むのは仕方ない。エウレカが50話でやったことを12話で出来るかと言われれば出来ないだろう。ただ、驚くべきはまったく”負けてない”ということだ。脚本の質が尋常じゃなく良質。

また、映像&音楽というカルチャー文化が進化していることも一役買っている。心理描写やOP・EDでの本編補完を見事にこなしてくれた。そう考えると、アニメの技術が確実に上がったであろう事を実感したね。優秀なクリエイター陣が本気を出せばもはや50話でアニメをやる必要は無いのかもしれない

そんな『リスナーズ』、最終回にも期待してます。

Viva la Morning glory.

映画の『ピンポン』は観て、アニメの『ピンポン』観てない奴は日本国民じゃない

『鉄コン筋クリート』で有名な松本大洋先生が原作の『ピンポン』。2002年、窪塚洋介が主演の実写映画は日本でも大ヒットしたけど、2014年のアニメも映画に負けてない超名作だったんだよ。

あらすじ

才能にあふれ、卓球が好きで好きでたまらないペコ。子供の頃から無愛想で笑わないスマイルにとってペコはヒーローだ。

だが、ペコはエリート留学生チャイナに完敗。インターハイでも、幼なじみのアクマに敗れてしまう。一方スマイルは、コーチに才能を見い出され、実力をつけていく。

現実の壁にぶつかったペコと強さに目覚めたスマイル。それぞれの道を歩き始めた彼らに、またインターハイの季節がやってきた…。Filmarksより引用

アニメ版では、原作には登場しなかったけど松本大洋の構想にあったというキャラも登場してくる。それが物語を良い感じに盛り上げる。「映画は観たけど、アニメは絵が苦手」って言ってる人がたまにいるけど、全然わかってない。松本大洋の線を活かして動かされる水彩タッチのアニメーションは、原作の世界観を可能な限り限界までトレースしてるし、動きが加わることで映画版よりも情報量が凝縮されたアニメ化における一つの正解と言える

ピンポン
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アニメ表現の新境地

現実で役者を撮った後に動きを絵に落とし込む”ロトスコープ”を使用して作られているアニメーション。ロトスコープと聞くと、俺なんかは『悪の華』がまず頭に浮かんでくるけど(『花とアリス 殺人事件』もロトスコープだったね)、この『ピンポン』はカッコ良い構図を計算して作り込まれてる

漫画の中の「カッコ良い!」ってシーンを全部拾ってくれたセンスに脱帽。そして何より驚きだったのは、ぶっちゃけ漫画よりカッコ良いってこと。これは衝撃だった。一気に絵の力強さに持っていかれる感じはジョジョのアニメ化以来。萌え絵には無い輝きがある。単純に、スポーツアニメの表現手法で、新しい道を切り開いた超名作ってことをここで記録しておきたい。

もちろん、表現だけじゃなくストーリーも超面白い。基本的には国民の大半が観ているであろうあの実写映画版と大きな軸は変わらないんだけど、先に述べている通りアニメにしか出てこないキャラの登場によって深みが追加されている。より脇役の心境に光が当たっている感じかな。これはアニメ観た人の特権だし、ファンにとってのサービス要素でもあるから詳細は割愛する。

 

 

「おかえり、ヒーロー」

本作を語る上で絶対に外せないのは主人公ペコとスマイルの熱い友情だ。幼馴染の2人が高校に至ってなお爆発させたマグマの如き信頼関係には、理由なんか無くとも涙した人は多いハズ

観てない人の為にちょこっとだけ話すと、スマイルの名前の由来は「笑わないから」じゃない。ペコと卓球で戦ってる時に「笑うから」スマイルなんだよ。そんなスマイルが笑わなくなったっていうのは、圧倒的な実力だったペコが低迷期に入ったから。だからスマイルは子供の時の様に”圧倒的に強い”ペコが戻ってくるのをずっと待っていた

この男特有の、友達へのライバル意識が非常にアツい。突き詰めると『ピンポン』って、この2人の青春が凝縮された物語だからさ、ペコvsドラゴンとの戦いで自信と実力を取り戻したペコの姿に、作中屈指の名言「おかえり、ヒーロー」が飛び出したのは必然と言えるんですよね。

 

vsドラゴン

ちなみに、このヒーロー(強いペコ)復活の戦いとなるvsドラゴン戦も極限までアツい。映画版のクライマックスになる通り、圧倒的一強として君臨していた孤独な怪物に対して、卓球をすることの純粋な楽しさを思い出させるペコ。それだけ自分自身が卓球を楽しんでるってのが強く伝わってくる名バトル。

最初はペコに対してメチャクチャ敵意を露わにしていたドラゴンが、試合終盤では笑いながらペコとのラリーを楽しむっていうのが良いよね。一種の悟り状態みたいにトランスしながらお互いを高め合う姿に、全スポーツマンは落涙必至。認めてる者同士の戦いには凝縮された魂の会話があるんだよな。ペコも最後に「カッコ良かったぜ、ドラゴン」って言ってるし、アニメ版が映画と同じくこの試合で終わっても名作の仲間入りはしていた。だが、ここで終わらないのがノイタミナ

 

 

ヒーロー見参

アニメ版の絶対視聴ポイントは、無論、最終話(11話)の「血は鉄の味がする」だ。実写映画版ではペコがドラゴンに勝って、ペコvsスマイルの決勝戦は”ご想像にお任せします”って余韻を残して終わらせたけど。アニメ版では伝説の決勝戦を描いた

笑いながら試合をするスマイルが戻ってきて、「僕の血は鉄の味がする」って、ロボットと呼ばれていた少年が人間であったことを自覚する瞬間。ここにまず涙腺ダムが崩壊。

 

