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結論から言うと『約束のネバーランド』は本当の自由を証明する為の旅

「ジャンプらしくない新連載」として、2016年に週刊少年ジャンプにて連載を開始した『約束のネバーランド』。2020年6月15日発売の同誌にて堂々完結した本作。いちファンとして、この王道にしてアナーキーな作品を語りたい。

【あらすじ】

色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す…と孤児たちは教えられていた。

里親が見つかり、外の世界に出ることになったというコニーが人形を置き忘れたため、主人公で身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届ける。しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃する。そこから「鬼」の存在を知った二人は、リアリストで博識なレイのほか、ドン、ギルダを仲間に引き入れ、GFからの脱獄計画をスタートさせる。Wikipediaより引用

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『約束のネバーランド』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

数多の漫画賞を受賞

TSUTAYAコミック大賞 2016
第63回小学館漫画賞
漫画新聞大賞2017 大賞
このマンガがすごい! オトコ版1位
TSUTAYAコミック大賞 2018

大体有名どころだとこの辺。ゴールドラッシュかよ。ジャンプ編集部の担当は笑いが止まらなかったことだろう(あとケンコバさんがやってる『漫コバ』でもグランプリ獲ってたハズ)。まぁ正直、普段漫画読まない人からしたらこの辺の漫画ランキングは馴染みがないかもしれない(俺はとりあえず全部チェックしてるけど。あ、これ自慢です。あれ、自慢になってる?)。わかりやすく例えると、日本でアカデミー賞獲ったと思ったらカンヌ・ベルリン・ヴェネチアでも選出されちゃった感じ(゚Д゚)ハァ?

2019年1月にアニメ版も放送されたから、それで一気にファンが増えた感もあるよね。UVERworldの「Touch off」が主題歌でめっちゃ格好良かった(あれはズルい)。2021年春にアニメ2期も決定してるという人気ぶり。でも、アニメを控えながらもキッチリ最終回を〆るところが最高にCoolかと。こういうところ、アナーキーで好き

 

 

エッジの効いた設定が◎

てことで、原作ファンの多さもさることながらアニメ観てる人も多いと思うので、詳しくストーリーを紹介するのは割愛。ここからは俺が好きな点を語りたいと思う。

まず、少年誌らしからぬ鬼のビジュアルが◎だよね。エマが初めて鬼を目撃した時の「なに?」は俺たち読者の気持ちを二文字で表現してくれていた。正確には「え、な…ふぇ…あーね、そういう感じでくるかー。で、なに?」っていう形にならない感情だったけど。しかも驚くべきはザコ鬼でこのクオリティ。物語中盤で登場する”狩場の死神”ことレウウィス大公に関してはパリコレモデルも顔負けの8頭身を魅せつけてくれた(女王もスタイル抜群!)。

そもそも、食肉人間の飼育場が舞台の作品をよく本誌で掲載する気になったなと感心しかないゲーム始めたら魔王城が最初の村みたいなクソゲー設定ながら、強大すぎる敵に立ち向かいながらの逃走劇はまごうことなき王道ストーリー

 

 

ジャンプの新たな王道

俺も前述しちゃってるけどさ、よく「ジャンプらしくない」という評価を受ける本作。真正面から敵を倒し、勝鬨を上げるのが本誌の特徴ではあるものの、主人公たちの年齢がここまで幼いと、このステレオタイプも現実と乖離しすぎてしまう。ならばどうするか。逃げるしかないでしょう。俺(30歳)だってそうする。

でも、逃げながらも友情・努力・勝利をしっかりと描いた。つまりこれは、子供という圧倒的弱者の目線でしっかりとジャンプの王道を描いた作品なんだよ。こんなにダークな作風ながら読者層は若年層&女性が多いって聞いたことあるしね。

しかも、お気づきだろうか。この『約束のネバーランド』のヒットを受けてか、本作以降、尖った作品がジャンプ本誌に増えた。『チェンソーマン』『呪術廻戦』はその筆頭だ(富樫先生は例外だ! 一旦忘れろ)。ダークファンタジーとして、名実ともにジャンプの新境地を切り拓いたってこと。

 

 

最高の未来とは

あ、このブログ全然ネタバレするスタイルだから。躊躇いなく最終話にも触れます(でも人が良いから大事なところは暈すよ←異論は認めない)

「運命なんて覆してやる」の精神で、仲間のために突き進む子供たちの姿はここまで観てきた読者も納得の展開。称賛すべきは、ここで希望の道を指し示すのが失った仲間であること。コニー、ユーゴ、イザベラをここで再登場させる作者の脚本作成能力をスキルハンター(盗賊の極意)したい

最後の最期で家族を失ったエマ。それを見て絞り出されるノーマンの「よかった…」。記憶が無い相手に対して独白のように綴られる幸せな未来と、選択したことの正当性。最高の未来だよ、でも、それでも僕は君といたかったという切なる少年の願いはもう全読者感涙必至でしょう。しかもさ、この独白を聞いたエマも泣いちゃうところが最高。全く記憶が無いのに、何故か溢れ出る涙。そして零れる「会いたかった…」の一言。これが聞ければもう満足なんだよ。むしろ最終話この一コマだけでも良かった。忘れてても、思い出せなくても、依然と別人でも良いから一緒に生きようって言えるのは、ここにたどり着くまで「なんとしても皆で生きよう」って願ってきた子たちだからこその言葉だよね。

見事なハッピーエンドで皆幸せなことには変わりないんだけど。他作品のように、ご都合主義全開で誰一人漏れることなくハッピーエンドじゃないっていうこの絶妙な塩梅がお見事。しかも俺は逃してませんよ。ジャンプって毎号、最終ページに編集部が一言〆の一言見出しみたいの入れるじゃん? それが今回は「絶望の運命、その彼岸(さき)で――」だったんだよ。ちゃんと絶望乗り越えてるんだよ。編集部公認ですよ。やはり、”最高の未来”って言うのは、苦しい逆境を乗り越えた先にしか手にすることが出来ないってことを、俺たちにしかと教えてくれた。本当の自由は頑張った奴だけが得られるんだよ

【まとめ】

本当の自由を求め、温室から脱走して異世界まで辿り着く物語。結末は、どうなんだろう…。賛否両論あるのかな。俺は好きだけどな。というより、最期まで少年誌としてのご都合主義に抗ったという点に俺は感動したよ。誰よりも本当の自由を証明したのは、この作品自体だったのでは? 週刊少年ジャンプという媒体の中に居ながらも「運命なんてクソくらえ」とヤリ切った本作に感謝。ちなみに、実写で映画化するらしいよ(マジ)

白井カイウ先生&出水ぽすか先生、お疲れ様でした。

次回作も本当に期待してる。

何も考えず『宇宙戦争:ゴライアス』観て脳の快楽物質をコントロールしよう

2012年、マレーシアにて制作された『宇宙戦争:ゴライアス』。知る人ぞ知る『宇宙戦争』後日譚だが、コレが中々に気持ちの良いドンパチSFなので今回はこれを取り上げたい。

【概要】

H・G・ウェルズの名作SF小説をアニメ映画化。地球に火星人の大軍が襲来し、勇敢な戦士達は侵略者に立ち向かう。地球の技術の粋を集めた兵器が今、うなりを上げる。Netflixより引用

時代設定が1910年代なんだけど、こんなに昔の設定だったんだ。あの賛否両論を生んだスピルバーグ監督版(トム・クルーズ主演)の『宇宙戦争』はモダナイズされてたってことかな。

宇宙戦争 (吹替版)

 

 

