漫画 ここ数年でダントツ一番の衝撃を受けた作品『その淑女は偶像となる』 2021年2月14日 miketa コメントする アイドルバトル漫画としての完成度は言わずもがな。少年漫画としても半端ないクオリティを誇る作品『その淑女は偶像となる』。読み切りの時点で一気に引き込まれたし、こんなに衝撃を受けた作品はないと思う。 この記事の内容1 【あらすじ】2 【作品概要】3 激アツな偶像ストーリー4 天才ゆえの挫折5 新人による救済6 再起する”元”天才7 伝説となる復活ライヴ8 【まとめ】 【あらすじ】エリザベス女学院に通う姫宮桜子は、淑女の中の淑女として校内で人気の少女。その仮面の裏側に、彼女にはアイドルを志し、挫折した過去があった。光と想いが交差する、ステージは少女たちの戦場!笑顔で戦うアイドルバトル、開幕!『少年ジャンプ+』より引用 【作品概要】作品概要と言っても、まだ連載が始まったばかりで特筆してここに記する情報は無い。でも多くの漫画好きの間では「間違いなく面白かった作品」として2020年上半期にビックウェーブを巻き起こした作品であり、それが去る2020年12月27日から連載化となったとあっては、俺も記事を書かずにはいられない。まず、読切の時点でかなり推敲されたのが伺える完璧な構成だった。これに関しては読めば理解できると思うのでリンクを貼っておこう。↓その淑女は偶像となる/読切版作者の松本陽介さんは元々『pixiv』でデレマスの漫画を描いていたから、「この絵見たことある!」って人もいるかもしれない(うさみん推し・りあむ推しは特に)。よくpixivで推しの画像・漫画をディグってる俺は、読み切り読んだときに「な~んか見たことある絵な気がするなぁ……」と思って作者名ググったら案の定みたことある城ケ崎美嘉の漫画出てきて納得した(そう、俺はLiPPS箱推し)。少々余談が過ぎたが、改めてpixivやTwitterを拝見するとアイドル(というか、女の子)のことを真剣に考えてきた人なんだろうなぁということが伺えるので、アイドルという難しい題材でこの完成度というのも納得できた。何事も初志貫徹は大事。ちなみに松本先生は本作以前に『完璧麗華さまは友達作りがおヘタ』という作品も描いていた様子。こちらはまだ俺も読めてないので今度読んでみようと思う。ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は他にもオススメ漫画を紹介してます。SF作品のオススメ漫画は?→人気ブログランキングへ映画化してるオススメ漫画は?→FC2 ブログランキング今アツい漫画は?→にほんブログ村それではお待ちかね。下記にて『その淑女は偶像となる』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。 激アツな偶像ストーリー 上のリンクから読切版を読んでくれた素直な読者の皆には説明不要かもしれないが、本作の第一話の内容を少々語らせてくれ。個人的に「アイドル」という題材を漫画にすることは非常に難しいと思ってる。その実情は現実においてかなり闇に覆われており、実際にアイドルとして活動している各々によって全く違う境遇だったりするからだ(ヤングジャンプで連載中の『推しの子』も面白いから読もうな!)。芸能関係って煌びやかなイメージを持ちがちだけどさ、実際には泥臭い努力が必要だったり、本当に頑張ってる人間で溢れた界隈だと言える。本作はその辺をよく分かってる。主人公の姫宮桜子は幼いころ、天才子役・伝説のアイドルユニットのリーダーとして活躍していた輝かしい過去を持つ。このことを隠し、俗世離れしたお嬢様学校で淑女として過ごしていた桜子だったが、ここに転向してくる巨大(物理)新人アイドル・若菜あるみ。あるみによって早々に正体がバレ、「一緒にアイドルやろ!」と誘われるも、決して承諾しない桜子。どう? この完璧な導入。そして俺の要約能力。『黒子のバスケ』的な”昔は仲間だったけど今は強大な敵”という存在も匂わせつつの、ここから桜子がどう立ち直るのかワクワクさせる第一話にしては詰め込みまくりなプロット。完璧です。 天才ゆえの挫折 ここで、何で桜子がアイドルを辞めてしまったのかも書いておこうか。とってもエクストリームに言えば、プロがプロ過ぎた故に引かれてしまうアレ。賛否両論あると思うが、全然あり得る話だと思う。自分としては一生懸命に職務を全うしているつもりなんだけど、一般的に見た時に常識はずれな行動をしていること、あるもんな。俺も昔ブラック企業に勤めていた頃、友達の結婚式で地方に行ったんだけど、「明日(日曜)仕事だから終電で帰るわ~」って言った時、みんな少し引いてたもんな。自分で自分のことを狂ってるとは自覚できるんだけど、その時の俺にとってはそれが当たり前だったし、このレベルMAXが桜子の状態なのかもしれない(まぁ俺はプロ社畜だっただけだが)。 