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北米発のアニメ『RWBY』はもっと人に知られて良いと思うんだ

RWBY』というアニメはご存じだろうか。と言っても、知らなくても無理はない。地上波で放送しているアニメではないし、そもそも日本で制作している作品ではないからだ。だが俺は声を大にして言いたい。これこそが隠れた名作だ。

【あらすじ】

塵から生まれた存在である人類は、その誕生から間もなくしてグリムという存在の脅威に脅かされていた。彼らは人類とその創造物を破壊し、それによって人類は滅亡の危機へと追いやられる。しかし、人類は元来持っているその強さと賢さによってダストという力を発見する。ダストによってグリムを退けることに成功した人類は、ついに訪れた平和な時間を謳歌していた。 15歳の少女ルビー・ローズ (Ruby Rose) はグリムを退治する存在であるハンターに憧れ、ハンター養成所であるビーコン・アカデミーへ入学する。そこでチームRWBY(ルビー)のリーダーとなった彼女に様々な苦難が襲い掛かるが、そんな苦難を仲間と乗り越え、ともに徐々に成長していく。Wikipediaより引用

 

 

【作品概要】

2013年にアメリカの制作会社が発表した『RWBY』。2014年には国際WEBアカデミー賞の最優秀アニメーションシリーズ賞を受賞し、当時ニコニコ動画で公開(というか転載)された時はその高クオリティな映像美と日本人好みの超絶戦闘アクションで多くのネットフリークを興奮させたグリム童話の『赤ずきん』モチーフの主人公(Ruby)、白雪姫モチーフの相棒(Weiss)など基本設定も良い塩梅でエモく、『ブラック★ロックシューター』『天元突破グレンラガン』をはじめ日本のアニメに色濃く影響を受けて作ったと監督が話している通り、日本アニメ文化に造詣が深いクソナードほど良い意味で深みにハマりやすい物語構成となっている。

何を隠そう、俺も当時はニコニコでトレーラーが公開された時に「すげぇアニメが出てきたな……」と感嘆した一人だ(たぶん計200回は再生した)。だがそれ以降、地上波でアニメ本編が放送されているわけではないのでしっかりとストーリーを確認することはなく、時折YouTubeで公開されている戦闘シーン集やMADを観るくらいだった。

けど、つい最近AmazonDVDがレンタルできることを知って今更ながら本編をチェックしたワケですよ……いや、もう、死ぬほど面白くて驚いた。戦闘シーンがすごいのは知ってたけど、「しょせん日本人の真似して外人が作ったテンプレストーリーなんだろ~」と思っていた俺の固定観念を軽々払拭し、キャラ同士の絶妙にハイセンスな掛け合いと要所での爆発的な盛り上がりによって俺の心は一気に虜にされ、Volume1~3までをイッキ観。「めちゃくちゃ面白れぇじゃねぇか……」と半ば放心状態の中、天井を見上げて呟いた

アメリカ制作のアニメであり、いわゆる萌え絵のような日本の王道作画ではない、ある種特殊な位置付けのアニメではあるが「これは間違いなくもっと日本で知られた方が良いアニメだ」と確信したため今こうして記事を書いている次第。この作品のクオリティがここまで高いということを認識していなかった俺を殴りたい

 

 

息もつかせぬ王道ファンタジー

さて、ここからは簡単に『RWBY』のストーリーを紹介しよう。と言ってもこの記事を書いている時点で俺はVOLUME5まで視聴しているので、中盤位まで把握していることになるんだが……導入編ということで、『THE BEGINNING』と公式でサブタイトルが付けられているVOLUME1~3までの内容をエクストリームに語りたい

 

≪VOLUME1≫

前述の【あらすじ】にも載せた通り、ハンター養成学校である[ビーコンアカデミー]に飛び級入学することになるRuby。序盤はまずこの入学後の学園生活を軸にして進んでいく。入学後、RubyはWeiss・Blake・姉であるYangとフォーマンセルのチームを組むことになるんだけど(基本的に新入生は全員がチームに所属することになる)、このチーム結成の際の実技試験が本当にアツい

何がアツいか。教師に勝手に組まされた少年少女がいきなりグリムという化物と戦いながらミッションをこなさなければいけない、いわゆる超危険な新入生レクリエーションとでも認識してくれれば良いだろう。例えるなら大学入学してすぐに催されるあの吐き気を催すコミュ障狩りだ。将来が明るいコミュ力お化け(陽キャ)でない限り、出会って直ぐの他人と協力作業なんて出来るワケないというのが俺の超個人的な持論だ。例に漏れず、RubyはWeissと喧嘩をしてしまう。でも物語というのは悲しいくらいに劇的である訳で、衝突しながらも協力して「チームとして」この実技試験を乗り越え成長していく彼女たちの姿は必見。そして試験最後に全員が協力して敵を倒すバトルアクション(と、バトルBGM)は末永く語られるだろう、つまり超必見だ

試験後、無事にチーム[RWBY]としてまとまったRuby・Weiss・Blake・Yangだったが、また新たな問題が勃発。どんなチームにも輪を乱す愚者はいるものだが……種族問題は根が深すぎるぜ…ということでまたまた喧嘩します。いいね、若者は喧嘩してナンボだからな。互いの身の上が相容れない時の喧嘩ほど、冷静になって相手の気持ちを察するのが大事というのも俺の持論なのだが、時には真正面から自分の意見をぶつけ合うのも大事だ。その積み重ねの結果が本当の友達だからな。というわけで、VOLUME1ラストでは物語の本筋が少しだけ動きます。と同時に、物語の世界観とその中での主人公たちの立ち位置もなんとなく把握できてくる。ここまで視聴した人は気づけると思う、「あれ? この作品……アクションシーンだけが見所だと思ってたけど、案外内容深くない?」ということに。コングラチュレーション。

 

≪VOLUME2≫

VOLUME1ラストから引き続き、物語の本筋を進めつつ、和気藹々とした学園生活の様子が見れるVOLUME2。全エピソードを観終わった後だと、起承転結の「承」にあたっていたというのが素直な感想だ。このVOLUME2で物語の核心的な部分が大きく動き出す

まず、明確に敵勢力が表に出てくるというのが一番重要な展開と言えるだろう。平和な学生生活を送るRuby達の裏で蠢く闇。絶望はいつも幸せと隣り合わせだからな……順調と思っている時ほど落とし穴が足元に転がってるもんよ。だがダンスパーティの回は登場人物たちが良い感じで平和な青春を謳歌している貴重な話なので、是非とも見て欲しい(束の間の青春…)。

そして動き出すメインシナリオ。プロハンター同伴の任務につくチームRWBY。ここでWeiss・Blake・Yangは「なぜハンターを目指すのか」という問いをプロから突き付けられるが、自分の中で明確な答えを見つけることが出来なく、落ち込んでしまう(Rubyは聞かれない)。地味にこの若者葛藤パートが良いんだよね。進もうとしている道に対して明確な答えがないまま進んだ時、この認識の差は、持っている者と比べて致命的な差となる(もちろん結果にも大きく影響してくる)。思い返して頂きたい、会社やアルバイト先で、ただ流されるがまま仕事をこなす新入よりも、自分でやりたいことが言語化できている新人の方が仕事のクオリティが遥かに高いと感じたことは無いだろうか。また、自分自身が仕事に対して熱を持っていないことに客観的に気付かされたことは無いだろうか。それ。といっても、今を精一杯生きることしかできないのが人間なので、そんなたいそうな考えを持って行動できている人の方が少ないのが現実。問題は気づいた時の危機意識と柔軟な考え方だと思います(何様)。

というわけで『RWBY』において貴重な青春パートが観れるVOLUME2のざっくり紹介でした。VOLUME3からは一気にシリアスになるというか、鬱展開というか、オブラートに包んでも絶望要素が大きいので……。学生たちが日常を楽しみ・悩み・成長していくバラエティに富んだ内容となっている。人によってはこのVOLUME2が一番好きかもしれない

 

≪VOLUME3≫

VOLUME3では学校対抗のバトルイベントが開催される。もちろんチームRWBYも出場することになるのだが……中盤でYangの衝撃的な一撃からこの物語における絶望が始まる。一応、この衝撃の中盤まではWeissの姉が出て着たり、Rubyのおじさんが登場したりと見所はたくさんあるんだが(物語の核心的な設定も明らかになる)、そんなことどうでも良いくらいに怒涛の絶望展開なので、もはやよく覚えていない

ここからはもう急転直下だ。Rubyの友達としてこれまで何度も視聴者を癒してくれた人物が敵の策略によって上半身と下半身に分かれたり、人格的に一番優れていたであろう優秀な人物(裏ヒロインといっても過言ではない)が塵となって消えたり、そもそも学校(というか、国?)が崩壊したり、「おいおい、ここまで一気に今までの学園コメディをぶっ壊すか……?」と言わざるを得ない急展開に脳ミソが思考不可能に陥る。でも、分かって欲しいのは、『スクールランブル』みたいな所謂強引な鬱展開ではないんだということ。このVOLUME3こそが『RWBY』の分岐点であり起承転結の「転」、そして一つの「結」なんだってことを理解して欲しい。そもそも、学園ラブコメをやるだけの話だったら俺だってこうやって記事を書くことは無い。「世の中の絶望に対して立ち向かう少年少女」これこそが『RWBY』の描きたいことなのではないだろうかということに俺はようやく気付けたんだ。

てな感じで、すごく鬱展開だよってことばっかり強調してしまったけど。実際このVOLUME3が『RWBY』の中で一番評価が高いし、俺としても一番面白いと感じた。『THE BEGINNING』とは言い得て妙で、ここでキャッキャウフフの学園モノは終了。今までは完全に序章でしたぁ~、ここから血で血を洗う真の物語が始まりますよぉ~ということなんだよ! いや……なんていうか、俺の語彙力が足らな過ぎて正しく伝えられているか分からないけど……とにかく『RWBY』はここからスタートする。VOLUME4・VOLUME5と進むにつれてこの物語の本筋が進行していき、ドンドン面白くなっているので、まだ視聴してない人はぜひとも観て欲しい。

ちなみに、俺としては日本語翻訳版がオススメだ。スピード感あふれるアクションを堪能するためには字幕は勿体ない。それになんてったって声優陣がめっちゃ豪華だからな

漫画版『RWBY』

日米同時連載として満を持しての本編公式コミカライズが2015年『ウルトラジャンプ』にて開始された。作者は木並文太さん。これが初作品なわけはないと思うんだけど、個人的に絵がすごく好き(『DOGS / BULLETS & CARNAGE』や、supercellにイラスト提供していることでも知られる三輪士郎さんのアンソロジー版も存在する)。