SF×スチームパンクアニメ

「ふむ…エンジンが蒸気機関だから、これはスチームパンクだな(謎理論)」というのが俺が観た時に一番最初に思った感想。正直、最初観てる時はこれがH.G ウェルズ原作だって気付かなかった。でも火星人のビジュアルが明らかに『宇宙戦争』意識してたからさ、「あ、そういう…?」ということで続編であることを理解した。

いや、でも流石に時代感あり過ぎでは!? テクノロジー格差が俺の母校の用務員室と電通の喫煙所くらいあるんですけど。なんて、人類敗北待ったなしと思っていた矢先、奮闘しだす人類。あ、良かった。やっぱり戦争は技術力を底上げするんだな。こんなビーム兵器が第二次世界大戦に使われてたら三国同盟は瞬殺で海の藻屑でしたね。ということで、幼いころに両親を消された主人公が火星人に復讐するスーパーマンになる物語が始まった。

 

 

偉大なアメリカ様に捧ぐ

リスペクト精神

面白い位に人が溶けて骨になるんだけどね。もうちょい避けろよ! 命大事にしようぜという俺の心配など意にも介さず溶ける。そして火星人は爆発する。足をヤられたハードパンチャーのインファイトだったか…と諦念を抱くと共に、俺にはある一つの考えが浮かんだ→「そうか、これはアメリカ様リスペクトのドンパチ映画だ」。こう思ってからはかなり気持ち良かった。

「我が軍の勝利だ!」って言って拳を掲げる姿には『インディペンデンスデイ』の大統領演説の感動を思い出したし、全世界が一丸となって火星人に立ち向かっていく様子も王道。余談だが、かの有名なウィル・スミス主演の『インディペンデンスデイ』も、原作『宇宙戦争』から影響を受けてたらしいね。ラストの倒し方とか類似するものがあったしな。本作はそれらを全て踏まえた上で、敢えて純粋な殴り合いをアニメ映像に落とし込んだ良作だと言える。ただただ、見ていて気持ち良く、良い感じにドーパミン出るからパーキンソン病の予防になること請け合い

【まとめ】

Netflixって面白い作品多いなぁと改めて思った。今まで興味なかった作品も定額だとついつい観ちゃうよね。ということを言い訳にして、日々黙々と膨大な量の娯楽を消費している俺。たぶん働き盛りの20代の中では視聴率上位ランカーだと思う。全く自慢じゃなく、むしろ廃人の証明なんだけど、その辺の映画系Youtuberより観てる

Huluも登録するかも。
廃人への軌跡、乞うご期待。

『プロメア』観て、完全燃焼した俺は満足しすぎて次元断裂

『プロメア』の良さは異次元。多くの人を魅了し話題となった本作の良さは今更語るべくもないことだが、敢えて語りたい。俺は本作を、語らなければ生きていけない。

【あらすじ】

炎を操る新人類バーニッシュの出現に端を発する惑星規模の発火現象である世界大炎上により、人口の半分が焼失してから30年が過ぎた世界。自治共和国プロメポリスでは、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団マッドバーニッシュに対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う高機動救命消防隊バーニングレスキューが消火活動を行っていた。

バーニングレスキューの新米隊員ガロ・ティモスは、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティアと出会う。「燃えて消す」を流儀とするガロと「燃やさなければ生きていけない」と語るリオは、互いの信念をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

燃える魂をぶつけ合う二人の戦い、果たしてその先にあるものとは――Wikipediaより引用

 

俺のトリガー&ガイナックスへの想いは上の記事に書いた通りなので、こちらも参照して欲しい。これを読んでくれれば俺がその辺のなんちゃってアニヲタ糞畜生とは違うということは分かってくれると思う。

 

 

アニメとしての全てが極上

作画・音楽・脚本そのすべてが最上級。これは昔からのガイナックスファンの心を開始10分で鷲掴みにして離さない(離されなかった俺が証人)とともに、最近アニメを観始めた将来性のある廃人候補も自宅警備員就職間違いなしの圧倒的JAPAN魂

危ない危ない、言いたい事多すぎて興奮してきたよ。うん、ゆっくり話そう。作画に関しては”すしお”さんを筆頭に『SSSS.GRIDMAN』等のアニメーター陣が終結。やはり今石監督作品にこのメンツは外せないよね。次に音楽、物語冒頭の大火事&マッドバーニッシュ初登場シーンでのsuperflyの『覚醒』。最高に痺れました。ふんぞり返ったリオの決めポーズもナイス。そしてキャラクターの動きに呼応するように鼓膜を揺らすのは、『キルラキル』でもその敏腕を示した澤野弘之さんの音楽。盤石かよ~。脚本に関しては観ろ。

 

「燃やさなければ生きていけない」

何の罪もない市民を殺さないことが誇りのバーニッシュ(炎人類)。炎を出さなければ人類と殆ど変わらないとは言え、その危険性から迫害を受ける可哀想な種族。

まず一つ良い…? 俺、本作を観ながら叫んだんだけどさ。リオの脇にいる2人、小西克幸と檜山修之やんけ。おいおいおいおいおいおい、『天元突破グレンラガン』におけるウルトラ重要キャラであるカミナ&ヴィラルの声をサブ役で使うという贅沢な采配。そしてファンには絶対に分かる熱すぎる美声。無論その演技に間違いはなく、ザコっぷり徹する崇高な役者心に魂が震えた。あ、あと早乙女くんも全く違和感を感じない名演でした。声優に転向しちゃおうぜ

 

「燃えて良いのは魂だけだ」

”バーニングレスキュー”の面々も総じて個性爆発。個人的に嬉しかったのはルチア(C.V.新谷真弓)かな…。『キルラキル』の蛇崩と言えば一番わかるかな(『フリクリ』のハル子でもあるんだけど!)。いやもうガイナックス同窓会かよ。地味に小山力也さんが隊長の声当ててるのも◎。

アイナ(C.V.佐倉綾音)の存在もかなり重要だと思った。可愛いヒロイン自体を久しぶりに見た気がする。いや、可愛いだけじゃなくてしっかり戦うんだけど。この、”戦闘には参加するけど、しっかり女の子(非主人公)”のポジションは『天元突破グレンラガン』のヨーコを思い出す(伝われ!この微妙なニュアンス!)。

まぁ、本作における声優で言えば、何よりもガロの声(松山ケンイチ)が良すぎた。「こ、こんなに男らしい声出せたんですね!」さすが日本のジョニーデップ。二枚目なのにアツいなんてやめろよ惚れるだろぜんぜん関係ないけど知り合いのスタイリストが松ケンの専属なので、今度サインお願いする

 

 

2人乗りロボットへの浪漫

2人乗りのロボットには浪漫が詰まってると思うんだ。敵だった者同士が協力して立ち向かう時、そこにはプラットフォームが必要だもんな。かの”グレンラガン”でも、カミナ&シモン・シモン&ニア・シモン&ヴィラルが乗り込み、物語の厚み(熱み・そして深み)を指数関数的に上昇させてくれた。”エウレカ”でもニルバーシュに乗った時の2人はいつもエモかったよな。『コードギアス』でも蜃気楼はルルーシュとC.Cが座ってるの観たら謎に心臓が高鳴ったじゃん? それ(え、盛り上がってるの俺だけ?)。

本作においては、対立していた二人の協力もストーリー上見事に構築されている。ここに違和感を感じてしまったら台無しだけど、本当に自然な流れでガロとリオは共闘することになる。中島かずき脚本に間違いなし