輝かしい想い出

そうそう、あと、映画版との違いとしてもう一つ絶対に観て欲しいシーンがある。舞台は未来、卓球場タムラで子供たちに卓球を教えるスマイル。日本代表として中国戦に向かうペコ。大人になってそれぞれ卓球と関わっている2人が描かれるのも本当に良い。

そして卓球場タムラに往訪するドラゴン(マフィアみたいな風体)。スマイルと2人で、海を眺めながら大人口調で仲良さげに話をする様子は、高校時代の激戦が、その後も友情を育むきっかけになったであろう事を想像させる。

高校時代、部活やスポーツに打ち込んだ想い出ってのはさ。大人になると本当に脳の端っこの小さい思い出でしかなくなる。昔を懐かしんだ時に「何であんなに頑張ってたのかなぁ」と思うことも多いが、楽しかった思い出ってのは、その後の人生に大きな影響を与える。結果として「頑張って良かった」と思えるから不思議だ。

卓球場の壁には大会の時の表彰台の写真。笑顔のスマイルには悔いは全く無い様に見えるのは俺だけじゃないハズ。

 

 

まとめ

以上、Netflixでアニメが全話視聴できるようになった記念の駆け足『ピンポン』語りでした。いや、これ本当に最高のアニメだから全国民に観て欲しい。あの映画版に負けない作品を作るってのは相当にハードル高かったと思うんだよ? でもそれを見事にこなした湯浅政明監督にスタオペだよ

アクマとかチャイナとか、語るとキリがない位に脇役たちの人間性にフォーカスした内容になってて、書いてて「収集つかなくなるな…」と気付いたんだ。だから実は800文字くらい消したけど。そのくらい面白い。映画は映画でエンターテイメントとして一級だったけど、本当に負けてない

まだの人はみて。絶対後悔しない。

海外に評価される日本的美意識の塊『パプリカ』を、代理店PRは会議室で観ろ

日本よりアメリカで評価されている映画No.1『パプリカ』。R指定の劇場アニメでは異例の人気を博した本作、もっと日本でも知られて良いと思うんだよね。

あらすじ

パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。

ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。

敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る。Wikipediaより引用

キャッチコピーは「私の夢が、犯されている」

 

 

パプリカ(C.V.林原めぐみ)

主演はまさかの林原めぐみ。夢の中での探偵としてのパプリカと、現実世界の千葉敦子の2役を1人でこなす(まぁ役柄的に1人だし)。現実世界では黒髪キャリアウーマンな凛とした女性なのに対して、夢の中のパプリカは小悪魔チックな明るい性格。この演じ分けが地味に良い。さすが時代を築いた一流声優。『名探偵コナン』で機嫌の良い灰原が観れた時の歓びを思い出した

 

実力派声優の本気

意味があるのか無いのか分からない。そんな言葉が飛び交う夢物語。林原めぐみ以外にも江守徹・堀勝之祐・大塚明夫と超実力派が軒並み揃った声優の本気が聴ける

最近のアニメでも中々揃わないメンバーが捲し立てる狂言の数々は一見の価値あり。それに伴って物語も佳境に向かう。俺的オススメは「おお!有史以来の待ち人!その笛の音はニューロンの癒し!香しき脂肪分は至上のランチ!」と言って女性を上の口で普通にパックンするところ。本当に意味がわからない

 

 

夢と現実の境界がなくなる

物語終盤で夢世界が現実にも侵食してきてカオス具合が臨界点突破する。パプリカと千葉さんの2人が揃った時点で「?」という脳内エラー表示はMAXに近いんだけどね。物語を中盤くらいまで観てると不思議とそれが心地よくなって来る

大凡の戯言を抜きにストーリーを頭の中で整理しながら観ていると、夢×刑事ドラマのサスペンスとして良く出来てる。『サイコパス』よりもフィクション色強めなんだけど、『攻殻機動隊』ほどSFよりでもない。夢自体が曖昧&混沌すぎてジャンルに特化してない感じが逆に新境地。ストーリーの内容どうなの?ってことを話したいけど、夢要素が強すぎて…文章で書いても良く分かんないことになる。これたぶん観てもらった方が早い。ただ、オチ的な結論から言おう、これは全デブ救済アニメだ。

パプリカ

 

 

 

まとめ

正直、俺も最近まで観てなかった。たまたま昔のニュース記事を読んでたら「え、何、パプリカってそんな海外で人気あったん?良さそう」と思って観るという完全な”にわか”

でも結果として観れて良かったと思う。単純に声優が聴けるだけでアニメ好きにとっては嬉しいけど、それ以上に海外で評価されたっていう理由もなんとなく分かるクールジャパンがここにはあった。「こういうアニメで日本ブランドの市場価値は高まっていったんだなぁ」ってことが良く分かるし、確かにこれは日本人ならではの美意識が凝縮されていると感じた。むしろ、最近はちょっとカッコ付け過ぎてて、本当に世界にウケるのはこういうJAPAN像なのでは?とすら思えるので、日本代理店のPR関係者はこぞって会議室でチェックした方が良い

まだ観てないアニメ好きも、時間あったら観て。

Netflixで『GREAT PRETENDER』観て将来の夢がコンフィデンスマンになった

”詐欺”を題材とした作品って初めてかも。初めて食べたジャンルの料理って、美味しいのかどうか、比較対象が無いと分からないじゃん。でも美味しい料理は問答無用で美味しい。この『Great Pretender』もそれ。

あらすじ

自称“日本一の詐欺師”こと枝村真人(エダマメ)は、年寄りや旅行客相手に詐欺を働いていた。

そんなある日、標的に選んだ外国人バックパッカーはまさかの同業者だった!