アニメ版とはちょっと違った側面を描いてくれているので、こちらはこちらでアツい。『ジャンプ+』でも読むことは出来るし、単行本で言えば3冊くらいなので、アニメ視聴の前にどんな感じか把握するには持って来いだ。試しにどうぞ

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ちなみに、全部読むほどじゃないって人の為に『RWBY』を無料試し読みできるサイトを紹介しておこう。

俺がよく利用しているのはまんが王国だ。

漫画を読むときに試し読みをすることは大事だと俺は思っていて。自分に合っているかを手っ取り早く確認するには、まず読むことだ。何よりもまず行動っていうし、ここで『RWBY』の世界を覗いてみては如何だろうか。利用できるものは何でも利用すべきというのが俺のポリシーだ。俺も結構ずっと使ってるから安全面は問題ないハズ。

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【まとめ】

というわけで久しぶりの更新は『RWBY』について語りました。

正直本作に関しては「存在は知っているけど詳しくは知らない」という人が殆どだと思う。もしくは存在すら知らないか。だがクオリティは俺が保証するので気が向いたら観て欲しい。理不尽な世の中で、御伽噺を夢見るくらいは誰もが持つ権利だと思います

ではまた。

現状間違いなく『オッドタクシー』が2021年の覇権アニメ

『オッドタクシー』というアニメをご存じだろうか。伊坂幸太郎も顔負けの群像劇エンタメサスペンス。この作品、必見。

【あらすじ】

個人タクシー運転手・小戸川は、身寄りがなく他人とも関わりたがらず、少し偏屈で無口な変わり者。自他ともに認める天涯孤独の身である小戸川は平凡な生活を送るため、彼の運ぶ客や数少ない友人との会話に応じることでコミュニケーションと自我を保っていた。何気ない人々の会話が繰り広げられる中で、やがて失踪中の一人の少女が関わった事件に繋がっていく。Wikipediaより引用

 

【作品概要】

アニメオリジナルということで原作が存在しない本作。脚本は密かなファンが多い『セトウツミ』の此元和津也先生。ということは、登場人物の掛け合いが面白いことは想像に難くない(つまり、面白い!)。あと個人的に「良い…ッ」って思ったのは音楽のクリエイティブ、(スカートと)PUNPEEOP歌ってる時点でワクワクしてしまうのは俺だけではないと信じたい

また、声優も意外と豪華。今をトキメク花江夏樹さんが主演を務めるほか、芸人ミキの昴生・亜生も鍵となるキャラを演じている(余談だが、ミキの亜生に関しては映画『ライオン・キング』にて驚異的に魂のこもった「ハクナ・マタタ」を披露してくれた才能の持ち主。きっと今後声の仕事が増えるであろう有望株である)。花江夏樹さんの低温ボイスは新鮮だし、声優陣が動物姿の登場人物を巧みに演じ、物語を盛り上げてくれたことも人気の一端と言えるだろう。

ネット上では、20214~7月放送の春アニメにおいて『オッドタクシー』こそが覇権だったという人も少なくない。俺の耳にもこの下馬評は届いていたんだけど、「それだけ良い作品なら一気に観たいな……」ということで完結するまで一切視聴していなかった。だが、後悔したね。確かに同時期にやっていたアニメの中では一番といっても過言ではない上質な作品だった。リアルタイムで観てた人が羨ましいと正直に思った次第。そのくらい面白い。ちなみに俺は一晩で13話イッキ観でした

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それではお待ちかね。下記にて『オッドタクシー』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

現代の闇を風刺する群像劇

主人公である小戸川(画像中央)が可愛らしいセイウチの姿をしており、観始めた当初は誰しもが「あら、かわいい」なんて感想を持つことだろう。他の登場人物も総じてデフォルメされたケモケモ姿なので、普段は眉間に皺を寄せてアニメを観ている俺もついつい和んでニコニコ。しかして、この『オッドタクシー』は単なる動物フレンズアニメではない。そう、単なる動物フレンズアニメではない

まず前提として述べておきたいことがある。このアニメ、動物の姿をしていなかったら『闇金ウシジマくん』なみに現代の闇を風刺していると俺は思うんだ。可憐な容姿とは裏腹に「アイドルの裏側事情」「警察組織の腐敗」「出会い系アプリの危険」などなど、都会にベットリとこびり付いたドス黒い部分に触れている、視聴者に対して「こうなったらお終いやぞ」っていう反面教師的な学習アニメだと俺は解釈した。

上記のような問題点(客)を乗せつつ、小戸川のタクシーは今日も街を走る。そして様々な問題を抱えた人たちの話がリンクしていき、一人の女子高生の行方不明事件を中心にラッシュライフ。近年のサスペンスドラマなんて目じゃないほどの怒涛のサスペンス展開を魅せてくれる。砂漠に雪が降るワケでもなく、地球の重力もなくならず、二階から春が落ちてくる事も決してない、「当たり前と化した日常」の中で綴られるケモナーサスペンスが行きつく先は果たして順風満帆なグッドエンドか、はたまた……。毎話飽きることなく楽しく観れる作品である。マジで最近読んだ小説と比べても抜群に面白かったと断言しておこう。

 

トラウマ克服サスペンス

本作では視聴者全員が必ず一度はひっくり返るどんでん返しが存在する。正直、推理小説ではよくある叙述トリックなんだけど、それが「アニメでもこんなにハマるのかッ!?」という驚きはあった。話の随所で違和感を覚えるシーンはあるんだけど、結局物語にどう絡んでくるのかという点において非常にエンタメしてる。この作品は絶対にネタバレ無しで見ることをオススメする

しかもそのトリックがこの物語のキモになってるってのがポイント。ネタバレなして見ることをオススメした手前、もう何も言うことが無いんだけどさ。うん、よし、もう観よう。な? 俺がこれ以上ネタバレする前に

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ちなみに、アニメオリジナルの『オッドタクシー』は最速でコミカライズされている。この漫画をさらに最速で無料試し読みできるサイトも紹介しておこう。無論、まんが王国だ。

俺の文章で少しでも興味を持ってくれた未視聴者の諸君。何よりもまず行動っていうし、ここで『オッドタクシー』の世界を覗いてみては如何だろうか。そしてアニメだけ観てコミカライズの存在を知らなかった諸君、漫画版……同じエンディングなんすかね……?(苦笑) まぁ選択肢の一つとしてどうぞ。

 

 

【まとめ】

と言うわけで『オッドタクシー』の紹介記事でした。久しぶりにめちゃくちゃ面白かったからさ、とりあえず紹介だけしたくて書いたので内容には全然触れられて無いのが歯がゆい。まぁ気が向いたらネタバレ上等の感想記事も書くかもしれないのでそちらもお楽しみに(たぶん書かない)

というか、頭の中で書き溜めてる記事がいくつかあるので、更新頻度上げようと思います。あくまで予定なので真に受けないでください。

ではまた。

人間力低いって自覚ある奴ほど『ブルーピリオド』は心に響くと思う

美大漫画といえばハチクロ、それは揺るがない。だが美大受験漫画といえば? ―――答えは『ブルーピリオド』。これは新しい常識となる。

<あらすじ>

主人公である矢口 八虎はパッと見チャラチャラしたDQN。でも頭は良い。特に人生に対する目標というものが無く、友達と夜な夜な飲み歩いてバカ騒ぎしつつも、親からの“良い子であって欲しい”という期待にも応える、ある意味ドコにでもいる器用な高校生だ。 そんな八虎が美術室である作品に目を奪われ、このことををきっかけに真剣に絵を描いてみることに。その一枚の絵が、表現の世界へと踏み出す大きな一歩となる―――。

 

<作品概要>

誰もが噂くらいは耳にしたことがあるであろう、“壮絶な美大受験”を描く作品。所謂、一般的な大学を受験している人とは違う次元での戦いが繰り広げられていることは何となく想像していたが、ここまでリアルに描写されると藝大出身者(と、山口つばさ先生)にリスペクトを感じずにはいられない

2018年に『みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2018』のネクストブレイク部門を受賞したことを皮切りに、2020年にはトントン拍子で『マンガ大賞2020』『第44回講談社漫画賞』の一般部門を受賞するという、今最も波に乗っている青春漫画

発行部数も10巻時点で300万部と超絶絶好調。「300万部って数字が正直良く分からない」って人は頭空っぽにしてよく考えてみてくれ、京都府の人口より多いぞ(たぶん)。芸術(×青春)という題材で、これだけの発行部数ってのは中々……。カルチャーに支えられながらも、カルチャーをおざなりにしている日本にも、まだ明るい未来があると思える良い数字だと思わないか。

かく言う俺も、実は思春期の頃に美大への進学を考えたことがあった(というか皆一回は考えたことあるのでは……? え、ない?)。でも金銭的な問題とか、「就職を考えると一般大学に進んで欲しい」など親から反対されたり、自分には才能がないと決めつけたりして諦めてしまうのが普通だと思うんだ。実際に俺も親から一蹴され、即諦めた苦い思い出がある。本作ではその辺の葛藤や現実的な問題も非常にリアルに描かれている。

一つ一つの問題を解決しながら、通常の勉強もこなし、絵の技術を身に付ける。そうでなくても多忙で多感な高校生という時期に、大人でも腰が引けるほどのこれらの量の問題に真正面から向き合う姿を見せられたら、感動せずにはいられない

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それではお待ちかね。『ブルーピリオド』に関して独善的に語っていきますよ~。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

 

秀才DQN主人公

あらすじでも書いた通り、この物語の主人公は非常に優秀だ(頭が良いという意味で)。でも、決して絵の才能溢れる天才の類ではない。ここがこの作品の良いところ。なんとなく、親の言う通りに勉強して。なんとなく、今が楽しくなるように友達と、悪さして。なんとなく、笑うべきタイミングでヘラヘラして、場を白けさせないように空気を読んで。要するに波風立てないように生きている、そんな普通の男子高校生だ。

思春期には陥りがちなんだけど、こうやってなんとなく青春を過ごしていると ふと思う瞬間がある。「あれ? 俺……人間力低くね?」ってな(経験談)。他の人の意見に愛想笑いして、言うべきことを言わずに空気を読んだフリをする。自分は此処に確かに存在するのに、場の雰囲気や空気を回す歯車と化す。空回りし続ける歯車。この状態になったらもう青春はセピア色よ。ただ漫然と目の前のやるべき事をこなし、人生のレールを進めていくしかない。八虎もなんとなくそう思ってた。でも人生を変えるきっかけが現れる。そう、きっかけってのは唐突にやってくるんだ。