2人の対立だったものがドンドン拡がり、世界の危機に。そして世界との戦いに。よく考えたら、現実でもそうだもんね。小さな争いだと思っていた事が、実は根の深い因果から引き起こされた事の枝先にすぎなく。根本から解決させるためには世界そのものを正さなければならない。そう、この物語は世の中の縮図だ。だからこそ、この物語を観る価値がある。

 

 

2019年アニー賞ノミネート

っていうか未だに映画館で上映してるって超ロングランだよね。それだけ評価されているってことなんだけど。アニメ界のアカデミー賞と称されるアニー賞に2019年ノミネートされたのも頷ける。ちなみに興行収入は15億円越え

超インディペンデント作品としてはかなり夢のある実績だと思う。そりゃあね、『エヴァンゲリオン』とか”ジブリ”とか、新海誠とか。良いとされているモノ(実際良い)に比べたら物足りない数字かもしれない。でも原作も存在しない・確率されたフックの無い、いちアニメ会社が作ったオリジナル作品としてはこれは異例。絶対零度宇宙熱死砲の如く、日本アニメ界に光明を打ち込んでくれたんだ

 

【まとめ】

映画館に行くタイミングを逃していたので、AmazonのPrime videoで公開されたタイミングでの視聴だったわけだけど、後悔。これは映画館で観るべき作品だと素直に思った。

トリガーがある限り俺も生きよう。

『リスナーズ』10話が上質なジュブナイルだったので最終話を待たずに投稿

「頭ん中で考えてること。ちゃんと言葉で伝えなきゃ、分からんこともある。」モブおじさんの発言すらエモい。なんかブログ書く気力すら沸いてきた。これが『リスナーズ』。

【あらすじ】

人類が「ミミナシ」という謎の生命体に脅かされる世界。ミミナシに対抗して戦えるのは、戦闘メカ「イクイップメント」。そのイクイップメントとプラグインし、操ることのできるのは「祈手(プレイヤー)」という能力者であった。

リバチェスタという街で暮らす少年エコヲは10年前、ミミナシと戦ったジミに憧れを抱いていた。ある日、エコヲはスクラップ山で記憶喪失の少女を発見する。彼女は腰にアウトプットジャックを持つプレイヤーだった。

翌日、街はミミナシの大群に襲われるが、少女はエコヲ自作のイクイップメントを操りミミナシを殲滅。エコヲは彼女をミュウと名付ける。二人は街を飛び出し、ミュウの記憶やジミを探す旅に出る。Wikipediaより引用

ちなみに、アニメが始まった時にこのブログでも記事を書いているので、こっちの記事も要チェキ(ブログ作って最初に書いた記事だから色々と荒いな… これも一種のジュブナイルだと思って、miketaの成長を楽しみながら読んで欲しい)。というか最初に選んだアニメが『リスナーズ』って我ながらセンス良い

 

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最終回に向けて

盛り上がりは最高潮

ゴミ溜めの街から始まって、悩み、成長し、世界を一つにする。こんな最高なことってあるか? いや、ない。バラバラだった人々が一つになる瞬間ってなんでこんなに高揚するんだろうね。しかもヒロインがラスボス。本当に分かっている。

世界の力を結集しても歯が立たない相手に対して、唯一の切り札が主人公ってのもGOOD。「もう一度、あの子に会いたい!」という願いとともに、ようやく隣りに立てる力を手に入れる第10話の衝撃&王道感は「これを待ってたんだ!」感MAX

 

 

『クロスロード・ブルース』

話の流れで第10話に触れたので、ここで一度この神回についてハイライト形式で語ろうと思う。バンプの曲みてぇなエモタイトルを冠している時点で多少の予想はしていたが、究極の哲学回。この話なくしてはこの物語は成立しなかったなっていう内容は思春期に観てたらエヴァくらいの衝撃を受けたと思う。『攻殻機動隊』で言うところの第11話「亜成虫の森で PORTRAITZ」みたいなもんだ。

 

第一線から離れ、アメリカの牧羊地帯のような場所にたどり着いたエコヲが争いから離れた普通の人生を送るという、小休止話…かと思いきや、かなりオカルティックなスピリチュアル尋問→少年成長のジャスティス。この話を観てる時に俺は思ったね。香しいモーニンググローリーの匂いがしてきた と

 

すごく良い人なハズなのに、どこか不思議な雰囲気のするジャニス(金髪美少女)にクロスロードという”この世の全てが交差する場所”に連れて来られるエコヲ。「ちょっと待ってよ!そもそも君は一体…!?」と横を観ると、少女の姿は無く、「お前がどんなに親しみを感じていても、仲間だろうが家族だろうが、他社という存在を、お前はお前の人生の一部としてしか解らない。」と真理で心理を乱してくるオジサンの唐突な問答。き、きたぁ!この流れはジュブナイルにおけるクライマックスや!と歓喜する俺がいた(良いんだよ! 細かい意味なんて分からなくて!)。

 

自分の中の本当の気持ちを確認したエコヲは、前述している通り「もう一度、あの子に会いたい!」と自分の気持ちを強く認識。その瞬間、独り大麦畑の真ん中で突っ立て涙を流しているエコヲ(〆もエモーショナルにしてきた…だと!? )。今までお世話になっていた人たちは、本来とっくに居ない人たちで、結局はこのクロスロードという場所(概念空間?)を通して、自分で自分の気持ちに気付く主人公。ちなみに、この話でタイトル回収&ティザービジュアルの線路の意味が判明する。詰め込まれている情報量の多さが異常。これを神回と言わずしていつ言う? そう、今。

 

 

”エウレカセブン”との比較

ここまでアニメを観た人はとっくに気付いただろうが、ストーリー全体の流れとして『交響詩篇エウレカセブン』を思い出さずにはいられない良トレース。少年が少女と出会い、旅をして苦難を乗り越えていく中で仲が深まり、離れ離れになる。でも少年は成長し戻ってくる。Re ボーイ・ミーツ・ガール

10話の”クロスロード”はエウレカで言うところの”世界図書館”だろう。ここで懐かしのレントン(エウレカ主人公)は姉と再会し、世界の真実を知った。このまま人間が争いを続ければ「クダンの限界」(星における知的生命体の局地的飽和が引き起こす物理宇宙の崩壊)が起こると知って、それを止めるために最後の戦場へ赴いた。うわ、ていうか久々にエウレカのこと思い出したけど設定秀逸すぎるな…。

つまり『クロスロード・ブルース』で描かれたのは、この成長物語の局地的飽和だったってことだよ。リスペクト・オブ・エウレカをしつつも、全く新しいプラットフォーム&凝縮された成長譚を描き切った。セカンド・サマー・オブ・ラブは起こったと言えるだろう。時代を経ることでパワーアップして。いや、これから最終回でドでかい波を起こしてくれるのかもしれない。

 

 

 

【まとめ】

全体的に駆け足で進むのは仕方ない。エウレカが50話でやったことを12話で出来るかと言われれば出来ないだろう。ただ、驚くべきはまったく”負けてない”ということだ。脚本の質が尋常じゃなく良質。

また、映像&音楽というカルチャー文化が進化していることも一役買っている。心理描写やOP・EDでの本編補完を見事にこなしてくれた。そう考えると、アニメの技術が確実に上がったであろう事を実感したね。優秀なクリエイター陣が本気を出せばもはや50話でアニメをやる必要は無いのかもしれない

そんな『リスナーズ』、最終回にも期待してます。

Viva la Morning glory.

