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寝れないときは『よふかしのうた』読んで街に繰り出そう

寝つきが悪い時は漫画を読むに限る。気が付けば夢の世界へ行ける安心安全で合法的な行動だ。だが、ここで注意して欲しいのは読んでいる作品の内容が夢に反映されることがあるということ。せっかく見る夢なら内容は精査したい。だから、『よふかしのうた』を読もう。

【あらすじ】

不登校の中学2年生夜守コウは、ある日、初めて誰にも言わずに、夜一人で外に出る。昼間とは違う世界に心地よさを感じる中、コウは吸血鬼である七草ナズナと出会う。コウは吸血鬼になりたいと頼むが、それには吸血鬼に恋をする必要があった。こうして、コウはナズナに恋するために、毎日夜ふかしをするのであった。Wikipediaより引用

 

【作品概要】

『だがしかし』のコトヤマ先生が描く夜の純愛奇譚2019年から『週刊少年サンデー』にて連載をスタートし、確固たる人気を維持しながら今もなお連載中の人気漫画といえるだろう。コトヤマ先生と言えば、前述している通り『だがしかし』で一大ブームを巻き起こしたことで知られているが、この『よふかしのうた』も負けず劣らず面白いことは俺が保証しよう。全作ファンすらも虜にする非常にオッティモな作品である。

『よふかしのうた』という作品名はCreepy Nutsの同名曲から取られており、コミックス1巻発売時に公式コラボPVが公開された。どうもコトヤマ先生がCreepy Nutsのファンらしい。本筋から逸れるがCreepy Nutsに関してはラスボスR-指定強すぎるし(※般若とのラストバトルは必見)、DJ松永もそこはかとなく童貞くさくて愛おしいから要チェキ。

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それではお待ちかね。『よふかしのうた』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

 

夜を知ることは大人になる事

あることがきっかけで夜に寝つきが悪くなった中学2年生・夜守コウが夜に家を抜け出す瞬間から物語はスタートする。前作であれだけ昼間の世界をピースフルに描いてくれていただけに、本作のトーンの濃さにドキドキする俺がいたが、それ以上にこの物語には親近感を感じた。というのも、俺も中学2年生の時に実家のマンションを抜け出して友達と一晩中自転車で走り回ったり、無駄に男だけでパジャマパーティーしたりした経験があるからだろう。皆、少なからず同じような過去があるのではないだろうか。そういう人はきっと1話でハマる

閑話休題。本編1話のストーリーを簡潔に語らせてくれ。家を抜け出した中学生・コウ君は一人で街を散策する。昼間とは違うダーティな雰囲気の街に心躍りつつ、軽い罪悪感を楽しみながら夜の冒険をしていると、一人の少女・七草ナズナに出会う。話をしていると彼女に不思議な魅力を感じホイホイ後をついて家に行くことになるコウ君。[添い寝屋]という一瞬えっち過ぎて耳を疑うような仕事で生計を立てているという彼女の身の上を聞くや否や「じゃ、寝よっか」という蠱惑的な発言。意味不明な急展開に戸惑いつつも横になると、何故か妙に安心する。夜に眠れないことに悩んでいたコウ君は今までにないくらいに落ち着いて頭がボンヤリしてきたのだった……ガブリ。そこで眠りに落ちる間もなく、隣にいた娘が首筋に嚙みついてきた、というのが第1話の概要。

いや〜、良いね、オッティモだね。まず夜の街で美人&不思議なお姉さんに出会うという発想が良い。全中学生男子の夢である。この日をきっかけに”夜の世界”に魅了され、毎日のように家を抜け出てはナズナと一緒に”夜遊び”することになるコウ君だけど、この物語にはもう一つ肝となる設定が存在する。それは、吸血鬼に恋した状態で血を吸われると、吸われた人間が眷属(吸血鬼)になる、というブっ飛びエモエモ設定だ。この設定が非常にグッド。これ失くして本作は成り立たない。かくして、日常に飽き飽きしている男子中学生が、吸血鬼になるために、吸血鬼に恋するまでの夜の物語が展開されていくワケだ。どうだろう、はっきり言って俺はこの冒頭を読んだだけでエモすぎて動悸が止まらなかった。『だがしかし』を超えることは不可能だとタカをくくっていたが……とんでもない、全く新しい世界の扉を開けてくれたといっても過言ではないだろう。あぁ、単純に俺の文章が分かりづら過ぎて読んでても内容が正確に伝わってない可能性もあるので、是非とも1巻を読んで欲しい。というか読め

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ここで『よふかしのうた』を無料試し読みできるサイトを紹介しておこう。俺がよく利用しているのはまんが王国だ。

