『新しいきみへ』こそSFの地平を切り開くニュービー

最近SF作品もテンプレート化されつつあると感じているのは俺だけじゃないハズ。数多の小説・映画・漫画で星の如く生産されているサイエンスフィクションというジャンルは、もはや飽和状態。そんな現状に一石を投じる作品、それがこの『新しいきみへ』だ。見たことのないSFの世界へ、この記事を読んで歩みだして頂きたい。

ーーー「君はまた失敗した」。

妻・亜希が浮気していると誤解し、傷心旅行に飛び出した高校教師・佐久間悟。 彼が夢で見る黒髪少女に似た子と故郷・小田原の母校で出会い、ほだされるうちに不貞を働きそうに。

しかし、正気を取り戻した悟はその子の元を後にして日常へ戻る。 恵まれた現状を大切にしようと再び決意した悟。

新学期、担任するクラスの新入生の中に見覚えのある少女の姿が……。

日常が揺らぎ始め、奇なる恋愛譚がはじまる。

 

 

【作品概要】

2017年に俺の大好きなSF作品『ダレカノセカイで漫画家デビューした三都慎司先生が贈る禁断の恋愛物語。それがこの『新しいきみへ』だ。2021919日の『ウルトラジャンプ』10月号にて連載を開始した本作、元々精緻に作り込まれたSF作品を得意としていることもあり背景などの書き込みが非常に細やかだが、それ以上に、芯の強い女性が非常に魅力的に描かれていると感じた。これは同作者の前連載作品であるアルマも感じていたが、舞台がリアルな現代ということでより際立つことになったと言える

前述した2作品『ダレカノセカイ』『アルマ』に関して言えばゴリッゴリのSFなので、正直、この先生が恋愛モノを連載するということに違和感を覚えたが、第一話を読みそれは全くの杞憂だったと理解した。むしろ今までの作品で培われたエッセンスが凝縮されてこの現代浪漫劇に詰め込まれている とすら感じた次第。というのも、どうやらただ教師が生徒相手に不貞を働くだけの安直なロマンスではなさそう……ということが1話の時点でストーリーの端々から、そして芸術的とも言える画から醸し出されているからだ。つまり、一癖ありそう。みんな大好き一癖作品……いや、正直に言おう、単純に俺がこういう練られた物語が好きなんだ。てか、ぶっちゃけ三都先生の作品が大好きなんだ

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。『新しいきみへ』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

 

逃避から始まる物語

物語は主人公である佐久間先生(教員)が妻の不倫の瞬間を目撃するところから始まる。妻の浮気現場らしき瞬間を仕事帰りに目撃してしまった佐久間先生は、逃げるひたすら逃げる。この冒頭シーンに関して、佐久間先生の行動に理解が追い付かない人もいるかもしれないが、俺はコレ結構リアルな反応だと思っちゃうんだよな

というのも、俺も学生時代に恋人に浮気されたことがあるワケで。その時は現行犯ではなく相手から浮気の告白をされて別れを切り出されたんだけど、当時の俺は悲しさとか絶望とか怒りとか色々と感情が入り混じった結果、蝦夷(北海道)に向かったな。何で蝦夷かって? いや、そこに理由は要らねぇんだよ。とにかく俺は蝦夷に行くしかなかったんだ。取り敢えず粛々と東京駅向かって、東北・北海道新幹線でその日いけるところまでの切符を買って粛々と乗り込んだ記憶がある。ちなみにその後の記憶はおぼろげだが、親友からの電話で福島あたりで我に返って東京に戻ってきたような気がする。

話が脱線したが(暴走したのは過去の俺だが)、要するに人間は処理しきれない事象に直面した時、感情の赴くまま何処かへ駆けてしまうってことだ。きっとまだ経験してない人はこれから同じような経験するよ。え、するよな? するはずだ(過去の俺を肯定したい)。

だから、佐久間先生は妻の浮気現場を目撃して逃避してしまったわけで。こうなった時の人間は自分探し状態と一緒よ。自分の中で何かしら答えが見つかるまでは家路につくことは出来ない。ルフィだってエースを失った時にジンベエのおかげで気付いたじゃん、まだ「仲間がいる」ってことにな。あれ。あの感覚に近いものを自分で見つけない限り、この旅路は終わらない

 

 

逃避行①

ということで粛々と自分探しを続ける佐久間先生。子供の頃にタイムカプセルを埋めた場所で学生時代を思い出して、彼女が居なかった10代の自分を嘲笑しているが、気づいて欲しい、今まさに黒歴史を更新している自分こそ嘲笑すべきであるということを。妻にも連絡をせずに日本全国を放浪して自分探しをするオッサンなんて、爺になってからは笑い話に出来るかもしれないが間違いなくブラックヒストリーだからな。まぁ、渦中の本人はそんなこと気付くわけないのだが。