『トレインスポッティング』は薬物肯定作品じゃない、巧みな薬物否定作品だ。

俺が往年の名作である『トレインスポッティング』を初めて観たのは、実はかなり遅い。編集の仕事で本作に触れた時だから、つい1年~2年前のことだ。でも、観るタイミングは関係なかった。酒×薬×女はいつの時代も男を虜にする。

【あらすじ】

ドラッグ中毒のマーク(ユアン・マクレガー)と悪友たちは常にハイ状態か、あるいはドラッグを手に入れるため盗みに精を出しているというていたらく。ある日、マークはこのままではいけないと更生するためにロンドンに行き職に就く。ところが、彼らの仲間が会社に押し掛けたことが原因で、マークはクビになってしまう。

トレインスポッティング(字幕版)

 

 

ユアン・マクレガー出世作

本作を語る上で、これは外せない要素だよね。特に俺みたいなホラー好きにとっては、最近『ドクター・スリープ』で名演を果たした彼の若かりし雄姿は何回観ても同じ人物とは思えない(両作どっちを先に観ても)。

いわゆる、ドラッグ映画とでも言うのだろうか。思いっきり犯罪行為を行いながら、若さにかまけて大暴走するストーリー。令和の時代に観てもあまりピンと来ない内容かもしれないが、たぶん当時の(今でも)チョイ悪な若者の娯楽と言えばドラッグだったんだろうなぁ…この映画を観れば感じ取ることができる。もちろん、これはユアン・マクレガーのぶっ飛んだ名演技あってこそ

 

 

カルト的な人気は

時代を経ても褪せない

当時、第一線にいた多くのクリエイターが影響を受けたのも頷ける映像と音楽の間違いなさ。特に映像演出は90年代あまり他の作品ではやってなかったであろう新しさを感じる。音楽に関しても、1996年に「Temptation」聴いたら誰でもニューオーダー好きになるよって感じ(もっとも、UKロックに明るい人達はこの映画放映前から聴いていただろうが)。

これまで本作をもとに多くのパロディも作られたし、俺が編集やってた時はよくクリエイターの先輩方にも勧められた(というより、観てないことはあり得ないとされていたが…今ならその気持ちも分かる)。それだけ、当時はほぼ全ての人が影響を受けたっていうことだと思う。

ちなみに監督は『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督。まだまだ現役の名監督(生ける最前線)だ。

 

 

身を滅ぼす象徴であり

救いを与えるドラッグ

まず明確に宣言しときたいんだけど、俺はドラッグ(あとギャンブル)はやらないと決めてるよく言動のラリ具合から勘違いされがちだが。やったら最後、俺みたいな意志の弱い人間は完全に依存してしまうと自分で分かるからだ(たぶん超ヤる、何を置いてでも全財産溶かして朝から晩までキメる)。嗜好品は酒と煙草だけで十分(早死に待ったナシ!)。だから、その気持ちよさっていうのは想像でしかないんだけど。それを前提に話を進めるね。

本作の中でレントンは、大衆である一般的な若者としてドラッグ(ヘロイン)に依存し、堕落した日々を送る少年。「手に入るドラッグはなんでもヤった、ビタミンCがドラッグだったらヤってた」という台詞の通り、作中で描かれるのも最高にキマッた日々だ(曰く、モルヒネ、コデイン、テマギン、フェノバルビタール、アモバルビタール、プロポキシフェン、メタドン、ペチジン、、デキストロモラマイド、クロルメチアゾールをキメたらしい。やべぇ、モルヒネしか知らない)。

そんな中で、平凡な日々からの脱却ツールとしていともたやすく接種されるドラッグ。でも時代柄、仕方ないと思うんだよね。日常に刺激を与えて、最高に気持ち良い。そんなのやるしかないだろう。特に10代~20代の多感な時期は手を出したくなる気持ちも分かる。ただ、この映画の中では「こんなの良くない」と思っているレントンの心理が巧みに表現されている。ここが良い。

破滅的な生活の中で、”普通”に生きることを揶揄してきた若者が”普通”の人生を送ることを肯定していく。そんなイギリス独特の自虐ネタのオンパレードを形にした名作だと思う。芸能人も見習え

 

 

【まとめ】

1996年から20年の時を経て、2017年に続編となる『T2 トレインスポッティング』が公開されたけど(まだ観れてない)。噂では『T3』なる第3作目も制作が進んでるとか? 「ベグビーが90分間大暴れする映画」らしいので、きっとファンを楽しませてくれると信じている。

最後に。ドラッグはダメ、絶対

漫画好きがガチで選ぶ『GANMA!』作品【おすすめ5選/Web漫画】

今やWebで殆どの漫画作品が読める現代。ジャンプ・マガジン・サンデーと大手に限らず、質の良い漫画が世の中に溢れてる。特に漫画アプリ『GANMA!』には、数多の漫画を読んできた俺でも心の底から「お、面白い…」と嘆息する作品が溢れてる。

【選定の基準】

もう何年も『GANMA!』を愛読している俺。面白い!って思った作品は結構あって、全部取り上げてたら相当長めの記事になって、要領を得ない感じになりそうだった。だから今回は”現在連載中”であること、そして”Web漫画っぽさ”を軸にして5作品を選定。かなり独善的なセレクトだが、この5作品は本当に間違いない。

 

 

人形峠

あらすじ

城南高校2年C組は毎年恒例の行事である農村体験のため、幸神村へ3泊4日でホームステイする事になった。青井賢登、伊万里舞、藤崎みなも、深沢皐、石上春也ら3班は兼業農家の支倉家に泊まる。支倉家には蔵があるが、「あそこへは行っちゃダメ」と行かないように言われる。その夜、地震が発生し、幸神村へ繋がる人形峠トンネルが崩落する。Wikipediaより引用

まずは『人形峠』。GANMA!読者であれば絶対に通っている本作は、2016年にアニメが放送された『迷い家』系の作品と思ってくれて良い。ただ、結構な長寿連載(連載開始は2015年)になっていることもあり、ストーリーは『迷い家』よりも入り組んでいる。この複雑さがミステリーファンを取り込んで同アプリ内でも不動の人気を誇っている

 

クラスメート群像(惨殺)劇

あらすじの通り、学校行事の一環としての農村体験設定なので(もはや忘れてたが)クラスメート全員が登場人物&被害者。5~6人毎に班に分かれており、それが6班まであるので30人強の登場人物が次々に狂っていくホラーミステリー

一応、主人公はいるんだけどね。もう2年くらい出てきてない気がする。だがまぁ、この数だ、仕方ない。逆に言えば主人公(及びメインヒロイン)が不在でも陰ることなく面白さを維持してることになる。それだけ魅力的なキャラが多いってことだろう。実際多い(まだ出てきてない可能性もある)。

※ちなみにアプリ内のムービングコミック企画の際は、大天使・花澤香菜さんが全読者にとっての聖母(高校生)に声を当てている。神采配、GJ

 

ひいな様が誘う狂気

※ホラー要因はすべて人形。わからん、俺は人形恐怖症(特に日本人形)だから、物語に人形が登場する度に中々な恐怖を覚えるんだけど。ミステリーファンにとっては本作はホラーじゃないのかもしれない。

と言うのも、”ひいな様に関わった人間が狂う”理由まで、ある程度本作では仮説が立てられているからだ。なんでも、「素材が水に塗れることで幻覚作用をもつ物質を噴出させている」とか。でもそれだけでは証明できないことも物語には溢れまくっていて、幻覚を出す人形&狂った人間、では説明できない謎が本作の一番の魅力になっている(そもそもタイムスリップは科学的に説明できない…)

とにかく、ここまで大風呂敷を広げることが出来るのも、Webならではだと俺は思うんだ。最近は1クールで終わるアニメが多くて悲しいし、紙媒体は人気が出ないとすぐ打ち切りになっちゃうしね…。だから、この一大ミステリー漫画を応援したいという気持ちで選出。面白いよ

『人形峠』
GANMA!

