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最後まで意味が分からなかったと言えば真っ先に浮かんでくる『アイアムアヒーロー』について

2009年~2017年の期間スピリッツで連載しつつ、2016年の実写映画化も成功させた『アイアムアヒーロー』。気が狂ったか? と思うような衝撃の一巻に始まった本作は、連載終了まで見事に気が狂っていたと思うのは俺だけじゃないハズ。

【あらすじ】

主人公・鈴木英雄は、さえない35歳の漫画家。デビュー作は連載開始後半年で早々に打ち切られ、借金も背負い、アシスタントをしながら再デビューを目指し、ネームを描いては持ち込む日々が3年を経たが、出版社には相手にされない悶々とした日常を過ごしている。そんな無為な日常の中の救いは、恋人である黒川徹子の存在。だがその彼女も、すでに売れっ子漫画家になった元カレを何かと引き合いに出し、酔うたびに英雄の不甲斐なさをなじる始末であった。

そんなある日、全国的に「噛み付き事件」が多発する。町に増えてゆく警官の数、さらには厚労相が入院して、その入院先で銃撃戦が起こるといった報道が立て続けに起こる。英雄も深夜、タクシーに轢かれて両腕と右足が潰れ、首が真後ろに折れても運転手に噛み付き、奇声を発し立ち去る女性を目撃する。やがて、周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延し、「ZQN」と呼ばれる感染者たちが街に溢れる。恋人や仕事仲間も犠牲となり、都内から逃亡した英雄は富士の樹海で女子高生・早狩比呂美、御殿場のアウトレットモールで看護師・藪(小田つぐみ)と出会い行動を共にする。Wikipediaより引用

 

 

実写版

『アイアムアヒーロー』

主演:大泉洋、そして有村架純長澤まさみがヒロインという豪華キャスティング(小田さんはヒロイン枠、いいね?)。それだけこの作品が売れる自信があったんだろう。結果としてこの思惑は大成功だったと言える

 

原作再現度MAX

まず大泉洋の英雄がめちゃくちゃ良かった(欲を言えばもう少し小太りだが)。社会不適合者感が如実に再現されていて、普通の社会が機能している時は絶対に役立たずな感じが◎。あと会ったことないけど「こんな人いそうだな…」っていうリアリティさが良かった。こういう役うまいよね。

あと長澤まさみのカッコ良さが際立つ。終末の世界で生き抜く強い女感が際立っていて、こんな女性に出会ったら即堕ち。ショッピングモールの面々も糞ったれっぷりを存分に発揮した演技で話を盛り上げてくれた。やっぱり価値観がなくなった世界でこそ人間の本性は出て来る。

 

ZQN再現度120%

韓国技術員の協力を得て行ったという特殊メイク&映像がハンパなくクオリティ高い(というより魅せ方が上手い)。ちなみに監督は『キングダム』と同じ佐藤信介監督なんだけどね。この佐藤監督が原作準拠で描いたスケッチをもとに特殊メイクを施している。陸上選手のZQNは3Dプリンタ使って用意されたZQNらしいし、カズレーザーもZQNとして出てきたりすごくバラエティ色強めながら、映像は最高にグロテスク。この思い切りの良いギャップが素晴らしかった。

もちろんストーリーも良かったよ。敢えてのショッピングモール編をメインにすることでアングラ感増しててゾンビ映画として2階級特進してた。

 

 

原作版

『アイアムアヒーロー』

意外と、映画しか観てない人・原作を最後まで観てない人多くない? 話が進むにつれてドンドン物語がカオスに煮詰まって3日目のカレーみたいになるから、読んでない人は原作の続きも読んだ方が良いと思う。

 

映画版の”その後”

冴えない漫画アシスタントの日常を淡々と描いた末、巻末で衝撃的なアウトブレイクを読者に与えた原作版『アイアムアヒーロー』。もちろん、最終巻でもやってくれてる(いや、むしろ何もやっていない)

映画では多少の差異はあってもほぼ原作準拠でやってくれたから、見事にゾンビ映画としての体を成していたけど。この作品の真のジャンルは実は”ゾンビもの”ではない。最終巻まで観てると要所要所に「あれ、この描写いる?」っていうシーンが出てきて、それがZQNとは? の解答への布石になっている(気がする)。そう、要するに投げっぱなしENDだ。

まぁ、たぶん、宇宙人的な存在が地球をテラフォーミングする&人類が共存できるか測るために、ウイルスなのか概念的なモノをアウトブレイクさせたんだと俺は素直に受け止めた…のかな。うん、正直に言うと俺も何が何だか分からん!

ただ、見所としてはいっぱいあるんだよ。比呂美ちゃん・小田さん・英雄の三角関係とか、建設的ZQN・巨大ZQN・存在理由不明ZQNの登場とか、江の島編・高層ビル編とか! え?大丈夫。俺も今本当に面白かったか疑問に思ってるよ。だが、まぁ、面白かったな…(遠い目)。

 

【まとめ】

俺のボキャブラリーではその魅力の一端しか伝えられなかった感があるが、一世を風靡したことには変わりない本作。終末系作品が一般大衆に認めらるようになった走りと言っても過言ではないので、未読の人は読んどけばヲタクとの会話の時に使えると思うよ(俺はヲタクじゃないから知らんけど)。

原作リスペクトの投げっぱなし記事でした。
(本作はちゃんと面白いから!)

結論から言うと『約束のネバーランド』は本当の自由を証明する為の旅

「ジャンプらしくない新連載」として、2016年に週刊少年ジャンプにて連載を開始した『約束のネバーランド』。2020年6月15日発売の同誌にて堂々完結した本作。いちファンとして、この王道にしてアナーキーな作品を語りたい。

【あらすじ】

色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す…と孤児たちは教えられていた。

里親が見つかり、外の世界に出ることになったというコニーが人形を置き忘れたため、主人公で身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届ける。しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃する。そこから「鬼」の存在を知った二人は、リアリストで博識なレイのほか、ドン、ギルダを仲間に引き入れ、GFからの脱獄計画をスタートさせる。Wikipediaより引用

ちなみに、漫画漬けの日々を送る俺は
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それではお待ちかね。下記にて『約束のネバーランド』に関して独善的に語っていく。楽しく読んで、作品のことを好きになってくれると嬉しい。

 

数多の漫画賞を受賞

TSUTAYAコミック大賞 2016
第63回小学館漫画賞
漫画新聞大賞2017 大賞
このマンガがすごい! オトコ版1位
TSUTAYAコミック大賞 2018

大体有名どころだとこの辺。ゴールドラッシュかよ。ジャンプ編集部の担当は笑いが止まらなかったことだろう(あとケンコバさんがやってる『漫コバ』でもグランプリ獲ってたハズ)。まぁ正直、普段漫画読まない人からしたらこの辺の漫画ランキングは馴染みがないかもしれない(俺はとりあえず全部チェックしてるけど。あ、これ自慢です。あれ、自慢になってる?)。わかりやすく例えると、日本でアカデミー賞獲ったと思ったらカンヌ・ベルリン・ヴェネチアでも選出されちゃった感じ(゚Д゚)ハァ?