新人による救済 俺も社畜時代、こんなこと言ってくれる人に出会いたかったなぁ……。いや、まぁ、俺の話は置いておいて。桜子の一見異常とも思える行動はあくまで「自分のファンとして見てくれる人を悲しませたくない」という一心からのモノ。新人アイドルとして頑張るあるみだからこそ、純粋な気持ちで当時の桜子の心情を慮ることが出来たってわけだ。ここから少しずつ流れが変わってくる。この流れが本当に秀逸。華やかな過去を持つチート主人公が落ちぶれて、再び復活するストーリーってのは名作に必ず必要なんだよ。『新世紀エヴァンゲリオン』のシンジ君だって一回(何回も)エヴァに乗るのやめて駄々っ子モード入ってたけど、『破』で戻ってきただろう?『天元突破グレンラガン』で無限宇宙に囚われたシモンも最後はカミナに喝を入れられて戻ってきただろう? いつの時代も、こういう物語に人は心動かされるんだよな。さて、次はこの物語の各となる部分。過去の”しがらみ”を乗り越えて再び立ち上がる桜子の姿をお届けしたい。今更だが、この下はこの作品の肝となる部分なので「ネタバレされたくない!」って人は一回本作を読んでから見てくれよな。下にリンク貼っておくからな。そのまま最新話まで読んじゃっても良いけど、またこの記事に戻ってきてくれよな!その淑女は偶像となる/連載版それではいよいよクライマックスシーンだ。 再起する”元”天才 地元の新人アイドルフェスにて、ドタキャンしたアイドルの分まで一人奮闘するあるみ。持ち前の体力の多さからお客さんを盛り上げている彼女の姿を観客席から見ていた桜子は、一声かけようと舞台裏のあるみの元へ行く。そこにいたのは明るく元気な姿を観客に魅せ続け、限界を超えたあるみだった。桜子から「何でそこまで頑張るのか」と言われたあるみから出たセリフは「”どんな特でも全力でお客さんを笑顔にさせる”。それが私がカッコいいって思ったアイドルだから」。そう、まさに桜子のことを言ってるんだよ。本人を目の前にしてこれを言えるあるみメチャクチャ可愛いし素直。この言葉が桜子の中の失っていた感情を思い出させることになる。 伝説となる復活ライヴ いやもうめっちゃアツい。ブランクあるやん? とか、昔のダンスってそんなずっと覚えてるもんなん? という疑問が浮かんでくるが、そこは”元”天才。きっと死ぬほど練習したから身体に染み付いてるんだよな! 俺もちょっとだけアイドル好きだから分かるけど、センターに立つ子っていうのは存在感がえげつない。たぶん時を経ても、そのある種のカリスマ性ってのは陰りにくくて、ステージに立った時にはまたひと際輝くもんなんだと思う(年齢による)。あ、てかごめん。記事書きながら読み返してたらまた再熱してきて、ついついコメントを挟んでしまう。ラストどうぞ。 最高です。アイドル題材の読切作品で、まさか大号泣するとは思ってなかったよ、俺は。昔と同じように観客を楽しませようと動かない身体に鞭を打ちパフォーマンスする桜子。そこで観客の喜んでる姿を見ながら思い出すんだよ。自分がアイドルをしていたのは、誰かに命令されたわけではない。もちろんなんとなくやっていたワケでもない。ただ純粋に、「誰かを笑顔にできる存在」になりたくてアイドルをやっていたんだと。この瞬間に思わず飛び出す子供アイドル時代の決めポーズ「姫宮飛び」ですよ。ももクロで言うところのエビ反りジャンプですよ。こんなん……泣きますやん。しかも畳みかけるように入るエピローグ、『これは「二人の少女」がトップアイドルになるまでの物語』……完璧か? ここまで盛り上げておいて、畳みかけるように続きを想起させる引き。もう一度言いたい。完璧か? 読切を読んだときに俺も思ったもん、「あ、これ絶対に続き読みたい。絶対に連載化して欲しい」って。そして念願かなって連載化してくれたということであります。ジャンプ+編集部の方々、誠にありがとうございます。いや、というか、この後の展開があんまり盛り上がらなくて打ち切りになったとしても俺は松本先生を一生応援するね。だってここまで魂がこもった作品を産み出せる人だ、絶対に今後ジャンプの看板作品を創り出す。俺にはわかる。まだ読んでない人は絶対読め。その淑女は偶像となる/連載版 【まとめ】 ちょこちょこ省略させてもらったけど、この第一話に関しては本当に全部に無駄が無くて、完成されていると思う。集英社はこの第一話をサンプルとして持ち込み作家に配るべきでは? とすら思える(もちろん優秀な持ち込み作家もたくさんいると思うが)。 常にいろんな漫画を読んでる俺だけど、この作品だけは本当にダントツで面白いと思ったんだよ(読切掲載時)。これこそもっと知られるべき作品の筆頭だし、このブログの趣旨に則っていると急に思い立ったので、一気に書いた記事でした。誤字脱字・不出来な表現はご容赦下さい。ではまた。