この辺りで妻側の視点も語られ、冒頭にてラブホテルに一緒に入ったのは同僚の女性スーツ姿が遠目だと男っぽく見えるという非常に俺好みな逸材だということが読者側に明らかになる。つまり、佐久間先生の行っている逃避行は完全にお金と時間の無駄使い……いや、俺はそんなことは思わないよ。頑張れ佐久間先生、いや佐久間(親しみをこめて)。頑張れ。探せ、この世の全てを。

そしてここでみんなが気になっているであろう、上の画像の最後に唐突に登場したセーラー服の女の子にも触れておこう。佐久間先生が感傷に浸っている時に、ふと女の子の面影を感じるというシーンがここで描かれる(ちなみに幻覚だ)。あらすじで貼った冒頭1ページの通り、佐久間先生は度々この女の子が夢に出てくるというなんとも羨ましい日々を過ごしているのだが、この「夢の女の子」というのが本作においてかなりキー人物のご様子。でもこの記事で紹介するのは第一話の内容のみなので、まだ全容は明らかにならないよ。

 

 

逃避行②

「夢の女の子」の面影を感じた方を向くと、そこには誰も居らず。代わりに幻覚によく似た別の少女が現れる(これは実体)。引っ越しの準備をしているらしく、佐久間に荷物を運ぶのを手伝って欲しいと打診してくる。そんなこんなで、他にやることもないので言われるがまま謎の女の子の引っ越しを手伝うことになり、なんやかんやでこの謎の少女とベッドインする

はい、めちゃくちゃ省略しましたが、ここは実際に本作を読んでくれれば良いかなと。ベッドインってのは添い寝的なアレではなくて、歳の差的にイリーガルな情事の方な。この『新しいきみへ』が ”禁断の恋愛奇譚” と銘打っている所以(キャッチコピー回収)。旅先で美少女とそんな関係になるなんて、男なら誰もが夢見る展開であることは否めないが、精神が弱っている時にこんな甘言を言われたら「まぁ……いっか。もうどうにでもなれーい」ってなるのは何も不思議なことではない。だから世の奥様よ、旦那の心は丁寧に扱おうぜ。

ここでは(Googleのコンプラ的に)結果だけを述べる。佐久間はこの少女に不貞を働くことはなかった。世の男性からは「勿体ない」「意気地なし」「据え膳!」と罵詈雑言とジェラシー交じりのため息をシャワーの如く浴びるであろう行動だが…

自分探しの答えはここで見つかったのだ(意味深)。

 

 

選択の結果

蛇足だが、俺も未だに昔の彼女が夢に出てくるし、夢の中でも浮気されて世界の終わりみたいな気持ちになる。

 

 

日常が瓦解し始める

日常に戻った佐久間だったが、そこでまたふと夢の女の子が現れ意味深な一言を言い放ってくる。だが、そんなことは関係ない。自分にとって大事なモノを認識できた男にとって、幻覚の言葉なんて些事でしかない。今はただ、前を向いて日常を生きていくのだ。そう、これから佐久間の人生は変わっていく。自分というものを見つめ直し、妻を大事にし、人並みの幸せを手探りで掴み取る、そんな何でもない、当たり前の日常が……

彼を待っているワケではなかった

猛烈に羨ましいことに女子高の教師だった佐久間だが、今はそんなことはどうでも良い。始業の日、普段通り教壇に立ち、「さぁ、これからまた頑張るぞ!」って新入生に出席番号順に自己紹介を促したところ、現れるは自分探し中にベッドインした美少女・相生亜希。こんなことある? ってくらいに劇的な再会だけど、俺だったら失神しちゃうね。とりあえず見間違いと記憶違いではないことを脳フル回転で添削して「あのこと、誰にも言ってないよな?」「追ってきた? その意味深な笑顔なに?」「セーラー服、めちゃくちゃ似合うな…?」「何でよりによって五十音順で一番初めに来る名前やねん!」とかまで考えたくらいで意識を失う自信あるよ。というワケで、彼の日常の崩壊はここから始まるのだった。

 

 

≪無料試し読み≫

まんが王国

ちなみに、全部読むほどじゃないって人の為に『新しいきみへ』無料試し読みできるサイトを紹介しておこう。

俺が利用しているのはまんが王国だ。

利用できるものは何でも利用すべきというのが俺のポリシーだ。俺も結構ずっと使ってるから安全面は問題ないと思う。

 

 

【まとめ】

というワケで、今回は『新しいきみへ』の紹介でした。いやもう本当に三都慎司先生が描く漫画が好きな俺にとっては、謎が多いし女の子は可愛いしで願ったり叶ったりの作品であると言えよう。

ちなみに謎が多いと俺は書いているが、ここで紹介しているのはただの一端でしかなくて、回が進むごとに「え、そういう展開?」みたいなトンデモ展開が待っているのでワクワクしながら読んでみて欲しい。想像を超えるフィクションの新世界が待っているはず。

ではまた。

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