「映画」カテゴリーアーカイブ
シャマランの系譜を継いだ『アス』は愛すべき変態ホラー映画
『流転の地球』は日本が完全に中国に負けていることを如実に示していた
悪魔×悪霊×化物が襲ってきた『死霊館 エンフィールド事件』が実話な件
俺は人生で一番面白かったアニメ映画と問われたら『REDLINE』と答える
『SAW』シリーズ屈指の犯人”ジグソウ”は人類の敵ではなくダークヒーロー
俺は恋人が死んだら悪魔と契約してでも絶対に蘇らせるけど
敬愛するS.キングさん。
彼が『ペット・セメタリー』で描く人間の業とは。
原作あらすじ
レーチェルが子供たちを連れて実家に帰省していたある日、猫のチャーチルが車に轢かれて死んでしまう。まだ身近な「死」を受け入れたことのない幼い娘にどうやって説明するか悩むルイスは、詳しい事情を聞かないままジャドに連れられて、チャーチルの死体を裏山からさらに奥に分け入った丘に埋める。すると次の日、死んだはずのチャーチルが家に帰ってきた。だが、帰ってきたチャーチルは腐臭を発しヒョコヒョコ歩く、全く別な“何か”のようだった。
釈然としないまま過ごしていたある日、今度は最愛の息子ゲージがチャーチルと同じように轢死してしまう。悲嘆にくれるルイスに、ジャドはチャーチルを埋めた場所にまつわる忌まわしい事実を語り、「あの場所に二度と近づくな」と釘を刺す。しかし、亡くなった息子への愛が、ルイスに決して超えてはいけない一線を超えさせてしまう。
これが原作版のあらすじ。2019年のリメイク版に関しては少し内容が変わる。まず死ぬのが息子じゃなく娘。息子よりも歳上の、人格が形成された後の子供を亡くすことで、より”人が死んだ感”が強調されている。
にゃんこに助演俳優賞あげたい
最初に蘇る猫がモフモフフワフワでめちゃくちゃ可愛い。物語序盤はザ・幸せな家族の様子が垣間見られるんだけどね、その幸せをさらに強調するかのようなチャーチルの演技はまさに百城千世子。猫好きは必見だ。だが蘇った後は別猫のように様変わりしてしまう。ロアナプラ出身の猫さんでしたっけ? そんな感じに演じ分けをするこの賢いにゃんこは一体何者なんでしょうか。その演技は全アクター中随一で間違いなくレッドカーペットで助演賞。
不幸だとしても抗えない人間の業
泥だらけで黄泉帰ってきた娘をルイスが洗ってあげるシーンがあるんだけどね。ここリメイク版の好改変ポイントだと思う(本来なら戻ってきてすぐにジェノサイドを始める子供が描かれる)。このシーンのおかげで、父が本当に娘が帰ってきたことを喜んでいるっていう心理が深まった。
そもそも、ルイスは医者という職業柄、死者を蘇らせるってことにはかなり否定的な立場のハズなのに。ペットセメタリーの魔力を知ってしまった以上、どんな悲惨な結果になろうとも最愛の娘だけは蘇らせたいという人間の真理(というより、親の真理?)が表現されてるんだよねこの脚本。
気持ちはわからんでもない。まだ子供がいない人間には中々理解し難いかもしれないが、例えば恋人だとしたらどうだろうか。本当に大好きな恋人が死んでしまったら、どんな手段を使ってでも蘇らせて、もう一度会いたいと思わないだろうか? そう、『シャーマンキング』のファウストのように。悪魔に魂を売ってでも。それが愛であり、人間だと思うんだよね。
だがそれは間違いなのかもしれない、本作では”蘇らせた人間も、蘇った人間も永遠に苦しむ”という事が説かれる。死から蘇ることは想像を絶する苦しみだし、死を冒涜したことで「永遠に地獄の炎で焼かれる」とアイリーンが語る(言ってることは理解できるが、性格変わりすぎ)通り、人間の愛にも超えてはいけない一線があるのかなって思った次第。
死について考えることは愛に繋がる