彼の名はローラン・ティエリー。エダマメを気に入ったローランは、ロサンゼルス・ハリウッドで“ある勝負”を提案する。公式サイト 第一話

7月からの+Ultraでの放送に先駆け、Netflixでの1~5話先行配信。ずっと気になってたから昼間っからソッコー観た。結果としては大正解な判断だったと言わざるを得ない。制作は『進撃の巨人』『鬼灯の冷徹』『魔法使いの嫁』『恋は雨上がりのように』のWIT STUDIO。ここ主導の作品はクオリティ高すぎて、本当に観ているだけで楽しい

 

 

騙しのレベルが規格外

常識に囚われない規模で考えられた詐欺の手口は、観ていても全く予測不可能。でも理解した時に「なるほどそういう事か!」ってなるのが気持ち良い。最初からここまで考えてたんだとしたらマジすごいなルパンかよ…と思ってたら、脚本家が古沢良太! 『リーガルハイ』『コンフィデンスマンJP』の立役者が話を考えてるならこのエンタメ具合も秒で納得

冒頭一話で、蛇口に取り付ける浄水器で詐欺を画策してたとは思えない額で指数関数的に取引内容がデカくなっていく様子は、全部観た後で思い出すと鼻で笑えるくらい子悪党。世界はもっと広くて、中でも自由と資本主義のアメリカ様はやっぱり偉大だなって思えてくる

 

 

人生という舞台の一流役者

俺はこのアニメを観て改めて、人生で賢く生きるには演技力が必要なんだなって実感した。生きていく上で、人と接する上で一番大事なことと言っても良い。この作品の登場人物はそれのプロフェッショナルで、最高に痛快なので、生きるのに困っている人は観て損は無い

作中には詐欺師の他に、マフィアも出て来るんだけどね。ロス市警が出てきたと思ったらFBIも出てきて最高にハイ。この鼠算式に登場人物が絡み合っていくのが良いんだよな~。ちなみにマフィア映画らしい格好良い銃撃戦もあれば、息子を大事にする屈強なマフィアの姿もしっかりと描かれるから、洋画好きは結構この時点でハマる。

あと主人公のエダマメが本当に良い奴なんだよ(いや詐欺師なんだけど)。母親を大事にする奴に悪い奴はいない作中に登場する詐欺師が敏腕すぎて、たぶん実力的には下から数えた方が早いんだけど、主人公としての器がしっかりと確立されてるのが超好印象。と言いつつも、俺の推しはもちろんシンシアさんだ。観れば分かる。

 

 

まとめ

何故こんなにも+Ultraは名作をやってくれるのか。何か大きな力が働いているのではとすら思えて来る。てか、何で俺こんなに絵が好きなんだろう…と思っていま調べてたんだけどさ、わわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!キャラデザが! 貞本義行 様やないけ!マジか。ぜんぜん意識しないで見てた。いや、むしろ何で俺気付かなかった? 馬鹿か? 知ってから観たら絶対にそうなのに。「このキャラの感じ、懐かしいなぁ~」とか独り言ほざいてた自分の目ん玉に液晶を擦り付けてやりたい。

6話以降も絶対視聴が決定しました。

ロサンゼルスに乾杯。

密かにファンを増やす中国産アニメ『シザーセブン』を、もう観たか?

中国で大人気のWebアニメがNetflixで観れることはご存じだろうか? 『シザーセブン』は一話15分程度の短編アニメながら、ツボを押さえたストーリーゆえ、日本のアニメファンにも響くのは間違いない。

簡単なあらすじ

主人公のセブンは記憶を失った少年。分かっている事は、ハサミを意のままに操ることが出来ること。言葉を話す青い鶏と一緒に失った記憶を取り戻すために殺し屋稼業を始める。

普段は美容室で仕事をしながら、殺し屋としての動き始めるセブン。でも世の中には強い奴が幾らでもいて、失敗続き。

殺し屋をとして人々と接していく中で、絆が国の危機に一つに集まる時、失われた記憶が取り戻される。基本一話完結のギャグ有り王道ストーリー。

基本的にギャグを主軸に進むストーリーながら、次第に過去が明らかになっていって気が付いたら繋がってる、『銀魂』みたいな感じ。シーズン2まで出てるんだけどね。シーズン1のメインストーリーは10話、番外編が4話の全14話。メインストーリーのラスト3話くらいは少年漫画風のアツい展開だから非常に楽しく観れる。

 

 

C.V. ジャングルポケット斎藤

主人公セブンの声が棒読みと言われれば棒読み。でもその間抜けさがすごく合っていると言えば合っている(ような気がしてくる)。髪を結わえてる時と解いた時(と言うよりも記憶の有無)で、キャラが全く違う。この絶妙な違いを演じたと言えば演じきったのは中々な功績だと思う。

他のキャラに関しても敢えて間の抜けた演技をしているような感じで、全体的に統一感のある演技だったのも、ジャングルポケット斎藤氏の演技を上手く調和していた気がする。

 

 

脚本が予想以上にエンタメしてる

セブンの特技として、ハサミを操る他に変化の術(忍術的な何か)が使える設定なんだけど。これが物語を面白くしてる。殺し屋として色んな所に潜入する時、様々なモノに変化してターゲットに近づく。ある時は石、ある時はココナッツ、弱った魚とか。※ちなみに殺し屋ランクは17369位記憶を無くす前は最強格。