それは放課後の美術室。校則で禁止されているタバコを美術室に落としたことを思い出し、取りに行った時。唐突に眼前に広がる天井まで聳え立つ天使の油絵。なんか広大な景色とか、めちゃくちゃ精巧に造られた工場の可動部分とか、思わず息を呑む瞬間ってあるじゃん。目が点になって「なんだこれ…なんだこれ! なんだこれッ‼」ってなる瞬間。八虎にとってはこれがそれだったんだな。

そして気付いちゃうんだよ。絵には、芸術には、作り手の想いが言葉以上に込められているってことに。そして絵を描くことで、普段心の奥の方にしまっていた“言葉にできない感情”を表現できるということに。そして表現することの面白さに。

ここまで読めばお察しかと思うが、誰しも似たようなことは経験したことあるんじゃないだろうか。ある時、いきなり目の前が開けた感覚とでもいうか。真っ暗な暗闇にいたと思ったけど、「なんだ、光明は実は目の前にあったんだ!」的な瞬間というか。え? そんなドラマチックなことないって? いやいや、別にドラマチックではなくても良いと思うよ。参考までに、俺の人生において目の前が開けた瞬間というのを教えてあげよう。

 

人生を変えれるのは自分

―――あれは、ブラック企業で身を粉にして働いてい(奴隷をしてい)た時、連日の撮影に疲れ果てた俺は道路で仰向けに横たわったんだ。そしたらさ、広がってるんだよ青空が。視界一杯に。感じたね、「なんだ……こんなに俺が欲しかったのはこんなに近くにあったのか」と。手を伸ばせば届きそうなくらい一面の雲一つない空。圧倒的解放感と自由。どんなにつらい日々でもほんの少し勇気を出して車道に横たわれば自由になれる。ほんの少し勇気を出すだけで世界は微笑んでくれるということに気付いたんだ……。

安心してくれ、自殺幇助ブログではない。俺はその一週間後にブラック企業を辞めて自由を手に入れたよ~っていう、ゆるふわトークだ。まぁ俺の場合は空だったワケだけど、そのおかげで今は伸び伸びとやりたいことをやれる時間と余裕を手に入れた。きっかけなんて、いつでも どこにでも 溢れている。辛い時ほど周りが見えないなんてことはザラにあるからさ、ドラマチックとは限らないワケよ。ただ、人間関係に悩んでいる人ほど、”表現すること”が何かを変えるきっかけになってる場合が多いと俺は感じる。本当にやりたいこと、言いたいことを表現する手段ってのは実はたくさんある。大事なのはそれに気付けるかどうかだ。そして本気で実行できるかどうかだ。一歩踏み出すだけで、新しい考え方が見つかり、自分の中にあった問題が解決することは往々にしてある。いまグサリと胸が鳴った人は『ブルーピリオド』読んでみような。面白いよ。

 

 

母親との進路相談

前述している通り、本作はこんなリアルな家庭事情もしっかりと描いてくれている。実際、進路を決める上で一番の関門って親だもんな。ただ、そりゃあ親からしたら自分の子には安定した道を進んで欲しいって気持ちは分かる。でも親っつうのはさ、ちゃんと向き合えば応えてくれるもんなんだよ無論応えてくれない複雑な家庭もあるだろうが。でも、頼り方がわからなかったり、自分の気持ちを言葉に出来ないのが思春期の面白いところ。この命題の答えを導きだしたのが『ブルーピリオド』ってこと

さて、上のシーンの八虎を見た時に俺は思ったことがある。「あれ、これ、凄い成長の瞬間なのでは……?」ということだ。子が親に対して本心をブチまけるってだけで相当な勇気がいるのに、絵の素晴らしさを伝えつつ、本題である”藝大に行きたい”ことをストレートに表現している。「おいおい、高校生でこんなにガムシャラに想いを伝えられる人間がいてたまるか」と、一蹴することは簡単だ。だが胸に手を当てて考えてみて欲しい、自分が高校生の時にこんなに面と向かって親に感謝を伝えたことがあるだろうか? いや、むしろ今でも無理じゃないのか? 認めよう、俺には無理だ。つまり、今この瞬間に高校生の八虎は俺よりも人間力が高くなったんだ。真っ直ぐな人間の成長速度は速い

 

 

夢への道は険しい

親との軋轢も無事に解消され、本格的に予備校に通い絵の勉強を進める八虎。でもここからがまた面白いんだなぁ~。まず予備校のメンツが総じて濃い。さすが未来の美大生、天才と変態のオンパレードだ。完全なコミュ障だけど絵の才能に溢れていたり、男なのに三つ編みで芸術フェチだったり、優秀な姉にコンプレックスを持っている美少女だったり。単純に魅力あふれるキャラでもありつつ、思春期特有の何色にも染まりやすい感じもある。この時期の子供たちって酒の肴に最高だよな

ここからの内容は本当に絵の技術をガンガンと身に着けていくっていうことになるんだけど。何度も言うが八虎は天才ではないので、物凄く苦労して表現を突き詰めていく。美大に合格しやすい絵とはなんなのか、美大に合格しやすい絵は芸術としてダメなのか、自分は何で絵を描きたいのか、絵で何を表現したいのか、楽しく描くとは、てな感じで死ぬほど苦悩する。こうやって悩みぬいて悩みぬいて藝大受験へ一直線に突き進んでいくことになるんだけどね。しかしそれだけでは終わらない

 

思春期ゆえの浮遊感

美大受験仲間であり、八虎の幼馴染でもあるユカちゃん(鮎川龍二)。名前を見て貰えれば分かると思うがこの美少女、女装男子である。物語序盤から登場し、全読者の心を射止める彼だが、本作を代表する超重要人物だてか普通に超可愛い。芸術を志す人ってのは変わり者が多いっていうけど、こんなに危うさを伴った男子高生はいない

というのも、トランスジェンダーだからだ。これに関しては俺みたいに学の無い人間がとやかく言う話題ではないと重々承知しているが、もう一度言わせて欲しい。こんなに危うさを伴った男子高生はいない

祖母から絵を褒められて、美大への進学を志すが、入試当日の実技試験が始まった瞬間にキャンバスに「×」だけ書きなぐって帰宅。女装する息子に対して厳しく当たる親と、祖母からの期待という板挟み状態で過ごした結果、プッツンいっちゃう姿は凄惨たるものだし。入試直前の八虎を傷心旅行に付き合わせて、部屋の中で互いに裸になって絵を描く姿(必見)は思春期ならではのユラユラした”不完全だからこその美”を体現していた。芸術を題材にした作品で、彼以上に表現者であった登場人物はいないと思う

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ちなみに、『ブルーピリオド』を無料試し読みできるサイトも紹介しておこう。俺がよく利用しているのはまんが王国だ。

漫画を読むときに試し読みをすることは大事だと俺は思っていて。自分に合っているかを手っ取り早く確認するには、まず読むことだと信じている。何よりもまず行動っていうし、ここで『ブルーピリオド』の世界を覗いてみては如何だろうか。

しかも漫画王国では今登録すると半額クーポンが必ず貰えるからオススメ。利用できるものは何でも利用すべきというのが俺のポリシーだ。俺も結構ずっと使ってるから安全面は問題ないハズ。

 

<まとめ>

と言うわけで、今最も熱い芸術漫画『ブルーピリオド』の紹介でした。この記事では全く触れなかったけど、絵の技術についても初心者に分かりやすいように描かれてるからさ、ちょっとでも美大に行ってみたいって人がいたら勉強になるかも。でも、大事なのは自分が何をしたいかだからな。ここがしっかり考えられている人間の表現したモノは他とは違う輝きが宿る。ただ、「何がしたいか」なんて高校生の時期に見つかる方が稀だ(俺なんか今もフワフワ生きている)。自分自身の心に真正面から向き合った人だけが人間的にも成長して、結果として表現の幅が広がって美大とかにも入りやすくなるのかもね。 好きなことをやってる奴は無敵だ。ではまた。

『可愛いだけじゃない式守さん』しか勝たん

可愛い可愛い可愛い可愛い、そして…カッコ良い。こんな最高な女性がいるだろうか、いや、いない。でも、いたんだよ。『可愛いだけじゃない式守さん』にはね。

【あらすじ】

不幸体質の男子高校生・和泉は同級生の式守とつきあっている。普段の式守は可愛くて優しいが、和泉に訪れた危機や彼の言動に反応して男前なイケメン彼女に変身する。Wikipediaより引用

【作品概要】

「みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞2020」で9位、「次にくる漫画大賞 2020」でWEB漫画部門5位に選ばれ、着実にネクストヒットを狙える位置まで快進してきた本作。もともとは作者の真木蛍五さんがTwitterでアップロードしていたショート漫画で、講談社の『マガジンポケット』担当編集者からのオファーで連載化に繋がるという経緯を持つ、まさに新時代のラブコメだ。

『木星少女流星群』の頃から密かにファンになっていた俺にとっては、真木先生がラブコメで連載化と知った時はビッグバンなみの衝撃だった。何故って? 真木先生が描く女の子が滅茶苦茶タイプだからだよ。みなまで言わせるな。

連載当初はTwitterに上がっていた時と同様の枚数(各話4ページ)だったけど、人気が上昇するにつれてページ数が増えていき、話の構成が少年誌っぽく洗練されてきた印象。コミック4巻にて描かれた文化祭編のキュンキュン具合に俺は胸を撃ち抜かれ、存在することのない甘い青春時代に想いを馳せた上で涙を流しながら夢の世界にゴートゥーベッドした。翌朝、俺は目覚めて思ったね。本作は、マガジンを代表する純愛漫画と言っても過言ではない、とアニメ化も決まってるし、これはもっと広く知られねばいかん!とここに書いている所存である。

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それではお待ちかね。下記にて『可愛いだけじゃない式守さん』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

可愛いだけじゃない

可愛いのは大前提。そして大正義であり真理だ。まずここを理解しような。そしたらこの漫画は楽しめる。

初登場時は小動物のようなあどけない笑顔で”守ってあげたい感”を想起させるビジュアルの式守さん。あらすじにも記載してあるように、不幸体質の和泉はことあるごとに転んだり、車に轢かれそうになったりと随分な不幸体質だが、この災いから彼氏を守る式守さんが非常にイケメン。式守さん本人も自身のカッコ良さに対して特にコンプレックスがあるわけではなく、私服は”可愛い”と”カッコ良い”の二種類を使い分けている節があり、そこもまたイケメン。そう式守さんは「最高にカッコ良いイケメン彼女」なのである。M男必読

 

カッコ良いだけじゃない

と、ここまでは式守さんのカッコ良さにフォーカスを当ててたが、ただ男っぽいだけの彼女でもないのがこの作品の秀逸な点だと俺は思う

そもそも、どんな作品にも男勝りな女性キャラというのはテンプレートのように出てくる。例えば、『コードギアス』で言えば紅月カレン、『天元突破グレンラガン』のヨーコといったように。だが思い返して欲しい、前述した2キャラに関してはお色気要員も兼任していたことを(そこが良かったんだけど)。そう、男勝りな女性キャラという位置づけは二次元において、”男勝り+お色気” or ”究極に男勝り”の2択になりがちだったんだ。つまり本作における”可愛いとカッコ良さの両立”というのは、今まで手が届きそうで届かなかった絶妙な痒い所を見事に掻いてくれたということになる。

ここで上の画像を見直してみよう。ラブコメにはありがちの放課後二人だけの世界(誰が何と言おうと今この世界には二人しか存在しない、いいね?)。風邪をひいたときにお見舞いに来てくれた式守さんに「お礼がしたい」と聞く和泉、それに対して式守さんの返答は「何もしないで」。からの後ろに歩み寄ってぎゅう。戸惑う和泉に投げかけられる「チャージします」。俺もチャージします! 