2019年1月にアニメ版も放送されたから、それで一気にファンが増えた感もあるよね。UVERworldの「Touch off」が主題歌でめっちゃ格好良かった(あれはズルい)。2021年春にアニメ2期も決定してるという人気ぶり。でも、アニメを控えながらもキッチリ最終回を〆るところが最高にCoolかと。こういうところ、アナーキーで好き

 

 

エッジの効いた設定が◎

てことで、原作ファンの多さもさることながらアニメ観てる人も多いと思うので、詳しくストーリーを紹介するのは割愛。ここからは俺が好きな点を語りたいと思う。

まず、少年誌らしからぬ鬼のビジュアルが◎だよね。エマが初めて鬼を目撃した時の「なに?」は俺たち読者の気持ちを二文字で表現してくれていた。正確には「え、な…ふぇ…あーね、そういう感じでくるかー。で、なに?」っていう形にならない感情だったけど。しかも驚くべきはザコ鬼でこのクオリティ。物語中盤で登場する”狩場の死神”ことレウウィス大公に関してはパリコレモデルも顔負けの8頭身を魅せつけてくれた(女王もスタイル抜群!)。

そもそも、食肉人間の飼育場が舞台の作品をよく本誌で掲載する気になったなと感心しかないゲーム始めたら魔王城が最初の村みたいなクソゲー設定ながら、強大すぎる敵に立ち向かいながらの逃走劇はまごうことなき王道ストーリー

 

 

ジャンプの新たな王道

俺も前述しちゃってるけどさ、よく「ジャンプらしくない」という評価を受ける本作。真正面から敵を倒し、勝鬨を上げるのが本誌の特徴ではあるものの、主人公たちの年齢がここまで幼いと、このステレオタイプも現実と乖離しすぎてしまう。ならばどうするか。逃げるしかないでしょう。俺(30歳)だってそうする。

でも、逃げながらも友情・努力・勝利をしっかりと描いた。つまりこれは、子供という圧倒的弱者の目線でしっかりとジャンプの王道を描いた作品なんだよ。こんなにダークな作風ながら読者層は若年層&女性が多いって聞いたことあるしね。

しかも、お気づきだろうか。この『約束のネバーランド』のヒットを受けてか、本作以降、尖った作品がジャンプ本誌に増えた。『チェンソーマン』『呪術廻戦』はその筆頭だ(富樫先生は例外だ! 一旦忘れろ)。ダークファンタジーとして、名実ともにジャンプの新境地を切り拓いたってこと。

 

 

最高の未来とは

あ、このブログ全然ネタバレするスタイルだから。躊躇いなく最終話にも触れます(でも人が良いから大事なところは暈すよ←異論は認めない)

「運命なんて覆してやる」の精神で、仲間のために突き進む子供たちの姿はここまで観てきた読者も納得の展開。称賛すべきは、ここで希望の道を指し示すのが失った仲間であること。コニー、ユーゴ、イザベラをここで再登場させる作者の脚本作成能力をスキルハンター(盗賊の極意)したい

最後の最期で家族を失ったエマ。それを見て絞り出されるノーマンの「よかった…」。記憶が無い相手に対して独白のように綴られる幸せな未来と、選択したことの正当性。最高の未来だよ、でも、それでも僕は君といたかったという切なる少年の願いはもう全読者感涙必至でしょう。しかもさ、この独白を聞いたエマも泣いちゃうところが最高。全く記憶が無いのに、何故か溢れ出る涙。そして零れる「会いたかった…」の一言。これが聞ければもう満足なんだよ。むしろ最終話この一コマだけでも良かった。忘れてても、思い出せなくても、依然と別人でも良いから一緒に生きようって言えるのは、ここにたどり着くまで「なんとしても皆で生きよう」って願ってきた子たちだからこその言葉だよね。

見事なハッピーエンドで皆幸せなことには変わりないんだけど。他作品のように、ご都合主義全開で誰一人漏れることなくハッピーエンドじゃないっていうこの絶妙な塩梅がお見事。しかも俺は逃してませんよ。ジャンプって毎号、最終ページに編集部が一言〆の一言見出しみたいの入れるじゃん? それが今回は「絶望の運命、その彼岸(さき)で――」だったんだよ。ちゃんと絶望乗り越えてるんだよ。編集部公認ですよ。やはり、”最高の未来”って言うのは、苦しい逆境を乗り越えた先にしか手にすることが出来ないってことを、俺たちにしかと教えてくれた。本当の自由は頑張った奴だけが得られるんだよ

【まとめ】

本当の自由を求め、温室から脱走して異世界まで辿り着く物語。結末は、どうなんだろう…。賛否両論あるのかな。俺は好きだけどな。というより、最期まで少年誌としてのご都合主義に抗ったという点に俺は感動したよ。誰よりも本当の自由を証明したのは、この作品自体だったのでは? 週刊少年ジャンプという媒体の中に居ながらも「運命なんてクソくらえ」とヤリ切った本作に感謝。ちなみに、実写で映画化するらしいよ(マジ)

白井カイウ先生&出水ぽすか先生、お疲れ様でした。

次回作も本当に期待してる。

『プロメア』観て、完全燃焼した俺は満足しすぎて次元断裂

『プロメア』の良さは異次元。多くの人を魅了し話題となった本作の良さは今更語るべくもないことだが、敢えて語りたい。俺は本作を、語らなければ生きていけない。

【あらすじ】

炎を操る新人類バーニッシュの出現に端を発する惑星規模の発火現象である世界大炎上により、人口の半分が焼失してから30年が過ぎた世界。自治共和国プロメポリスでは、炎上テロを繰り返す過激派バーニッシュの集団マッドバーニッシュに対抗すべく、対バーニッシュ用装備を扱う高機動救命消防隊バーニングレスキューが消火活動を行っていた。

バーニングレスキューの新米隊員ガロ・ティモスは、火災現場でマッドバーニッシュの首魁である少年リオ・フォーティアと出会う。「燃えて消す」を流儀とするガロと「燃やさなければ生きていけない」と語るリオは、互いの信念をかけて熾烈な戦いを繰り広げる。

燃える魂をぶつけ合う二人の戦い、果たしてその先にあるものとは――Wikipediaより引用

 

俺のトリガー&ガイナックスへの想いは上の記事に書いた通りなので、こちらも参照して欲しい。これを読んでくれれば俺がその辺のなんちゃってアニヲタ糞畜生とは違うということは分かってくれると思う。

 

 

アニメとしての全てが極上

作画・音楽・脚本そのすべてが最上級。これは昔からのガイナックスファンの心を開始10分で鷲掴みにして離さない(離されなかった俺が証人)とともに、最近アニメを観始めた将来性のある廃人候補も自宅警備員就職間違いなしの圧倒的JAPAN魂

危ない危ない、言いたい事多すぎて興奮してきたよ。うん、ゆっくり話そう。作画に関しては”すしお”さんを筆頭に『SSSS.GRIDMAN』等のアニメーター陣が終結。やはり今石監督作品にこのメンツは外せないよね。次に音楽、物語冒頭の大火事&マッドバーニッシュ初登場シーンでのsuperflyの『覚醒』。最高に痺れました。ふんぞり返ったリオの決めポーズもナイス。そしてキャラクターの動きに呼応するように鼓膜を揺らすのは、『キルラキル』でもその敏腕を示した澤野弘之さんの音楽。盤石かよ~。脚本に関しては観ろ。

 

「燃やさなければ生きていけない」

何の罪もない市民を殺さないことが誇りのバーニッシュ(炎人類)。炎を出さなければ人類と殆ど変わらないとは言え、その危険性から迫害を受ける可哀想な種族。

まず一つ良い…? 俺、本作を観ながら叫んだんだけどさ。リオの脇にいる2人、小西克幸と檜山修之やんけ。おいおいおいおいおいおい、『天元突破グレンラガン』におけるウルトラ重要キャラであるカミナ&ヴィラルの声をサブ役で使うという贅沢な采配。そしてファンには絶対に分かる熱すぎる美声。無論その演技に間違いはなく、ザコっぷり徹する崇高な役者心に魂が震えた。あ、あと早乙女くんも全く違和感を感じない名演でした。声優に転向しちゃおうぜ

 

「燃えて良いのは魂だけだ」

”バーニングレスキュー”の面々も総じて個性爆発。個人的に嬉しかったのはルチア(C.V.新谷真弓)かな…。『キルラキル』の蛇崩と言えば一番わかるかな(『フリクリ』のハル子でもあるんだけど!)。いやもうガイナックス同窓会かよ。地味に小山力也さんが隊長の声当ててるのも◎。

アイナ(C.V.佐倉綾音)の存在もかなり重要だと思った。可愛いヒロイン自体を久しぶりに見た気がする。いや、可愛いだけじゃなくてしっかり戦うんだけど。この、”戦闘には参加するけど、しっかり女の子(非主人公)”のポジションは『天元突破グレンラガン』のヨーコを思い出す(伝われ!この微妙なニュアンス!)。