基本的には殺しの為にこの変化を使用していくが、問題解決に適した能力のために依頼内容が万事屋じみてくる。なお、上の画像はシーズン2の戦闘中に猫が犬の歌で感傷的になっている画像だからセブンとは全く関係ない。

 

みんな大好きシーズン1-6話

「脚本が良いなぁ」と思ったエピソードの代表として真っ先に思い浮かぶのが、シーズン1-6話。ある日、少女の殺しを請け負ったセブンが殺しに赴くと「死ぬ前にやりたい事がある」とお願いを請ける。少女の願いはコーラ一気飲み・看護婦さんに注射、元カレに金的攻撃など、素朴な願い。これらを変身能力で解決していくセブン。そして最後の願いが「自分を殺して欲しい」っていう事で、実は少女自身の抹殺を依頼していたことが明らかになるんだけど。結局セブンは今回も殺しの依頼を達成せずに終わることになる。そう完全に『銀魂』のマジメ回。こういう王道エピソードを真面目に演出できる作品は良作。

 


ちなみにシーズン2ではこの少女の病気の由来が明らかになる哀しみのエピソードがあるので必見。というかこの娘めっちゃ可愛い

 

終盤の盛り上がりが異常

シーズン1ラスト、襲ってくる大国の王子。今まで出会った人(殺せなかった人達含む)と協力して立ち向かうも太刀打ちできず、失われた本来の力が目覚める。まさに王道! 正直、ラスト3話くらいは一気に観てしまうクオリティで、ずっと逆作画崩壊してる感じだった。分かりやすく言うと『家庭教師ヒットマン リボーン』の骸戦くらいのアツさはあった。

※『ニンジャスレイヤー』・「パンティ&ストッキング」みたいに、頭身が8になることは決してないから。勘違いは厳禁。でもめっちゃヌルヌル動くから良いよ。

 

 

まとめ

冷酷だった過去、記憶を失って人々と接していく中で目覚める人情、リズミカルなギャグ、と秀逸すぎる脚本。これは観る意味あるなぁと俺は感じたね。ちなみに番外編では主要キャラの過去編紹介ストーリーで、それがシーズン2にも繋がってたりするから全部見た方が楽しめる。

噂ではシーズン3も中国では放送しているとか…?

Netflixで観れるようになればすぐに観ようと思う。

酒を飲んだテンションで『波よ聞いてくれ』の女性陣について書いたから読んでくれ

2020年4月からアニメがスタートし、その魅力を地上波デジタルの波に乗せて拡散している『波よ聞いてくれ』。この面白さ、本当にもっと多くの人に届けたい。

あらすじ

舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは酒場で知り合ったラジオ局員にグチまじりに失恋トークを披露するが、翌日に録音されていたトークがラジオの生放送で流されてしまう。

激高したミナレはラジオ局に突撃するも、ディレクターの口車に乗せられアドリブで自身の恋愛観を叫ぶハメに。

この縁でラジオDJデビューしたミナレを中心に、個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。

さあさあ、波よ聞いてくれ!!!引用元:原作1話あらすじ

黙ってればスタイル抜群の金髪美女なのに、口と酒グセの悪さからThe 残念な美人ことミナレ。いきなりラジオパーソナリティとして活躍する(The ラジオ局遊撃隊の)トークスキルとその発想力は素人離れしてて本当に奇抜。ちなみに声優の杉山里穂はリアル北海道出身で今回が主演デビューのガチ美人

舞台となる北海道のローカル感。リアリティ味のあるギャグに全振りしたストーリーだけど、ラジオの収録現場・風景を事細かに描くニッチさは漫画に新しい波を生んだ。こんな人達が実際にいたら面白いなぁと思わずにはいられない、ある種”働く女の子シリーズ”の大人(熟女)版。 [補足: 新宿三丁目にあるスープカレー屋さん「東京ドミニカ」がミナレの働くVoyagerのモデルになっている(北海道じゃない)。]

波よ聞いてくれ(1)
(アフタヌーンコミックス)

ヤバくて良いオンナしかいない

作者:沙村広明さんの、『無限の住人』の頃からの悪癖特徴なんだけど。登場する女性がことごとくヤバい。主人公のミナレのヤバさと魅力はアニメを観れば開始10秒で実感できる。でも他の女性陣も総じて性格・性癖ともに歪みきった女性だということを忘れてはならない。この作品の良さは女性陣にある。原作読者の俺がその魅力の一端を紹介しよう。

 

 

 

鼓田ミナレ

推しも推されぬ主人公。生き意地の悪い女日本代表と言えるその思考回路には毎話感服する。ダメ男を好きになる母性と、抜群の行動力がフュージョンして人生がゴテンクス(失敗)。また、恰幅の良い男が性的に好みで、宗教団体に拉致監禁された時に美少年をハニートラップ役にあてがわれても肉体関係を拒絶する意志の強さを持つ。得意技はフランケンシュタイナー。黙ってれば美人。

 

 

 

南波瑞穂

家賃の払えなくなったミナレを家に泊めてあげるだけでなく、「いつまでもここに居れば良いじゃないですか」と甘言を囁く天使。しかしてその実態は構成作家(官能小説家)の久連木に高校時代から想いを寄せて同じ職場に就職を果たす対戦車地雷。現実にいたら一番可愛いけど一番地雷。また、精神的に思い詰めると包丁を備前長船なみの切れ味になるまで研ぐ(地雷)。でももし付き合ってたら年内にプロポーズする。普通に可愛い女性。

 

 

 