てな感じで、しっかりと少女らしい可愛さを持つヒロインなんだよ。と言っても、後ろから交際相手を抱きしめてチャージするという行為、これは別に目新しいものではない。数々の少年少女漫画にていともたやすく行われているえげつない行為だ。だが、カッコ良い女の子を描くことに秀でている真木先生、この先生の作画で行われるだけで同じ行為でも全然違う魅せ方となっている。不良が捨て猫に優しくしてるのを見た時と似ているかもしれない。まあ、これは本作を読めば分かると思うが、”カッコ良い”がデフォルトに位置付けられている女の子の”可愛い”を見た時、心は想像以上にときめく

 

理想のパートナーとは

連載開始当初からこんなイケメン彼女と付き合っていた主人公の和泉。彼についても本作の重要なキャラなので触れておきたい。

式守さんだけが目立ちがちな本作だが、実はしっかり彼の成長物語でもあるし、”良い男”という点に関して言えば式守さん以上なのかもしれないと思えてくる。話が進むにつれて明らかになっていくが、これだけ性格も見た目もイケメンな式守さんが何故和泉と付き合っているのか、ここに「イケメンとは?」という答えが隠されていると俺は予想する

上の画像は式守さんが和泉の家に遊びに来た時、和泉の母親に、息子の不幸体質で苦労をかけていると声を掛けられた時のシーンだ。ここでしっかり式守さんが思う和泉の強さが語られている。確かに不幸なことに見舞われることが多い和泉だけど、その分誰よりも理不尽な物事に対して理解がある。そして、そんな自分を卑下することはなく、常に他人のことを気に掛ける彼の姿に対して「とっても強くてかっこいい」と言う式守さん(可愛い)なるほど、深い

どれだけイケメンっぽいことを自然にやってのける人がいたとしても、他人の気持ちを察しないままにその行動をしているとしたら、それはイケメンとは言い難い。逆にどれだけ弱弱しい存在であっても、他人の気持ちを思い遣り行動に移せているとしたら、それはもうイケメンと言っても良いのではないだろうか。そんな和泉の根底の部分に惹かれたからこそ、式守さんは彼と付き合った。素敵やんまぁ普通に和泉イケメンの部類だけどな!

最近友達にソシオパスと言われた俺ですら和泉が人間的に魅力的であることは理解できる。こりゃあ式守さんもメロメロですわ。

 

表情描写力が異常

ここまでで散々語ってきたことからも分かるように、可愛い&カッコ良いを的確に描ける画力に裏付けされた巧みな表情の描写。本作はこの力が飛び抜けている

分かりやすいのが上のシーンだ。遊びに来た式守さんが和泉&和泉母と一緒に映画を観てて、同じシーンで同じ表情をする子供たちに対して慈愛に満ちた眼を向ける母。悲しいシーンを観て、潤んだ瞳で隣を見ると最愛の彼氏の泣き顔。「あ、こんな顔で泣くんだ……」と一瞬呆気に取られつつも、安心と共感により自分の目からも自然と溢れる涙。

台詞なしだからこそ表現できる一連のシーンと言えるが、これを絵だけで表現できるのは常軌を逸している。その辺の俳優でも中々こんな心の機微は演じきれないし、喜怒哀楽+なんか色々ハイブリットした複雑な感情が式守さんの表情だけで表現されている恐ろしさな。あと何よりさ、好きな人と同じモノを見て、同じ感情を共有できるってすごい良いよね……。台詞無しの見開きでこんなことまで読者に気付かせてくれる、真木先生マジすごい

 


【まとめ】

少年向けラブコメ漫画にしては女性ファンが多いと言うが、なんとなく納得できる。行動がイケメンであり、女性から見てカッコ良い女の子像を体現するヒロイン、式守さん。そして頼りなさそうに見えても、愛する人にしっかりと好意を伝え、優しさに溢れる主人公、和泉この2人の存在は数ある少女漫画の登場人物たちにも負けてない

アニメ化によって爆発的に人気が出るのは容易に想像できるし、今やってる修学旅行編では愛情と友情がフュージョンした上質なアオハルが展開されてる。間違いなく目が離せない作品。応援してます。


『可愛いだけじゃない式守さん』
最新刊まで全巻セット

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ずっと色物かと思ってた『出会って5秒でバトル』を読んで5分でハマる

完全に色物の作品タイトルゆえに甘く見られがちだが、本作は非常にアツい想いをぶつけ合う秀逸バトル作品だ。また、その戦闘も『ハンター×ハンター』並みに頭脳を使う展開の目白押し。異能バトルはかく在るべき。

<あらすじ>

成績優秀でゲームが趣味の16歳の高校生・白柳啓は普通の日常に退屈していた。そこへ突然現れた謎の包帯男の襲撃を受け、ゲーム感覚で撃退することに成功したが、その後現れたマジシャン風の女に殺されてしまう。 病院風の謎の施設で啓は目を覚まし、同様の境遇の者ばかりが集められた会場に例のマジシャン風の女、魅音が登場。それぞれに与えられた「能力」を使って戦うことを説明される。 一対一での戦いの1stプログラム、5人グループが一対一で戦う2ndプログラム、チーム戦の3rdプログラムを経て、舞台は監視者1名を含む12人の6グループが戦う4thプログラムへと移っていく。Wikipediaより引用

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それではお待ちかね。下記にて『出会って5秒でバトル』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

デスゲーム開始

本作は2015年、ウェブサイト上にて連載を開始した(ゆくゆくはリメイク版が『裏サンデー』『マンガワン』へ)。2015年といえば、昨今のラノベ・ドラマ・映画などによって所謂”デスゲーム”作品というものが消費されつくした頃だ。『バトル・ロワイヤル』に始まったこの系譜に対する驚きは、生まれ続ける同系統作品によって日本人の間でも浸透・吸収され、この手の作品に対しての驚きというものが皆無に等しくなった

一般的な日本国民よりも少しばかり多くの漫画作品に触れてきた俺は、ちょっぴり食傷気味だったこともあり「はいはい、またデスゲームものね……」と、タイトルを見た時点で世間と同様の感想を抱いたのを記憶している。それから数年本作に触れずに生きてきたというワケだ。この時の俺の愚行を、つい先日、初詣で神に謝罪してきた

去る2020年11月、アニメ化が発表されたことからも伺えるが。俺がタイトルだけで食わず嫌いしている間に『出会って5秒でバトル』は異能バトル漫画として超王道を突っ走る人気作品まで成長を果たした。それもそのハズだ……面白れぇもん……。皆、決して名前だけでその本質を理解した気になってはダメだぞ。真実はいつも一つ。

 

 

超頭脳派バトル

それでは、何がそんなに面白いのかを語ろう。タイトルの通り、基本的にはバトル主体のストーリーであることに嘘偽りは無い。そして”出会って5秒でバトル”が始まるという点に関しても概ね齟齬は無い。人気の秘訣はバトル内容だ

上の画像の通り、主人公の能力は「相手があなたの能力だと思った能力」。異能バトル漫画なり小説なりを読みなれている人はこの能力を聞いた時にどう思うだろうか。俺的にはメチャクチャ弱い能力だと思ったね。だって、自分が自分の能力だと思った能力だったら脳内リミッターを外して必死に「強い能力にしよ~」なんて考えることが出来るけど、対戦相手主体で自分の能力が決められるなんて、絶対弱い能力にされるやん!  まぁ、条件と使いようによっては柔軟性がありそうな能力だとも思ったが……。本作はこの主人公の異質な能力を中心として波乱が巻き起こっていく。

 

この能力が極めて面白いんだよな。つまり、この能力はネタバレしてる相手じゃない場合に限って無限。会話・行動によって相手を誘導し、最適な能力を自分が持っていると相手に想像させるという心理的駆け引きが生まれる

例えば、上記画像は物語中盤の決定的な場面なんだけど。攻撃を全て無効化する”リーダーの能力”(※正確にはこれも間違った認識)を相手が知っていることを前提として、”リーダーの能力”のことを何気なく会話の中で刷り込ませることによって、決定的な場面で相手の想像範囲を意図的に制限する。もっと踏み込んだ解説をすると、実際にこのリーダーと呼称されている人物の能力は「相手と平和的に交渉を行える能力」で、この副産物として交渉中は攻撃が一切効かなくなるっていう能力なんだよね。つまり、相手の認識と想像の絞り込みによっては本来存在しない「攻撃を全て無効化する」能力を具現化できるということ。とんでもねぇ。

極論、「俺の能力名はインデペンデンスディだ!」と伝えれば、相手の想像力によっては宇宙人の大群を召喚することも可能(なのかもしれない。作中にそんなぶっ飛んだ展開は無い)

 

 

純粋に展開がアツい

もちろん人気の秘訣という点で言えば単純に展開がアツい。完全な能力バトルだけの作品でこんなに人気が爆発するワケもなく、純粋にストーリーが面白い。クールな主人公:アキラが無双していくだけではなく、苦戦の中で苦悩しながら葛藤し、成長していく人間ドラマがこの漫画には詰まっている。サブキャラ・モブキャラも例外ではなく(これが凄い)、一人ひとりが謎のデスゲームの中で確固たる信念を持っているからこその衝突、育まれる友情。果ては敵キャラに至るまでが信念をもっていることが巧みに描かれている。そこに異能という無限大のバトル要素が加わるワケだから、盛り上がらない訳がない

