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能ある殺人鬼は爪を隠しながら肝臓をソラマメと一緒に食べる

豚の群れを代表して賛辞を呈したい。

まずは、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』でそのカリスマを披露したハンニバル・レクターの気高さに拍手を。原作の時系列で言えば『レッドドラゴン』がストーリーの冒頭にあたるワケだけど。シリーズを通してその高貴な思考(嗜好)に全くの陰りは無い。もともと脇役だったレクター博士がこんなにも人気になるなんて作者も予想してなかっただろうが、『バットマン』のジョーカーに見て取れるように、信念のあるヴィランは得てして人の心を掴んで離さない。

流石、AFIの”アメリカ映画悪役TOP50”で、かのダース・ベイダーを抑えて1位に輝いた男。アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士はそれだけ魅力的だって事。※ちなみに、ダース・ベイダーは3位、フレディは40位、俺的ベストヴィランであるジョーカーは45位。

てな具合で、レクター博士に関してはもはや有名過ぎてここでわざわざ魅力を語ることもないと思う。だから俺は『レッド・ドラゴン』について語りたいかな。ちなみに、この作品でも博士の煌めきエピソードがあった。作中、警察に自白剤を使われ、殺した学生を何処に埋めたかを尋問されたんだけどね、供述したのは人肉を食べる時の美味しいソースの作り方。わー!博士素敵…! (←俺の知人でもレクター好き女子がいるが、たぶんこんな反応する。すごい。)すごい、こわい。

「偉大なるレッド・ドラゴンを見よ」

ただ、『レッド・ドラゴン』ではみんな大好きレクター博士はそのナリを潜める。というより、開始10分で檻の中に引っ込む。そう、本作では”人食いハンニバル”ではなく、”噛みつき魔”ことレッド・ドラゴン(あだ名がダサイは禁句)が主役ヴィラン。そう、俺はこの作品も大好きなんだ。

正直、レクター博士に比べると実力不足だと思われても仕方ないと思う。(まぁ、序列第一位と比べてしまうのも可哀想かもしれないが)だが実は、全くそんなことは無い。コイツもかなりヤバい。そもそも、レクター博士が脇役として登場した作品のメイン敵。生半可なキチガイでは務まらないってことだろう。だってこの人、自分の悪口言った記者を拉致したと思ったら、背中の筋肉とドラゴンの刺青をダブル・バイセップスで見せつけ「私はドラゴンだー!」って言いながら自作ゴア写真を大型スクリーンで鑑賞させるんだよ(ダブル・バイセップスはボディビルのポージングだよ!  勉強になったね! )。挙句自分の大好きな絵画の原画見つけたら食べるからね。もうやめてあげて!世間の殺人鬼像が間違った方に進んで行く。

「君は俺を弱めた、そして苦しめた」

「だからショットガンで殺します。だって神が君を連れて行こうとするからー!」病み過ぎて本当に理解できないとこまでキマッたー!!  『TRICK』だったら仲間由紀恵も突っ込み入れないシリアスな空気感で言い放たれる愛の告白に、超低血圧の俺もつい興奮してしまう具合のサイコパス。人間でありながら神をその身に宿したと言う猟奇殺人鬼の行動は終始ヤンデレ。俺、ヤンデレって好きなんだよね。しかも筋骨隆々のヤンデレってヤバくない? 愛が肉纏って具現化した感じ。

そんな彼も最後は見事にザ・悪役を全うします。気持ちいい位に善良な悪役を演じてるから映画好きは一見の価値はあると思う。色んなサブスクで観れるから是非。

レッド・ドラゴン (吹替版)
※Prime Video 視聴用リンク

一方、レクター博士は檻の中で”噛みつき魔”と文通しながら、しっかりと事の顛末を把握しつつ、脱獄の準備を進めていたのだった。流石。→ 『羊たちの沈黙』・『ハンニバル』へ続く。

はぁ~、知的なヴィラン好きだ。