城華マキエ

交通事故を起こした兄の責任を取ってVoyagerで無償労働することになる黒髪の麗人。過保護な兄の束縛から逃れることができ、人生の喜びを見出だしつつあるが、実は卓越したラジオはがき職人。この綺麗な容姿で「網走刑務所の囚人の作った家具だけでトータルコーディネート」「膣をどこかに忘れてきた」というネタを投稿する類まれなるセンスを有する引き籠り。『無限の住人』に登場した作中最強の剣客ではない。

 

 

 

芽代まどか

ミナレの甲高い声色とは違い、人を安心させるリアジェリング・ウィスパーボイスの持ち主。アニメではカット? されてたけど、ミナレに対して対抗心のような興味を示しまくって公園のベンチで日本酒飲みを強制してくる可愛いババァ。突然パンチの聞いた酔いどれ説教されたミナレも思わず幣舞橋の銅像」と貧乳具合をディスるも、翌日にはこれを自虐ネタとして口撃してくるあたり百戦錬磨の性格悪さ。正直アニメではその魅力はまだ一切魅せれてない(二期フラグ?)黙ってればスレンダー美人。

 

 

まとめ

基本的に皆、黙ってれば美人なんだよ。というか、現実でも結構そうだよ。女性というものは可愛い存在だ。でも、男が真に惚れるのはそこじゃないからな。結婚という悪徳契約交わしてでも一緒に居たいと思える女性は、総じて可愛さ+αを持っているワケで。だからこそ一緒に居たくなる。この作品に出てくる女性キャラは、皆その辺を兼ね備えていると言っても良いような気がしてきたと思ったら酩酊して頭が痛いからたぶん酒のせいで思考回路がまとまってないんだろう。忘れて

ちなみに、アニメでどこまでやるのかってのは今後この作品に大きく関わってくると思う。ぶっちゃけ宗教団体編は「ラジオ要素どこいった!?」ってなるけど、一番面白いからやって欲しいな。(でも尺的に無理だな)。山中で消えた律子(天井裏で死んでなかった人)も出てくるし。官能小説家・ミナレ・瑞穂の大冒険でようやく一区切りする感あるしな。あとこのエピソードの終わり方が神

アニメが面白いと思った人は原作もぜひ。

鬱上級者がアニメ上級者に観て欲しい鬱アニメ【おすすめ5選/上級者向け】

鬱経験者の俺が自信を持ってオススメする鬱アニメ。

はじめに言っておこう。この記事では『School Days』とか『SHUFFLE!』は取り上げない。一世を風靡したこれらの作品は、俺の中で観ていて当たり前のバイブルだからだ(同じ理由で『魔法少女まどか☆マギカ』『がっこうぐらし!』等も無し)。この記事では、アニメ好きでも意外と観ていない作品をフィーチャーしたい。

『なるたる』(2003)

あらすじ

ある日、祖父母の実家に遊びに来ていた玉依シイナがヒトデのような謎の生き物「ホシ丸」に出会い、またそれがきっかけで「竜の子」、「竜骸」などと呼ばれる謎の存在、そしてそれらと「リンク」することで竜の子たちを操るさまざまな子供たちと出会い、交流を深め、時には戦う事になりながらも成長していくオムニバス形式のファンタジー作品。

ひらがな四文字のアニメは萌え豚御用達だと誰が決めた? 『ぼくらの』作者である鬼頭莫宏と言えば大まかな内容は分かるハズ。作者自身が「当時病んでおり、無意識的に精神状態が反映された」と語る通り、生粋の鬱作品。より社会に対しての怨恨が濃かった時期の作品と言い換えても良い。

軽~いバトル中心のストーリーかと思いきや。物語の途中から少年少女の精神状態・思春期に抱える人間関係の悩みが主題となってくる。その歪曲したジュブナイルに共感したら最後、抜け出せない鬱ラッシュ・マウンテンに乗車完了。シートベルトの準備はOK? むしろこの辺で心にダメージ負うくらいならこの先観ることは不可能なので、途中乗車するなら4話~5話がベストかもしれない。ぜひ心と相談して観てくれ。

 

内容とはかけ離れた陽気OP

このOPが醜悪 !  何故にこんなにも本編とはかけ離れた映像にしたのかは不明。一見すると日常系萌えアニメに分類されるこのOP映像と、日常の中の希望の存在を仄めかす歌詞は多くの視聴者を騙した(ちなみにフルで聴くとちゃんとハートフルボッコ歌詞してる)。というかそもそもキッズステーションで放送すな

TBSの地上波放送では、12話の一部が倫理委員会によりカットされるという鬱アニメ認定試験も無事突破。間違いない鬱作品と言える。ちなみに、原作はアニメよりも細かくストーリー回収してくれてるからより深部へ挑戦したい人は原作を読むことをオススメする(責任は取らない)。

なるたる(1) (アフタヌーンコミックス)


『ベルセルク』(2016)

あらすじ

“自分の国を持つ”という大きな野望を持つグリフィスは絶対的な力を持つ「ゴッドハンド」の五人目の守護天使となることと引き換えに自分が最も大切にしていた者たちを生贄に奉げた。

生贄の儀式の生き残りでありグリフィスの片腕であったガッツは身の丈を超える巨大な剣を持つ「黒い剣士」となり、仲間を裏切って無残に殺したグリフィスへの復讐のために世界を旅する。

日本が誇るダークファンタジーの巨塔。海外からの評価の方が高くて、俺の周りの漫画好き・アニメ好きでも意外と観てない作品の筆頭。原作40巻くらいしか出てないのにね。まぁ、内容が濃すぎて一人の男の鬱人生体感できるからな

中世ヨーロッパ風の”剣と魔法の世界”の王道を素で行くと聞けば、多少なりとも興味を持ってくれる人はいるかもしれない。だが、そんな軽い気持ちで観ると熱いフライパンで焼かれる冷凍ステーキのように苦しむことになる。

