漫画 秀逸な大河漫画『SIDOOH/士道』に見る日本人の誇りを今一度胸に刻もう 2020年7月15日 miketa コメントする 1855年の日本。1855年と言えばあの有名な江戸を大地震が襲った年。黒船来襲から未曽有の天変地異と畳みかけるように襲ってきた大変動に対して鎖国してたイエローモンキーは無力 of 無力。『士道』はそんな中で、会津武士として生き抜く兄弟の生涯を描いた、NHKを越えし大河浪漫。 この記事の内容1 《あらすじ》2 武士としての立身3 新選組との共闘4 生き続けるためには斬り続けるしかない5 《まとめ》 《あらすじ》ニッポンが“幕末”と呼ばれる少し前、動乱の世に放たれた二人の兄弟がいた。兄は雪村翔太郎:14歳、弟は雪村源太郎:10歳――たった二人で生きる決意を誓った幼き“侍”に、容赦なく降りかかる時代の混沌、修羅の世界。一巻あらすじより引用 この物語は大きく幼少期・青年期と分けられる。どちらも動乱の世が産んだ混沌を相手に大立ち回りする兄弟が描かれるが、何と言っても幼少期の悲惨さは他の歴史漫画には無い。ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は他にもオススメ漫画を紹介してます。SF作品のオススメ漫画は?→人気ブログランキングへ映画化してるオススメ漫画は?→FC2 ブログランキング今アツい漫画は?→にほんブログ村それではお待ちかね。下記にて『SIDOOH/士道』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。 武士としての立身 まず第一話で母親がコロリする。この時点でかなりリアリティに富んだ時代モノの様相を呈していたが、多くのヤングジャンプ読者にとって衝撃的だったのは、母親が死の直前息子2人に武士として一生を終えた父親の形見(刀)を託すシーン。「腕を磨け、この世は理不尽だ。弱ければ死んで逝く」って病床の身体に鞭打ち気丈に振る舞う姿はまさに武士の嫁。さらに引取る瞬間「ごめんね」と母の愛を漏らすという超絶シビアな世界観を展開。もうこれ以上ない位に理不尽なんですけど…という俺の小並感想は、墨汁を垂らしたような高橋ツトム大先生の力強い夜描写の中に露と消えた。 それから兄弟はカルト宗教団体(白心郷)に拾われて「愚断!愚断!」と無理ゲーの殺戮ショーに巻き込まれたり、メリケン様の黒船沈めたり、明治維新の激流の中で生きるために足掻き続ける。というかこの幼少期の白心郷との戦いが最終巻まで続くとはこの時思いもしなかった…。仲間も得て、失う。そんなことを繰り返すうちに、お待ちかねの新選組・長州藩士の登場。いやー、ね、外せないよね。維新期に置ける要素として絶対に必須。ただ、思い出して欲しい。片田舎で母親から「強くなれ」と願われた兄弟の生きる物語がここに収束していくんだよ。御国の物語に絡んでくるんですよ。こんな物語をが綴られる今こそが日本の夜明けぜよ。 新選組との共闘 で、ここから物語は新選組側で展開することになる。かの有名な池田屋襲撃時に新選組とともに戦ったというアツい設定。ちなみにこの時点で数多の修羅場を潜ってきた翔太朗の剣の腕前は新選組副長・土方歳三と互角(鬼)。高杉晋作との対決では、高杉が怪我してるからって自分も傷を負いながら戦って打ち勝つという鬼神。というかこの時代は皆背負ってるものがあって、ともに戦う仲間がいて、会津・薩摩・長州それぞれの義理人情が、「武士とはかく在るべき」を体現してて胸が熱くなる。そんな中で巻き起こる京都近江屋襲撃による坂本龍馬・中岡慎太郎の暗殺犯不明事件。本作ではこれの実行犯が雪村兄弟として描かれる(暗躍しまくりぜよ…)。 俺的日本史紹介コーナー ここで日本史大好きな俺に少しだけ語らせてくれ。日本の面白いところは敗北者として歴史に名を残している人達の方が人気があるという点。新選組はその筆頭。なお、俺の新選組推しは沖田さん(Fateも!)。新宿出身で、”幕府の犬”と罵られるならず者集団だった彼ら。多くの作品で池田屋事件以後が語られていない通り、その終焉は可哀想の一言に尽きる。誰よりも武士に憧れたがゆえに時代の流れに乗り遅れ、薩長の新政府陣と敵対した挙句に天皇と敵対するという本末転倒感。護るべきものの為に戦い続けた結果、官軍としての大義名分を失い滅ぼされるという幕末青春譚は日本人の大和魂を揺さぶる。例に漏れず俺も好き(俺…何でも好きだな)。ちなみに坂本龍馬が作った海援隊は今の三菱財閥。しかもソフトバンクのロゴは海援隊ロゴまんまなのはお気づき? 孫さんが坂本龍馬の偉人伝みて感銘を受けて同じロゴにしたらしいよ。まさかの土佐から生まれた一隊が今の世界的大企業のルーツになってるって点は面白いし、意外と皆知らないのはもっと面白い。日本史は良いぞ。 生き続けるためには斬り続けるしかない 本当に色々なことがあって、最終的に生き残った源太郎(弟)は「俺に出来ることは、みんなが命懸けで振り回した刀を鞘に納めることだ」って生きることを決める。これまで激動の半生を描いてきたからこそ活きる最高の終わり方なんだけどさ。キレッキレに研いできた刃を振り回し続けて終わるのではなく、納めるってとこがポイントだよね。折らずに収める。あれ、率直に言って『バガボンド』を思い出したの俺だけ? 修羅の道を歩んだ先で達観するのは人類の性なのか? いや、そうと決まったわけではない。宮本武蔵は大自然に、源ちゃんは仲間の想いに生きることの真理を見出だしたワケなので。例えば現代を生きる俺たちにもこの境地に至る可能性はある。田舎で隠居したい。陶器とか作りたい。 《まとめ》というわけで、『SIDOOH/士道』に見る、日本史における偉人の生き様紹介でした。俺が今まで読んできた数ある漫画の中でも間違いなく上位にランクインする本作。あんまり長くすると読みづらいから省いたけど、百舌姉さん(兄の嫁)の生き様とかも相当良いからね。あとこの後日談である息子の話『士道サンライズ』も超おすすめ。令和にあっても、日本人の誇りは大事にしたい。