漫画を読むときに試し読みをすることは大事だと俺は思っていて。自分に合っているかを手っ取り早く確認するには、まず読むことだ。何よりもまず行動っていうし、ここで『よふかしのうた』の世界を覗いてみては如何だろうか。

 

 

甘酸っぱい夜のジュブナイル

話が進むにつれて他の吸血鬼たちも出てくるが、一人一人のストーリーが濃いめに描かれていて、結果みんな好きになる。吸血鬼といえども、悩みはあるし、暗い過去も色々垣間見える。その闇に囚われずに楽しそうに生きている姿にこそ学ぶトコロがあると俺は思うんだちなみに俺の最推しはカブラさん、え、だって、エロいじゃん)。

あと単純に少年少女の成長していく姿が読んでいてとても悶える。中学生、初めての恋愛(を、しようとしている)ということもあるが、”夜”という大人な時間に行われるピュアロマンスが良い感じで味の不均一さを生んでいると俺は推測する。「卵かけご飯だって醤油は混ぜすぎない方が旨いんだよ! そのコントラストに食指が動くってもんですよ! こちとら少女漫画読み漁ってるからな、ちょっとやそっとじゃキュンキュンしないぞ!」 という俺の偏った胸キュンポイントを的確に撃ち抜いた秀作であることをここに宣言します

もちろん、コトヤマ先生の真骨頂である独特の間を感じるギャグも盛り沢山なので、シリアス苦手な人でも普通に笑いながら読める。ぜひ

 

 

【まとめ】

というわけで、遅ればせながら『よふかしのうた』の全力紹介でした。最近、眠れない夜は一晩中漫画を読んでいるような俺だけど、この作品に学生時代出会えていたら、きっともう少し健康的な夜遊びを経験することが出来たのかもしれない。

まぁ、吸血鬼じゃなく人間に襲われかねない物騒な世の中なので危ない場所へは行かないように気を付けよう。危険と隣り合わせの夜の街に繰り出すのは夢の中くらいがちょうど良いかと

ではまた。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』こそ浅野いにおの最高傑作

ついつい言いたくなる『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』という作品名。でも、言うだけじゃなく絶対読んでほしい。これこそが浅野いにおの最高傑作だから。

【あらすじ】

3年前の8月31日、突如東京都に巨大な空飛ぶ円盤、通称“母艦”が襲来。そこから出撃した“侵略者”の攻撃によって多くの死者が出るが、アメリカ軍の攻撃によって母艦は渋谷区の上空で停止。母艦から出撃する侵略者の宇宙船も逐次迎撃された。 上空には母艦が浮き、時折自衛隊と侵略者との戦闘が行われることが日常となった東京で、小山門出は中川凰蘭ら親友たちと共に青春を謳歌していた。人類が終了する日が間近に迫っているとは夢にも思わずに―Wikipediaより引用

 

【作品概要】

浅野いにお大先生が『ビッグコミックスピリッツ』で2014年から連載している本作。2021年、第66回小学館漫画賞一般向け部門を受賞しており、ストーリー・画力ともに非常にクオリティが高く仕上がった秀作である。

あらすじに記載した通り、宇宙人襲来モノのSF作品としての面白さを詰め込んだ作品であることは言うまでもない。だがそこは浅野いにお、しっかりと読者が共感できる”らしさ”も詰め込んできているのがお見事(詳しくは後述)。

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ジャンル:浅野いにお

浅野いにお先生の作品と言えば『ソラニン』『おやすみプンプン』をはじめ、漫画界に名を残す名作が多い。ただ、何故か昔から「サブカル愛してます! 将来はバンドマンと同棲してゆる〜い幸せをダラ〜ッと過ごしたいです!」っていう、頭ん中にボウフラ沸いてる没個性ファッキンビッチが群がりやすい(俺主観)。

だが、群がっている自称サブカル女子達が内容をしっかりと咀嚼しているかと言えば、俺はそんなことはないと思う。なぜなら、“浅野いにお”作品とは20数年そこそこ生きたくらいの小娘に理解できるような薄い内容ではないからだ。

というのも、まず全ての作品は“日常”を中心に展開していく。そこにご都合主義的なヒーローは介入して来ず、不安・葛藤がリアルに描かれる。うん、まぁ、これが全てなんだけど、浅野いにおの素晴らしいところは、言葉だけでなく漫画というツールを限界までつかって登場人物の心情を表現している点だ