まぁ、本作における声優で言えば、何よりもガロの声(松山ケンイチ)が良すぎた。「こ、こんなに男らしい声出せたんですね!」さすが日本のジョニーデップ。二枚目なのにアツいなんてやめろよ惚れるだろぜんぜん関係ないけど知り合いのスタイリストが松ケンの専属なので、今度サインお願いする

 

 

2人乗りロボットへの浪漫

2人乗りのロボットには浪漫が詰まってると思うんだ。敵だった者同士が協力して立ち向かう時、そこにはプラットフォームが必要だもんな。かの”グレンラガン”でも、カミナ&シモン・シモン&ニア・シモン&ヴィラルが乗り込み、物語の厚み(熱み・そして深み)を指数関数的に上昇させてくれた。”エウレカ”でもニルバーシュに乗った時の2人はいつもエモかったよな。『コードギアス』でも蜃気楼はルルーシュとC.Cが座ってるの観たら謎に心臓が高鳴ったじゃん? それ(え、盛り上がってるの俺だけ?)。

本作においては、対立していた二人の協力もストーリー上見事に構築されている。ここに違和感を感じてしまったら台無しだけど、本当に自然な流れでガロとリオは共闘することになる。中島かずき脚本に間違いなし

2人の対立だったものがドンドン拡がり、世界の危機に。そして世界との戦いに。よく考えたら、現実でもそうだもんね。小さな争いだと思っていた事が、実は根の深い因果から引き起こされた事の枝先にすぎなく。根本から解決させるためには世界そのものを正さなければならない。そう、この物語は世の中の縮図だ。だからこそ、この物語を観る価値がある。

 

 

2019年アニー賞ノミネート

っていうか未だに映画館で上映してるって超ロングランだよね。それだけ評価されているってことなんだけど。アニメ界のアカデミー賞と称されるアニー賞に2019年ノミネートされたのも頷ける。ちなみに興行収入は15億円越え

超インディペンデント作品としてはかなり夢のある実績だと思う。そりゃあね、『エヴァンゲリオン』とか”ジブリ”とか、新海誠とか。良いとされているモノ(実際良い)に比べたら物足りない数字かもしれない。でも原作も存在しない・確率されたフックの無い、いちアニメ会社が作ったオリジナル作品としてはこれは異例。絶対零度宇宙熱死砲の如く、日本アニメ界に光明を打ち込んでくれたんだ

 

【まとめ】

映画館に行くタイミングを逃していたので、AmazonのPrime videoで公開されたタイミングでの視聴だったわけだけど、後悔。これは映画館で観るべき作品だと素直に思った。

トリガーがある限り俺も生きよう。

『リスナーズ』10話が上質なジュブナイルだったので最終話を待たずに投稿

「頭ん中で考えてること。ちゃんと言葉で伝えなきゃ、分からんこともある。」モブおじさんの発言すらエモい。なんかブログ書く気力すら沸いてきた。これが『リスナーズ』。

【あらすじ】

人類が「ミミナシ」という謎の生命体に脅かされる世界。ミミナシに対抗して戦えるのは、戦闘メカ「イクイップメント」。そのイクイップメントとプラグインし、操ることのできるのは「祈手(プレイヤー)」という能力者であった。

リバチェスタという街で暮らす少年エコヲは10年前、ミミナシと戦ったジミに憧れを抱いていた。ある日、エコヲはスクラップ山で記憶喪失の少女を発見する。彼女は腰にアウトプットジャックを持つプレイヤーだった。

翌日、街はミミナシの大群に襲われるが、少女はエコヲ自作のイクイップメントを操りミミナシを殲滅。エコヲは彼女をミュウと名付ける。二人は街を飛び出し、ミュウの記憶やジミを探す旅に出る。Wikipediaより引用

ちなみに、アニメが始まった時にこのブログでも記事を書いているので、こっちの記事も要チェキ(ブログ作って最初に書いた記事だから色々と荒いな… これも一種のジュブナイルだと思って、miketaの成長を楽しみながら読んで欲しい)。というか最初に選んだアニメが『リスナーズ』って我ながらセンス良い

 

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最終回に向けて

盛り上がりは最高潮

ゴミ溜めの街から始まって、悩み、成長し、世界を一つにする。こんな最高なことってあるか? いや、ない。バラバラだった人々が一つになる瞬間ってなんでこんなに高揚するんだろうね。しかもヒロインがラスボス。本当に分かっている。

世界の力を結集しても歯が立たない相手に対して、唯一の切り札が主人公ってのもGOOD。「もう一度、あの子に会いたい!」という願いとともに、ようやく隣りに立てる力を手に入れる第10話の衝撃&王道感は「これを待ってたんだ!」感MAX

 

 

『クロスロード・ブルース』

話の流れで第10話に触れたので、ここで一度この神回についてハイライト形式で語ろうと思う。バンプの曲みてぇなエモタイトルを冠している時点で多少の予想はしていたが、究極の哲学回。この話なくしてはこの物語は成立しなかったなっていう内容は思春期に観てたらエヴァくらいの衝撃を受けたと思う。『攻殻機動隊』で言うところの第11話「亜成虫の森で PORTRAITZ」みたいなもんだ。

 

第一線から離れ、アメリカの牧羊地帯のような場所にたどり着いたエコヲが争いから離れた普通の人生を送るという、小休止話…かと思いきや、かなりオカルティックなスピリチュアル尋問→少年成長のジャスティス。この話を観てる時に俺は思ったね。香しいモーニンググローリーの匂いがしてきた と

 

すごく良い人なハズなのに、どこか不思議な雰囲気のするジャニス(金髪美少女)にクロスロードという”この世の全てが交差する場所”に連れて来られるエコヲ。「ちょっと待ってよ!そもそも君は一体…!?」と横を観ると、少女の姿は無く、「お前がどんなに親しみを感じていても、仲間だろうが家族だろうが、他社という存在を、お前はお前の人生の一部としてしか解らない。」と真理で心理を乱してくるオジサンの唐突な問答。き、きたぁ!この流れはジュブナイルにおけるクライマックスや!と歓喜する俺がいた(良いんだよ! 細かい意味なんて分からなくて!)。

 

自分の中の本当の気持ちを確認したエコヲは、前述している通り「もう一度、あの子に会いたい!」と自分の気持ちを強く認識。その瞬間、独り大麦畑の真ん中で突っ立て涙を流しているエコヲ(〆もエモーショナルにしてきた…だと!? )。今までお世話になっていた人たちは、本来とっくに居ない人たちで、結局はこのクロスロードという場所(概念空間?)を通して、自分で自分の気持ちに気付く主人公。ちなみに、この話でタイトル回収&ティザービジュアルの線路の意味が判明する。詰め込まれている情報量の多さが異常。これを神回と言わずしていつ言う? そう、今。

 

 

”エウレカセブン”との比較

ここまでアニメを観た人はとっくに気付いただろうが、ストーリー全体の流れとして『交響詩篇エウレカセブン』を思い出さずにはいられない良トレース。少年が少女と出会い、旅をして苦難を乗り越えていく中で仲が深まり、離れ離れになる。でも少年は成長し戻ってくる。Re ボーイ・ミーツ・ガール

10話の”クロスロード”はエウレカで言うところの”世界図書館”だろう。ここで懐かしのレントン(エウレカ主人公)は姉と再会し、世界の真実を知った。このまま人間が争いを続ければ「クダンの限界」(星における知的生命体の局地的飽和が引き起こす物理宇宙の崩壊)が起こると知って、それを止めるために最後の戦場へ赴いた。うわ、ていうか久々にエウレカのこと思い出したけど設定秀逸すぎるな…。

つまり『クロスロード・ブルース』で描かれたのは、この成長物語の局地的飽和だったってことだよ。リスペクト・オブ・エウレカをしつつも、全く新しいプラットフォーム&凝縮された成長譚を描き切った。セカンド・サマー・オブ・ラブは起こったと言えるだろう。時代を経ることでパワーアップして。いや、これから最終回でドでかい波を起こしてくれるのかもしれない。

 

 

 

【まとめ】

全体的に駆け足で進むのは仕方ない。エウレカが50話でやったことを12話で出来るかと言われれば出来ないだろう。ただ、驚くべきはまったく”負けてない”ということだ。脚本の質が尋常じゃなく良質。

また、映像&音楽というカルチャー文化が進化していることも一役買っている。心理描写やOP・EDでの本編補完を見事にこなしてくれた。そう考えると、アニメの技術が確実に上がったであろう事を実感したね。優秀なクリエイター陣が本気を出せばもはや50話でアニメをやる必要は無いのかもしれない

そんな『リスナーズ』、最終回にも期待してます。

Viva la Morning glory.