 

 

外れたみんなの頭のネジ

あらすじ

女子中学生・七尾ミサキは自分の住んでいる街の人々が少しずつ狂っていることに気付き、それと同時に謎の悪魔・べへりんが見えるようになる。「自分に周りが狂っていることを信じさせれば助けてやる」というべべりんの言葉を信じ恐怖体験を話すミサキだが、徐々に増す人々の狂気、戦慄の事件や巨大な陰謀に巻き込まれていく。Wikipediaより引用

二作目に選んだのは『外れたみんなの頭のネジ』。たまに広告とか露出してることもあったから、それで見た人もいると思う。一見これもサスペンスホラーっぽいストーリーだが、その実態は超サイコ作品。毎週毎週ネジがぶっ飛んだ登場人物が出てきて、読者をぶっ飛ばす。狂人ひとりひとりにフォーカスを当てれば適当なレベルのホラー映画できるんじゃ? という位のキチガイっぷりは、規制の緩いWeb漫画ならでは。

 

全員が狂った世界

勘違いしてはいけない点が一つ。”狂人が出て来る”というのはこの作品を非常に良く言い得ていて、登場人物全員が須らく狂ってるのが特徴。狂っていない人の方がレアなのでは…?

そもそも、なぜ全員が狂ってしまったのかって所が物語の核心部分になるんだけど。6月13日に起きた「613」という架空の出来事から日本中が狂いだしたということが明らかになる。この「613」が一体何なのかってことが、連載から5年の月日を経て漸く明かされようとしている。つまり未読の人は核心まで一気に観れるってこと、羨ましい(本作において、ド正直に秘密が明かされる訳ないが)。

 

奇人変人狂人の百鬼夜行

以上、Googleの画像検索で「外ネジ」検索するだけで出てきた数多の紳士淑女の一例でした(こんなのまだ序の口)。

初見の人は彼らを見たら「ホラーじゃん!」 ってなると思う。うん、まぁ限りなくホラーに近い作風ではあるんだが、これはサイコ漫画なんだよ。確かに極めてオカルトチックな狂人もいるけど、狂っている登場人物たちが観測している世界は全て狂ったものなので、それが人外なのかなんて分かることは無いんだよ。それとも、これらがホラーに見えてる方が狂っている可能性もある。

『外れたみんなの頭のネジ』
GANMA!

 

 

デッド・オア・ストライク

あらすじ

私立 頂(いただき)高校。野球エリート養成高校であり、ここではすべてが野球の実力で測られる!そんな学校に野球初心者が入学してきた!?人智を越える魔球(まきゅう)・魔振(ましん)が織り成す、生死を懸けたガチンコ野球×バトル漫画!GANMA!より引用

野球版『テニスの王子様』と呼ばれているが、そんな言葉すら生温い。野球という概念を大きく変えてきた『デッド・オア・ストライク』。よく考えたらタイトルもちょっと普通じゃないもんな! 今キーボード叩いてて気づいたわ。そう、これはA5ランクの野球ギャグバトルマンガだ

 

野球する気ゼロ

いや、作中のキャラは超本気で野球してる(らしい)よ。このようにトンデモ・ベースボールをしながら超ハイテンションで進む展開は読み始めたら最後、驚異的な中毒性と爽快な読後感をもたらしてくれる。それはまるでパンチの如き…連打!(試合中のテンション)。

突っ込みが追いつくことは決して無い。コレコレ、この勢いこそが大事なんだよ。むしろ勢いさえあれば面白い。「怖いものなど何もない」っていうある種の無法地帯だったWeb漫画黎明期、作者の熱意とテンションだけで好き放題やってた漫画こそが正義だった。『モブサイコ』だってぶっ飛んでたしな。とにかく、これは本当に面白い野球ギャグバトルマンガだ(2回目)。

『デッド・オア・ストライク』
GANMA!

 

 

多数欠

あらすじ

第一部

突如「皇帝」によって始まった多数欠により世界中の人々が死んでしまう。生き残った人々は毎日午前0時に多数欠をとり多数派だった人々が死ぬこと、特権と権利という能力を手に入れることができることが伝えられる。その中で実篤らは皇帝を倒すことを決意する。

第二部 -FINAL KEQ-

多数欠終了から1ヶ月。治安維持のためにごぼうらは皇帝のふりをし続けていた。そんななか皇帝の入れ替わりに気がついた少年、王野頼音は現皇帝一味に単独潜入,仲間となる。しかし謎の「女王」という存在が現皇帝を倒すと宣戦布告,彼らは特権利を使って再び戦うこととなる。

第三部 -judgement assizes-

ある日高校生の津川虎徹は、突然の暗闇の後、飛ばされた法廷という場所で、皇帝と名乗る謎の人物によって「多数欠」に参加させられる。穢土と名乗る青年に助けられて現実世界に無事帰還した虎徹は、幼なじみの奏斗と共に、多数欠を止めるため皇帝を倒すことを決意する。Wikipediaより引用

残り2作は俺の本当にオススメ。まず『多数欠』。これは今第三部を連載中なんだけどね。とりあえず第三部までやってる事だけで面白いということは分かってもらえると思う。それこそ最初は人類の半数がいきなり死亡したりと、終末生き残りゲームモノとしての様相を呈していたが、「特権」と「権利」という2つの異能を用いたバトルが最高にハマった。登場キャラも滅茶苦茶に多い(たぶん100人くらいいるんじゃ…?)けど、3部まで続いてればしょうがない。

 

チートキャラしか存在しない

とにかく異能が強力過ぎる。他の漫画に出てきたら、かなりバランス崩れちゃうんじゃないの? という強力無比な能力はこの漫画ならでは。登場人物の能力が総じてチートだからこそ、結局は頭脳バトルに発展していくんだけどね。この流れが見事。

特に「特権」は概念系の能力が多いく、その能力の発動に置いて宇宙の法則は機能しない。俺的好きな特権ランキング一位は「拒否権」かな、だって”断るだけで”ほぼ全ての攻撃を防げるからね。うん、「そんなんアリかよ」のオンパレード

そしてバトルだけに終始してないのも良い。というか友情・恋愛・戦闘のバランスが非常に秀逸。伏線の量と、それの回収もファンを増やしている要因だし、ちょい役として出てきたキャラが物語後半に意味を持ち始めるところとか、漫画ファンは全員好きなんじゃないかな。

Web漫画の中でも確実に上位にランクインしてる名作

『多数欠』
GANMA!