細部まで丁寧に描き込まれた背景には「物語に関係ないのでは?」と思ってしまうようなガラクタや、遠くの空の様子など、ある種過剰なまでの描き込みが見て取れる。が、この一見無駄とも思える書き込みこそが非常に重要なんだということに、雰囲気だけで何とな〜く読んでる奴は気付けない。例えば、サラっと書いてある部屋の内装。物語上ではただ登場人物が電話をしているだけの日常のひとコマだとしても、電話をしている後ろの背景に、その登場人物のパーソナルな情報が詰まっている。時には自由帳にキャラの名前が書いてあって、それを見つけて初めてそのキャラの本名を知ったり、置いてある楽器に既視感を感じるステッカーが貼ってあり、本編中では語られないような密かな趣味を想像する、等々。本編に直接関係が無さそうなことを美麗イラストで背景にちりばめているからこそ、そこに気付いた人は物語により深く潜り込めるし(実は案外こうやって気付いたことが物語の核心に迫っていたりもする)、日常の中で苦悩している登場人物たちに共感をするのだ。俺はこのことに気付いた時に思ったね。「そうか、この人の作品のジャンルは[浅野いにお]なんだ。」と。そして、この『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』こそが、今までの作品の中でも飛びぬけて共感するポイントが多い。俺はそう思うんだ。

 

 

変わらない日常の不気味さ

「宇宙人がいきなり襲ってきて学校休みにならねぇかな〜」誰しもが一度は思い至ったであろうこの突拍子もない煩悩。これがリアルで起こったらこんな感じになりますよー、と解答してくれたのが本作の冒頭。

東京上空に現れる侵略者の超大型宇宙船。最初こそは驚天動地で波立つ人類だったが、滞空し続けるだけの人外に慣れてくる日本人、そして流れ続ける“日常”。これを読んだ時に俺は思ったね「あぁ、確かに日本人は慣れそうだな」と。緊急事態宣言が出されようと、外出自粛になろうと、不治のウイルスが蔓延しようと、「それはそれ、日常は日常」とでも言うように平常運転し続ける日本社会。きっともうとっくに狂ってたんだよと感じる日々を過ごす今日この頃ですが、行き着く先はこの『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』のような終末なんじゃないかとすら思えてくるね。事実は小説よりも奇なり的な結末を迎えないことを祈るばかりである

さて、雑談はここまでにして少し内容に触れよう。物語のキーマンは数人いるが、基本的には門出(ショートカット)・おんたん(ツインテ)の2人の女子高生を主軸で話が展開していく。何故この2人がこの異常な世界で取り上げられるのか という点は、話の構成上非常に重要なポイントなので、ここでは詳しく書かないが、宇宙船が空に浮遊し続ける東京において、2人の日常は流れ続ける。例え非常事態だとしても、日常が不変である以上は学校に行かなければならないし、受験勉強もしなければならない。ということは、とうぜん色恋沙汰も起こるし、家族との軋轢も生まれる。この日常パートにおいては、まさに「浅野いにお節」が炸裂しているので、浅野ファンを自称する没個性ファッキンビッチも今まで通り楽しめることだろう(言いたいだけ)。

実はこの日常の風景は非常に重要で、後半になるにつれて増える非日常パートと比較した時に綺麗なコントラストになっている。また日常が流れ続けているという事実だけに目が行きがちだが、「日常が流れ続けることを望んだ者」がいるかもしれないということを忘れてはいけない。SFという要素を見事に料理して少年少女の成長を描いている。それが『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』。浅野いにおはSF要素が強いほど面白くなると思ってたけど、ここまで面白い話が出来上がるとは思ってなかった。最高です(正直今まで舐めてましたゴメンナサイ)。

 

 

爆発する感情スターマイン

もちろん、例に漏れず登場人物たちの感情の動きも超HOT。思春期の人間が成長する瞬間というのは花火のような綺麗な輝きを放っているが、この作者に関しては前述した通り感情表現が上手すぎて滅茶苦茶エモい(京アニの背景の捉え方に似ている気がする)。

しかも物語中盤以降はサスペンス的な要素も入ってくるので、普段小説を読んでて漫画は読まないんだって人が読んでも楽しめると思う。

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ちなみに、『デッドデッドデーモンズデデデデストラクション』を無料試し読みできるサイトも紹介しておこう。俺がよく利用しているのはまんが王国だ。

漫画を読むときに試し読みをすることは大事だと俺は思っていて。自分に合っているかを手っ取り早く確認するには、まず読むことだ。何よりもまず行動っていうし、ここで『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』の世界を覗いてみては如何だろうか。

 

 

【まとめ】

というワケで、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』の布教記事でした。ここまで浅野いにおの作風を活かす題材は無いと確信しているし、単純に女の子が可愛いから読んでいて楽しい。まさに最高傑作かと。