『トレインスポッティング』は薬物肯定作品じゃない、巧みな薬物否定作品だ。

俺が往年の名作である『トレインスポッティング』を初めて観たのは、実はかなり遅い。編集の仕事で本作に触れた時だから、つい1年~2年前のことだ。でも、観るタイミングは関係なかった。酒×薬×女はいつの時代も男を虜にする。

【あらすじ】

ドラッグ中毒のマーク(ユアン・マクレガー)と悪友たちは常にハイ状態か、あるいはドラッグを手に入れるため盗みに精を出しているというていたらく。ある日、マークはこのままではいけないと更生するためにロンドンに行き職に就く。ところが、彼らの仲間が会社に押し掛けたことが原因で、マークはクビになってしまう。

トレインスポッティング(字幕版)

 

 

ユアン・マクレガー出世作

本作を語る上で、これは外せない要素だよね。特に俺みたいなホラー好きにとっては、最近『ドクター・スリープ』で名演を果たした彼の若かりし雄姿は何回観ても同じ人物とは思えない(両作どっちを先に観ても)。

いわゆる、ドラッグ映画とでも言うのだろうか。思いっきり犯罪行為を行いながら、若さにかまけて大暴走するストーリー。令和の時代に観てもあまりピンと来ない内容かもしれないが、たぶん当時の(今でも)チョイ悪な若者の娯楽と言えばドラッグだったんだろうなぁ…この映画を観れば感じ取ることができる。もちろん、これはユアン・マクレガーのぶっ飛んだ名演技あってこそ

 

 

カルト的な人気は

時代を経ても褪せない

当時、第一線にいた多くのクリエイターが影響を受けたのも頷ける映像と音楽の間違いなさ。特に映像演出は90年代あまり他の作品ではやってなかったであろう新しさを感じる。音楽に関しても、1996年に「Temptation」聴いたら誰でもニューオーダー好きになるよって感じ(もっとも、UKロックに明るい人達はこの映画放映前から聴いていただろうが)。

これまで本作をもとに多くのパロディも作られたし、俺が編集やってた時はよくクリエイターの先輩方にも勧められた(というより、観てないことはあり得ないとされていたが…今ならその気持ちも分かる)。それだけ、当時はほぼ全ての人が影響を受けたっていうことだと思う。

ちなみに監督は『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイル監督。まだまだ現役の名監督(生ける最前線)だ。

 

 

身を滅ぼす象徴であり

救いを与えるドラッグ

まず明確に宣言しときたいんだけど、俺はドラッグ(あとギャンブル)はやらないと決めてるよく言動のラリ具合から勘違いされがちだが。やったら最後、俺みたいな意志の弱い人間は完全に依存してしまうと自分で分かるからだ(たぶん超ヤる、何を置いてでも全財産溶かして朝から晩までキメる)。嗜好品は酒と煙草だけで十分(早死に待ったナシ!)。だから、その気持ちよさっていうのは想像でしかないんだけど。それを前提に話を進めるね。

本作の中でレントンは、大衆である一般的な若者としてドラッグ(ヘロイン)に依存し、堕落した日々を送る少年。「手に入るドラッグはなんでもヤった、ビタミンCがドラッグだったらヤってた」という台詞の通り、作中で描かれるのも最高にキマッた日々だ(曰く、モルヒネ、コデイン、テマギン、フェノバルビタール、アモバルビタール、プロポキシフェン、メタドン、ペチジン、、デキストロモラマイド、クロルメチアゾールをキメたらしい。やべぇ、モルヒネしか知らない)。

そんな中で、平凡な日々からの脱却ツールとしていともたやすく接種されるドラッグ。でも時代柄、仕方ないと思うんだよね。日常に刺激を与えて、最高に気持ち良い。そんなのやるしかないだろう。特に10代~20代の多感な時期は手を出したくなる気持ちも分かる。ただ、この映画の中では「こんなの良くない」と思っているレントンの心理が巧みに表現されている。ここが良い。

破滅的な生活の中で、”普通”に生きることを揶揄してきた若者が”普通”の人生を送ることを肯定していく。そんなイギリス独特の自虐ネタのオンパレードを形にした名作だと思う。芸能人も見習え

 

 

【まとめ】

1996年から20年の時を経て、2017年に続編となる『T2 トレインスポッティング』が公開されたけど(まだ観れてない)。噂では『T3』なる第3作目も制作が進んでるとか? 「ベグビーが90分間大暴れする映画」らしいので、きっとファンを楽しませてくれると信じている。

最後に。ドラッグはダメ、絶対

あのクリーチャー達が動く『スケアリーストーリーズ 怖い本』を映画館で観てビクッとして嬉ション

アメリカ版『学校の怪談』として有名な『スケアリーストーリーズ 怖い本』。学校の図書館に置いてあると保護者から苦情が殺到するという抜群の恐怖。ホラー好きは必見(必聴)のビックリ度合だったので、その魅力の一端を紹介する。

あらすじ

読むな危険。その本は、絶対に開いてはいけない―

ハロウィンの夜、町外れの幽霊屋敷に忍び込んだ子供たちが一冊の本を見つける。 そこには噂に聞いた怖い話の数々が綴られていた。

持ち帰った次の日から子供がひとり、またひとりと消えていく。 そして、その“怖い本”には毎夜ひとりでに新たな物語が書かれていくのだ。 主人公は消えた子供たち。彼らが“いちばん怖い”と思うものに襲われる物語がそこにあった。

次の主人公は誰なのか? 子供たちはどこへ消えたのか?“怖い本”の呪いからはだれひとり逃げられない―。Filmarksより引用

 

”ベストセラーの禁書”という矛盾した前振りの通り、子供が持つ根源的な恐怖が具現化される本作。ぶっちゃけるとホラーというより、モンスター映画に近いかもしれない。俺はこのご時世でも堂々と映画館で観れたんだけどね(マスク着用させられた)。久方ぶりに ビクッとする という感覚を味わえた良い作品

ちなみに、原作はペラペラっと読める超短編集。日本でもマイルドな翻訳版が出ているので読むと更に世界観を楽しめるぞ。

スケアリーストーリーズ 怖い本
いばりんぼうをつかまえた

 

ギレルモ・デル・トロ 節100%

ごめん、別にギレルモ監督が腹に風穴あいた案山子なワケではない。悪意のある記事構成になって大変申し訳ございません。よし、謝ったからちゃんと紹介するよ。

まず、この「ギレルモ監督」、ホラー映画撮る為に生まれた? みたいな名前じゃない? 俺なんか最初は完全にそう思ったけどね。でも映画界においては超実力派。『パンズ・ラビリンス』が一番有名な気がするけど、ほら、あの「食べちゃいけない試練」で葡萄を2粒食べた時に動き出した掌に目を装着する化物。あれを撮った監督と聞けばすごく分かりやすいんじゃないかな。

え…わからない? マジかよ。じゃあ…『ロード・オブ・ザ・リング』続編の『ホビット』監督、ホラー好きにとっては義務教育と化しつつある『MAMA』製作総指揮の人だと覚えておこう。→(と思ったのは本音なんだけど。今Wikipedia見たら『シェイプ・オブ・ウォーター』撮ってるじゃん。一番有名じゃん、情弱な俺乙)。

と言う感じで、ここまで丁寧に作品名を列挙すれば、普通に有名映画を観てる人は気付くと思うんだけどさ。ギレルモ監督の真髄は人外への飽くなき愛にある。「デジタルな化物ではなく、生身の化物を作りたかったんだ」米国記者にインタビューで語る通り、息遣いが耳元で聴こえるような、リアル感が最高にクールな化物を創り上げる天才ってワケだ。

