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『攻殻機動隊 SAC_2045』の世界同時デフォルトってパワーワードすぎない?

『攻殻機動隊SAC 2045』に面白い単語が出てきた。

ある日突然、スパコンより計算が早いっていう化物・ポストヒューマンの超ハッキングによって[世界同時デフォルト]という金融機関の同時消滅が発生。電子マネーを含めた銀行残高が消滅したとのことだけど、これってどういう事なんだろうって事で、記事を書く。

世界同時デフォルト

俺が面白いなって思ったのは、”残高をリセット”したという点。結果として、債務者が債権者に元本を返せなくなったんだろうけど、国債まで全部帳消しになったのかな。そんな夢物語、可能か? 残高が0になっただけで「ハイ!数字が0になりましたので今までの借金はチャラになりましたぁ!」って現象起こりうるのかな。幼稚園バンクかよ。もしそうなったんだとしたら危険なのは金融機関の麻痺じゃなく、世界的なモラルの問題な気がする。全モラル同時デフォルトだ。

ただ、7話の『はじめての銀行強盗』の話を見た時にこの不安は払拭された。 (※というかこの7話、初期SACファンはみんな好きだと思うから絶対見た方が良い。脚本とがほんと神! 山健司作品っぽい。終わらせ方とか。)

閑話休題、順番に話を進めよう。まず、7話で明らかになったのは[世界同時デフォルト]の後も銀行は機能しているという点。世界的にデフォルトが起こったんだとしたら通貨制度が無くなって「もう金融機関いらなくね?」って物々交換体制まで巻き戻っても良いもんだけど。そんなことにはならなかったってことだろう。次に銀行強盗の動機である。銀行強盗を企てた老人は「俺たちの年金を上手い儲け話で溶かしやがったアイツに復讐したいんだ!」ってことだけど、年金制度がデフォルト前と変わらずに機能しているってことは日本の社会制度が生きている=国債も変わらず機能してるってことだ。ただこれはあくまでデフォルト後に新たに国債を発行して国を運営してるだけかもしれないので、結局のところは今と何も変わってない。単純にリセットが起きただけってこと。ふむ、まぁこの辺が違和感のない落としどころなんだろう。ただ、そうなうとポストヒューマンがデフォルトを起こした動機がまったくもって不明。彼らは超計算した先に何を見たのか。

サステナブル・ウォー

直訳で”人間社会の継続発展のための戦争”。最高に攻殻機動隊っぽい単語だが、ここに真理がある気がする。[世界同時デフォルト]を起こした動機がこの[サステナブル・ウォー]の活性化を狙ったんだとしたら、可能性が広がる。

いま若干タイムリーなことにコロナショックで世界同時株安が発生してるから、このタイミングでこれについても触れてみよう。例えば日本は全国民10万円一律給付も含めて50兆円くらいの経済対策資金を捻出した。国債を発行してこの資金を賄っているワケだから、新興国は全部借金まみれ。コロナ蔓延が落ち着いたら、各国の中央銀行が新たに紙幣を刷りまくることで、V字回復に向けて名目経済成長率を上げるために施策を図ると思うんだけど。机上での予測なのでこれが上手くいくかは誰にもわからないんじゃないかなっていう一抹の不安。そもそもいろんな国が同時に金を増やしたら残高は増えるけど物価も上がるから本末転倒か?

宜しい、ならば戦争だ。苦しいから略奪するしかない。そうなった時に略奪が正当化されるのが、ご存じ戦争という人類発展システム。戦争によって技術が進歩してきたことは歴史が証明しているし、文化的な技術も向上するから個人単位での文明水準が爆発的に向上する。戦争なんて、苦しい状況があればヤンキーが道端で肩をぶつけるみたいに適当な理由で開戦まで持っていける(ロシア様とアメリカ様のバトル観てるとこんな風に思っちゃうのは俺がただ厨二だからなんだろうか)。ポストヒューマンが狙ったのはこの人類発展そのものなんじゃないだろうかという仮説浮上。

不正な行いをしている人間を殺害するという、夜神月めいた行為をしているポストヒューマンもいたことから、この仮説には信憑性が増してくる。

  1. 戦争によって文明レベルの持続向上
  2. レベルの低い人物削除で道徳水準の上昇

この2つによって、今よりも一段階上のレベルにまで人類を押し上げようとしたんじゃないかって気が。[世界同時デフォルト]は、長い目で見た時の人類一斉先行投資って感じ。「教授せよ」なんて言わんばかりに無許可・無告知で行ったところには多少の悪戯心を感じるが。作品のタイトルに[SAC]が入っていることに注目して欲しい。初期アニメを観ている人にとっては耳馴染みの良いこの単語、[SAC(スタンド・アローン・コンプレックス)]は、簡単に言うと個人の行動が結果的に集団的総意の行動=コンプレックスを実行するってことなんだけど。結果的に人類総意の行動を行っているとしたらポストヒューマンの行いはSACだよね。不可能を可能にするっていう意味で。流石にこの人類発展の先にどんな事をしたかったのか、どんな未来を計算したのかは、俺の一般ヒューマン悩では想像できなかったけど。ここまで考えて俺の中で取り敢えずは一通りの納得はできた。というか考えるの疲れた。続きはシーズン2の展開に委ねよ。

最後に作品自体の感想。話は攻殻機動隊節が効いててメチャクチャ面白いし、公安9課のメンバーがまた見れたのが最高にオモシロ。ただかなり世界的なウケを意識して作ったのかなって所はあった。フルCGになったことでセル画の頃の味わい深さが無くなったのは少し悲しいが、CGのおかげで真っ裸でマシンガンの弾を踊りながら避けるビルゲイツが顕現してたし。『マトリックス』のオマージュとしてスミスさんが出てきたのはSFファンは皆ビクッと反応するんじゃないかな(ヒューゴ・ウィービングが!ラッキーストライク吸ってる!)。あと9課の新キャラ2人とも可愛いよね。

願わくば、シーズン2ではSACの1話完結形式を踏襲して海外ドラマみたいにやって欲しいって気持ちはある。もっとハードボイルド寄りの脚本にしたら俺はドンピシャでハマってた。まぁまだシーズン1だから、新公安9課設立が主題だったんだと思う。シーズン2では離婚したトグサが夜空を見上げながら煙草吸って溜息もらす…みたいな話があると嬉しい。アオイくん出てきたら泣く。

これを機に初期SACも派生して観直したり、新しく観る人が出てきたら嬉しい限りです(俺、こんなに殊勝なこと考えられたんだな…)。

攻殻機動隊 SAC_2045 カードケース A
※俺がいま愛用してるカードケース

この記事も、少しでもそれに助力できれば本望。疲れた、寝る。