ちょっと脱線するけど、イスラエルの大学で行われた実験で面白いものがある。それは「死について考えることで恋人への愛情が増す」という中々に興味深い実験。「自分が今生きているのは、生きる気力を与えてくれる人がいるから」という考えに至るそうだ(恋人がいない場合はモノや組織に置き換わる)。これも面白いよね。終わりを意識することで、より今の状況を意識するということ。幸せな状況を当たり前のように享受してしまう人間の業を現わしてる。『ペット・セメタリー』でS.キングが言いたかったのはこう言う事なんだと思うんだよね。「今を大切にすることほど大切なことはありませんよ。」って。むむ、深い。
まぁ、でも、ここまで理解してても、
当事者になったら悪魔に助けを乞うんだろうなぁ…。
それが「人間って面白ッ!」byリューク な所。
まとめ
本作は、かなり大人向けの作品として完成してると感じた。ジャンルはホラーというよりモラル。自然の摂理にだけは逆らってはいけませんよ? ということを暗示しつつ「でも、人間はそういうワケにはいきませんよね~」という茶目っ気たっぷりの裏返し。
こういう、人間の中の触れづらいツボを突いてくるからS.キング作品はたまらない。
『スタージル・シンプソン:SOUND&FURY』で創造における解答設定の大事さを説きたい
Netflixに現れた謎アニメ映画『スタージル・シンプソン:SOUND&FURY』はもうご覧になっただろうか? その実態は『ニンジャ・バットマン』のスタッフで送る、40分を超えたアニメーションMV。
スタージル・シンプソンとは?
全米中のレコード・レーベルの争奪戦ののち、アトランティック・レコードと契約し、メジャー・ファースト・アルバム「A Sailor’s Guide To Earth」をリリースし、iTunes初登場で総合チャート1位(US)、カントリーチャート1位(US)、インディーロックチャート1位(US)を総ナメ。そしてアルバムはBillboard全米チャート3位を記録した。
第58回グラミーでは、同アルバムが主要部門である「最優秀アルバム賞」、そして「最優秀カントリー・アルバム賞」にノミネートされその動向にも期待がかかる、全米が最も注目している「アメリカ音楽界の最重要シンガー・ソングライター」である。
要するに、最高に現代っぽくしたモダンカントリー。音楽にそれほど明るくない俺、このMVで初めてじっくり聴いてみたが、流石アメリカ様が認めたサウンド。存外良い…というか、オルタナ的にジャンルを超えた新しいカントリーソング、超良いぞ。
ストーリーは世紀末の復讐劇
簡単なあらすじ
過去編
突然スーツ姿の男2人組に家を襲われ、平穏だった日常は終わりを告げる(たぶん神職の刀鍛冶の家系?)。1人は銃、1人は毒を用いた搦め手を巧みに用いて、刀鍛冶の一族を惨殺。
無事助かった女の子と、その父。父は一族の復讐のために亡くなった友の魂を宿した二振りの刀を打つ。あと一歩のところで復讐が成るところだったが、娘を人質に取られ惨敗。
娘は刀に宿った魂の助力もあり、その場から父と刀を持って炎のなか逃走。いつの日か必ず復讐すると誓い、今は力を蓄え成長し強くなることを学ぶ。
未来編
舞台は近未来。荒野を駆ける車に乗り込むのは甲冑姿の女の子。歳は高校生くらいかな? この年齢になるまで身を潜めていたことに驚き。
復讐の対象である2人は世界を牛耳っていた。殿様よろしく、奴隷たちから過剰な搾取をするゲスっぷり。その2人に、真正面から復讐をしかける女の子。
果たして、復讐は成るのか!? そんな話(だと思う)。
MVとしてのアニメーション演出
なんであらすじ紹介なのに「たぶん」とか疑問形使うんだよって話だよね、うるさいなぁぶっ殺すよ? 。いや申し訳ない。なんせセリフが一切ない作品だからさ。
本作の音はスタージル・シンプソンの楽曲のみ。だから映像は全部楽曲の良さを惹き出すために作られているってことなんだよ。途中途中で、敵のマッチョとダンス始めるインド映画みたいなシーンがカットインするし、にっくき敵役も鋭い踊りを魅せる。