 

 

カルカラレルカ

あらすじ

カルカラレルカ SR-H ORIGIN(第1部)

未開惑星の開拓調査機関「ゴフェル」所属ハンターの兄妹が現地未確認生物のハンティングを行いながら失った記憶と惑星の秘密に迫る。

カルカラレルカ SR-H PROSPERITY(第2部)

人類文明の最先端に位置する超惑星”アーク”。 開拓が始まり一世紀以上が経過した今もなお、”その星”には未知の技術、未知の生物、そして未知の能力が眠る。 地球出身のハグルは、未知の惑星での立身出世を夢見て、”アーク”にある「能力開発機関」への入学を志す。Wikipediaより引用

ラストは「カルカラレルカ」。 まず初めに言いたい。まだ読んでない人は絶対に見た方が良い! Web漫画史上、これを超える作品は無いってくらい超面白い。というか、俺は今まで読んできた漫画の中でもかなり上位にランクインするんじゃないかとすら思ってる

 

キャラがとにかくアツい
「狩るか?狩られるか?」の世界

この文字の級数が気持ちいい。まず第一部の時点で相当な熱量だった(作者さん絶対書いてて楽しかったと思う)。異星に移住した人類が星を開拓しながら先住民と争う、と言えばかなりハリウッド臭がするが、まったくそんなことはない。こんな物語は日本人にしか想像できない。この世に溢れる物語を凝縮したような怒涛のストーリーは、星の数ほどの物語が日々生産され続ける漫画大国・日本だからこそ。

第一部の時点では画力がまだ粗削りな感じだったんだけどね。流石『GANMA!』を代表する超絶人気・長期連載作品。第二部になった今ではどの雑誌でも看板はれるくらいの実力を手に入れた。

 

これぞWeb漫画!な
抜群のテンポが◎

これは俺の勝手なイメージかもしれないんだけどね、月刊連載や週刊連載よりもポンポン読まれるWeb漫画において“テンポの良さ”はかなり重要。スマホでサクサク読めるからか、つまらないとすぐブラウザの戻るボタン押されちゃうしね。この記事で紹介した他作品もテンポ感は非常に良いけど、本作は別格

戻るボタン押す暇がないほどの急展開に次ぐ急展開。急旋回して急降下したと思ったら急浮上する起承転結の嵐だ。これには飽き性なデジタルネイティブ世代も、のめり込んでストーリーに没入間違いなし。マジで面白いよ。

『カルカラレルカ』
GANMA!

 

GANMA!(ガンマ)

GANMA!(ガンマ)
開発元:COMICSMART INC.
無料
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【まとめ】

以上、漫画好きがガチで選ぶ『GANMA!』作品【おすすめ5選/Web漫画】でした。

今は完結した作品は有料会員しか見れないんだけどね。正直、『多数欠』と『カルカラレルカ』を見れるだけで元は取れると断言する。それくらい面白い。

日本漫画の未来は明るい。

映画の『ピンポン』は観て、アニメの『ピンポン』観てない奴は日本国民じゃない

『鉄コン筋クリート』で有名な松本大洋先生が原作の『ピンポン』。2002年、窪塚洋介が主演の実写映画は日本でも大ヒットしたけど、2014年のアニメも映画に負けてない超名作だったんだよ。

あらすじ

才能にあふれ、卓球が好きで好きでたまらないペコ。子供の頃から無愛想で笑わないスマイルにとってペコはヒーローだ。

だが、ペコはエリート留学生チャイナに完敗。インターハイでも、幼なじみのアクマに敗れてしまう。一方スマイルは、コーチに才能を見い出され、実力をつけていく。

現実の壁にぶつかったペコと強さに目覚めたスマイル。それぞれの道を歩き始めた彼らに、またインターハイの季節がやってきた…。Filmarksより引用

アニメ版では、原作には登場しなかったけど松本大洋の構想にあったというキャラも登場してくる。それが物語を良い感じに盛り上げる。「映画は観たけど、アニメは絵が苦手」って言ってる人がたまにいるけど、全然わかってない。松本大洋の線を活かして動かされる水彩タッチのアニメーションは、原作の世界観を可能な限り限界までトレースしてるし、動きが加わることで映画版よりも情報量が凝縮されたアニメ化における一つの正解と言える

ピンポン
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アニメ表現の新境地

現実で役者を撮った後に動きを絵に落とし込む”ロトスコープ”を使用して作られているアニメーション。ロトスコープと聞くと、俺なんかは『悪の華』がまず頭に浮かんでくるけど(『花とアリス 殺人事件』もロトスコープだったね)、この『ピンポン』はカッコ良い構図を計算して作り込まれてる

漫画の中の「カッコ良い!」ってシーンを全部拾ってくれたセンスに脱帽。そして何より驚きだったのは、ぶっちゃけ漫画よりカッコ良いってこと。これは衝撃だった。一気に絵の力強さに持っていかれる感じはジョジョのアニメ化以来。萌え絵には無い輝きがある。単純に、スポーツアニメの表現手法で、新しい道を切り開いた超名作ってことをここで記録しておきたい。

もちろん、表現だけじゃなくストーリーも超面白い。基本的には国民の大半が観ているであろうあの実写映画版と大きな軸は変わらないんだけど、先に述べている通りアニメにしか出てこないキャラの登場によって深みが追加されている。より脇役の心境に光が当たっている感じかな。これはアニメ観た人の特権だし、ファンにとってのサービス要素でもあるから詳細は割愛する。

 

 

「おかえり、ヒーロー」

本作を語る上で絶対に外せないのは主人公ペコとスマイルの熱い友情だ。幼馴染の2人が高校に至ってなお爆発させたマグマの如き信頼関係には、理由なんか無くとも涙した人は多いハズ

観てない人の為にちょこっとだけ話すと、スマイルの名前の由来は「笑わないから」じゃない。ペコと卓球で戦ってる時に「笑うから」スマイルなんだよ。そんなスマイルが笑わなくなったっていうのは、圧倒的な実力だったペコが低迷期に入ったから。だからスマイルは子供の時の様に”圧倒的に強い”ペコが戻ってくるのをずっと待っていた

この男特有の、友達へのライバル意識が非常にアツい。突き詰めると『ピンポン』って、この2人の青春が凝縮された物語だからさ、ペコvsドラゴンとの戦いで自信と実力を取り戻したペコの姿に、作中屈指の名言「おかえり、ヒーロー」が飛び出したのは必然と言えるんですよね。

 

vsドラゴン

ちなみに、このヒーロー(強いペコ)復活の戦いとなるvsドラゴン戦も極限までアツい。映画版のクライマックスになる通り、圧倒的一強として君臨していた孤独な怪物に対して、卓球をすることの純粋な楽しさを思い出させるペコ。それだけ自分自身が卓球を楽しんでるってのが強く伝わってくる名バトル。

最初はペコに対してメチャクチャ敵意を露わにしていたドラゴンが、試合終盤では笑いながらペコとのラリーを楽しむっていうのが良いよね。一種の悟り状態みたいにトランスしながらお互いを高め合う姿に、全スポーツマンは落涙必至。認めてる者同士の戦いには凝縮された魂の会話があるんだよな。ペコも最後に「カッコ良かったぜ、ドラゴン」って言ってるし、アニメ版が映画と同じくこの試合で終わっても名作の仲間入りはしていた。だが、ここで終わらないのがノイタミナ

 

 

ヒーロー見参

アニメ版の絶対視聴ポイントは、無論、最終話(11話)の「血は鉄の味がする」だ。実写映画版ではペコがドラゴンに勝って、ペコvsスマイルの決勝戦は”ご想像にお任せします”って余韻を残して終わらせたけど。アニメ版では伝説の決勝戦を描いた

笑いながら試合をするスマイルが戻ってきて、「僕の血は鉄の味がする」って、ロボットと呼ばれていた少年が人間であったことを自覚する瞬間。ここにまず涙腺ダムが崩壊。

 

輝かしい想い出

そうそう、あと、映画版との違いとしてもう一つ絶対に観て欲しいシーンがある。舞台は未来、卓球場タムラで子供たちに卓球を教えるスマイル。日本代表として中国戦に向かうペコ。大人になってそれぞれ卓球と関わっている2人が描かれるのも本当に良い。

そして卓球場タムラに往訪するドラゴン(マフィアみたいな風体)。スマイルと2人で、海を眺めながら大人口調で仲良さげに話をする様子は、高校時代の激戦が、その後も友情を育むきっかけになったであろう事を想像させる。

