『Levius-レビウス-』が新時代のSF作品であることに世界はまだ気づいてない

新時代SFという言葉がこれ以上なく相応しい作品『Levius-レビウス-』。機械義肢の拳で放つ冷たい右ストレートには燃えるような想いが宿っていた。

あらすじ

強き者。美しき者。その名は――レビウス。 新生暦19世紀――戦後の帝都では、人体と機械を融合させて戦う「機関拳闘」という格闘技が行われていた。 戦争で父親を失い、母親も意識が戻らない状態となった孤独な少年、レビウス=クロムウェルは、彼を引きとった伯父ザックのもとで、機関拳闘の若き闘士として頭角を現し始める。 そんなある日、競技の最高峰であるGrade-1に挑戦する機会が、レビウスに訪れる。同級1位のヒューゴとの特別試合に勝つことが条件だったが、そのヒューゴが前哨戦の相手、A.J.という謎の選手との戦いで…!! 人間の尊厳と、文明の未来が火花を散らす、頂上バトル、ここに始まる。Wikipediaより引用

 

作品概要

『ウルトラジャンプ』の読者以外にはまだまだ認知されていない作品(されるべき作品)だと思うので、作品自体の簡単な前知識を書かせてくれ。

まず作者は中田春彌先生。2019年、ファンタジーアニメとして熱狂的な支持を生んだ『Fairy gone』のキャラクター原案(妖精も)を手掛けた方だ。この時点でそのセンスの異質さを感じ取ってくれると思うが、その画力の高さは本作でこそ十二分に発揮されている

連載開始は実は2013年と早い。『ドロヘドロ』『海獣の子供』『人類は衰退しました』『フリージア』と癖の強い作品を多く扱っていた伝説の雑誌『月刊IKKI』(現在は休刊中)出身のバリバリSF畑。同誌が2014年に休刊してから『Levius/est』とタイトル変更しウルジャン移籍という経緯を持つ。

SF×格闘技というありそうで無かった(り、あったり)ジャンルを確立しており、2019年にはNetflixで全世界に向けアニメ化を果たした。余談だが、アニメ版と原作では大きく設定が異なっており、一言で表すとアニメ版は色々軽やかに仕上がっている。SF作品をこよなく愛する俺からすれば断然全作をオススメするが、アニメ版はアニメ版で非常に良いと断言しておこう(主に最終回のあの娘の笑顔)。

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『Levius-レビウス-』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

拳に宿す想い

まず主人公:レビウスの戦う理由に触れておこう。その半生を端的に言えば、”戦争孤児として故郷を焼き討ちされ、瓦礫の雨の中、母親に抱きかかえられながら助かった”過去を持つ物静かな男の子。はい、王道。「あ~、あるある。こうやって復讐に駆られて強くなる、SFにありがちなダーク主人公パターンね~。」と連載当初に感じていた愚直な俺を、俺は焼き殺したい。違うんだ。レビウスが戦う理由は確かに植物状態の母親を資金的に救うためであり、過去の記憶に巣食う悪党たちに復讐することなんだけど。本作の主人公の魅力はさらに先を行く。

助かる見込みが無いんじゃないかと思えるような状態の母親の描写は読者の心にトラウマを植え付けるくらい壮絶(もっとトラウマ植え付ける描写が後に出てくるが……)。そんな母親のために、戦闘用ではなく医療用の義肢(母親の形見的な)を用いて戦う少年。中々に感情移入する設定だ。そしてお待ちかね! ようやく焼き討ちした組織の登場。全てを投げ捨てて復讐に走るかに思えたがこの読者の予想は大きく肩透かしを食らう。最初こそ飛び掛かり相手を殺さんとするレビウスだったが、復讐相手(無口の美少女:AJ)の瞳を見るやいなや「助けを求めている……?」と菩薩もびっくりの読心。あの子にも何か戦わなければいけない理由があるのでは……? と葛藤の末に敵陣突入。家族を人質に取られ操られているだけのAJの境遇を理解し、正義の心を持って復讐相手を救うことを決意する。そう、レビウスは誰よりも正義の心を持った優しい少年なんだよ

 

 

怒涛のデスマッチ展開

そして始まるレビウスvsAJの戦い。内容としては、まるで4部作1作目のボスが所見殺しの上レベル100カンストでも勝てないくらいの超インフレ展開。この序盤から一気にラスボス感がたまんねぇんだよ……。駆け抜けるように展開するリズム感は良作の基本。それでいてしっかりとストーリーに重さを持たせるところは流石としか言えない。

敵組織の親玉:Dr.クラウン(上記画像のピエロ)の悪逆非道さと糞ッタレ具合がいい感じに物語にスパイスを与えつつ、命すら顧みずリミッター越えた強さで圧倒してくるAJに対して、セコンドにつくザックス(レビウスの叔父)と、天才義肢エンジニアであるビルという頼もしすぎる仲間のフォローにより奮闘するレビウス陣営。この展開が死ぬほど熱い。いままでどこか噛み合っていなかった味方陣営が圧倒的悪を前にして全力で力を合わせるウルトラ正義展開。しかも俺が凄いなと思ったのは、ザックスとビルは自分ではリングに立っていないので、戦うのはレビウスに任せるしかないのに、これ以上なく死力(視力)を尽くして一緒に戦うという点だ。当ブログで何度も述べているが、バイプレーヤーが魅力的な作品は神作

戦いの過程~結末まで全く目が離せない展開で、人間ドラマが涙腺を刺激しまくってくるストーリー構成なので、SF作品はちょっと……ていう人でも是非読んで欲しい。

 

 

更なるステージへ

恐ろしいくらい濃密な激闘で、漫画でいうと単行本20冊くらい読んだんじゃねぇか? と思ったが、これ、実際には2巻(18話)までの出来事だから。もちろん彼らの物語は続いていくワケで。更なる強敵の登場。そう、いくつかグレードが存在する「機関拳闘」の中で、作中で行われていた戦いは”GradeⅡ”。AJに勝利し、世界に13人しか認められていないという”GradeⅠ”へ昇格を果たしたレビウスの前に登場する圧倒的強者感を漂わせる新キャラ(イケメン)。一人ひとりが国家軍事力に匹敵する(詳しくは上の画像参照)という逆リーマンショックが起きた気がするが……、そんなところに投げ込まれることになったレビウス。物語の続きに心躍らせる最高の展開で序盤のイントロダクションは終了! ここまで気持ちの良い「俺たちの戦いはこれからだ!」は過去あっただろうか……いや、ない。まったく、楽しませてくれるぜ。

まとめ

ということで、『Levius-レビウス-』の俺的紹介記事でした。ただこの記事で扱った内容ってのは新装版上下巻の内容だけしか紹介してないので、より本作の世界観を堪能したい人はぜひ連載中の単行本で(地上波放送中のアニメ版は全くの別物なので、いつ観ても◎)。このすぐ後に世界最強”GradeⅠ No.1”の男が出て着たり、アニメで貧乳強気少女として物語を彩ったナタリアも出てくるので、飽きることは無い。てかこの新装版は近年稀にみるSF漫画の良作として永久保存版だと思うね。俺は応援し続けます。ではまた。

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