故に、ストーリーは観た人自身で想像するしかない。だから上にかいた「あらすじ」も決して正解じゃないと思うんだよね。コレがこの作品の面白い所だと思う。
※クリエイティブを履き違えてはいけない
ちなみに…「内容はそれぞれのご想像にお任せします」ってスタンス、基本的に俺は嫌いなんだけどね。いや、ちゃんと答えを持ってるなら良いんだよ。許せないのは作った側が明確な答えを見つけきれてないのに、さも”答えは万人の心の中にあります…”みたいな達観した感じでナゾナゾをぶつけてくるのが大っ嫌いなんだ。いや、ちゃんと伝わってますよ? 貴方がちゃんと無能で物事を最後まで成し遂げられない小物だという事はね。曖昧なママ世に出したモノってのは、曖昧なママ世に伝わるからね。だから答えを設定するのが大切なんでしょ。しかもその答えに独創性があり過ぎてもダメ。受け取った側は、「あ、はい…(コイツ何言ってるんだ?)」で終わるのがオチだからね(俺も編集の時に嫌と言うほど経験した)。自己満足のクリエイティブは絶対に世に評価されない。偉大なるこのことをクリエイター諸兄は心に刻んで欲しい(一般大衆のマイノリティレポートでした)。
でも本作に関してはその嫌悪感は全く無かったかな。だってこれMVやし。ハナからストーリーは後付けというか。本当の意味で”音楽を聴きながら観た人”に想像させることを目的としてる、そんな気がした。むしろ、映像をフォーカスして観た時は楽曲がストーリーを想像する手助けをしてくれる。良い相乗効果が生まれてるとすら思ったね(え、何様?俺様です)。
もちろん、映像はクオリティ高くて観てて気持ち良い。まぁ俺、『ニンジャ・バットマン』大好きだし。あ、良かったらこっちも観て。
まとめ
色々偉そうなことを書いたけど、俺はクリエイターではないので意識高いクリエイター様方は右から左へ聞き流して頂きたい。
どんなことにも言えるけど、中途半端な奴は何をしたって中途半端だし、言動の節々に中途半端さが出てる。本気で物事に取り組んだ経験がある人にとっては、何故かすごく腹立たしく感じる部分だってことは、老若男女問わず人類の総意かと。
と言いつつ、俺も中途半端なんだけどね。
耳が痛い(いや、この場合は目?)。
40年かけて一つの物語を描いた2人の監督と『ドクター・スリープ』に御礼申し上げます
『シャイニング』の続編として2019年に公開された『ドクター・スリープ』。結論から言うと、最高だった。
あらすじ
父親に殺されかけたトラウマ、終わらない幼い日の悪夢。そんな彼のまわりで起こる児童連続失踪事件。ある日、ダニーもとに謎の少女アブラ(カイリー・カラン)からメッセージが送られてくる。彼女は「特別な力(シャイニング)」を持っており、事件の現場を”目撃”していたのだ。
事件の謎を追う二人。やがて二人は、ダニーにとって運命の場所、あの”呪われたホテル”にたどりつく。
呪われたホテルの扉が再び開くとき、すべての謎が明かされる。
フラナガン監督ワールド超新星爆発
監督のマイク・フラナガンはホラー好きなら知らないものはいない『オキュラス 怨霊鏡』の監督だよね。この作品の時から超常現象の魅せ方が半端なく上手かったし、『ジェラルドのゲーム』でも感じさせてくれた、”スティーブンキングへのリスペクト”。これが爆発した結果またすごいモノ作ったなって感じ。
「シャイニング」原作改変について
ここで多くの人が曖昧なママに知識として入れているであろう事に触れときたい。前作『シャイニング』で物議を醸した原作改変。これが何のことか、ちゃんと把握してない人は本当に勿体ない(それに、たぶん『ドクター・スリープ』を楽しめない)。
まず、前作のキューブリック監督が作った映画版『シャイニング』。これは実はスティーブン・キングの原作を大きく改変した内容になっていたってのは有名な話。俺が把握してるのは下記。