ちなみに、俺が欲しい能力は主人公アキラの父が持っている「相手に一つ使命を与える能力」だ。作中で詳細はまだ語られていないけど、これ普通に『コードギアス』のギアスだからな。

 

 

<まとめ>

というワケで、今回の記事は『出会って五秒でバトル』について語らせてもらった。俺の中で”アニメ化されて覇権とりそうな作品”トップランカーだし、純粋に漫画の出来が良すぎるから早めのチェックをオススメする。決して、タイトルに惑わされてはいけない、これは超王道少年漫画だ。ではまた。

『Levius-レビウス-』が新時代のSF作品であることに世界はまだ気づいてない

新時代SFという言葉がこれ以上なく相応しい作品『Levius-レビウス-』。機械義肢の拳で放つ冷たい右ストレートには燃えるような想いが宿っていた。

あらすじ

強き者。美しき者。その名は――レビウス。 新生暦19世紀――戦後の帝都では、人体と機械を融合させて戦う「機関拳闘」という格闘技が行われていた。 戦争で父親を失い、母親も意識が戻らない状態となった孤独な少年、レビウス=クロムウェルは、彼を引きとった伯父ザックのもとで、機関拳闘の若き闘士として頭角を現し始める。 そんなある日、競技の最高峰であるGrade-1に挑戦する機会が、レビウスに訪れる。同級1位のヒューゴとの特別試合に勝つことが条件だったが、そのヒューゴが前哨戦の相手、A.J.という謎の選手との戦いで…!! 人間の尊厳と、文明の未来が火花を散らす、頂上バトル、ここに始まる。Wikipediaより引用

 

作品概要

『ウルトラジャンプ』の読者以外にはまだまだ認知されていない作品(されるべき作品)だと思うので、作品自体の簡単な前知識を書かせてくれ。

まず作者は中田春彌先生。2019年、ファンタジーアニメとして熱狂的な支持を生んだ『Fairy gone』のキャラクター原案(妖精も)を手掛けた方だ。この時点でそのセンスの異質さを感じ取ってくれると思うが、その画力の高さは本作でこそ十二分に発揮されている

連載開始は実は2013年と早い。『ドロヘドロ』『海獣の子供』『人類は衰退しました』『フリージア』と癖の強い作品を多く扱っていた伝説の雑誌『月刊IKKI』(現在は休刊中)出身のバリバリSF畑。同誌が2014年に休刊してから『Levius/est』とタイトル変更しウルジャン移籍という経緯を持つ。

SF×格闘技というありそうで無かった(り、あったり)ジャンルを確立しており、2019年にはNetflixで全世界に向けアニメ化を果たした。余談だが、アニメ版と原作では大きく設定が異なっており、一言で表すとアニメ版は色々軽やかに仕上がっている。SF作品をこよなく愛する俺からすれば断然全作をオススメするが、アニメ版はアニメ版で非常に良いと断言しておこう(主に最終回のあの娘の笑顔)。

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拳に宿す想い

まず主人公:レビウスの戦う理由に触れておこう。その半生を端的に言えば、”戦争孤児として故郷を焼き討ちされ、瓦礫の雨の中、母親に抱きかかえられながら助かった”過去を持つ物静かな男の子。はい、王道。「あ~、あるある。こうやって復讐に駆られて強くなる、SFにありがちなダーク主人公パターンね~。」と連載当初に感じていた愚直な俺を、俺は焼き殺したい。違うんだ。レビウスが戦う理由は確かに植物状態の母親を資金的に救うためであり、過去の記憶に巣食う悪党たちに復讐することなんだけど。本作の主人公の魅力はさらに先を行く。

助かる見込みが無いんじゃないかと思えるような状態の母親の描写は読者の心にトラウマを植え付けるくらい壮絶(もっとトラウマ植え付ける描写が後に出てくるが……)。そんな母親のために、戦闘用ではなく医療用の義肢(母親の形見的な)を用いて戦う少年。中々に感情移入する設定だ。そしてお待ちかね! ようやく焼き討ちした組織の登場。全てを投げ捨てて復讐に走るかに思えたがこの読者の予想は大きく肩透かしを食らう。最初こそ飛び掛かり相手を殺さんとするレビウスだったが、復讐相手(無口の美少女:AJ)の瞳を見るやいなや「助けを求めている……?」と菩薩もびっくりの読心。あの子にも何か戦わなければいけない理由があるのでは……? と葛藤の末に敵陣突入。家族を人質に取られ操られているだけのAJの境遇を理解し、正義の心を持って復讐相手を救うことを決意する。そう、レビウスは誰よりも正義の心を持った優しい少年なんだよ

 

 

怒涛のデスマッチ展開

そして始まるレビウスvsAJの戦い。内容としては、まるで4部作1作目のボスが所見殺しの上レベル100カンストでも勝てないくらいの超インフレ展開。この序盤から一気にラスボス感がたまんねぇんだよ……。駆け抜けるように展開するリズム感は良作の基本。それでいてしっかりとストーリーに重さを持たせるところは流石としか言えない。

敵組織の親玉:Dr.クラウン(上記画像のピエロ)の悪逆非道さと糞ッタレ具合がいい感じに物語にスパイスを与えつつ、命すら顧みずリミッター越えた強さで圧倒してくるAJに対して、セコンドにつくザックス(レビウスの叔父)と、天才義肢エンジニアであるビルという頼もしすぎる仲間のフォローにより奮闘するレビウス陣営。この展開が死ぬほど熱い。いままでどこか噛み合っていなかった味方陣営が圧倒的悪を前にして全力で力を合わせるウルトラ正義展開。しかも俺が凄いなと思ったのは、ザックスとビルは自分ではリングに立っていないので、戦うのはレビウスに任せるしかないのに、これ以上なく死力(視力)を尽くして一緒に戦うという点だ。当ブログで何度も述べているが、バイプレーヤーが魅力的な作品は神作

戦いの過程~結末まで全く目が離せない展開で、人間ドラマが涙腺を刺激しまくってくるストーリー構成なので、SF作品はちょっと……ていう人でも是非読んで欲しい。

 

 

更なるステージへ

恐ろしいくらい濃密な激闘で、漫画でいうと単行本20冊くらい読んだんじゃねぇか? と思ったが、これ、実際には2巻(18話)までの出来事だから。もちろん彼らの物語は続いていくワケで。更なる強敵の登場。そう、いくつかグレードが存在する「機関拳闘」の中で、作中で行われていた戦いは”GradeⅡ”。AJに勝利し、世界に13人しか認められていないという”GradeⅠ”へ昇格を果たしたレビウスの前に登場する圧倒的強者感を漂わせる新キャラ(イケメン)。一人ひとりが国家軍事力に匹敵する(詳しくは上の画像参照)という逆リーマンショックが起きた気がするが……、そんなところに投げ込まれることになったレビウス。物語の続きに心躍らせる最高の展開で序盤のイントロダクションは終了! ここまで気持ちの良い「俺たちの戦いはこれからだ!」は過去あっただろうか……いや、ない。まったく、楽しませてくれるぜ。

まとめ

ということで、『Levius-レビウス-』の俺的紹介記事でした。ただこの記事で扱った内容ってのは新装版上下巻の内容だけしか紹介してないので、より本作の世界観を堪能したい人はぜひ連載中の単行本で(地上波放送中のアニメ版は全くの別物なので、いつ観ても◎)。このすぐ後に世界最強”GradeⅠ No.1”の男が出て着たり、アニメで貧乳強気少女として物語を彩ったナタリアも出てくるので、飽きることは無い。てかこの新装版は近年稀にみるSF漫画の良作として永久保存版だと思うね。俺は応援し続けます。ではまた。

見たことない人のために『バキ』を要約したからこれ読んで最強目指そうぜ

シリーズ累計で8,000万部を越える超大作『バキ』シリーズ。この作品には「最強」とは、そして「強さ」とは、という人類最大の問いに対する答えが詰まっている。

各シリーズ概要


第1部 グラップラー刃牙
1994年にOVA化、2001年にはテレビアニメ化されている。全42巻。 地下闘技場編 物語の導入部分にあたり、東京ドームの地下に存在する地下闘技場で極秘に行われる格闘試合を描く。普段は平凡な17歳の高校生だが、地下闘技場では無敗のチャンピオンとして君臨する主人公・範馬刃牙。彼に挑戦する鎬兄弟やマウント斗羽との試合が行われたほか、愚地独歩対範馬勇次郎戦なども描かれている。

第2部 バキ
『グラップラー刃牙』の続編。全31巻。第1部に比べ、「恋愛」や「性」の要素が濃厚である。2004年には「週刊少年チャンピオン バトル増刊 バトリズム」に読み切り『範馬勇次郎誕生』を掲載。『範馬刃牙』2巻に収録された。新装版13巻から17巻には、最凶死刑囚のその後を描いた描き下ろし短編『REVENGE TOKYO』が収録されている。

第3部 範馬刃牙
『バキ』の続編。全37巻。最終編である地上最強の親子喧嘩編で、刃牙と勇次郎の因縁に決着が付く。また、『週刊少年チャンピオン』にて『範馬刃牙』の連載を中断して描かれた『ピクル』が収録された外伝も発行されている。

第4部 刃牙道
『範馬刃牙』の続編。全22巻。『週刊少年チャンピオン』2014年16号から2018年19号まで連載された。2014年16号では一挙4話、102ページに渡って掲載し[3]、続く17号と18号も各号に2話掲載された[4][5]。前3作とは異なりストーリーの区切りはなく、一貫してクローン技術と降霊術で蘇った宮本武蔵と現代の格闘家たちとの闘いを描く。

第5部 バキ道
『刃牙道』の続編。『週刊少年チャンピオン』2018年45号から連載開始。Wikipediaより引用

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第一部『グラップラー刃牙』

前述した概要を読めば分かる通り、これは戦いのテレクラである(作者が呼称)。よく巷では”地上最強の親子喧嘩”というワードが浸透していて、この印象が強すぎるけど、そんなことはないいや、まぁそうなんだけど。主人公である範馬刃牙と父である範馬勇次郎が実際に戦ったのはシリーズ通して僅か2回。むしろこの親子以外の登場人物の戦闘が大部分を占めている。

とはいえ、シリーズ最初期の『グラップラー刃牙』では主人公であるバキの壮絶な半生が描かれ、大別すると全42巻の中で3つに分けられる

 