高校時代、部活やスポーツに打ち込んだ想い出ってのはさ。大人になると本当に脳の端っこの小さい思い出でしかなくなる。昔を懐かしんだ時に「何であんなに頑張ってたのかなぁ」と思うことも多いが、楽しかった思い出ってのは、その後の人生に大きな影響を与える。結果として「頑張って良かった」と思えるから不思議だ。

卓球場の壁には大会の時の表彰台の写真。笑顔のスマイルには悔いは全く無い様に見えるのは俺だけじゃないハズ。

 

 

まとめ

以上、Netflixでアニメが全話視聴できるようになった記念の駆け足『ピンポン』語りでした。いや、これ本当に最高のアニメだから全国民に観て欲しい。あの映画版に負けない作品を作るってのは相当にハードル高かったと思うんだよ? でもそれを見事にこなした湯浅政明監督にスタオペだよ

アクマとかチャイナとか、語るとキリがない位に脇役たちの人間性にフォーカスした内容になってて、書いてて「収集つかなくなるな…」と気付いたんだ。だから実は800文字くらい消したけど。そのくらい面白い。映画は映画でエンターテイメントとして一級だったけど、本当に負けてない

まだの人はみて。絶対後悔しない。

あのクリーチャー達が動く『スケアリーストーリーズ 怖い本』を映画館で観てビクッとして嬉ション

アメリカ版『学校の怪談』として有名な『スケアリーストーリーズ 怖い本』。学校の図書館に置いてあると保護者から苦情が殺到するという抜群の恐怖。ホラー好きは必見(必聴)のビックリ度合だったので、その魅力の一端を紹介する。

あらすじ

読むな危険。その本は、絶対に開いてはいけない―

ハロウィンの夜、町外れの幽霊屋敷に忍び込んだ子供たちが一冊の本を見つける。 そこには噂に聞いた怖い話の数々が綴られていた。

持ち帰った次の日から子供がひとり、またひとりと消えていく。 そして、その“怖い本”には毎夜ひとりでに新たな物語が書かれていくのだ。 主人公は消えた子供たち。彼らが“いちばん怖い”と思うものに襲われる物語がそこにあった。

次の主人公は誰なのか? 子供たちはどこへ消えたのか?“怖い本”の呪いからはだれひとり逃げられない―。Filmarksより引用

 

”ベストセラーの禁書”という矛盾した前振りの通り、子供が持つ根源的な恐怖が具現化される本作。ぶっちゃけるとホラーというより、モンスター映画に近いかもしれない。俺はこのご時世でも堂々と映画館で観れたんだけどね(マスク着用させられた)。久方ぶりに ビクッとする という感覚を味わえた良い作品

ちなみに、原作はペラペラっと読める超短編集。日本でもマイルドな翻訳版が出ているので読むと更に世界観を楽しめるぞ。

スケアリーストーリーズ 怖い本
いばりんぼうをつかまえた

 

ギレルモ・デル・トロ 節100%

ごめん、別にギレルモ監督が腹に風穴あいた案山子なワケではない。悪意のある記事構成になって大変申し訳ございません。よし、謝ったからちゃんと紹介するよ。

まず、この「ギレルモ監督」、ホラー映画撮る為に生まれた? みたいな名前じゃない? 俺なんか最初は完全にそう思ったけどね。でも映画界においては超実力派。『パンズ・ラビリンス』が一番有名な気がするけど、ほら、あの「食べちゃいけない試練」で葡萄を2粒食べた時に動き出した掌に目を装着する化物。あれを撮った監督と聞けばすごく分かりやすいんじゃないかな。

え…わからない? マジかよ。じゃあ…『ロード・オブ・ザ・リング』続編の『ホビット』監督、ホラー好きにとっては義務教育と化しつつある『MAMA』製作総指揮の人だと覚えておこう。→(と思ったのは本音なんだけど。今Wikipedia見たら『シェイプ・オブ・ウォーター』撮ってるじゃん。一番有名じゃん、情弱な俺乙)。

と言う感じで、ここまで丁寧に作品名を列挙すれば、普通に有名映画を観てる人は気付くと思うんだけどさ。ギレルモ監督の真髄は人外への飽くなき愛にある。「デジタルな化物ではなく、生身の化物を作りたかったんだ」米国記者にインタビューで語る通り、息遣いが耳元で聴こえるような、リアル感が最高にクールな化物を創り上げる天才ってワケだ。

 

そもそも原作の挿絵がトラウマ

あ!この絵みたことあるって言う人もたくさんいると思う。これは原作の挿絵なんだけどね。ホラー板とかでは頻出のクリーチャー達なので、俺なんかはセンター試験の勉強してる時に海馬に刷り込まれてたよ

このクリーチャー達に見事に命を吹き込んだのはギレルモ監督の生涯きっての一大事業だと思う。確かに、図書館で子供が読んだら死ぬまで忘れないような化物たちだが、映像化することによって大人でもトラウマになるレベルまで昇華された。マジで質感がやばい。

あと、個人的には『ジューン・ドゥの解剖』撮ったウーヴレダル監督との相性もすごく良かった。音がヤバい。

 

 

クリーチャーの不気味さがヤバい

ペールレディ

ジャングリーマン

案山子のハロルド

大きな足指

なんか…もっといた気がするけど、とりあえず今回の映画でベンチ入りしてたのはこの辺。大体が怖い画像探してる時に出てきた画像だよね!(歓喜)

あえて原作挿絵から抜粋したんだけど、これらのクリーチャーが動いてるのは普通に興奮した(大丈夫、性的にではない)。 だからホラーの世界に少しでも魅入られて、ちょびっと齧ってるような俺みたいな人間にとっては、彼らが動いてるだけでかなり嬉ション作品

ちなみに俺は本作を観て”ペールレディ”軽くトラウマになったぞ!(子供の頃、夏休みに5回ほど入院してるので病院が舞台のホラー苦手。もう入院できない…。)

 

 

物語を伝えることの大切さ

本作では、ギレルモ監督の物語的特徴でもある、”悪であるクリーチャーに共感する主人公”が描かれる

60年代後半、アメリカVSロシア冷戦中の時代背景ともリンクしてくるんだけどさ。言論の自由がしっかりと確立される最中、特に女性の出版物に対しての弾圧もまだあったんじゃないかな? そんな設定の中で「物語を語ることで、癒す」を正義とするストーリーは、闇の中に輝く希望をしっかりと描いていたし、なるほど…こういう着地もアリ…と、物語を語る事の大切さがしっかりと感じることができた。

 

 

まとめ

アメリカの子供向けホラーってことで、心の奥底にある恐怖心を煽ってくる内容だった本作。音の演出が秀逸だから、これは映画館で観た方が良い作品だと思うんだよね(自宅で爆音鳴らせる裕福層は除く)。最後に希望も含ませてくれたし、ワンチャン続編化してくれると泣いて怖がる。そして映画館へ走る。

どちらにせよ、ギレルモ監督からは暫く目が離せなそうだ。

海外に評価される日本的美意識の塊『パプリカ』を、代理店PRは会議室で観ろ

日本よりアメリカで評価されている映画No.1『パプリカ』。R指定の劇場アニメでは異例の人気を博した本作、もっと日本でも知られて良いと思うんだよね。

あらすじ

パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。

ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。

敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る。Wikipediaより引用

キャッチコピーは「私の夢が、犯されている」

 

 

パプリカ(C.V.林原めぐみ)