 

そもそも原作の挿絵がトラウマ

あ!この絵みたことあるって言う人もたくさんいると思う。これは原作の挿絵なんだけどね。ホラー板とかでは頻出のクリーチャー達なので、俺なんかはセンター試験の勉強してる時に海馬に刷り込まれてたよ

このクリーチャー達に見事に命を吹き込んだのはギレルモ監督の生涯きっての一大事業だと思う。確かに、図書館で子供が読んだら死ぬまで忘れないような化物たちだが、映像化することによって大人でもトラウマになるレベルまで昇華された。マジで質感がやばい。

あと、個人的には『ジューン・ドゥの解剖』撮ったウーヴレダル監督との相性もすごく良かった。音がヤバい。

 

 

クリーチャーの不気味さがヤバい

ペールレディ

ジャングリーマン

案山子のハロルド

大きな足指

なんか…もっといた気がするけど、とりあえず今回の映画でベンチ入りしてたのはこの辺。大体が怖い画像探してる時に出てきた画像だよね!(歓喜)

あえて原作挿絵から抜粋したんだけど、これらのクリーチャーが動いてるのは普通に興奮した(大丈夫、性的にではない)。 だからホラーの世界に少しでも魅入られて、ちょびっと齧ってるような俺みたいな人間にとっては、彼らが動いてるだけでかなり嬉ション作品

ちなみに俺は本作を観て”ペールレディ”軽くトラウマになったぞ!(子供の頃、夏休みに5回ほど入院してるので病院が舞台のホラー苦手。もう入院できない…。)

 

 

物語を伝えることの大切さ

本作では、ギレルモ監督の物語的特徴でもある、”悪であるクリーチャーに共感する主人公”が描かれる

60年代後半、アメリカVSロシア冷戦中の時代背景ともリンクしてくるんだけどさ。言論の自由がしっかりと確立される最中、特に女性の出版物に対しての弾圧もまだあったんじゃないかな? そんな設定の中で「物語を語ることで、癒す」を正義とするストーリーは、闇の中に輝く希望をしっかりと描いていたし、なるほど…こういう着地もアリ…と、物語を語る事の大切さがしっかりと感じることができた。

 

 

まとめ

アメリカの子供向けホラーってことで、心の奥底にある恐怖心を煽ってくる内容だった本作。音の演出が秀逸だから、これは映画館で観た方が良い作品だと思うんだよね(自宅で爆音鳴らせる裕福層は除く)。最後に希望も含ませてくれたし、ワンチャン続編化してくれると泣いて怖がる。そして映画館へ走る。

どちらにせよ、ギレルモ監督からは暫く目が離せなそうだ。

海外に評価される日本的美意識の塊『パプリカ』を、代理店PRは会議室で観ろ

日本よりアメリカで評価されている映画No.1『パプリカ』。R指定の劇場アニメでは異例の人気を博した本作、もっと日本でも知られて良いと思うんだよね。

あらすじ

パプリカ/千葉敦子は、時田浩作の発明した夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。

ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる。

敦子達は犯人の正体・目的、そして終わり無き悪夢から抜け出す方法を探る。Wikipediaより引用

キャッチコピーは「私の夢が、犯されている」

 

 

パプリカ(C.V.林原めぐみ)

主演はまさかの林原めぐみ。夢の中での探偵としてのパプリカと、現実世界の千葉敦子の2役を1人でこなす(まぁ役柄的に1人だし)。現実世界では黒髪キャリアウーマンな凛とした女性なのに対して、夢の中のパプリカは小悪魔チックな明るい性格。この演じ分けが地味に良い。さすが時代を築いた一流声優。『名探偵コナン』で機嫌の良い灰原が観れた時の歓びを思い出した

 

実力派声優の本気

意味があるのか無いのか分からない。そんな言葉が飛び交う夢物語。林原めぐみ以外にも江守徹・堀勝之祐・大塚明夫と超実力派が軒並み揃った声優の本気が聴ける

最近のアニメでも中々揃わないメンバーが捲し立てる狂言の数々は一見の価値あり。それに伴って物語も佳境に向かう。俺的オススメは「おお!有史以来の待ち人!その笛の音はニューロンの癒し!香しき脂肪分は至上のランチ!」と言って女性を上の口で普通にパックンするところ。本当に意味がわからない

 

 

夢と現実の境界がなくなる

物語終盤で夢世界が現実にも侵食してきてカオス具合が臨界点突破する。パプリカと千葉さんの2人が揃った時点で「?」という脳内エラー表示はMAXに近いんだけどね。物語を中盤くらいまで観てると不思議とそれが心地よくなって来る

大凡の戯言を抜きにストーリーを頭の中で整理しながら観ていると、夢×刑事ドラマのサスペンスとして良く出来てる。『サイコパス』よりもフィクション色強めなんだけど、『攻殻機動隊』ほどSFよりでもない。夢自体が曖昧&混沌すぎてジャンルに特化してない感じが逆に新境地。ストーリーの内容どうなの?ってことを話したいけど、夢要素が強すぎて…文章で書いても良く分かんないことになる。これたぶん観てもらった方が早い。ただ、オチ的な結論から言おう、これは全デブ救済アニメだ。

パプリカ

 

 

 

まとめ

正直、俺も最近まで観てなかった。たまたま昔のニュース記事を読んでたら「え、何、パプリカってそんな海外で人気あったん?良さそう」と思って観るという完全な”にわか”

でも結果として観れて良かったと思う。単純に声優が聴けるだけでアニメ好きにとっては嬉しいけど、それ以上に海外で評価されたっていう理由もなんとなく分かるクールジャパンがここにはあった。「こういうアニメで日本ブランドの市場価値は高まっていったんだなぁ」ってことが良く分かるし、確かにこれは日本人ならではの美意識が凝縮されていると感じた。むしろ、最近はちょっとカッコ付け過ぎてて、本当に世界にウケるのはこういうJAPAN像なのでは?とすら思えるので、日本代理店のPR関係者はこぞって会議室でチェックした方が良い

まだ観てないアニメ好きも、時間あったら観て。

近年稀にみる実写成功例『ミスミソウ』が原作を超えてたの知ってる?

2018年、ミニシアターを中心に上映された実写版『ミスミソウ』。2007年~2009年の間『ホラーM』で連載されていた押切蓮介さん原作の完成度も言わずもがなだったが、この実写化もまた、負けてない秀作。

あらすじ

東京から田舎の中学校に転校してきた野咲春花は、学校で「部外者」扱いされ、陰惨ないじめを受けることに。

春花は唯一の味方であるクラスメイトの相場晄を心の支えに、なんとか耐えていたが、いじめはエスカレートしていくばかり。

やがて事態は春花の家が激しい炎に包まれ、春花の家族が焼死するまでに発展。春花の心はついに崩壊し、壮絶な復讐が開始される。映画.comより引用

キャッチフレーズは「家族が焼き殺された日、私は復讐を決めた。」というド直球さ。潔い、というかこれしかない。原作も良くて…というか、押切蓮介作品は『ハイスコアガール』も『でろでろ』も『サユリ』大好きなんだけど、『ミスミソウ』はちょっと特別だよね。ここまで凄惨な復讐を描けるのは押切先生しかいない(黒押切)

 

 

主演:山田杏奈の代表作

原作準拠の惨殺劇。「絶ッ殺」という固い意志を示す視線を見事に再現したのは『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』の山田杏奈。ボウガンで遠くから狙ってくる男子生徒に対して殺意の波動を放出する様は、元々心に闇を抱えてたのでは? と思わざるを得ないほどの名演技。『小さな恋のうた』にも出演してたけど、強くて可愛い女優は昨今に置いてレア度SSR。この空気感を出せるのはリアル夜凪景と言っても良いくらい。もっと色んな映画出て欲しい(具体的には次の『冨江』とかやって欲しい)。

 