 

親友全員と恋人を同時に失う拷問展開

人理を超えた存在になれる券が当たったから人生の友全員生贄に捧げるでござる!という人間の業を描く胸糞王道ストーリー(でも、辛かったんだもんな!そりゃ人間辞めたくなるわという同情要素もある)。しかも特筆すべきはその人生の最底辺部分が描かれるのは作中中盤の過去編という残酷さ。こんなこと抱えて生きてたのかよ…ってなる。

真のダークファンタジーにおける悪魔どもは相手が男だろうが犯すし四肢でキャッチボールしながら大切な人を嬲る。信じ切っていた親友に裏切られ、悪魔たちに心と身体を凌辱される仲間を見ながら、なお生き続けた男の物語を観れば鬱間違いなし。例の如く、原作の方が数倍精神病めるし、辛すぎて人間辞めたくなるから読んで欲しい(絵の描き込み具合が日本トップレベル)。ハリーポッター好きな人とか、百味ビーンズの絶望味だと思えばちょっとワクワクするのでは?(しない)

ベルセルク 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

『最終兵器彼女』(2000)

あらすじ

北海道の何も無い、でも坂ばかり多い街に住んでいた僕(シュウジ)。

ある日靴箱の中に手紙が入っていた。ちせからの手紙。僕らは、彼氏と彼女になった。 ちせと本当の彼氏、彼女になってからしばらくしたある日、町でタケやノリと買い物をしていたらいきなり僕達の日常が終わった。

そこで見てしまった、彼女。ちせ。

僕達は、恋していく。

ごめん、これは流石に有名すぎたかも。でも案外ちゃんと観てる人少なくない? アニヲタなんですぅ~って言ってる奴だいたいこれ観てなくない? にわか判別アニメと言っても良いかもしれん。

戦争に巻き込まれて無双していく物語は数あれど、最終兵器になる事の悲しさをここまでリアルに描写したのは本作くらい。ただの一般人がいきなり最終兵器になってジェノサイドするが、「それでも恋がしたい」という万国共通時代不問の乙女の心情が見事に北海道の地を舞台に顕現。ちなみに実写版、あれはダメだ忘れろ。

 

愛が純粋だからこそ病む

これたぶん、キャラの年齢が大人だと全く違う作品になったと思うんだ。高校生の恋愛をしながらの兵器生活だからこそ、日常の素晴らしさと憧れが際立つ。俺がこれを観たのも高校生だったからかな…「この作品観て一緒に泣けるような子と結婚したいな…」って思った記憶がある。話が遥か過去に飛躍したが、そのくらいリアルな心情が描かれてた。

原作は原作で、儚い気持ちを上手に表現している点が◎。

最終兵器彼女全7巻 完結セット (ビッグコミックス)

 

『今、そこにいる僕』(1999)

あらすじ

剣道場から帰る道の途中でシュウは、廃工場の一番高いエントツのてっぺんで佇んでいる見知らぬ少女のララ・ルゥを見つけた。

少女に興味を持って話しかけるが、少女は無言で夕日を見つめている。そんなとき突然、空間の彼方から彼女を狙ってやってきた奇怪なロボットの集団が迫ってきた。

ララ・ルゥを助けようとしたシュウはエントツから真ッ逆様に落ちてしまい、目覚めたらヘリウッドという知らない世界に連れてこられていた。

ちょっとジブリっぽい絵柄で可愛らしいキャラが特徴(というかだいたい他の作品もそうだけど)。この絵柄で、王道のボーイ・ミーツ・ガールを描く少年少女の成長物語…かと思いきや、ひょんなことから異世界に連れてこられたヒロインが強姦される(しかも妊娠する)という鬱病発症特効薬。


戦争×終末×絶望のトリプルコラボ

異世界で王女を助けるために、兵隊として奮闘する少年の頑張りをひたすらに見守るというだけでも十分鬱要素があったのだが。物語終盤にかけての報われなさが異常。なんでこんな子供たちがこんな目に…という理不尽さで、怒涛の如く畳みかけてくる哀しみは最終回でピークを極め、「いつか…また一緒に夕陽みようね?」というララ・ルゥの最期の虚無感でご飯3杯は食べれるくらい、心にぽっかり穴が空く

今、そこにいる僕

 

 

『TEXHNOLYZE』(2013)

あらすじ

絶望と暴力に支配され荒廃した都市・流9洲(ルクス)。地下にあるこの街は、地上との通行を遮断され、吹き溜まりのような場所と化すも特権階級である“クラース”とギャング的な自警団である“オルガノ”によりかろうじて維持されていた。

ある日、この地に一人の男が地上から通風孔を通って降りてきた。男の名は吉井。ある野望を遂行すべく降り立ったこの男を迎えるのは、賭けボクシングで生計を立てるも瀕死の重傷を負った少年・櫟士、近い未来を見ることの出来る少女・蘭、街の声を聞くことの出来るオルガノの長・大西京呉、そして未来の義肢である「テクノライズ」の技術に魅せられたクラースの科学者・ドク。

この男の来訪により、やがて流9洲は街全体を巻き込んだ事件へと発展していく。

最後は『TEXHNOLYZE』(テクノライズ)。「鬱アニメを語る上で、この作品は絶対に外せないでしょ!」っていう超名作。台詞という台詞が無い第一話は当時ネットで話題になった本当の問題作でもある。

安易な気持ちで観ると絶対に途中で挫折するから、本当に鬱になるアニメを探してるっていう人だけ是非ともチェックして欲しい。話自体がかなり面白い(面白いとは言ってない)し、物語終盤の盛り上がりというか加速具合は比肩する作品無し(かなり人を選ぶ)。「は?何このアニメ?」という感想を抱くことになるが、一気に観ることでその疑問はなんとなく解消されていく

 

心・身・誠・救・済!!!