映画版における原作との違い
①ホテルはあんな迷路みたいな作りじゃない
②ホテルの内装はもっとモダン(裏側は黒いが)
③物語の主軸が怨霊じゃなくホテルになってる
④結末でホテルが燃えない
たしか大まかにこんな感じ。どうしてこうなったかってのは諸説あるけど(どっかにキューブリック監督の取材とか残ってるのかな?)、単純にハンディカム使いたかったってのが一つ。あとは映画を作る上で、当時流行ってたホラー要素を取り入れたかったってのが一つ。あとは、普通に原作の内容が好きじゃなかった説もある。こう並べると、中々に自己中心的な考え方してるように見えるけど、キューブリック監督の気持ちも分かる。新しいガジェット使って芸術的なホラー映画取れば絶対売れるもんな。原作長くて暗くて気持ち悪いもんな。実際、半端なく大衆にウケたし、でも流石のキング先輩も憤慨。
そもそも原作のテーマ「再生」だしね。映画版の結末にキングさんが怒るのは当然…。こういった経緯があって、なお、この『ドクター・スリープ』でダニーが再び立ち上がる姿を強調して描いたフラナガン監督はヤベェ。
しかもその描き方が本当に秀逸。偉大なる先輩に敬意を表するように、映画版『シャイニング』で描かれなかった小説版のプロットリスペクトで物語が作られてる。しかもそれだけに横着せず、映画界でも高い評価を得ているキューブリック監督のストーリーと、芸術的な意匠も、しっかりと受け継いだ二つの意味での”続編”になってた。
まぁ、『シャイニング』のサイコホラー感・芸術性が好きな人にはあんまりウケないだろうなぁってのは強く感じた。人それぞれだから仕方ない。『時計仕掛けのオレンジ』、観直そうぜ!
千里眼&ドクタースリープ vs オカルト集団
本作はサイキック集団との戦いがメインストーリーになる。サイキック集団っていうかオカルト集団だけど。怨霊的な恐怖じゃなくて、しっかりと人間の闇を描いてくれる当たりが嬉しい。あと何より、この集団のボス的存在を演じたレベッカ・ファーガソンが美しすぎる。観てる時に「ん~?この人なんかのホラーに出てたな~、叫んでくれれば悲鳴でわかるんだけどな~」って思ってたけど終始分からなかったからググった。『ポゼッション』だった。
キャンピングカーで移動しながら世界を裏から見続けるっていう立ち位置が格好良いし、とてつもなくヒッピー。服装もお洒落で、こういうちょっとした点にキューブリック作品の続編感を漂わせててGOODでした。
話の内容もメチャクチャ良くて、ストーリー的に矛盾がないようにお互いの対立する理由が構築されてて、戦いも想像よりオカルト。『ハンターハンター』みたいな感じ。マジで。
ここからどうやって”あのホテル”に辿り着くんだろう…ってずっとワクワクしながら観てたんだけど、やっぱり分かってるね、ここぞというクライマックスで悪夢復活。
呪われたホテル再臨
来ましたファンサービス!ほぼ全ての視聴者が待ち望んでいたであろう映像を見事に魅せてくれた。ニクい、ニク過ぎるぞ。
親父がパッカーンしてきた伝説のドア先輩も、お変わりないご様子で安心しました。ダニーボーイ分かってるよね? ここでやること分かってるよね? という全視聴者満場一致の願いも叶い、パッカーンからヒョッコリしてくれるダン。素晴らしい。
庭園迷宮も「無限城か?」って位の広さでパワーアップして復活。前作では追われる身だったから恐怖のバトルフィールドでしかなかったけど、このラビリンスウォールたぶんDEF/3000はあるな。こっからマジでキューブリック監督リスペクトの嵐。
おばぁちゃんも双子ちゃんもバーテンもホテルの中で元気にしてたようで嬉しい限り。てかダン、召喚士の才能あるからジョブチェンジした方が良いよ。このメンツならきっと魔王とか倒せる。
この辺は観てない人の為にダイジェストだけで終わらせとこう。