<地下闘技場編>

東京ドームの地下に日本古来から存在するコロッセオで、世間から極秘にされた戦いが日夜行われているという物語冒頭からいきなりトンデモ展開。まぁここまでは良い。漫画とはキャッチ―さが大事だ。この地下闘技場のチャンピオンとして君臨しているのが主人公のバキで、苦戦しながらも毎回勝利を手にしていく圧倒的強さが描かれる…かと思いきや、圧倒的暴力親父:範馬勇次郎の乱入。会場は鮮血で染まり、空手の父と呼ばれる愚地独歩(読者から圧倒的支持を集める超人気キャラ)も全身ズタボロ(というかそれどころじゃない)にされた。※上の画像参照

 

<幼年期編>

ここまで読んだときに読者は気づくと思う。「あ、これあれだ。ドラゴンボールだ……。どんだけ強くなっても新しいキャラが出てきて永遠に終わらない戦いが続くんだ」ってな。半分正解。だがこれは『バキ』。そんな二番煎じではここまで人気は出ない。ちなみに、俺はこの幼年期編と呼んで刃牙すごい好きになったんだよ、過去編を丁寧に描く作品は神作。要約するとこの幼年期編では、刃牙がどうやって地下闘技場チャンピオンになるまで強くなれたのか、そして父との最初の対決&母との別離という物語の源泉が描かれる。ここを読まずして刃牙ファンならず。

 

<最大トーナメント編>

世界中の達人たちを集めた史上最大の無差別級プライド選手権。空手を完成させた愚地克己、暴走族トップの柴千春、戦える達人:渋川剛気先生、烈海王、ジャック・ハンマーと今後レギュラー化するメンバーが続々と登場した。また上の「幼年期編」で戦った敵が成長して再登場するという点でも非常に胸アツな展開である。『ドラゴンボール』の天下一武道会でも思ったが、主人公そっちのけで行われるトーナメント戦というのは漫画という作品にとっては鬼門だ。組み合わせ次第でその回の人気が大きく浮き沈みする。だが全く飽きることなく読めた。そう、『刃牙』とはただの親子喧嘩作品ではない。漢たちの生き様を描いた作品なんだよ。だから主人公以外の戦いも面白い。全員が全員、”最強とは?”という想いを胸に技術(と筋肉)をぶつけ合う様は、男だろうが女だろうが関係なく濡れる。特に決勝戦の刃牙vsジャックハンマーの兄弟対決は必見。

第二部『バキ』

「最大トーナメント編」での大団円を超え、8年に及ぶ連載を一度終了させた『グラップラー刃牙』。しかし同年1999年復活『バキ』として復活を遂げた(しかも間に外伝を挟んでいるから実質ほぼ休み無し)。あれだけの大熱戦を繰り広げた以上、さらに上の戦いを創造することができるのだろうか……と俺は不安に思ったんだが、えぇ、全くの杞憂に終わりました

サンドバックに人間を詰めて送り返すのはこの作品だけ。

 

<最凶死刑囚編>

示し合わせたかのように脱獄してきた最強の死刑囚たちとの戦いが描かれた。この死刑囚たちがヤバい。電気椅子くらっても生きていたり、爪も引っかからないツルッツルの壁を50mくらい昇って刑務所脱獄したり、そんな極悪強靭な奴らとの”武器の使用以外すべてを認める”という何でも有りルールで行われる街を舞台にしたリアル逃走中(リアル戦闘中)。全編に渡って「敗北とは何か?」という問いを追求しつつ、主人公のバキに至っては「愛とは?」という哲学的ウィットに富んだ内容となった。炎すらも無効化するマ・ワ・シ・受けがいともたやすく行われる名勝負の数々(というか普通に炎を吹くな)もさることながら、戦闘狂たちの考える愛の形も必見の濃い~内容。

 

色を知る息子を見守る父親

戦いしか知らないバキに初めて芽生える恋心。「気づいたらもう好きになっていた」というピュアな想いに応えるように、惹かれ合っていく二つの心。そしてそれを超至近距離で見守る地上最強の父親(超絶隠密肉親ストーキング)。なんだろう……感動するシーンなのに、親父のおかげでフフッと笑いが零れてしまう。このシリアスな笑い、アレだ、どこか『カイジ』を思い出す。本人たちはいたって真面目なのに、何故か笑いが込み上げてくる。こんな筋肉ダルマたちすらも可愛く思えてくる……。これもまた『バキ』の魅力ということだろう。良き。

 

<中国大擂台賽編>

前編にて、死刑囚が使う毒を食らい満身創痍で痩せこけていくバキ(死刑囚は瞬殺した)。「毒を直すには毒だ。戦いだ」と謎理論により中国で行われる最強決定戦に招致されるという、頭ん中までタンパク質な天下一脳筋国際交流さすがの俺も若干引き気味だったが、ここで驚くべき展開が待っていた。そう、日米代表勢の一員として、憎き父親と刃牙のチーム戦という形での共闘だ。これは熱い。父親を殺すために強くなってきた息子にとってはこれ以上なく耐えられない展開……かと思いきや、ちょっと嬉しそうな愛憎親子。今思えばこの辺りから少し様子が変わっていた……詳しくは後述する。最終決戦の範馬勇次郎(究極の暴力)vs海皇(究極の武)の戦いは現代武術氏に残すべき名バトルなので必見。ちなみに刃牙の毒は相手の毒手を食らい中和されました(完治!)

 

<神の子激突編>

表世界の公式ボクシングで最強を誇ったモハメド・アライの子供が梢江(刃牙の彼女)に猛アプローチをかけ、刃牙と彼女を争って戦う展開。最強と最愛とは? という究極の戦いを魅せてくれるかに思えたが、蓋を開けてみれば刃牙の圧勝。ここで勘違いしてはいけないのは、彼は決して弱くはない。パンチ一発で全身のプロテクターぶっ壊す人類がいてたまるか。そう、刃牙が強すぎた。ぶっちゃけ可哀想なくらいに惨敗した彼の行いは一見無駄なように見えるが、この戦いがあったからこそ刃牙は自分が十分に強くなったことを確信し、父:範馬勇次郎への挑戦状を叩きつけるという神展開を引き出したそう、モハメド・アライJr.は犠牲になったのだ……。そしてまたここで一旦連載終了。

第三部『範馬刃牙』

伝説の第3部。色々と盛り沢山な内容になる『範馬刃牙』は、シリーズでも屈指の密度となっている。俺もこの記事を書きながら「あれ、この章だけで全然一記事いけたな……?」と思えるほどだ。そろそろ疲れてきたかと思うが、安心してくれ、あと半分くらいだ(たぶん)。ここから一気に戦いは加速するので、覚悟して読んでくれ。

 

<超絶監獄バトル編>

[実践シャドーボクシング編は割愛]

さらなる強者を求めて、大統領を拉致してアメリカ・アリゾナ州刑務所に潜り込む刃牙。目的はミスター・アンチェイン(繋がれない男)ことビスケット・オリバ。範馬勇次郎すらも認めるリアルハルクかと思えるような圧倒的筋肉ダルマ男の自由な生き様は刑務所職員すらも従える。単純な力という、人類の根源的な恐怖を形にした戦闘スタイルにはさすがの刃牙も苦戦し、追いつめられたけど、最終的にはノーガードのガチンコ殴り合いでアメリカ最強を沈めた。余談だが、『プリズン・ブレイク』に刃牙が出演したら10分くらいで完結することになるだろう

 

<野人戦争編>

はい、お待たせしました。原始人との戦いが始まります! 1億9千年前の冷凍化石から現代技術の粋と偶然によって目覚めたピクル。ティラノサウルスを捕食していたという規格外の化物が現代に蘇り、騒ぐ一般大衆。もちろん格闘家たちも例に漏れず興奮するが、それは一般人とは違い、コイツと戦いたいという欲求だった。我先にと群がる今まで登場した実力者たちを一蹴し(ピクルvs烈海王とピクルvs愚地克己は本当に超名バトル)、最終的には刃牙も戦いの舞台へ。結果:勝ちます。この時に刃牙の異常性が初めて提言され、圧倒的没入感を有する想像力が刃牙の強みということが読者に明かされる。幼少期から最強の父を倒すべく常に強者(動物も含む)との戦いを想像・実践してきた刃牙にとっては、原始人・恐竜との戦いのイメージも造作なく、逆にその戦闘法を模倣すれば相手には恐竜が具現化したように見える。そう、もはやスタンドや念能力の類。原始最強を倒した刃牙に、もはや地上に並ぶ者はおらず、いよいよ父親:範馬勇次郎との戦いに向かうのだった(ティラノサウルス倒す男より当たり前のように強い父親……)

 

実況スタイル

ここで一度『刃牙』シリーズにおける戦闘実況スタイルをに言及したい。こと戦闘において漫画界のパイオニアであり先駆者であると言える本作。連載を続けるにつれ、戦闘中に巻き起こる奇々怪々な技術ラリーの実況も進化を遂げた。結果、辿り着いたのが、未来の視点で語られる戦闘解説だ。上の画像は原始人:ピクルvs刃牙の戦いを観戦していた烈海王が2人の戦闘を語るシーン。まるでTV番組のインタビューを観ているかのようなコマ割りと見ている者に語り掛けるような丁寧な解説は、未来の視点で「思い返せば……」という立ち位置になっているからこそ。まさに『プロフェッショナル』スガシカオの歌声が聴こえる。

 

<地上最強の親子喧嘩編>

[強者達の戦い編は割愛]

本作は最初から一戦を魅せるために展開してきたと言っても過言ではない。いうなれば『はじめの一歩』の一歩vs宮田である(こちらは未だに実現していないが……)。いよいよ戦う父子の戦いは、もはや親子喧嘩という枠に収まらず、隠しきれない。世界的に公にされた親子喧嘩という異例の死合い、その末に唯一無二の親子愛の形を示した二人には世界中(の読者)が涙したのは言うまでもない。

 

範馬勇次郎について
ここで前知識として範馬勇次郎に触れておこう。生まれた時から意志を持っていたとされ、腹から取り上げようとする助産師に向かって「ミスの無いように気を付けろよ……」と(言わんばかりの眼力)痰を切ることから始まった彼の人生。

強者を求め紛争地域を渡り歩き、並ぶ者がいなくなるまでに成長した勇次郎はいつしか国家軍隊と同等以上とみなされることとなり、歴代アメリカの大統領は彼に聖書を抱えながら不戦宣誓を行うほど。こうして富・権力を手にし不自由なく生きていたかに見えたが、捕食者として頂点であるという事実に退屈。並ぶ者がいない人生にスパイスを……と世界各地で自分の種を蒔いた。結果、一番の成功作として育ったのが息子:刃牙ということである。