若手役者陣がとにかく優秀

唯一の救いである相場くんを演じるのは清水尋也。お前こんな演技できたんかい! という感想を、誉め言葉としてここに記したい。気付いた? 『ちはやふる-結び-』の須藤先輩だよ。この狂演なくして本作は完成しなかった。

もちろん、いじめっこグループも総じて良い演技をしてた。「ボウガンでお前の親父脅して、家に火ぃつけたのは俺だぁあああ」と叫びながら、その娘にも同じボウガン向けてくる全く同様の余地なしの男子生徒役も最高にダサい死に方するし。バイプレイヤーが優秀だからこそ主演陣が映えてる良き例。

すべては押切先生の原作が優れていたからこそなんだけどさ。思春期のスクールカーストにおいて悪意は容易に伝播すること、日常は一瞬で崩壊させることが出来るし、人間は一瞬で消せる。憧れだった人間は振り返れば小さな人間だし、雑魚のような3軍でも本気を出せば小さな世界くらい壊せること。その当たり前がしっかりと3次元化されてた。

 

誇張無しに再現度105%

流石に、あまりにも残酷なセリフは無くなってたけど、原作と違うのはそれだけかと。過激な暴力・人間が狂う瞬間のあのピリつく空気は完璧に原作準拠だった。

俺、押切先生の話は勿論だけど絵も好きだからさ。正直、実写化されても全然観る気になれなかった。「いやいや、あの絵があってこそストーリーが映えるんでしょ」なんてほざいてた。燃やしたい。たぶん俺が『ミスミソウ』という作品を知らないで観ても、「なんか、押切蓮介の作品っぽいなぁ」と感じる忠実さで、心の内面を描いてる。

ちなみに、”再現度105%”としたのは、映画に改変があったからだ。賛否両論なのかもしれないけど、俺は非常に良いアレンジだったと思う。美作昴もビックリのパーフェクトトレース+α

 

超意外な生存エンド

大概の作品だったら、絶対に「そりゃ悪手じゃろ」と言われる、死んだキャラの生存エンド。それを見事にまとめあげ、”救いのある『ミスミソウ』”を完成させていた。監督に拍手。

どんな人なんだろ? と思って調べたら内藤瑛亮監督というらしい。俺はこの人の他作品、観たことないんだけどね、本作に至っては素晴らしいと思った(押切先生ファン?とまで思えた)。いつか同監督の作品に出合ったら本気出して観てみよ。とにかく、俺はこの映画の終わりかた超好き

 

物語の真の終わりが描かれた

そもそもこの映画自体が、連載終了後の完全版をもとに作られている。読んだ人は分かってる事だから普通にネタバレするけど、この完全版には前日譚とエピローグが追加されている。

映画版はこれのエピローグ部分を改変したということになる(というか別のシーンに差し変わっただけで、おじいちゃんと春花の会話はあったのかもしれない。いや、あったんだよ。俺たちの心の中でな)。完全版と言うだけあって、これを描くことで一気に物語に深みが出たんだよね…おじぃちゃん…。

春花が妙子に言った最後の言葉「胸を張って生きて」から、映画のラストの爽快感&エモさが生まれるなんて、誰が想像できただろうか。この技量は敏腕監督と言わざるを得ない。『ミスミソウ』の新しい完全版を魅せてくれ、本当にありがとうございました。観終わった後の感じで言えば、完全に原作を超えてると思う

まとめ

漫画の実写化は基本的に失敗するのが定例になってしまったことは悲しいが、この『ミスミソウ』に関しては大成功。

原作ファンこそ観て欲しい作品なので、チェックして欲しい。

ホラー中毒が選ぶ青春を感じるホラー映画【おすすめ5選/小心者向け】

ほぼ毎日ホラー映画を観ている俺はあることに気付いた。あれ、ホラー映画って相当ジャンル細分化できるんじゃね? と。中でも特に俺の琴線に触れたのは”青春”を感じるホラーだ。相反する二つが共鳴した時、えも言えぬエモさが生まれる。

”青春”を感じるホラーとは?

一口にホラーと言っても色々ある。サイコホラー・スリラー・サスペンスホラー等が一番分かりやすい区分け。ジャンルだけで何でこんなに多いのか、”恐怖”の種類がまず多いからだ。このジャンルによる分け方も分かり易くて良いのだが、ホラーを観慣れてない人にとってはホラーはホラーだろう。でも、俺はまず襲ってくるクリーチャーの種類でまず分けられると思っている。幽霊・ゾンビ・サメ・宇宙人、etc…。

個人的に、かの名作『ジョーズ』はサメ映画であってホラー映画ではない。サメが出て来る作品はサメ映画ということにしよう。何故か。物理特化すぎて陰鬱とした恐怖が無いからだ。『13日の金曜日』『悪魔のいけにえ』も俺の中ではホラーではない。そもそも生きてる人間だし。同様の理由で『エイリアン』『ダークスカイズ』といった宇宙人襲来系も除外対象にする。宇宙人が出てきたらSF特化すぎるからだ

つまり、人外(宇宙人以外)が方途を尽くし何故かビビらせながら襲ってくるのがホラーだ。異議もあるだろうが、今回はこの考え方を念頭に、さらに細分化して”青春ホラー”というジャンルを俺が作ったということになる。というより、ここで間引かないと星の数ほどある作品の中から選ぶことになる。あまり前置きばかりが長くなってもピンとこないと思うので、ここからは厳選した”青春ホラー”を紹介したい。

 

 

学校の怪談

あらすじ

夏休みを翌日に控えた、一学期終業式の日の夕方。小学2年生の美夏は、忘れた絵の具箱を取りに学校に戻っていた。するとそこで美夏は、サッカーボールが自分を導くように旧校舎へと転がっていく不思議な光景を目撃する。旧校舎は取り壊しが決まって立ち入り禁止になっていたが、お化けが出ると子供たちの間で噂になっていた。しかし、美夏はボールにつられて中へと入ってしまい、そしてトイレの中で何者かに襲われてしまう。

美夏を心配した、5年生で姉の亜樹は、一人学校を訪れ、何者かに吸い寄せられるように旧校舎へと入っていく。そこにいたのは、イタズラしようと忍び込んでいた同級生の研輔と将太、4年生で双子の兄の均、そして6年生の香織だった。転校してきたばかりで、同級生となじめていなかった亜樹は、研輔達と衝突し、単独で妹を探しにいく。

しかしやがて、5人は自分たちが旧校舎から出られなくなっていることに気づく。そして5人の前に、ただの噂だったはずのお化けが現れた。Wikipediaより引用

「あ~コレね、あったあった!」と言っている顔が浮かびます。みんなのトラウマ製造映画であり、愛すべき青春。青春を感じるホラーとは何ぞや? という疑問に答えるのに、これより適した作品があるだろうか。いや、ない(反語)。学校を舞台にしたホラーは、総じて青春時代を想起させるけども、20代後半~30代にかけての年代に至ってはコレが一番リアルに感じるハズ

 

少年時代の甘酸っぱい恋心

黒髪清純美少女だったころの岡本綾。そして『学校の怪談』(シリーズ1作目)における神キャスティング・THE ミステリアスな女の子。旧校舎で出会いを果たすというボーイ・ミーツ・ガールを演じてくれた。隠れながらそっと手を握ってくる高学年のお姉さんの姿に全少年は精通不可避。ギンガムチェックのノースリーブブラウスがここまで似合っていたら、中村獅童の心が揺らぐ気持ちも超わかる。無論、作中でも淡い恋心を刺激するだけ刺激してラストのクライマックスを盛り上げてくれた。コレコレ、これなんですよ! 良質なホラーは怖がらせながらもしっかりと恋愛要素を盛り込んでくれる。その純度が高ければ高いほど青春メーターはグッと上がるってこと。

 

シリーズ全作が良作

『学校の怪談』シリーズは全4作。無論、同シリーズは他の作品も秀作だ。なんと言っても、てれび戦士だった前田亜季が出演している(しかも2・3ともに)。1995年の初作から比べると、如実にバブル時代の経済成長が反映された舞台設定になっており、学校の設備や時代背景も現代に近づいてくる。このリアルタイムさが良かった。学校・怪談・黒髪の美少女×リアル感=青春ホラーを体現していた本シリーズの1作目・2作目・3作目は、20年の時を経た今でも推せる。

4は無かった、良いね?
マジもんのホラー好きは要チェック!