主演はまさかの林原めぐみ。夢の中での探偵としてのパプリカと、現実世界の千葉敦子の2役を1人でこなす(まぁ役柄的に1人だし)。現実世界では黒髪キャリアウーマンな凛とした女性なのに対して、夢の中のパプリカは小悪魔チックな明るい性格。この演じ分けが地味に良い。さすが時代を築いた一流声優。『名探偵コナン』で機嫌の良い灰原が観れた時の歓びを思い出した

 

実力派声優の本気

意味があるのか無いのか分からない。そんな言葉が飛び交う夢物語。林原めぐみ以外にも江守徹・堀勝之祐・大塚明夫と超実力派が軒並み揃った声優の本気が聴ける

最近のアニメでも中々揃わないメンバーが捲し立てる狂言の数々は一見の価値あり。それに伴って物語も佳境に向かう。俺的オススメは「おお!有史以来の待ち人!その笛の音はニューロンの癒し!香しき脂肪分は至上のランチ!」と言って女性を上の口で普通にパックンするところ。本当に意味がわからない

 

 

夢と現実の境界がなくなる

物語終盤で夢世界が現実にも侵食してきてカオス具合が臨界点突破する。パプリカと千葉さんの2人が揃った時点で「?」という脳内エラー表示はMAXに近いんだけどね。物語を中盤くらいまで観てると不思議とそれが心地よくなって来る

大凡の戯言を抜きにストーリーを頭の中で整理しながら観ていると、夢×刑事ドラマのサスペンスとして良く出来てる。『サイコパス』よりもフィクション色強めなんだけど、『攻殻機動隊』ほどSFよりでもない。夢自体が曖昧&混沌すぎてジャンルに特化してない感じが逆に新境地。ストーリーの内容どうなの?ってことを話したいけど、夢要素が強すぎて…文章で書いても良く分かんないことになる。これたぶん観てもらった方が早い。ただ、オチ的な結論から言おう、これは全デブ救済アニメだ。

パプリカ

 

 

 

まとめ

正直、俺も最近まで観てなかった。たまたま昔のニュース記事を読んでたら「え、何、パプリカってそんな海外で人気あったん?良さそう」と思って観るという完全な”にわか”

でも結果として観れて良かったと思う。単純に声優が聴けるだけでアニメ好きにとっては嬉しいけど、それ以上に海外で評価されたっていう理由もなんとなく分かるクールジャパンがここにはあった。「こういうアニメで日本ブランドの市場価値は高まっていったんだなぁ」ってことが良く分かるし、確かにこれは日本人ならではの美意識が凝縮されていると感じた。むしろ、最近はちょっとカッコ付け過ぎてて、本当に世界にウケるのはこういうJAPAN像なのでは?とすら思えるので、日本代理店のPR関係者はこぞって会議室でチェックした方が良い

まだ観てないアニメ好きも、時間あったら観て。

近年稀にみる実写成功例『ミスミソウ』が原作を超えてたの知ってる?

2018年、ミニシアターを中心に上映された実写版『ミスミソウ』。2007年~2009年の間『ホラーM』で連載されていた押切蓮介さん原作の完成度も言わずもがなだったが、この実写化もまた、負けてない秀作。

あらすじ

東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。

春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。

やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。映画.comより引用

キャッチフレーズは「家族が焼き殺された日、私は復讐を決めた。」というド直球さ。潔い、というかこれしかない。原作も良くて…というか、押切蓮介作品は『ハイスコアガール』も『でろでろ』も『サユリ』大好きなんだけど、『ミスミソウ』はちょっと特別だよね。ここまで凄惨な復讐を描けるのは押切先生しかいない(黒押切)

 

 

主演:山田杏奈の代表作

原作準拠の惨殺劇。「絶ッ殺」という固い意志を示す視線を見事に再現したのは『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の山田杏奈。ボウガンで遠くから狙ってくる男子生徒に対して殺意の波動を放出する様は、元々心に闇を抱えてたのでは? と思わざるを得ないほどの名演技。『小さな恋のうた』にも出演してたけど、強くて可愛い女優は昨今に置いてレア度SSR。この空気感を出せるのはリアル夜凪景と言っても良いくらい。もっと色んな映画出て欲しい(具体的には次の『冨江』とかやって欲しい)。

 

若手役者陣がとにかく優秀

唯一の救いである相場くんを演じるのは清水尋也。お前こんな演技できたんかい! という感想を、誉め言葉としてここに記したい。気付いた? 『ちはやふる-結び-』の須藤先輩だよ。この狂演なくして本作は完成しなかった。

もちろん、いじめっこグループも総じて良い演技をしてた。「ボウガンでお前の親父脅して、家に火ぃつけたのは俺だぁあああ」と叫びながら、その娘にも同じボウガン向けてくる全く同様の余地なしの男子生徒役も最高にダサい死に方するし。バイプレイヤーが優秀だからこそ主演陣が映えてる良き例。

すべては押切先生の原作が優れていたからこそなんだけどさ。思春期のスクールカーストにおいて悪意は容易に伝播すること、日常は一瞬で崩壊させることが出来るし、人間は一瞬で消せる。憧れだった人間は振り返れば小さな人間だし、雑魚のような3軍でも本気を出せば小さな世界くらい壊せること。その当たり前がしっかりと3次元化されてた。

 

誇張無しに再現度105%

流石に、あまりにも残酷なセリフは無くなってたけど、原作と違うのはそれだけかと。過激な暴力・人間が狂う瞬間のあのピリつく空気は完璧に原作準拠だった。

俺、押切先生の話は勿論だけど絵も好きだからさ。正直、実写化されても全然観る気になれなかった。「いやいや、あの絵があってこそストーリーが映えるんでしょ」なんてほざいてた。燃やしたい。たぶん俺が『ミスミソウ』という作品を知らないで観ても、「なんか、押切蓮介の作品っぽいなぁ」と感じる忠実さで、心の内面を描いてる。

ちなみに、”再現度105%”としたのは、映画に改変があったからだ。賛否両論なのかもしれないけど、俺は非常に良いアレンジだったと思う。美作昴もビックリのパーフェクトトレース+α

 

超意外な生存エンド

大概の作品だったら、絶対に「そりゃ悪手じゃろ」と言われる、死んだキャラの生存エンド。それを見事にまとめあげ、”救いのある『ミスミソウ』”を完成させていた。監督に拍手。

どんな人なんだろ? と思って調べたら内藤瑛亮監督というらしい。俺はこの人の他作品、観たことないんだけどね、本作に至っては素晴らしいと思った(押切先生ファン?とまで思えた)。いつか同監督の作品に出合ったら本気出して観てみよ。とにかく、俺はこの映画の終わりかた超好き

 

物語の真の終わりが描かれた

そもそもこの映画自体が、連載終了後の完全版をもとに作られている。読んだ人は分かってる事だから普通にネタバレするけど、この完全版には前日譚とエピローグが追加されている。

映画版はこれのエピローグ部分を改変したということになる(というか別のシーンに差し変わっただけで、おじいちゃんと春花の会話はあったのかもしれない。いや、あったんだよ。俺たちの心の中でな)。完全版と言うだけあって、これを描くことで一気に物語に深みが出たんだよね…おじぃちゃん…。

春花が妙子に言った最後の言葉「胸を張って生きて」から、映画のラストの爽快感&エモさが生まれるなんて、誰が想像できただろうか。この技量は敏腕監督と言わざるを得ない。『ミスミソウ』の新しい完全版を魅せてくれ、本当にありがとうございました。観終わった後の感じで言えば、完全に原作を超えてると思う

まとめ

漫画の実写化は基本的に失敗するのが定例になってしまったことは悲しいが、この『ミスミソウ』に関しては大成功。

原作ファンこそ観て欲しい作品なので、チェックして欲しい。