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『イエスタデイをうたって』を観ることで逆説的に明日への希望が持てる

本作を初めて手に取ったのは中学生の頃だったと記憶している。当時から二次元に逃避を始めていた俺にとっては、現実から逃れて、オアシスのような安らぎを与えてくれるバイブルみたいなものだった。

萌え、恋愛、ギャグ、ホラー、SFといったように、ジャンル問わずに様々なアニメ・漫画を狂ったように漁っていたのだが、この本を読んだ時に感じたことが一つある。それは”構図の取り方がハンパない”ってこと。

被写体に対して、背景の空間の取り方が神ってると言えば分かりやすいだろうか(わからないだろうが)。とにかく、ほぼ全コマポートレイト写真並にしっかりと考えられたであろう構図で、丁寧に描き上げてる世界観に俺はヤラレた。もう、心が持ってかれたんだ。だから、一眼レフを買った。

そう、単純なんだ。俺は。

とは言え、構図を真似て撮るだけなので、誰にでもできる。ただ、何度シャッターを切っても良いと思えるような写真が撮れないと気付いた。「んー、何でだろう? 漫画みたいな配置で撮ってるのになぁ」なんて思ってた。馬鹿だったね。

この作品で見た構図は俺の中でもう完成されたモノになってた。だから、どれだけ真似てもそれを超えるポートレイト写真は撮れないんだって。何故すぐに気付かなかったのか。だからセンター試験失敗して国公立行けなくなるんだよ。死んで欲しい。むしろあの時俺は一回死んだ。それからというもの、ポートレイトは撮らなくなった。俺の一眼レフは見事にランドスケープ専用ギアにジョブチェンジしたのだった。

~プロローグ終了~

はい、ここからちゃんと作品について語るよ。

とは言え、今リアルタイムでアニメやってるから本記事ではネタバレしないでおこうと思ってる。ただ、アニメ独自の改変が多いので、もしかしたら原作とは違う形でラストを迎えるのかもしれないが。…そもそもラストまでいけるのか?どこで終わるんだろう。

深く考えるのはやめました。俺ができるのは本作のメインヒロイン晴(ハル)の良さを伝えることだけだ。

俺的平成ヒロインの中で少し特別枠に位置している彼女。『NHKにようこそ!』の中原岬と双璧をなすミステリアス・ヒロインとして、これからも永劫君臨し続けることだろう。

だがミステリアスなのは序盤だけ。「え、この子いったい普段何してるの?何なの?」という疑問は物語が進むにつれて解消されていく。

その実態は、死ぬほど一途な女の子。

ミステリアスに感じていたのは、距離感の取り方だろうと俺は思う。遠目で見つけた時はアンニュイな横顔で、話しかけたら満面の笑みのヒット&アウェイ女子、稀にいるじゃないですか。まさにそれ。「全然届かねぇよ~」とか思って余裕ぶっこいてたら、フリッカージャブで脳ミソ揺さぶってくるハートブレイカー。

恐ろしくは、一途ゆえに自然と零れる笑顔。好意をもった相手の前では無邪気になってしまうが、素に戻った時に「迷惑はかけたくない」という気持ちが蘇り、空気を読み、一歩引きつつ想い焦がれる。あぁ…今だけは性善説を信じたい。

こんな子がいるだけで、明日も生きようって思える。

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物語の登場人物に何を期待しているのかって、馬鹿にするならすれば良いさ。それでも俺は信じたい。性善説を。そしてアニメのハッピーエンドを。

少なくともアニメ最終話を見るまでは希望を持って生きていけると思ってるよ。