まずOPがインストゥルメンタル。あぁ…これヤバいやつや…感満載の開幕に心をやられている暇はない、本当の絶望は遥か彼方。と言っても、これは俺の感想だから。嵌る人は本当に自分の人生の1ピースかのようにド嵌りするし、1話からメチャクチャ面白いっていう視聴者もいる(ピカソの生まれ変わりとかですかね)

肝心の物語はSF任侠モノ…って言うのが一番近いのかな。進化した人間が幸せになる訳ではなく、最期に向かう退廃した世界で、どう人間は生きるのかっていう事を考えさせられる作品だった。見せかけのカッコ良さや可愛さ、そんなものどうだってよくなる。完全に希望の立たれたラストシーンで逆に希望すら見えてくる気がした俺は少し重篤な気すらした。何を言っているか分からないと思うが観れば分かる。それほどに深い。繰り返しになるが、「これが自分の人生に足りなかったアニメだ」って人、本当にいるからな

TEXHNOLYZE 全8巻セット

まとめ

以上、鬱だった俺も認めるアニメ上級者にこそ観て欲しい5作品でした。むしろ、この5作品観たら鬱アニメマイスター名乗って良いと思う。

「意外と観られてない」って言っても観てる人は観てるし、何ならこの記事を探し出すくらい鬱への探求心を持っている人は既に全部視聴済みかもしれない。そんな人は、『ベルセルク』以外は結構昔の作品が多いし、懐かしいなぁと思いながら笑ってくれれば嬉しい(笑えるくらい心が壊れているなら)。

観てない作品が一つでもあった人は、死にそうに辛い境遇の時に視聴して欲しい。より作品にのめり込めるし、良くも悪くも人生を変えてくれる作品になると思う。

大切なことは観て何を想うかだ。人はどれだけ絶望の中にいたとしても、希望を見出だすと俺は信じています。

俺は人生で一番面白かったアニメ映画と問われたら『REDLINE』と答える

人生において、傑作と言うべきアニメに出会うことが稀にある。
俺にとって、その代表作品が『REDLINE』ってワケだ。

御所アニメーター小池健・川尻善昭・大平晋也、当時ガイナックスに所属していた大平晋也・すしお、伝説級のクリエーターが集ってCG無しの手書き と言えば、アニメ文化に造詣の深い者なら察するだろう。

2010年に公開された本作。10年を経てもなお衰えず「笑い120%、涙120%、熱量1200%」で輝く魅力を、俺なりに紹介したい。

あらすじ

物語の舞台は、地球から2万1千光年離れたM3星雲という星系。 そこでは一時に数多くの知的生命が誕生し、ほぼ惑星一つ単位で文明が生まれた。 が、違う文化を持つ種族の間では摩擦が起き、紛争が起こり、やがて星雲全体を巻き込む宇宙戦争へと発展してしまう。

2度に渡る大戦が終わりひとまず宇宙平和条約が結ばれたものの、経済は泥沼化し、一部の星では軍事目的の技術研究も未だに行なわれており、現代の地球と同じ平穏と緊張と閉塞感が背中合わせにある時代が訪れていた。

そんな中、2度の大戦をまたいで尚絶大な人気を得て興行されている娯楽があった。 宇宙最速を決める5年に一度のカーレースの祭典、”REDLINEグランプリ”である。

電動ゴマと呼ばれる反重力エンジンを積んだエアカーが主流になりつつあるこの時代に、 敢えて旧来の燃料エンジンを積んだ四輪車で走るというマニアックさと、エンジンに関する事以外は禁止事項が無くどれだけ大きかろうが武器を積もうが何でもアリという過激さと能天気さで人気を博しているガチンコバトルレースだ。

そのREDLINEも8回目を数え、犬型獣人族の住むドロシー星にてREDLINE参加権残り一枠を賭けた最終予選レース、YELLOWLINEドロシー星大会が行なわれる。 まるで重戦車か戦闘機、あるいはその両方を足した様な姿の車達が激戦を繰り広げる中、一台だけただの車同然と言えるマシンが走っている。

マシンの名は”トランザム”。

それを駆るレーサーの名は、
“スゴク優しい男、JP”。

REDLINE
コレクターズ・エディション [Blu-ray]

 

木村拓哉&蒼井優のW主演

神キャスティング、この一言に尽きる。

というかコレ社会的に認知されてなさ過ぎない? 俺も当時、吉祥寺のバウスシアターに偶然迷い込んで観るまで知らなかったぞ。キムタクに関しては2004年の『ハウルの動く城』以降、沈黙を破ってのまさかの出演。つまり、ジブリの次に選ばれたのがこの作品なんだよ。蒼井優も『鉄コン筋クリート』から4年ぶりの声優挑戦。演技に関しても全く問題ない、むしろ超ハマり役

 

「すごく優しい男」
JP(C.V.木村拓哉)

本作の主人公。

本名:ジョシュア=パンクヘッド。鬼盛りリーゼントに革ジャンという厳つい格好でキメているが、中身はレースを愛する純朴な青年。

少年時代に一目惚れした少女ソノシーを今でも想い続けているウルトラ純情野郎。

ミサイルが挨拶みたいな殺人レースにおいて、武器0速度100にカスタマイズした愛車のドライビングテクニックだけで勝負するという、頭のネジが飛んだイケメンリーゼント。相棒のメカニック・フリスビー(C.V.浅野忠信!)の身代わりで前科持ちになり、保釈金返済のために八百長試合を続けるデススパイラルな人生を送る。中々に可哀想な境遇。