『グラップラー刃牙』幼年期編のラストでは、刃牙のことをつまみ食いと称して圧倒。自らの妻(刃牙の母親)も手にかけるという極悪非道人間破壊兵器として作中に君臨していた。

 

この世で一番の親子喧嘩

0地点で最高速に到達するゴキブリ突進、ピクルとの戦いで見出したトリケラトプス拳、今までの全ての経験と技術を集約した必殺技:虎王。刃牙の培ってきた技術と技を全て用いても勇次郎には通用せず(正確には効いているか不明)、すべて上位互換の技で返される。そんな攻防を繰り広げるうちに、世界中から集まってきた野次馬ギャラリーたちの心にある仮設が生まれてくる。「あれ? この殺し合いはこの親子のコミュニケーションなのでは?」という気持ちだ。確かに殺傷能力MAXの技をお互いに繰り出しているが、それはこの父(息子)ならば受け止めてくれるだろうという信頼ありきの応酬。”地上最強に君臨する父親と対等に会話するためには同じ高みまで登らなければいけない”と強くなった息子、宣言通り強くなってきた息子を称え、全ての攻撃を受け止める父親。形は非常に歪だが、内容としてはごくありふれた父子のコミュニケーションであると言えるのではないだろうか(いや、そんなことはないが)

 

心境の変化

今思えば、この戦いに至るまでにも刃牙の気持ちの変化は描かれていた。実の父とは言え母の仇である父親を最初は憎い存在として殺意を飛ばしまくっていたが、ともに戦い、”強さ”というただ一点において絶対に信頼を裏切らない父のことを、内心認めている自分がいることに気付いていた。

 

一方で父にも確実に変化は起こっていた。大国から畏怖の象徴として崇められる勇次郎が息子のもとを訪れ、手作りの晩御飯を食べる。こんな当たり前のことをリアルプレデターがするか? いや、しない。しかも更に、食卓を囲むだけではなく息子に対して食材に対する礼儀を教える。このシーンを読んでいる時「馬鹿なッ!」 と全読者心の叫びを代弁した俺がいた。いや……違うな……。この親子が特別だと勘違いしていた全読者(俺を含む)が固定観念に囚われていたのかもしれない。いつだって親は子を躾け、可愛がるものだし、感情のない人間などいない

 

衝撃の決着

激戦の末、母親殺害時と同じ技を食らい聴覚を失った刃牙だったが、それでも負けじと闘志を飛ばして去り行く父を立ち止まらせる。そして伝説のエア味噌汁(これはぜひ単行本で!)。マジの殺し合いという肉体言語によって初めて対話をした結果、息子に対して放った最強継承。これには鳥肌が止まらなかった。

”息子が父親に認められる”。男の人生において、これ以上の喜びは中々ないだろう。それを単行本109冊で描き切ったのが『バキ』という作品ってこと(番外編を入れれば112冊)。

強さを極めた末に行きついた親子の愛の形。これは決して特殊なものではない。ごくありふれた家庭に、ごく当たり前のように存在するモノである。だが家族仲が悪かったり、プライドが邪魔をしてお互いを認められなかったり、この”当たり前の奇跡”を逃がしてしまっている人が多いことも事実だと思う。真の強さとは、家族だろうと(家族だからこそ)逃げず、真正面から愛を伝えることなのではないだろうか。範馬親子にとってはその手段が拳だっただけってことだ。諦めず頑張った刃牙少年に拍手。

まとめ

正直、食わず嫌いで今まで読んでいなかった『バキ』シリーズ。これメチャクチャ面白かったぞ。本記事では、キリが良いので、シリーズ第三作目となる『範馬刃牙』までしか紹介しなかったけど、続編にあたる『刃牙道』『バキ道』は地上最強になった後の刃牙の戦いが描かれる。宮本武蔵(本物)との真剣勝負相撲をする地上最強……まだまだ楽しませてくれることは言うまでもない。

家で『カウボーイビバップ』タレ流してるだけでお洒落だと思える不思議

90年代のSFアニメと言えば『攻殻機動隊』。異論は無い。だが『カウボーイビバップ』のことも忘れてはならない。多くのファンを虜にする良さ、これこそ色褪せない不朽の名作。

あらすじ

時は2071年。宇宙開拓時代を迎えた人類は太陽系内に生活圏を広げており、悪化する治安への対策として、指名手配犯を捕まえる賞金稼ぎ、いわゆる「カウボーイ」たちが活躍している。カウボーイ稼業を営むスパイク・スピーゲルと相棒のジェット・ブラックは、古い漁船を改造したオンボロ宇宙船「ビバップ号」に乗り込んで宇宙を駆け巡っている。大物の賞金首を捕まえることもある一方、その荒っぽいやり方に巻き込んだ一般市民からの損害賠償請求も多い彼らに金銭的余裕はない。 そんなビパップ号に奔放な美女フェイ・ヴァレンタイン、天才ハッカーのエド、犬のアインが転がり込む。おのおの何かしらの事情を抱えながらも、一同はビパップ号で緩やかな絆を育み、行く先々で様々な騒動に巻き込まれる。Wikipediaより引用

80年代~90年代頭に生まれたアニメ好きにとっては言わずと知れた大名作。かく言う俺も『攻殻機動隊』にハマった時に「お、コレも面白そうじゃん!」と流れで視聴。その世界観に魅了された

特筆すべきは一話完結型の各話構成。本筋の回も間に挟みつつのビバップ号4人(+1匹)のドタバタ劇は家でずっと流していたい心地良さすら感じさせる。というか、コロナ禍での我が家のBGMはこの『カウボーイビバップ』だった。ヤダ…お洒落。

”ビバップ”って名を冠している通り(アレンジから生まれたジャズスタイル)作中ではその話のタイトルに用いられた曲がストーリーを盛り上げる。ちなみに音楽はほぼ全てが 菅野よう子 作曲。国内外の音楽家が参加した「THE SEATBELTS」というクリエイティブ集団が演奏した。このごちゃまぜ感が最高なんだな。

 

 

名作と呼ばれる所以

厨二心をくすぐるハードボイルドなセリフ回しは『ブラック・ラグーン』を想起させつつも、コメディタッチなドタバタ回もあり観ていて飽きない。というか指数関数的に「あ…好き…」という感情が溢れてくる

渡辺信一郎監督も「毎回20分の映画を作っているような感覚でした」と語る通り、登場人物たちの会話によって引き出せれる世界観の深さは他に類を見ない。このアニメを視聴した後、空を見上げれば遠い星で賞金首との銃撃戦、路地裏を覗けばマフィア間の小競り合いが今まさに行われているのではないかとすら思えてくる。麻薬的な没入感

 

 

秀逸なセリフ回し

ハードボイルド作品に総じて言えるが、登場人物たちのやりとりが堪らなく秀逸。てか単純にセリフ自体も良い。Session1でスパイクが「カメレオンじゃねぇんだ、そうあちこち見えねぇのさ!」って言った時に俺は思ったね、こんな世界に生まれたかったと。かと思いきや、ファンの多いSession17の麻薬キノコ回では「俺の兄貴はなぁ、お前から買ったキノコを食って、笑って笑って腸捻転で死んだ!」というウィットに富んだ発言も(NHKだったら間違いなくピー音入る)。これがビバップ。

下記では、上記以外に俺が観直しながら良いな~と思ったセリフメモを羅列しとくからさ、愚かにも未視聴の人はこの素晴らしい世界観を感じてくれ。視聴済みの人は酒でも飲みながらほくそ笑んでくれ。

Session1Session3Session5Session10Session12
「肉の入ってねぇチンジャオロースはチンジャオロースと言わねぇんじゃねーのか?」
「……金がないときには言うんだよ」
「チャーリー・パーカーがゲーテの名言を吐くかい?」
「天国を追い出された天使は悪魔になるしかないんだ」
「昔の女が今でも自分のこと考えているなんて大間違いよ」
「女がみんな自分と同じと思ったら大間違いだぜ」
「人の中で独りぼっちだって感じるより、一人っきりで孤独を感じる方がマシ」
「離れるのが怖くなったんだね、その人たちと。だから離れちゃったんだ。」

Session14Session16Session18Session25Session26
「さぁ、君も一緒に人生を棒に振ってみないか?」
「女はすぐに裏切るが男は義理に生きるもんだ」
「義理ねぇ」
「俺はそう信じたいね」

「来たくはなかったんだが、会いたがる奴がいてな……失くした左腕だよ!」

「あたしはもう、ここにはいない。でも、この日のあたしは、ずっとここからあなたを応援している。たった一人の、あたしへ。」
「女がいた。俺は初めて生きてる女を見た。そう思った。あいつは俺が無くした俺の片割れさ。俺が欲しかった、俺のかけらなんだ」
「空腹は最高の調味料さ…」

「普通の女よ。綺麗で危なくてほっとけない…普通の女」

「スパイク、一つだけ聞かせてくれ。女のためか?」
「・・・死んだ女のためにできることなんてないさ」


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劇場版:天国の扉

1999年に終わったアニメシリーズから2年後、2001年9月に発表された劇場作品『カウボーイビバップ 天国の扉』。

「あんなラストを見せといて、続編があるのか⁉」と思ったのがもはや懐かしい。『BIG SHOT』が放映中だから、時系列的にはアニメシリーズの22話と23話の間ということになる。つまり、基本的には一話完結のストーリー構成のビバップにおいては未視聴でも映画版から見始めることも可能。「昔のアニメって絵がダメなんだよね」とか言って、自らの見識に限界を設けている糞ったれは是非ともこの劇場版からの視聴をオススメする

内容は、時系列的に仲睦まじく罵り合う最高なビバップのメンバーが描かれる。この時点でアニメシリーズを視聴済みだと「これこれこれぇ! こいつらをまた見たかったんだよぉ!」とテンションが上がるが、作品全体を通して基本的にはシリアス回のテンション。ハロウィン前の火星で起こる爆破テロの容疑者に3億の懸賞金がかけられて例に漏れずビバップ号の面々も犯人を追う。史上最高金額の懸賞首との戦いということで、若干スパイクの動きが良い気がするあとフェイの唇が奪われる

重厚なサウンドは相変わらず良いし、作品中盤でスパイクが負ける絶望シーンの演出も非常にGOOD。「そんなにあっさり負けちゃうんですかスパイクさん!」と視聴者の心を底辺に堕としてから、クライマックスの「この世界がどうなろうと知ったこっちゃねぇ。ただ、お前に借りを返しに来ただけさ。」な。もう話の構成が海外の映画なんだよ。流石、天下のサンライズ