あ、ちなみに、記事の中で特定のファッキンビッチを批判するような表現を書いたけど。俺、『ソラニン』大好きだから

ではまた。

『海獣の子供』に出会えたことに感謝して幸せを叫ぶ俺はきっともう海の幽霊

『鉄コン筋クリート』を制作したことで知られる制作会社STUDIO4℃。ここが世に出した作品『海獣の子供』は、圧倒的な映像表現で強烈な印象を視聴者に与えた超秀作。

「あらすじ」

ハンドボール部に所属する中学生琉花は、トラブルで夏休み早々部活禁止になってしまう。やさぐれた彼女は、幼少期に大好きだった水族館へ行き海と出会う。翌日、琉花は父親の勤務する水族館で、海と再び会い、父親に海の面倒を見ることを命じられた。いなくなった海を探しに浜辺に出た琉花は、海の双子の兄、空とも出会う。海と比べ軽い性格の空に、琉花は反発しながらも交流を深めていく。同時期、海には隕石が落ち、世界では「白斑」を持つ魚が光となって消える現象が多発していた。Wikipediaより引用

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『海獣の子供』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

作品概要

原作は小学館の『月刊IKKI』で2006年~2011年まで連載。例に漏れず、俺たちが知っているような有名な作品と言うのは世間にも高く評価されてから世に広まっているので、第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞している。つまり、間違いない。

ここで勘の鋭い人はお気づきだと思う。連載が終了してから映画化までに結構年月がある。何故か? それはこの作品が製作期間6年をかけて世に送り出された芸術作品だからだ。ちなみに作中音楽は久石譲。主題歌は皆さまご存じ米津玄師の『海の幽霊』。つまり、間違いない

 

作画×CGの技術融合

特筆すべきはCGのバランス。CGっぽく観えないCGとでも言うのだろうか。「GoProで沖縄の海撮ったらこんな感じなのかな」っていう圧倒的・海。過去こんなに綺麗で清々しい海中を表現したアニメーションがあっただろうか。いや、ない。背景がCGで、キャラ絵は作画でというすみ分けがされていたように俺は感じたんだけど、結構この手法を用いると二つの要素がぶつかって浮いちゃうんだよ。でもこの作品にはそれがない。独特なCG絵が背景として、大いなる世界として物語に溶け込んで、二つの技術を高い水準で融合させた…つまりこれは見事に乳化させたカルボナーラだ。『海獣の子供』風カルボナーラ~星空をのせて~。グラッチェ!(大丈夫、観ればきっと俺みたいなこと言いたくなる!)。

 

とにかく、映画版を観れば分かるんだけど、ただただ圧倒される。これが…地球の神秘か…みたいな感じて微笑みながら涙が零れる。それでいて、どこか懐かしさも感じる世界設定(俺、少しだけ港町で育ったし)。大いなる海万歳だ

 

 

超壮大なストーリー

主人公の女の子:安海琉花(C.V 芦田愛菜)の大人に向かて成長していく表現が素晴らしい。俺は原作である漫画版をずっと読んでたんだけど、読んでる時から「こういう時期あるよなぁ」っていう子供ならではの感情の揺らぎが超秀逸。後半になって盛り上がるにつれて感情が露わになってくるのも◎。

また、ジュゴンに育てられた少年こと空・海。本作において超重要ポジのこの2人がとにかく不思議で無邪気でもう本当にミステリアスチルドレン。

 

海の幽霊

幼いころに見た、”海の幽霊”。この子供ならではの不思議な体験が超壮大なストーリーへと駆け上がっていく様は全くの予測不能。原作読んでる時ドキドキしたもん。どこまで行くんだろうって。その秘密を知っている空と海、そこに琉花が揃うことで歯車は動き出す。マンタが飛び交いクジラ舞う、大いなる海への冒険の開幕だ。

結局のところ、米津玄師の『海の幽霊』の歌詞にもある通り、「星が降る夜に貴方に会えた。あの夜を忘れはしない」なんだよ。全てはここに帰結する。でも、ちょっと待ってくれ。ここまで書いといてなんだが、ちょっとライトな青春アニメ映画だと思ってない…? ナンセンスです。これは自分の頭の中のシナプスの電気信号を感じ、宇宙創成まで遡って命に感謝するとってもスピリチュアルなアニメです。軽い気持ちで理解しようとすると頭やられるぞ、俺みたいにな。

というのは半分冗談だとして、真面目に感想を言うならば。青い光が揺蕩う静謐な水族館で独り、ゆっくりと流れていく魚を見上げたくなる。風薫る砂浜を瞼の裏で思い出しながら、水の音だけで海に想いを馳せたくなる。そんな、壮大で清々しい作品だよ。本当にオススメ

「まとめ」

気温が暖かくなってくると、海に行きたくなる。たぶん誰しも少なからず感じると思うんだよ。ただ、その時イメージするのは浜辺で海にすら入ってない自分の姿なんじゃないかな。海の怖さを本当に知っている人はぜんぜんいないし、海の全てを理解している人なんて存在しない。だからこそ、魅力的なんだよな。