学校の怪談4

 

 

怪怪怪怪物!

あらすじ

いじめられっ子のリン・シューウェイは、いじめっ子3人とともに、教師から独居老人の手伝いをする奉仕活動を命じられ、そこで2匹のモンスターに遭遇する。彼らは小さい方のモンスターを捕まえて、独自の「調査」と「実験」を始めるが、やがてモンスターは彼らの手に負えなくなっていく。そして、それは恐怖の始まりだった……。本当に恐ろしく、怖いものとは一体…。amazonより引用

ごめん早速『学校の怪談』の前提を覆す形になったけど、この作品に関して言えば、恋愛要素は皆無

 

輝くだけが青春じゃない

いじめられてたシューウェイが、いじめっ子グループと一緒に”怪物”を捕まえるというストーリー。前述のあらすじにもある通り、見つけたのは2匹、ここがミソ。怪物の妹(言い方合ってるのか不明?)にあたる方を捕まえて、学校に匿って行う「調査」と「実験」は子供ならではの吐き気を催す残酷さ。でもシューウェイはこの怪物調査を通していく中で、いじめられっ子ではなく(表面上は)仲間として認められていく。怪物の相手をしている間は自分は虐められないけど、自分と同じように”被害者”として衰弱していく怪物を前に、ある決心をする。

 

1番の被害者は”怪物”

ぶっちゃけると、本作において”怪物”は被害者だ。確かに、人間を襲うし、肉片は有り得ない位はじき飛ばすし、バスの車内を窒息するくらい血潮で染める。でもそれは全部、攫われた妹のためなんだよ。そんな怪物(姉)の気持ちを知ってからは、怪物(妹)への拷問は加速。苦しむ声で怪物(姉)を誘い出して、ブッ殺っしょ? マジこれでイケんべ? みたいなノリで物語はクライマックスへ向かっていく超胸クソ展開。それがシューウェイの作戦と絡み合って爆発的な鈍色の輝きを生んだ。

クリーチャーが襲ってくるホラーとしては異例だが。学生のモラル低下・いじめ問題への警鐘を鳴らし、ホラーの新境地を切り開いた問題作と言える。俺、かな~りマイルドに説明してるけど、普通に気分悪くなる映画だと思う。ただ、観た後は謎の爽快感

”青春ホラー”おすすめ5選、堂々のランクインです。

怪怪怪怪物! [DVD]

 

 

イット・フォローズ

あらすじ

ジェイ(マイカ・モンロー)は、恋人のヒュー(ジェイク・ウィアリー(英語版))とデートを重ねた末、彼と肉体関係をもつ。

その直後、ヒューはジェイにクロロホルムを嗅がせる。目覚めたジェイは、車椅子に縛りつけられている。彼女は、性交によってヒューから呪いを移されたと知る。

その呪いに憑かれた者は、人間の姿形をした「それ」に追いかけられる。「それ」は、ゆっくりと歩き、呪いに憑かれていない者の目には見ることができない。「それ」は、呪いに憑かれた者をつかまえて殺すと、その前に呪いに憑かれていた者を追いかけるという。Wikipediaより引用

『イット・フォローズ』は有名だよね。何となく、サブスクでゴリ押しされてた感ある(俺も一時オススメに滅茶苦茶表示されてた)。性交によって移る恐怖っていう設定は単純に面白いと思ったし、若者の性事情が荒れに荒れてる昨今を風刺したストーリーはむしろ10代~20代こそ観るべき

 

単なる”性病”の具現化じゃない

単純に、性行為によって”何か”に追われる立場が変わるという設定は、普通に考えると性病の怖さを表現しているように思える。でも、よく考えたらちょっと違うよね。

性病を揶揄するなら、”移す”ことで一時的にでも助からない設定にする。あくまでもこれはホラーで、”何か”が襲ってくるという、純粋な恐怖を主軸にした作品だってことだ。自分が助かるために自暴自棄になって誰彼構わず行為に及ぶ描写があるが、コレだとむしろ、SEXが救いとして扱われてるんだよね。また、襲ってくる”何か”は人の姿をしている。これも単純に、触手でグジュグジュのマラとか、等身大の〇〇〇とか、性の権化みたいな化物だったら簡単にトラウマを植え付けることができたハズ。

 

愛がなきゃダメ、絶対!

この作品の肝はラスト10分にある。襲ってくる”何か”を仲間たちと協力して撃退し、自分に片思いしてくれてたチェリーボーイと両想いになるんだけどね(万歳!)。この時のセックスは恐怖を伝播させることもなく、薬で眠らされて起きたら縛られてるなんてこともない、幸せな行為としてのSEXなんだよ。

実際のところ、性行為によってトラウマを負う人も少なくない。この物語の主人公(女性)もまた、強姦被害者(しかもドメスティック?)であるかの描写もある。だからこそ、ラストのCherry boy SEXが活きてくる

何が言いたいかというと。この映画は最初に感じた通り、「若者の性事情」への揶揄であることに変わりない。だけど、一時の救いのためだけの性行為に何も意味はなく、愛がなきゃダメですよ! と、 「若者よ。その行為、愛・ありますか?」 と、一歩踏み込んで揶揄ってきた映画だと思うんだよね。これを青春ホラーと言わず何と言う! 性春ホラー

イット・フォローズ(吹替版)

 

 

ゾンビーワールドへようこそ

あらすじ

高校生でボーイスカウトのベン、カーター、オギーはクラブで女の子と遊びたくて仕方がない。

ある日、キャンプを抜け出してパーティー会場へ行く途中、なんとゾンビ化した住人たちが襲ってきた!間一髪のところを美人ウエイトレスに助けられた3人は、ボーイスカウトで 身につけた様々なワザを駆使して、一致団結しようとするのだが…。NBC UEJより引用

実は俺、あんまりゾンビ映画って好きじゃないんだよね。ここまでホラー紹介しといてなんだよって話だけど、俺は血が苦手なんだ。ただそんな俺でもこの『ゾンビ―ワールドへようこそ』は大好き。下手したらゾンビモノでは一番かもしれない

 

笑いあり、涙あり、青春がここにある

高校生にもなってボーイスカウト? まずここがフックになる本作。ボーイスカウトなんて続けてたらモテねぇよ!女とヤレねぇよ!というリビドーが溢れた結果、友情が崩壊する。ここからが祭りの始まりだ。

たぶんジャンル的にはゾンビを題材とした青春映画になるんだろうね。ゾンビ騒動を通して、友情の大切さ、愛する人の為に尽力することの正義を描く。「ゾンビ」ってタイトルにあるだけで、観る気が失せる人もいるかもしれないけど、この映画は誰にでもお勧めできる(下ネタ苦手な清純黒髪女子は除く)。もちろんハラハラ要素もあるし、グロめのゾンビも本気で襲ってくるので、軽めのホラーとして皆で楽しめるだろう。てか超笑える

 

ゾンビはいつだって本気

「超笑える」と言った手前、若干言い辛いんだけど。ゾンビ映画としては超王道設定で、超しっかりしたゾンビが襲ってくる。何だろうね、メイクが良かったのかな。ただ、ここに手抜きが無いからこそ、俺は今ホラー映画のジャンルとしてコレを紹介したいと思ったし、ホラー要素がしっかりしていないと、ぶっちゃけ魅力が半減する。そんなバランス感覚が秀逸な作品と言える。

バストの大きな婦警ゾンビが襲ってきた時に、その豊満な中身がこぼれ、見とれる少年。早く逃げないとヤバい、そんなデッド・オア・ダイな状況でも巨乳ゾンビの胸を揉む。これを観た時に俺は「なんて…青春なんだ…」と感じたんだドン!

