アニメ SF好きの俺からしたら『デカダンス』は『マトリックス』であり『リング』な件 2020年8月26日 miketa コメントする 『デカダンス』それは令和の夏に降臨した至高のSFアニメ。 この記事の内容1 あらすじ2 近年稀なマトリックス展開3 「生きる世界は自分で決める」4 まとめ あらすじ西暦4000年ごろ、文明が崩壊した世界で、人類は怪物のような生命体ガドルの脅威に晒されていた。ガドルは人類の敵だが、その体液は巨大移動要塞デカダンスの動力源となる。生き残った人々はデカダンスの中で暮らし、ガドルと戦い、そしてそれを糧として荒野を彷徨っていた。幼い頃にガドルに父を殺され、自身も右腕を失った少女ナツメはガドルと戦う戦士になりたかった。だが適性検査で不合格となり、デカダンスの装甲修理人として働くことになった。同じく装甲修理人のカブラギに厳しく指導されるが、彼がかつてガドルと戦っていた一流の戦士だったと知り、指導を願い出る。だがカブラギには、いやこの世界には驚くべき秘密が隠されていた。Wikipediaより引用 近年稀なマトリックス展開 『幼女戦記』であれだけの魔術戦を描いたNUT制作ということで、放送前から高クオリティな戦闘シーンが期待されていた。例に漏れず俺も「きっと濃密な作画で楽しませてくれるんだろうなぁ~。でも問題は脚本だよな、大丈夫かな…。」なんて思っていたワケだけど。結論から言おう。期待には見事に応えてくれた。そして、俺の一抹の不安は綺麗さっぱり払拭された。戦闘シーンは観てくれ、語るのは無粋だ。このアニメで俺が語るべきは脚本だと思ってる。今この記事を書いている時点で7話の放送が終わったタイミングなので俺が思っていることと違うこともあるし、まだ明らかになっていない謎もあるからコイツSF好きなんだな~って姿勢で斜めに読んでくれると嬉しい。 仮想現実が絡み合う まずこの世界観に置いてはタンカーとギアという二種類の人類が存在する。ここから述べよう。タンカーっていうのは所謂デカダンスが存在する世界における人類のことで、ギアってのは仮想現実の中に受肉した運営側の精神体だ。もっと分かりやすく言おう。タンカーっていうのは俺が一番好きな映画『マトリックス』におけるネオ・モーフィアス・トリニティのことで、ギアっていうのはエージェント:スミスだ。で、俺が一番面白いなって思ったのはギアに入っている精神体にとってだけデカダンス世界は仮想世界で、彼らには一段階上の世界が存在するということ。しかもこの所謂上位世界の存在(上の画像)のほうがファンシーな世界として描かれてて、ナツメがいるデカダンスの世界が下位世界にあたるってところ。そう、現実世界がファンシーに表現されているだけで、現実世界が管理する仮想世界で生きる人類という構図…完全に『マトリックス』なんだよ。え、『マトリックス』観たことない?…そんな奴いんの?マトリックス(吹替版)と言っても、カブラギが度々戻る上位世界もゲームの中の世界という記述があるので、さらに上位の世界が存在する可能性もある。ここまで述べれば勘の良い文学好きは気づくかもしれないけど、鈴木光司先生の『リング』シリーズ(貞子が出てくるアレな)とりあえずの回答編として書かれた『ループ』で『自分たちの上には上位の世界が存在し、そこの存在に管理されているのが自分たち』だという考え方。そしてその上位世界の先にはさらなる上位世界があるかもしれないという超ループ構造。これが成り立つのがアニメ『デカダンス』の世界観ということになる。もちろん、この永久に続き兼ねない世界ループ構造の考え方は『マトリックス』にも当てはまるワケでして(今制作中の4作目ではこの展開になることを強く希望)。もしこの展開になったとしたら『攻殻機動隊』からインスパイアを受けたハリウッド映画が日本SF文学の巨塔『リング』から再インスパイアを受けて新たな世界を拡げるということになるので、日本人としては非常に誇らしいよね。『リング』の原作はホラーっていうか超絶SFだから読まず嫌いしてる文学ファンは一読の価値アリ。ちなみに貞子ってデカダンス的に言えばバグだから。リングシリーズ【4冊 合本版】『リング』~『バースデイ』(角川ホラー文庫) 「生きる世界は自分で決める」 って感じで、この作品が非常に良質なSFとして描かれていることは理解してくれたと思う。まぁ、こんなこと考えなくて何にも考えずに見ていても面白いのが『デカダンス』だと俺は思うよ。そもそも娯楽の楽しみ方は人それぞれだ。ただ、 ”楽しまない” のと ”楽しめない” のは大きく違う。俺としては選択肢が多いほうが人生楽しいよってことが言いたい。この”選択をする”ということが本作の主題にもなっていると俺は感じるワケですよ。「私、強い人になりたいんです!」って言う少女の姿に突き動かされる人間ドラマ。そしておっさんと少女が2人で世界を変えようと力いっぱい前に進むサマは観ていて爽快。やってることは血みどろの化け物退治なんだけどね。でもそれが単純に頭空っぽでも楽しめるエンターテインメントとして成り立たせているから面白い。最終的にカブラギがどちらの世界で生きることを選択するのか、それが楽しみである。 まとめここ最近ぜんぜん記事更新してなかったけど、30歳になってから色々と充実しすぎてただけなんです。…うん、充実していた。という表現がピッタリなんです。つまり、これからはまた更新していこうと思ってるよ。気持ちはある。今後の『デカダンス』とnijihack.comに乞うご期待。