本当に『シャイニング』ファン涎垂。
絶対に満足できるし、終わった後に愉悦に溢れます。
まとめ
さすがフラナガン監督。この一言に尽きる名作だった。噂では『心霊電流』も彼が監督になる可能性が高いんでしょ? もう既に面白いことが分かる。期待しかない。
モダンホラーの帝王ことスティーブンキングの伝説は続く。
親しくない奴から貰うプレゼントには人生撃滅爆弾が入ってると思った方が良い
人はプレゼントというものを盲目的に好意的なモノと考える傾向がある。だけど、それって結構危険だよね。善意ともとれる行動に実は裏があるなんてことは、世の中ザラにある。それを見事にカタチにしたのが、映画『ザ・ギフト』。
あらすじ
そんなある日、学生時代の同級生ゴードン・モズリーに出会う。そして後日、ゴードンから引越祝いとして豪華なワインが届けられた。
ロビンはワインの返礼として、彼を自宅の夕食に招いた。食事の間、ゴードンはまるで親友だったかのように語り、実は高校時代彼とはあまり親しくなかったサイモンは不快感をおぼえる。ロビンには、彼は見かけよりいい人には違いないと思えた。
後日、二人が仕事仲間のパーティーから帰ると、ゴードンから「ギフト」として、庭の池に鯉が泳いでいた…。
地獄の黙示録をギフトしてくる男
そんな奴いるか? と思った俺はホラー好き失格?
あらすじからも感じる通り、終始何かがおかしい印象を受ける本作。俺の友達が『地獄の黙示録』を俺にプレゼントしてきたら割とベストフレンド認定するけどね「よくわかってんじゃん」って。そもそもなんだけどさ、人から貰った飲み物とか口に入れたくなくないですか? 毒とか入ってるかも知れないじゃん(完全に人間不信なクズの意見なので聞き流してください)。だからチョコも苦手なんだよ。
ここで俺の猜疑心に関して触れようか。基本的には性善説を提唱する俺、だが世の中には悪人も存在するってことも良く理解している。吐き気を催す邪悪なる存在が同じ世界に生きているってことをこの30年弱の人生で嫌と言うほど理解した。
わぁ~この人、本当に心の底からクッソ♪ 運悪くトラック突っ込んでこないかなぁ今すぐ コイツの横っ腹に。なんて思った事も何度もあった。でもそんなことを思うってことは俺も悪の部類に入るんだよね。心が綺麗な人はきっとこんなこと微塵も思わずに他人を信じれる。そんな天使が存在するってことも理解している。だからこそ、俺は友達を無駄に作らない。俺みたいな悪が人と関わったらきっとその人に悪影響を与えてしまう。あと俺の人間強度が下がる。これが真の性善説提唱者よ。
考え得る限り最悪のギフトとは?
そんな俺でも自らの手で他人を貶めるようなことは出来ない(これ以上魂を汚したくないからな)。でも、こんな風に心のテトラポッドが機能してるのは、俺が甘い人生を送ってきたからなんだと思う。きっともっと他人から辛い目に合わされた人生を送ってきた人ってのは、自らの何を犠牲にしても復讐の炎に身を焦がすんだろう。そこに潤いは皆無。この映画の脚本はそういう人物もいるんだよって事にフォーカスしてる。
あと、この作品における面白い見所として、一度悪に染まった人間は死ぬまで悪ですよってことが表現されている気がした。
清く正しくあることは無理かもしれない。これはそう人類に訴えてくる作品だ。それでも、闇堕ちしないように正しく抗う人生は輝きを放ってると思うし、そう信じたいけどね。そう、お気づきかも知れないが俺は正論という鎧で自分を守る弱虫。
まとめ
観る前は全然期待してなかったんだけど、この映画を観終わった後の胸クソ悪さは近年類を見ない。良かった。ただ、俺とは相反してスカッとする人もいるのかもしれない。こればっかりは人を選ぶと思う。というより、誰に感情移入するかで結末が変わる感じかな。
ただ、俺が一番苦手な結末だったとだけ言っておこう。
覚悟できる精神的なドMだけが観て欲しい作品。