作中でもこのフリスビー(C.V.浅野忠信!!)との友情がとても熱い。REDLINE本戦ではドライバー・メカニック・ジャンク屋の三位一体ゴールデントリオで宇宙のキチガイ猛者どもと凌ぎを削ることになるが、走りながらも互いを信じあうその姿は『弱虫ペダル』における福富と荒北の名コンビを彷彿とさせた(主に俺に)。直前まで八百長する気満々だったのに、夢の舞台で走っているJPを観ているうちに「俺は最後までレースが観たいんです!」って、ヤクザ相手にメンチ切るフリスビーには落涙必至

 

「チェリーボーイハンター」
ソノシー・マクラーレン(C.V.蒼井優)

本作のヒロイン。

JPの少年時代からの片想いの相手であり、同時にREDLINE優勝を目指してしのぎを削るライバルでもある。

人生の全てをレースに捧げている一本気でクールな女性であり、大のエンジンオタク。恋愛関係にはさっぱり興味が無く、告って来た相手を片っ端からフる様から「チェリーボーイハンター」と勝手にあだ名が付けられてしまった。

REDLINE出場が夢で、そのために全てを犠牲にしてきたという正真正銘の女性車ヲタ(めちゃくちゃ可愛い)。基本的に純情なので、ロマンティックに攻めてくるJPに対しては非常に好意的だが、昔出会っていることを覚えてないあたり生来の小悪魔とも言える。

また、負けん気が強いところも加点ポイント。REDLINE本戦では初っ端にミサイル爆撃かましてきたリンチマンに対してレース中盤で水没させるお礼参り。可愛いだけじゃなく、強い蒼井優。

 

ストーリーの面白さが限界超えてる

ことごとくハイテンションなんだよ。俺の周りに1人でもこんなにアゲな友達いたら、胃痛と頭痛がジェットコースター乗って襲ってくるハズなんだけど。不思議と不快さは皆無。何故なのか、たぶん起承転結と緩急がしっかりしているからだと思う。

導入部、REDLINE本戦の予選、YELLOW LINEレースの様子から始まり。JP・ソノシーの勝負、ヤクザとのやり取り、リザーバー枠での本戦出場決定。REDLINE準備期間、ソノシーとの再会、出場選手の紹介VTR、レースへの仕込み。ここまでで作品全体の半分近くを要している構成が良い。タイトルに冠しているREDLINE本戦を後半に全て持ってくることで、焦らしつつも、一気に視聴者の心を鷲掴みにした。脚本家、メンタリストですか?

 

軍事的極秘機密満載の
アンタッチャブルワールド

レース開催場所が死ぬほど危険地帯というのも素晴らしい演出と言える。開催地のロボワールドは完全な軍事国家(星)で、全宇宙に配信されるゲリラレースなんてやられたら生物兵器やら条約違反の兵器やら、モロバレ。だから絶対に自国でのレース開催なんて許せないし、不法侵入者絶対殺すマンとなる。つまり、REDLINE出場者は他の参加者と競いつつ、ロボワールドの攻撃(地雷攻撃・絨毯爆撃・衛星攻撃・生物兵器)から逃れなければならない。三竦みのカオス。

でもこれが話としてまぁ~上手くまとまってる。参加者との因縁からレースに参加し始める軍人、目覚める宇宙平和条約違反の生物兵器、それを止めるために衛星レーザーを自国に落とす軍部。この怒涛の流れの中でしっかりレースするREDLINE参加者。マシンを壊されたソノシーに駆け寄るJPからの昔話で仲直りする2人。もう、全部の歯車がゴールに向かってて最高なんだよ

 

そして何よりも音楽が限界超えてる

REDLINE
オリジナルサウンドトラック

手掛けたのはCM音楽界の重鎮、ジェイムス下地さん。”CCレモン”とか”ペプシマン”のCMを作ったという、これまた伝説の御方…。重低音の中にもポップさを含んだバランスの良いサントラ(なんと映画一本で42曲)は、物語の端々で感情を刺激してくる。というかキマる

アニメーションにおいて、音楽の大事さをしっかりと感じさせてくれる本作の存在は日本のアニメ界で「俺たちはこの位やっちゃうよ?これ、越えられる?」という挑戦のようにも感じられる。ぜひともアニメ制作に関わる人達は参考にして欲しい

 

言わずもがな作画も限界超えてる

製作期間7年、総作画枚数10万枚は伊達じゃない。10秒間で700枚描いてるシーンもあるみたいだけど、魂込めすぎでは?死ぬぞ?  作品のキャッチフレーズである「限界を超えろ」を、スタッフ陣が我先に体現しているという前代未聞のフライング。

ちなみに、俺は作画枚数が多ければ良いアニメ作品というワケではないと思っている。枚数の多さは一つの指標になるが、枚数の多さで言えば『マクロスプラス』でも5秒間にセル画160枚超のシーンがあった。要は”どこまで妥協せず突き詰めるか”なんだよ。そういった意味で、この高速レース作品における作画は完全に変態超人。

※余談
ジブリ映画の作画を参考までに。
『風の谷のナウシカ』5万6000枚
『天空の城ラピュタ』6万9000枚
『もののけ姫』14万4000枚

 

まとめ

俺のFilmarksでのアニメ映画TOP3は『REDLINE』『天気の子』『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇』が同列1位なんだけどね。この牙城は一生崩れないと思っている。

こんなに製作者の魂が入った作品は他に無い。