ついに地上波で放送される『A.I.C.O. Incarnation』は現実でも起こり得るバイオSF

2018年3月に「面白いアニメがNetflixから出たらしい」という情報が俺の耳に入った。『A.I.C.O. Incarnation』というそのアニメは、一つのサブスクで独占配信なのが勿体ないと思える程のストーリーで、アニメ好きに強烈な印象をもたらした。今日は、2020年7月より満を持して地上波放送される本作について語りたい。

「あらすじ」

2035年、日本。黒部峡谷一帯では医療目的の人工生体の研究のための研究都市が形成されていた。その研究都市に属する桐生生命工学研究所にて起きた人工生命体暴走事故「バースト」。それにより渓谷一帯は人工生命体「マター」によって埋め尽くされ、政府によって管理がされる危険地帯になってから2年が経過していた。

バーストの事故によって家族を失ったうえ、自身は交通事故で重傷を負い、黒部平野に位置する桐生生命工学研究所に併設された桐生病院にて、リハビリを続けながら学校に通っていた橘アイコは、夏休みの1日前に転校してきた神崎雄哉によって突如拉致され、人工生体開発者である黒瀬進に引き合わせられ、信じがたい事実を告げられる。Wikipediaより引用

 

 

簡単な作品の概要

まずは内容ではなく製作陣について。

原作・制作はBONES、そして村田和也監督(コードギアスの助監督でありガルガンティアの監督)、脚本家として知られる野村祐一さん(エウレカ・コードギアス・DTB、最近だとキャロチュー)が構成という鉄壁の布陣。

そしてキャラクター原案:鳴子ハナハル。『COMIC快楽天』の表紙と言えばハナハル先生、『少女マテリアル』と言えばのハナハル先生だ。『彗星のガルガンティア』繋がりで起用されたのかな? なんにしてもGJ。これだけで観る気沸いてくるよね。

 

 

遠い未来の話じゃない

俺が第一話を観た時にまず思ったのは、”人工的な肉体をクローン技術で生み出して人間の治療に用いる”ってのは、全然未来の話ではないなってことだ。実際に(表向きには)動物のクローン臓器を人間に移植する研究も進んでいるし、その生命倫理問題は某有名SF雑誌でも何度も取り上げられている(俺の愛読書)。

だから、これは大枠の設定だけで言えば”近未来SF”に分類されるんだと思う。『攻殻機動隊』のように一足飛びで未来って感じじゃないだけに、妙に現実感を感じて物語に没入することができた。

 

俺的SF概念

そもそも俺的にSF作品ってのは実現可能な限界範囲の中で未来を現わしているものなワケで、「こんくらいだったら科学的にいつか辿り着きそう」っていう塩梅を客観的に感じれるか否かで印象が大きく変わってくる。その点で本作は100点。しっかりとサイエンスなフィクションしてる。

SFという分野は、現実の技術が進むのに比例して更なる未来へ連れて行ってくれるから好きだ。まぁ、車はいつまで経っても空を飛んでないし、俺が生まれた時から最後の物語と言い続けて最近7作目をリメイクしているゲームすらあるのが我が国の現状だが。頑張れ化学班! 徹夜すればリナリーが美味しいコーヒー淹れてくれるぞ。

 

 

本当の自分とは

自分の身体が本物に似せて作られた偽物だという衝撃的な事実を突きつけられるJK。しかもそれだけに留まらず、本当の身体は実の母・弟を巻き込んで被災地の中心部にあるという残酷な告白。この容赦ないテクノロジーの暴力と、かなり練り込まれた設定はSF好きにとってはかなりツボ。

初めは母&弟を助けるために自分の身体の暴走を止めに行くっていう王道展開なんだけどね。話が進むにつれて、自分の本当の身体にも意思が宿っていることに気付く(だいたい同じタイミングで視聴者も気付く)。自分の意思は確かにここ(頭の中)にあるのに、もう一人自分がいると知った時、人間はどういった行動を取るのか。そして、もう一人の自分はどういった行動を取るのか。ここが面白い

「まとめ」

独占配信っていうとさ、なんか低予算クオリティな感じをイメージしがちだけど。俺はこの作品を観てからオリジナル作品も捨てたもんじゃねぇなって思った売れてる企業は大体映画作るからな。それは資金が豊富なワケで。

地上波で放送されたらもっと多くの人に観て貰えると思うけど、これは本当に良いSF作品。

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