少年の心をいつまでも忘れたくない。
そんな風に思わせてくれる青春ホラー。

ゾンビーワールドへようこそ
※プライム会員は吹替版無料で観れるよ

 

 

IT/”それ”が見えたら、終わり。

あらすじ

静かな田舎町で児童失踪事件が相次いで起きていた。

内気な少年ビルの弟が、ある大雨の日に外出し、おびただしい血痕を残して姿を消した。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた「それ」を目撃して以来、ビルは「それ」の恐怖にとり憑かれてしまう。

不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、自分の部屋、学校、町の中など何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇していた。

「それ」の秘密を共有することとなったビルと仲間たちは、勇気を振り絞り、「それ」と立ち向かうことを決意するが……。映画.comより引用

魂沸き心弾むスティーブン・キングの代表作。しかも指揮を執るのは『MAMA』のアンディ・ムスキエティ監督。この時点で面白くないワケが無い。

 

ホラーとして超一級

もうホラー要素に関しては文句ひとつ無い気持ちよさ。単純にビビるシーン多すぎだし、ペニーワイズの人を煽る怖がらせ方も常軌を逸してて最高。巨大化するし、空飛ぶし、血がプッシャーする。住処的に水場での驚かしが多かったりと、ちょっと和製ホラーの怖がらせ方してくるところが日本で大ブレイクした一因かもしれない(ちょっと子供向けの怖がらせ方だけど)。逆にグロテスクな映像が観たい洋ホラー狂にとっては中途半端な感じなのかな? 知らんけど。コレが面白くないって人はスティーブン・キングの描いた本質を理解できてないと思う

 

ホラー×ジュブナイル冒険活劇

思春期の男子特有の下ネタやFワードはありつつも、それを感じさせない爽やかさ。大人たちに頼れない状況の中(というか、登場する大人が総じて病んでる)少年・少女だけで悪に立ち向かう様子は、『スタンド・バイ・ミー』とか『僕らの七日間戦争』の系譜を感じる。小さな街で、スクールカースト底辺が集まったルーザーズクラブの面々が成長し、友情を深め、恐怖に打ち勝つという図式は至高

それに忘れてはならない恋愛要素もしっかりと盛り込んでいるところが素晴らしい。そう、『学校の怪談』でも同じことを書いた気がするが、良質なホラーは怖がらせながらもしっかりと恋愛要素を盛り込んでくれる。紅一点のベバリーが設定年齢的にはちょっと大人っぽくて、それが淡く輝かしい三角関係を生んでドラマティックが止まらない。子供時代、『学校の怪談』ではなく本作に出会っていたら、きっと岡本綾ではなくベバリーに恋をしていた(原作の乱交シーン無くなってて良かった)。

[少年・少女の葛藤]→[悪との対立]→[子供から大人へ] という黄金図式を描いた本作は青春ホラー筆頭。迷ったらコレ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

 

 

まとめ

我ながら独善的な5作品セレクトになった感が否めないが、参考程度に見て頂けたのならありがたい。ホラーってさ、色んなアプローチの作品があるから。本当はジャンル分けすることすら難しい。あくまで”青春を感じる”ホラーを選んだという事で(保身)。

あと、タイトルに【小心者向け】と入れてる通り、普段ホラー観ない人でもこれらの作品は観れると思う。というのも、青春要素が増えることによって理不尽な恐怖は緩和されてる。総じてエモく、ホラー入門としても優秀な作品になっているので、興味ある人は視聴をお勧めする。ただし、『怪怪怪怪物!』以外な

良いホラー映画ライフを。

シャマランの系譜を継いだ『アス』は愛すべき変態ホラー映画

鬼才ジョーダン・ピール監督が2019年に発表した『アス』。そして映画ファンなら誰しもが注目した本作。観た結果を簡潔に述べると、同監督の『ゲット・アウト』を超えた的確さで人的恐怖を突いてくる秀作だった。

あらすじ

1986年の夏、アデレード・ウィルソンは両親とともにサンタクルーズにある行楽地を訪れる。ビーチに建てられたミラーハウスに迷い込んだアデレードは、そこで自分にそっくりな少女と出会う。ミラーハウスから戻った彼女はトラウマにより失語症となる。

現在、大人に成長したアデレードは失語症を克服し、夫と二人の子を持つ母になっている。ウィルソン一家はサンタクルーズにあるビーチハウスを訪れる。反対するアデレードを説得し、一家はビーチへ出かける。彼らはそこで友人のタイラー一家と落ち合う。長男ジェイソンはビーチで、腕から血を流しながら立っている男を見る。Wikipediaより引用

斜め後ろから迫るヌメっとした恐さ

アカデミー賞脚本賞獲った『ゲット・アウト』を観た時も思ったけどさ、ジョーダン・ピール監督はたぶん天才。この人の作品は面白い。何が面白いかって、完全に意識の外から金属バットで脳ミソ揺らしてくるところかな。ぬらりひょんでも防げない

中盤で物語が一気に”転”じる。導入部分は「おやおや、ホラーっぽいことやってくれるじゃない!」ってな感じで、ささやかな物理ダメージを負わせてくるんだけど。中盤からは全く別のダメージで恐怖にアプローチしてくる。というより、攻撃されたことに恐怖は感じても嫌悪感は感じないと言う方が近いかもしれない。バットで殴られたら「バット痛い!やめてよぉ!」ってなるじゃん? でもコンニャク巻き付けたハリセンでぶん殴られたら「??????…え?????え?怖…」てなるじゃん。それ(は?)

 

 

物語が進むほど疑問が増えていく

どんなサスペンスでも、観てると「あ~ハイハイ、こういう展開ね」ってある種の既視感を覚えるんだけど。この映画を観ている時、そんなこと思うことは無い。例えば、全く想像したことない事態が目の前で起こると人間は一瞬フリーズする。「あ…ふーん、へぇ~、ほぉーん」と頭の中が感嘆詞でいっぱいになった結果、処理落ちする。人間なんてそんなもんだ。俺も子供の頃、見知らぬババアの霊が笑いながら寝てる俺をのぞき込んできた時は「わり、俺死んだ」と冷静に何かに謝ったもんな

でも本作は、そんな謎の恐怖絨毯爆撃中でもしっかりとギャグを忘れてない。”Fuck Tha Police”という言葉が皮肉たっぷりにギャグとして用いられるが、このギャグの使いどころはここしかなかったと断言できる。というか、非常に不謹慎で血みどろなシーンでの現代的ギャグなので、笑えるのは狂人か映画玄人だがまさに「恐怖と笑いは表裏一体」これ誰の言葉だと思う? まぁ俺の言葉なんだけど。ちなみにこの監督、元コメディアンらしいんだよね。こういうところに作り手の人間的魅力って出るよな。伏字多い文章書く奴は俺の中で人間的魅力マイナス5ポイント。

 

 

最恐のアハ体験

本作に敬意を込めて、ネタバレが売りの俺だが今回はネタバレ無しでいこうと思う。だから、ここで語るのはこの作品の本質だ。

そもそもタイトル名の『Us』ってさ、”US”つまりアメリカ様そのものを現わしているって説も映画ファンの間では囁かれている。ここまで言えば何となく予想できると思うが、この映画の裏テーマは「持つ者と持たざる者」だ(と、俺は感じた)。

『ゲット・アウト』でも現代社会の闇を描いたってこともあるが、この監督の作品はどうしても”そういうことを暗示してるんだろうな”って目線で観てしまった(たぶん俺みたいに偏屈な考えを持たないで観たらもっと面白いぞ)。ある種ドッペンルゲンガーという化物を錯視させてくれたワケだけど、これは、一つ何かが違っていたら自分自身も貧困のドン底に居たかもしれないんですよ…ということを暗示している。反面、チャンスは絶対にあるという爆発的な閃きも与えてくれるから厄介。相反する絶望と希望(一番絶望)を同時に描くことで、自由の国アメリカを全力で皮肉った。これはそんな作品とも言える。



まとめ

最期までストーリーを観ると、全ての点が一本の線になって、ぐにゃんぐにゃん曲がりながら地平線の彼方に消えていく。ぶっとんだ解答の衝撃は、どこか『シックス・センス』のラストを想起させる。

シャマラン監督の系譜を継ぐ、間違いなく名作。