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まとめ

不朽の名作と呼ばれる作品は数あれど、ここまで色褪せない作品も無い。例えば、偉大なる宮崎駿監督が作ったジブリ作品はいつまでも愛されるじゃん。これもそれだ。90年代後半のアニメ絵の独特なタッチが絶妙にマッチしているというか、今っぽい絵で表現すると、本作の良さは無くなっちゃうんだよな。だからこそ、アニメが好きな人には須らくこの作品を視聴して欲しい。取り敢えず、家でタレ流すところから始めよう。

『ビースターズ』が世に示した自制心の大切さと種族問題への考え方

完結記念。数年前まで、『BEASTARS(ビースターズ)』めちゃくちゃ面白いよ と言ったら「へぇ~、そういうメルヘンなのも読むんだね!」なんて言葉を返されたもんだ。いや、違うんだ。この作品は超現実主義なフェアリーテイルだ。

あらすじ

中高一貫のエリート学校・チェリートン学園内で、ある日草食獣アルパカの生徒テムが肉食獣に殺されるという「食殺事件」が起きる。テムと同じく演劇部部員であったハイイロオオカミの少年レゴシは、大型の肉食獣であることに加えて寡黙な性格や意味深な言動が災いし、テム殺しの犯人だと疑いの目を向けられてしまう。幸いこの疑惑はすぐに晴れることとなるが、結局真犯人は見つからないままであり、学園内に生まれた肉食獣と草食獣の確執のようなものが消えることはなかった。Wikipediaより引用

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『ビースターズ』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

アニメ版の衝撃

擬人化された動物たちというメルヘンビジュアルに反して扱う内容がかなりシビアだから、本作がアニメ化された時の衝撃たるや……。ちなみに、原作は2016年秋から連載を開始して2020年10月に堂々の完結を果たしており、週刊少年チャンピオンとしては『ブラック・ジャック』『弱虫ペダル』に続く3作目の講談社漫画賞受賞作

前述のあらすじの通り、カートゥーンな動物たちの高校生活が綴られるストーリーだが、開始早々に生徒同士の食殺事件が発生。はい、ほのぼの日常系シルバニアファミリーは解散。ここから物語は愛憎入り乱れるサスペンスの様相を呈してくる。

……って感じで、主人公は異種族フェチの変態・寝取られ・同級生との殺し合いと動物のビジュアルじゃなかったらPTAから苦情が来るのではと疑う内容だったため、本作がアニメ化した時は中々に衝撃だった。だが、俺を含めたファンたちの不安はオンエア開始の瞬間に払拭される結果となった

 

神OP・神ED

OPは視聴者を見事に高揚させた。妖艶で可愛くて恐ろしい、そんな”野生の魅力”を見事に表現した良曲チョイス。そして毛並みまで再現されたCG技術。「アニメ……ここまできたか」なんて呟いたもんな。すごいよ。歌手は30代に不思議と響くと俺の中で話題のThe John’s Guerrillaの今村怜央が参加してるALI。懐かしさからくる興奮+ワクワクする曲調にPTAもニッコリ

ちなみにED楽曲は12話の中で4曲仕様されており、全曲YURiKAが歌ってる。俺のオススメは4話と11話に流れた「マーブル」、そして最終話でだけ流れた「月に浮かぶ物語」だ。どうでもいいけど、こういう美声で落ち着く曲調をカラオケで歌われるとどんなに歌うまくても反応に困るよね。でもこのEDは物語に合ってるからOKです

 

 

欲への葛藤

この作品において最初から最後まで一貫して描かれる肉食獣と草食獣の葛藤(というかこの物語は極論これしか無い)。一応、動物たちが住む世界として、表向きは種族問わず仲良くしてるんだけどね。肉食獣に流れるDNAは捕食対象としての草食獣を絶対に食べたいマンと化すし、アニメを観た人はご存じの通り、草食獣(ハルちゃん)は肉食獣(レゴシ)に覆い被さられると自ら負けを認めて足開くより先に胃の中に入ろうとしちゃう

だからこそ、この世界では各々が心の中で葛藤を繰り広げながら生きている。そして種族を超えて繋がる絆がある。そこに心が震える。中でも俺の心にグッときたシーンはレゴシが狼の誇りである牙を自らの手でへし折った場面かな。

もうこの雄狼カッコ良すぎるでしょう。獣社会の中でも一番偉いとされるビースターに対してこの決意表明。俺の牙は誰かを傷つけるためにあるんじゃないんです、誰かを守るためにあるんです。だから傷つける可能性があるならもう要りません。っていうブっ飛び発想、嫌いじゃない。肉食代表としての自制心と風格がカンストした瞬間だ。

というかコレ、現実社会に対しても言えることだと思うんだよね。力の強い人間はその力を無暗に振りかざすべきではないし、力の弱い人間にも強さはある。なにも腕力に限った話ではなくて、権力とか財力とか、他にも色々な力が不平等に割り振られた世の中だからこそ、どう扱うかが常に問われているように俺は感じる。※俺には何も力はないが。

動物たちの物語を見ていたつもりが、精いっぱい生きる彼らに深く感情移入していくうちに、自分自身の人生ともリンクしている内容だと気付く。気が付けば、自らの有り余る力に悩む肉食獣を、捕食者として日々悩みながら暮らす草食獣を、心の底から応援してしまう。そんな素晴らしい物語なんだよ。特に最終話に向かっていくラストへの流れは秀逸だ。完結となる22巻はまだ未発売だが、今のうちに21巻までの復習を強くオススメする。

まとめ

ということで、最高の盛り上がりを果たした後に有終の美を飾った名作に乾杯。草食動物への淡い変態恋心を抱きつつも種族問題の中心を駆け抜けたレゴシの生き様は言わずもがな、影の主役としてレゴシとともに戦い続けた勇敢なルイ先輩にも花束を贈りたい。そしてまた”間違いない名作”が漫画史に刻まれたことに感謝の意を表したい。

『GREAT PRETENDER』が『コンフィデンスマンJP』超えたと思うのは俺だけ?

熟成されたスープのように、どんどん味が出てくる。それが物語の醍醐味ってもんだ。また、登場人物に魅力があればあるほどそれは顕著だと思うんだ。

あらすじ

自称“日本一の詐欺師”こと枝村真人(エダマメ)は、年寄りや旅行客相手に詐欺を働いていた。 そんなある日、標的に選んだ外国人バックパッカーはまさかの同業者だった! 彼の名はローラン・ティエリー。エダマメを気に入ったローランは、ロサンゼルス・ハリウッドで“ある勝負”を提案する。公式サイト 第一話

キャラデザ貞本義行で贈る、極上のコンゲーム。以前にも本作に関しての記事を書いたのでそっちの記事も是非。

 

 

詐欺物語最終章

CASE1:ロサンゼルス
CASE2:シンガポール
CASE3:ロンドン

と、今までの話で世界を股にかけて騙し続けてきたエダマメの詐欺師人生も遂に佳境。最後の舞台は日本。日本の暗黒面を相手取った騙し合い(もはや化かし合い)が繰り広げられる。俺はシンシアが主役として活躍するCASE3が一番好きなんだけどね。今回のCASE4も中々……。エダマメの父親も出てくるし、ローランの過去も明らかになっていく。いやもうこれを待ってました感ヤバい。全くもって視聴者の気持ちを分かっておる

 

 

鍵キャラ:ドロシー

前述のローラン過去編で出てくる超重要キーマン、ドロシー。この娘が何よりも曲者。一見すると白髪黒人ねーちゃんなんだけどね、言うなれば『コンフィデンスマン・JP』で言うところの長澤まさみ。CASE4にして本当の主役の登場と言っても良い。

ローランが詐欺道に入るきっかけとなった師匠的存在で、その実力は現代のローランを彷彿させる超敏腕。しかも、若かりし日のローランと恋仲になっていく月9顔負けのロマンティック展開。更に更に、その時のローランの仲間にはシウォン、オズ(エダマメの実父)もいるという過去編に出てくる奴ら強すぎテンプレ。Fate/zeroもstay nightより全員強かったじゃん、そういうこと。

こういう展開の時に毎回思うことがあるんだが、こういう女師匠的な存在って半端なく魅力的に見えるんだよね。しかも弟子と相思相愛。無敵か。ダー子とボクちゃんが最終回で結ばれて大団円くらいの胸アツ。だが、そこで物語は終わらない。

簡潔に言うと一番大事なところでミスってチーム解散。最愛の人を無くしたローランが自暴自棄になってコンフィデンスゲームに打ち込んでいく様が描かれる。そんな中で新しい仲間であるシンシア・アビー・エダマメとの出会いで現代に繋がる。俺のアニメ評価の方程式を一つ開示しよう、過去編をしっかり描く物語は名作。これ、それ。

 

 

全ての嘘が繋がる

CASE4に関しては15話~23話までの9話構成。1~3のCASEからしたら破格のロングストーリーだ。これ映画でいうと4時間半に相当するからな。制作陣の気合を感じる。もちろん、肝心の中身もその辺の邦画は超えてきてるのが流石。

今回のターゲットは児童売買を生業にする反社ということで、いよいよ本気でブッ騙しに行くのかと思いきや……エダマメの人の好さがキリスト並みに神々しい結果となった。うん、腕の良いコンフィデンスマンは敵も味方も幸せにするんだな。この点で言えば『コンフィデンスマンJP』すらも超えてきた。超秀逸ストーリー。

ティザービジュアルに「全ての嘘は、この時のために―――」っていう何とも格好良さげな文言があって、格好良いこと言ってれば皆が観たくなると思うなよ~と天邪鬼な俺は思ったもんだけど。なるほど、全ての嘘はこの時のためにあったんだなとあっさり納得。例えるなら『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』でオメガモン初登場してディアボロモンの2000年問題をバッサリ解決した時くらいの爽快感。この感覚は是非とも全話視聴して味わって欲しい。さて、そろそろ断言しとこうか。このアニメは超名作です。

 

 

まとめ

というわけで、『グレートプリテンダー』に関しては二回目の記事になったんだけど。正直予想以上の出来だった。ここまでキャラクター達の内面を深堀してくれるとは思わなかったし、一人ひとりの心情や性格をしっかり描いてくれたからこそ観てる側も感情移入が出来た。なんというか……脚本を手掛ける古沢良太さんのシナリオはアニメだと実写より表現力が上がっているように感じました。実写にできないことをやってのける、これこそ令和のアニメに求められている姿かと。GOODです◎。